1. 沈黙の艦隊(2023)
《ネタバレ》 俳優陣やVFXなどは頑張っていたと思います(とくに水川あさみの好演が光っていた)。しかし、脚本がイマイチでした。 まずストーリー展開のテンポが悪い。始まって20分ぐらい経っても、まだシーバットは出航せずにグダグダやっていて、こんな調子で話がどこまで進むのかと懸念を持ちましたが、最後はその懸念が当たりました。いくら続編予定としても「ここで?」というところで終わりました。 次に、セリフが共感できない。たとえば、海江田が自分の真意を初めて明らかにするシーン。「世界をひとつにする」と宣言しますが、心の中で思わず「ハァ?」と言ってしまいましたw。まったくリアリティがない。それは実写映画のせいだったかもしれませんが、そうであればもっと別の言葉(たとえば、せめて「新しい秩序を構築する」とか「世界の抑止力を更新する」ぐらい)を語らせる必要があったかと。海江田の行動に観客が共感を覚えられるかどうかのキモの部分なので、あれでは深町の言うように「狂っている」とか見えません。 また、細かい部分の演出も気になりました。米空母ロナルド・レーガンとのチキンレースのシークエンスで、海江田のこめかみから汗が流れるシーンが描写されましたが、まったくの失敗です。この作品で海江田に躊躇や弱さを見せてはダメ。完全なる確信のもと完全なる計算によって動いているマシーンのような人物像でなければなりません。ほんの1秒ほどの短いシーンでしたが、めちゃくちゃ興ざめしました。 ほかにも、閣僚会議がレベル低すぎとか、米第7艦隊をもっと完膚なきまで翻弄しなければならなかったとか、海江田の部下があまりにも盲目的とか、いろいろと突っ込みどころが目につき、到底「どっぷりと浸る」ということになりませんでした。 現実社会ではロシアによるウクライナ侵攻が起こっており、戦争ものの描き方にデリケートさが求められる部分はあったでしょうが、やまとがあまりにも戦わなさすぎるのも不自然だし、現実に戦争が起こっているからこそ、こういう映画を通じて「武力」や「自衛」「平和維持」のあり方を実効的に問い直すためにも、戦闘のリアルをもっと伝える必要があったのではないかと感じました。そのあたりは『空母いぶき』などのほうがよく描かれていました。 説得力ある世界観が構築できておりず、また細部の煮詰めも甘いので、内容的にはガッカリでした。俳優陣の頑張りに敬意を表してこの評価とします。もし、同じ素材でハリウッドがつくったら(あるいはいまや韓国や中国でも)、もっと見応えのある映画になったであろうと想像すると、現在の日本映画界のレベルは相当低くなっているのだなと妙なかたちで再確認してしまう結果になりました。いい素材だっただけに残念な一作です。 [映画館(邦画)] 6点(2023-10-09 10:19:30)(良:3票) |
2. DUNE デューン/砂の惑星(2021)
《ネタバレ》 予備知識なし、IMAXで鑑賞。感想をひと言にひっくるめていうとすれば、「スターウォーズの砂版」。 ▼ほんとうはスターウォーズのほうがこちらの原作を参照したらしいが、映画的にはスターウォーズが圧倒しているため、どうしてもフォースがボイスになり、ルーク・スカイウォーカーがポール・アトレイデスになったかたちに見えてしまう。この原作は過去にも映画化されているのでリメイク作品ということになるが、なぜいまこれをリメイクしたのか、その必然性はわからない。 ▼冒頭提示されるタイトルに「part one」とあり、その時点で、ああこれはネタフリで終わるんだなと予想がつく。始まってすぐ、体制側と見られる兵士たちにゲリラ兵ぽい者たちが挑む場面が現れ、ああこれはレジスタンスものだなと想像がつく。で、結局、その突ぱなの想定が覆されることのないままに終了。 ▼そのように、古い原作のせいか、ストーリー自体はステレオタイプといっても過言ではないもので、いまの感覚からすると意外性も衝撃性もなく、見ていてのワクワク感はほぼゼロだった。また、映画を通じて新しい概念が得られたとか、眼からウロコが落ちたというようなインスパイアされる要素もなかった。 ▼なので、途中から自分はどうしてこれをいま見ているのだろう、(かなりの長尺だったので)早く終わらないかな、という気にさえ。前評判がよかったので期待が高かったこともあるが、正直、完全に空振った(あまり無責任に「いいよ、いいよ」というのもどうかと改めて感じる)。 ▼音楽も、個々にはいい旋律と思われる部分もあるのだが、終始執拗に流されるとうっとうしく、終盤はかなり食傷してしまった。 ▼ただ、ビジュアル面は素晴らしいものがあった(IMAXだったのでなおさら)。トンボ型のヘリ(?)などのギミックやサンドワームの造形も高質なつくりで見応えがあった。が、そういうものはいわば薬味にすぎず、いくら薬味がおいしかったとしても、おかずそのものが今一つでは堪能できたとまではいえない。 ▼大変ていねいなつくり込みには感心したが、冗長で起伏のない脚本は、そういう路線が狙いだったとしても、もうちょっと何とかならなかったのかと疑問が残る。製作者の誠意みたいなものは感じられたので、そのところとビジュアル面でこの評価ということで。ちょっともったいない感じもする作品だった。 [映画館(字幕)] 5点(2021-11-02 11:07:03) |
3. 道(1954)
《ネタバレ》 この映画は何度か見ている。子どもの頃に初めて見たときは、なにやらよくわからなかった。青年期に見たときは、まったくわからないということはなかったけど、理屈で見ていたような気がする。そして、老いというものが近づいてきた今、改めて見直して、胸に迫るものの大きさに激しく心を揺さぶられ、ラストはザンパノとともに嗚咽をこらえられなかった。 いったい、どうしてこんなに激しく心揺さぶられるのか、自分でも精密には分析できないのだけれど、ひとつ言えるのは、自分がたどってきた「道」と知らず知らずのうちに照らし合わせて見ているということだ。ザンパノは私であり、ジェルソミーナは私の周りの人間、とりわけ家人にほかならない。ザンパノとジェルソミーナの道行きは私と妻の道行きであり、ザンパノとジェルソミーナの心模様は私と妻の心の風景なのである。それをこのように見せつけられると、涙なしに見られようか。 それにしても、と思う。ジェルソミーナの人生。こういうものにしたのは映画制作者としてはプロというほかないのだが、他方、ひとつの人生として追うとき、いろんな思いが湧き上がってくる(なればこそ、プロの手腕ということなのだろうが)。彼女は幸せだったのだろうか。常識的表面的には幸せだったはずはないのだが、人間とは深いものなので単純には決めつけられまい。そこを思いつつ考えると「わからない」という答えしかない。 ザンパノに捨てられたのち、どうやらジェルソミーナは誰にも心を開かなかったようである。決して粗末な扱いばかりだったわけではないようなのに、心を閉じたまま一人死んでいったのだ。表面的物質的にはザンパノと暮らしていたときとは比べものにならないくらいの豊かさを享受できる機会もあったはずなのに。 映画のところどころで「神」という概念が想起されるシーンが出現するが、物語が神や宗教に回収されることはない。そのこともまた心に残った。なぜなら、この映画はキリスト教の大本山ともいうべきイタリアの映画なのだから。 諺に「破れ鍋に綴蓋」というのがあるが、案外深い深い意味があるのかもしれないという気がした。生あるうちに、せいぜい妻を大事にしなければ。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2020-09-17 15:53:39)(良:1票) |
4. アウトロー(2012)
この邦題はセンスがない。原題の「ジャック・リーチャー」のままのほうがよかったと思う。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-25 20:07:35) |
5. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
《ネタバレ》 エピソード7~9のディズニー版スター・ウォーズ3部作は、私的にはデイジー・リドリーのレイが最大の魅力です。本作でも十分魅了してくれました(しかし、逆にいえば、レイが別の俳優だったら評価は大きく変わっていた可能性もあるということになるが)。 そのレイがパルパティーンの孫だったという「実は」は、なんとなく、そうなるんじゃないかという予感があったので、それほど「そうだったのか!」みたいなビックリは覚えず。また、ラストでレンが自らを犠牲にしてレイを救うという成り行きも、やはり何となく見えてしまいました。 ストーリーの先読みがそれほど得意ではない私でもわかってしまったのは、本作の構造が過去の作品(とくにep6)と基本的に同じだからです。 ・主人公が伝説のジェダイに導かれてフォースを操れるようになり ・レジスタンスに身を投じて帝国との闘いに加わり ・あちこちの星々でキーアイテムを探し求め ・仲間たちが宙で敵と死闘を繰り広げている最中に ・ラスボスたるパルパティーンとの決戦に挑み ・ほとんど負けかかるが、ダークサイドから寝返ったキーパーソン(前はベイダー、今回はレン)に救われる という流れで大団円を迎えるわけですね。この類似構造は過去の作品に対するJJのオマージュなのでしょうか。それとも、人は永遠に同じようなことを繰り返すと人間の摂理を示唆しているのでしょうか。いずれにせよ、類似構造に気づいた時点でストーリーの先が一定読めてしまいます(なので、レイを助けた時点でレンは死ぬと思った)。ついでにいうと、最後の場面でファミリーネームを聞かれたレイが「レイ・スカイウォーカー」と名乗るのも読めてしまいましたが(サブタイトルでわかりますね(笑))、それでもこのシーンは胸にグッとくるものがありましたよ。 いちおう、これでSWシリーズ完結と謳われていますが、フォースを身につけていない私でもそうはならないことは見えています(笑)。フィンがやたらと「感じる」「感じる」とばかりいうことの回収がなされていないし、同じく、フィンが流砂に呑み込まれる直前にレイに「いっておきたいことがある」(だったか?)と思わせぶりをいったことも回収されていませんからね! [映画館(字幕)] 6点(2019-12-25 19:54:49) |
6. 言の葉の庭
《ネタバレ》 毀誉褒貶の激しい作品だろう。この世界に入っていける人とそうでない人とでは受けとめが真逆といってもいいほど違ってくる可能性があると思われる。ファンタジーとして割り切って見られれば、繊細で美しく、安らぎに満ちた世界として心地よいだろう。他方、リアリティを伴う視線で見ると、主人公二人は共依存の関係にある、かなりあぶない人たちと映るだろう。 私自身はどちらかといえば後者の感覚で見ることになった。女性が10歳以上年上というのは構わないし、先生と生徒のストーリーというのもまあよい。が、決定的だったのは、あくまで私の場合の話だが、少年はともかく、ユキノにほぼ感情移入することができなかった点である。社会的常識というものをふりかざして語る気はさらさらないのだが、どう見てもまともな女性とは思われない。まだ異性に疎いいたいけな少年が徐々にたぶらかされていく様子に危惧さえ覚えた(笑)。劇中、「ユキノちゃんはやさしすぎるんだよな」というセリフでユキノの人物描写が間接的になされ、弁護されるが、それはやさしすぎるというものではないだろ、とつっこみを入れたくなった。 物語の進行と人物のセリフも予定調和に終始し、特段どうということのないままエンディングへ(そのくせ主人公たちにはどこまでも美しく、都合よくすべてが運ぶ)。この世界にいつまでも浸っていたい向きには期待を裏切らないつくりではあったと思うが、見る者に何を伝えたいのかは不透明のままとも見えた。ちょっと辛口になるが、製作者たちはこのような視野の狭窄した世界に若者たちに生きてほしいと願っているのだろうか。また、「心を病む」ということを軽視しているところもある気がした。思うに、この時期の新海誠は、夏目漱石に相当思い入れていたのではないだろうか。 [インターネット(邦画)] 4点(2019-07-02 10:24:31) |
7. キングダム(2019)
《ネタバレ》 全体を通して“穴”のない、完成度の高い映画でした。とくにキャスティングには感心しました。吉沢亮のセイ、山﨑賢人のシン、長澤まさみの楊端和と、みな原作のイメージを損なわず、というかピッタリで、まさにハマっていたと思います。なかでも橋本環奈のテンと大沢たかおの王騎は、ともにキャスティングの難しいキャラと思われましたが、その困難さをいともたやすく乗り超えており、人物造形の見事さは拍手ものです(バジオウらの俳優は損をしていて可哀そうだなと思っちゃいましたが)。アクションも頑張っていて、ひとつ間違えば大怪我をしかねない場面もあって見応え十分でした。 とはいえ、このシリーズの真価が問われるのは次作以降であろうとも思いました。今回は弟の謀反鎮圧までで、いわば“内輪もめ”の段階。キングダム本来の国と国とのスケールの大きな戦いは次回以降に持ち越されました。国レベルの戦が続くとやや冗長な印象になる傾向がありますから、それを高いクオリティで、見る者を納得させられる映像にできるかどうかが大きなポイントになろうかと思われます。いずれにせよ、2作目が楽しみになりました。個人的にはキョウカイを誰がどのように演じるかに関心があります。 [映画館(邦画)] 8点(2019-05-03 20:34:20) |
8. ミッション:インポッシブル/フォールアウト
《ネタバレ》 面白かったです。車やバイクのチェイス、格闘によるアクションなどのシーンは、仕掛けはとくに奇をてらったものではなく、むしろコンベンショナルなスタイルでしたが、トイレでのカンフー達人との闘いに見られるように、アクションそのものが旧来より確実にワングレードアップされており見応えがありました。トムさんも年齢を考えると驚異的な頑張りで、映画の筋自体とは違ったところでも感心させられるものがありました(笑)。 こちらの劣化もあると思いますが、話の筋についていくことができない部分(プルトニウムの取引のメカニズムとかMI6とレーンとCIAとIMFの関係とか)があり、ストーリーを十分理解できませんでしたが、まあ、そういうことはよしとしてスペクタクルを楽しめばいいやと割り切ることはできました。 シリーズ初期の作品に比べて、「不可能をどんなインテリジェンスで可能にするか」という知的さよりも、「不可能をどう体当たりで可能にするか」という体育会的なものに作品の性質が変わってきていますが、それもそれで悪くはないです。また、絶体絶命の状況を前にして、どう切り抜けるかを「考え中!」とイーサンが叫ぶというシーンが何度も織り込まれていますが、それも「必ずしもパーフェクトではないイーサン」ということで私は人間的なものを覚えました。 ただ、9点10点を付けられるかというと、そこまでは……という気がするのも事実で、そこまでの評価のためにはもう一つ深い何かがほしいな、とも感じました。 [映画館(字幕)] 7点(2018-08-14 08:17:39) |
9. 君の名は。(2016)
《ネタバレ》 傑作だと思う。封切られた2016年に社会現象となるほどのメガヒットを記録したので、当初は話題先行の映画かと思っていたが、実際に見てみたら決してそんなことはなかった。新海作品は映像美がよく称えられるが、それだけではなく、ストーリーが巧みに練られ、テーマ設定も確か。また無駄なシークエンスもなく、完成度のきわめて高い作品だった。 新海作品は本作まで『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』と見てきていた。それぞれ面白くはあったが限界も感じていた。『雲のむこう、約束の場所』と『星を追う子ども』はジブリ作品やエヴァンゲリオンの影響が強く出過ぎていたし、『秒速5センチメートル』はオリジナリティが発揮されていたがストーリーに難があった(第3話。私的にはということだが)。そのため、いい線を行っているのに、いま一つ突き抜けられないもどかしさが残っていた。しかし、この『君の名は。』でついに殻をぶち破って、新海作品の決定版に到達した感がある。 ストーリーの初めは単なる入れ替わりものかと思われたが、じつはそうではなく、3年という時間の隔てが存在し、糸守はすでに消滅していたことが明らかになる。そこに至って、いったい、物語をどう収斂させるのかと見る者をハラハラさせるのだが、見事にエンディングまで力技で持って行った。ラストも『秒速5センチメートル』の第3話みたいなやりきれないものではなく、見る者に希望を持たせる心地よいものがあった。 本作のよくできたところは、見る人によって多様なテーマの受け止め方が許容されるところだ。誰にも大切なものはあるがそれは黄昏時のように移ろいやすいものでもあるという哲理、テクノロジーがどれだけ発達してもそれがすべてではないのではという問いかけ、いまのメディアの力弱さへのチクリとした批判、母なる自然は大いなる恵みを与えてくれると同時に情け容赦のない存在でもあるという現実(いうまでもなく、3・11が踏まえられているだろう)……作品にちりばめられたいくつものテーマは、まるでミラーボールのように見る人ごとに違った色彩の光芒を放つ。にもかかわらず、どのような受け止め方をしようとも、しっかりした手応えあるものが受けとめられる。加えて、テーマの提示加減が絶妙である。これ以上語れば教条的臭くなるし、寡黙すぎれば伝わらなくなるという、ちょうどほどよい線を見事に見出し実現している。これは至難の業であろう。 先鋭的な作品だが、他方、映画づくりとしては基本に忠実である。さまざまな伏線が配され、それらがしっかり回収されていく。映画序盤、糸守にはカフェがないことを登場人物たちは嘆く。ところが、三葉と入れ替わった瀧は丸太をノコギリで切り、木のテーブルとイスをつくり即席のカフェを仕立てている。さりげないシーンだが、彗星落下のカタストロフィーから人々を救おうとする瀧の行動力の一端がすでに示されている。糸守では黄昏時をなぜ「かたわれ時」というのか? 「かたわれ」は「片割れ」だったことがあとでわかる。三葉になった瀧が休日なのに制服に着替えてしまったのも寝ぼけていたからではなかった。違う年だったので曜日がずれていたのだ。ストーリーの練り上げ方も念が入っている。彗星落下から8年後、瀧と三葉の再会へ至るプロセスは簡単には進まない。雪の降る新宿の歩道橋では互いに何かを感じ取りながらもすれ違いで終わる。ようやく、春になってついにはっきりと互いを認識し、こんどこそしっかり再び出会う。冬という厳しい季節を経たあとの春なればこそ、望みが叶うということを暗に私たちに伝えている。 登場人物たちのキャクター設定もうまい。妙に媚びたようなキャラといったこともなく、瀧にも三葉にも自然に感情移入することができる。脇を固めるサヤチンやテッシー、四葉らもよく効いていた。さらに、天空をオーロラのような極彩色で彩る彗星のスケールとビジュアル、小気味よい音楽、幽玄な巫女の舞い、組紐を一本一本編んでいく伝承の手業などなど、壮大さときめ細かさが同居しており、隙のない、ごくていねいな作品づくりに心を動かされた。 きっと、何度見ても新しい発見がある作品だろうと思う。また、海外の映画賞をいくつも受賞しているのも、日本アニメの底力を世界に改めて知らしめたという点で胸のすく想いがする。歴史に残る、残すべき日本アニメの金字塔として最大の評価を贈りたい。なお、本作の誕生によって、今後もっとも苦しむことになるのは新海誠自身となるかもしれない。これだけの作品をつくってしまったことで、これをどう乗り越えていけばいいのかということが大きな課題となる可能性がある。クリエイターの宿命とはいえ終わりなき道である。そこからこそさらなる「進歩」や「成長」が生まれるのだとしても。 [映画館(邦画)] 10点(2017-11-07 12:12:41)(良:2票) |
10. ブリッジ・オブ・スパイ
《ネタバレ》 このレビューを投稿する時点で、平均7.22点という高得点にもかかわらず、10点を付けている人がゼロという事実がすべてを物語っているように思う。不出来な映画ではない。ストーリーは適度の屈曲を混ぜ込んで織られているし、トム・ハンクスをはじめ俳優陣も好演している。見て損したという気にもならない。演出にも破綻はない。 なのだけれども、では突き抜けた満足感があったかと聞かれれば、「No」と答えざるをえない。そこそこ面白い映画、そこそこ満足する映画、そんなところが当てはまる感じだ。そう感じてしまう原因の一つは、どこまでいっても結局は「アメリカ万歳」という限界にある。たしかに裁判のシーンでは感情的に暴言を吐くアメリカ人が描かれ、地下鉄のなかではドノヴァンを短絡的に睨みつけるアメリカ人が描かれている。けれども、そうしたつくり方も計算されたアリバイなのだ。 善なるアメリカと悪なるソ連。ヒューマニズムをどこまでも貫くのはアメリカ人。多少アメリカのネガな部分が散らしてあっても、行きつくところはやっぱ、そこかという印象が拭えない。そして、それは本作の限界であると同時に、アカデミー賞の好みの限界でもあるように思う。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-09-24 23:10:16) |
11. ダンケルク(2017)
《ネタバレ》 戦争映画の新機軸を出そうとストーリー性が希薄なのはいい。3つのディメンションで時間軸をあえて混交させながらの構成も別にそれはそれで構わない。CGに頼らないポリシーを貫いた絵づくりはむしろ称賛に値するものといってもよい(IMAXで鑑賞)。にもかかわらず、本作に8点や9点、10点をつけようという気にはなれなかった。 どうしてなのか、自分でもきっちりわかっているわけではないが、どうもこの映画の存在意義そのものを制作者たちはどう考えているのか、というところが引っかかっているようである。安易に戦争をロマンやノスタルジーといったもので美化しようとはしない姿勢は見える(ストーリー性が希薄なのはそのためでもあろう)。では、見る者に何を伝えようとしているのか。おそらく一つには、戦争のリアルを再現し、戦争とは実際にはどういうものかを伝えようとしているのだろう。いま一つは、歴史に埋もれた名もなき人たちにもそれぞれ「ドラマ」があったのだと描き残しておきたかった、ということではないだろうか。 しかし、戦争のリアルを追求していても、それでもきっと相当美化されている。本物の戦争はもっとむごたらしく、汚いもののはずだ。「ドラマ」のアーカイブ化のほうも、そういう考えを否定するつもりはないが、かといって、どうしてあえていま大作映画にしなければならないのかがピンとこない。そして、「ドラマ」を残すという時点でやはり美化から免れない。どうも、そういうあたりに腑に落ち切らないものが残った気がする。 [映画館(字幕)] 6点(2017-09-23 11:01:00)(良:1票) |
12. スター・トレック/BEYOND
ひと言でいえば、スタートレックの舞台を借りたスターウォーズ。ヨークタウンの映像はきれいだったが。 [映画館(字幕)] 3点(2017-08-31 22:01:35)(良:1票) |
13. 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語
《ネタバレ》 「壮大な構想のもとにつくられた旧作を超える傑作」という見方と「新作を強制的に求められ、もはや制作者自身が物語を見失っている迷作」という見方のどちらでも見ることができそうな一作。◆はじめのうちは穏やかな展開だが(ただし、すでに死んだはずの人物たちが次々に登場するため、パラレルワールドもの?と思ってしまうのだが)、このシリーズを見てきた者にはそれによって後半はとんでもない筋書きになるのだろうなと早々に察しはつく。後半、ほむらが「魔女」を越えて「悪魔」と化し、再び世界を再構成してしまい、新たな世界ではまどかが転校生としてやってきて、ほむらとぼしょぼしょ話をする、というところで映画は終わる。◆終わりまで見てもっとも強く覚えたのは、ストーリーそのものより、関係者はこれをどうでもつくらねばならなかったんだろうなという裏事情であった。会社としてはこんなドル箱をそう簡単には手放せない。続編をつくれ、となるのも致し方ないのであるが、その結果、どなたかが書いておられたが「引き際を見誤った」印象を与えるものとなってしまった。冒頭の二つの見方に即していえば、現時点では私自身は後者と見るしかない。◆ストーリーは、キュゥべえに長尺のセリフを語らせて種明かし的に説明するなど苦心しているが、もはや破綻している感が強い。たとえば、新キャラのなぎさが登場しているが、ほとんど意味がない。しかも、中盤ではほむらがベベが黒幕と見て、マミとガチで戦うまでするのに、結局、何もなかった(つまり、ほむらの勘違い)というオチで、しかもそのことはサラッと流して終わりにしている。このあたりはシナリオの手直しがあったのではと推察させるものがある。あるいは、そういったストーリーの行き詰まりを映像表現で誤魔化している感もある。◆前作までは、多少ステレオタイプ的ながらもはっきりとしたテーマがあったが、本作では何がいいたいのかもわからないというか、そもそもいいたいテーマがあるのかどうかも疑問。終わり方からして、まず間違いなく、さらに続編がつくられるだろうが、よほどのハイクオリティでなければ、せっかくのシリーズの評価をさらに失いかねないものとなってしまった。 [ブルーレイ(邦画)] 3点(2017-05-28 13:33:00)(良:2票) |
14. オブリビオン(2013)
《ネタバレ》 非現実感漂う近未来の地球の雰囲気はよかった。登場人物が異様に少ない(とくに前半)ことが寄与していたと思う。海水を吸い上げる巨大メカというのも面白かった。ただ、本部が怪しいというのが早い時点で感じられてしまい、ということは、何となくながらストーリーへの驚きがその分削がれてしまったのは残念。 テットの内部がどう描写されるのか、作り手の創造性に期待を持ったが、これはちょっと肩透かしを食った気が。シンプルさでやはり非現実感を出そうとしたのかもしれないが、目を見張るようなアイデアがなく欲求不満が残った。 トム・クルーズはさすがに衰えが目立ち、この手の映画はそろそろ限界かな、と。ヴィカ役もときどきオバハンに見えたりして、ふと興が覚めさせられることが。 ストーリー的には、そもそもこれだけのテクノロジーを持つ連中がどうしてこんな迂遠な侵略のしかたをするのかという大前提のところで崩壊している。テック49が無人で機能するのならクローンなんぞ必要ないし。ラストも、ジュリアはジャックのクローンなら誰でもいいのか、とは私も同感。 面白くないということはないけど、「面白かった!」と文句なしに喝采できるほどでもなく、微妙な出来の映画だった。 [地上波(字幕)] 6点(2014-05-26 13:30:49) |
15. 真夏の方程式
《ネタバレ》 映画版としては「容疑者Xの献身」の続作という位置づけになるため、どうしてもそれと比較してしまう。前作のレベルが高かっただけに、その比較は苦しいものになる。 多くの人の指摘と同じく、私も二つの殺人の動機が腑に落ちなかった。一つ目の殺人は子どもがそこまでするか?という違和感が大いに残るし、二つ目も殺すまでするか?という気が拭えない。物語の端緒であり核心でもある二つの殺人に無理があるので、作品全体の説得力がどうしても弱くなっている。また、二つ目の殺人のトリックは、劇中に提示された材料だけで観る者に推理させるというのは無理があると思った。この点も「容疑者X」のほうがよく出来ていたと思う。ということで、推理ものとしての本作はストーリー、トリックの両面で無理のあるものといわざるをえない気がする。 反面、(これも少々の無理は感じるが)湯川と少年のかかわり、前田吟の父親の愛の深さといった部分には心揺さぶられるものがあった。と考えると、本作はサスペンス作品でありながら、ヒューマンな部分のほうがよく出来た映画だったといえるように思う。そのあたりは東野作品のよさに違いない。あと、蛇足ながら、ペットボトルロケットのシーン、携帯電話があれだけ長時間コールし続けるのか?という心配も残った(笑)。 [地上波(邦画)] 6点(2014-05-26 12:19:34) |
16. フライト
《ネタバレ》 「フライト」というタイトルと出だしの30分から最初はエアパニックものかと思ったが、もっとヒューマンなテーマの作品だった。端的にいえば「自分の弱さをどう乗り越えるか」という話であり、そのプロセスを見る者もともにたどり考えさせる。 パイロットとしてはスゴ腕でも人間としては自堕落な主人公。何度も酒を断とうとするが、そのたびに挫折。決して理想的な人間とは描かれない。あと一つウソをつけば身が助かるという場面で、彼はギリギリの選択を迫られる。最後のウソをつくには、命を犠牲にして子どもを救った愛人の尊厳に泥を塗らねばならなくなったのだ。ウソをつくのはお手のモノのはずの主人公だったが、どうしてもそれだけはできず、とうとう正直に告白する。彼のなかにはまだ「誠実」あるいは「真心」といったものが残っていたのだ。一方、覚せい剤を飲ましてまでも彼にウソをつき通させようとする弁護士やパイロット組合幹部のありさまに、見かけは立派でもじつは「誠実」より自分の利益のほうを大事とするあさましさも対照的に描かれ、いわゆる「立派な人たち」の欺瞞がさりげなく告発もされる。 主人公は結局、刑務所に入ることになるが、そこで彼は「初めて自由になれた」と素直に語る。そこにはもはや一片のウソもない。 つまるところ、人間の魂を救うものは何かが提示される。その中身自体は古くからあるものではあるが、同時に、古くからあるものだとして軽視すべきではないとも教えてくれる。コンベンショナルなテーマを扱っていても面白く最後まで観ることができる佳作である。 [地上波(字幕)] 7点(2014-05-26 11:36:09) |
17. エリジウム
《ネタバレ》 ヘンな言い方になりますが、おそらく8点とか9点とまではいかないだろうな、まあ6点ぐらいなんだろうな、という事前の期待値に見事に合致した内容で、そういう意味で期待通りの作品でした。 みなさんおっしゃる通り、ストーリーはどうということはありません。主人公が犠牲になって少女が助かるという結末の図式はかなり早い時点で見えていたし、その予想を覆すヒネリもとくになく、ごくごく平穏に終了しました。この映画にストーリーを期待してはいけないのです。 では、本作の見どころは何かというと、これはもうビジュアルエフェクトに尽きると私は思います。宇宙空間に浮遊する巨大なエリジウム。この圧倒的なスケール感漂わせる未来のスーパーハイソサエティのありさまを映画館の大スクリーンで見る、というより体感できれば、この映画との出会いの意味はあったといえましょう。文字通り、「見応え」は十分ありました。 ただ、逆にいえば、それ以外の要素は弱い。ストーリーはふつうだし、アクションシーンも今日ではこれも凡庸。テーマもずいぶんと使い古されたものですし、やはり、この作品はどこまでも「見た目」の映画なのだと思います。そう割り切れば、見て「損」をしたとは感じなくてすむのではないでしょうか。 [映画館(字幕)] 6点(2013-10-01 22:57:21) |
18. スター・トレック/イントゥ・ダークネス
《ネタバレ》 前作から4年待って、ようやく見ることのできた本作ですが、残念ながら期待にそったものではありませんでした。その理由はいろいろありますが、まず、「イントゥ・ダークネス」というサブタイトルからイメージされるものとは内容がまったく違っていたこと。第二に、それと関係しますが、話のスケールが小さく、スペースオペラとして酔いしれることができなかったこと。舞台道具として宇宙や宇宙船が出てきても、しょせんは一人の人間の私怨の物語にすぎず、あまりにも小ぢんまりとしすぎています。第三に、今回はっきり認識したのはクリス・パインのカークはミスキャストだったと(私には)思われたこと。別にシャトナーのカークを踏襲する必要はありませんが、どうもクリス・パインのカークには知性を感じません。無鉄砲で直感的であってもカークには知性がほしいのです。熱演してはいると思うのですが。第四に、私は3D版で見たのですが、3Dの効果があまり感じられなかったこと。SF映画の3Dであれば、たとえば、ブラックホールにエンタープライズが吸い込まれつつあるシーンとかウォームホールが時空を連続していくシーンとか、スペクタクルな大画面をつくれたはずですが、実際には議論しているようなシーンが多く、3Dがあまり活かされていません。私が3D効果をもっとも感じたのは、皮肉なことに、パラマウントのマークでした。ほかにも、スポックやマッコイがあまり生きていない、オリジナルに悪い意味でこだわりすぎ、など気になることが多くありました。スタトレにあまり厳しい評価はしたくなかったのですが、この点数にとどめざるをえませんでした。 [映画館(字幕)] 5点(2013-08-17 00:36:06)(良:1票) |
19. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 俳優陣は頑張っているし、それなりに迫力ある世界がつくり出されてもいる。しかし、私のこの作品に対する評価は0点である。それは、原作者の横山秀夫がひそかに作品に込めた真のメッセージに制作スタッフは気づいていないからだ。 この作品はヒューマニズムやジャーナリズムだけの物語ではない。本作では、悠木は「ダブルチェック」がなされていないという理由でスクープ掲載を断念している。だが、これでは一番肝心なことを何もわかっていないといわざるを得ない。原作者が悠木に大ネタを掲載させなかった理由はそんなことではない。映画の最後で「事故原因には諸説ある。圧力隔壁説だけではない」といったテロップをわざわざ入れているというのに、入れた当人たち自身がそのことの深い意味を理解していない。NHK版ドラマのほうは悠木に何も語らせないかたちで見る者に真のテーマを暗黙裡に伝えている。この一つの、しかし、決定的な一点によって、私は向こうに満点を、こちらに0点をつけた。つけざるをえなかった。 また、映画の脚本が原作通りである必要はないが、それは原作をちゃんと理解したうえでのアレンジであるべきであろう。冒頭で悠木の息子が一人で飛行機に乗るという原作にはないシークエンスが付け加えられているが、その必然性はない。むしろ、悠木の息子も事故に巻き込まれたという誤解の元になっている。あるいは、やはり原作とは違って神沢をこんなふうに死なせたのも意味不明だし、その神沢の葬式で悠木が軽く昔話を語るなど違和感がありすぎる、ありえないシーンだ。さらに原作では「水爆」というあだ名の社長がラスト近くで悠木に媚びを売るなど見ていられない。脚本のセンスがズレすぎている。あの原作をこんな映画にしたことに腹が立つ。ドラマとしてのつくり込みもNHK版の圧勝である。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2013-08-08 13:14:42)(良:1票) |
20. クライマーズ・ハイ (2005)<TVM>
《ネタバレ》 この「クライマーズ・ハイ」は案外奥が深い作品である。最大の山場は、事故原因についてのスクープを掲載するかしないかという局面である。だが、この場面を見たとき、私は微妙な違和感を覚えた。あの場面で悠木はある遺族の母子が新聞を買いにきたときのことを思い出している。「どうか真実を伝えてくださいね」と悠木の手を握って懇願して帰った母子だ。ところが、「どうか真実を」と願った母子のことをわざわざ悠木に思い出させながら、結局はスクープ不掲載という結論に達しているのだ。スクープを掲載することこそが母子の願いに沿うことになるはずなのに、そうはしないという矛盾したシナリオなのである。ドラマに酔いながらも妙な印象を覚えた。 ところで、現実の日航ジャンボ機墜落の原因について、みなさんはどう理解しているだろうか。おそらくほとんどの人は「圧力隔壁の修理ミス説」を認識しているかと思う。だが、安易な陰謀説に加担する気はさらさらないが、いろいろ調べてみるとおかしな点があるのも事実である。日航機事故のあとタイ航空機がまさに圧力隔壁の破損事故を起こしている。細かい話になるが、そのときは機内の与圧が破れ、気圧が急激に低下したため、乗員乗客89名が瞬間的に航空性中耳炎になっている。だが、日航機では奇跡的に生き残った落合由美氏や川上慶子氏らの証言からもそうした話はまったく出てきていない。 また、急激な気圧低下に対応するため、タイ機ではパイロットによって緊急降下が行われているが、日航機の場合、それがなされていない(操縦不能になった事故機であったが、緊急降下することはできた)。あるいは、日航の乗員組合や整備士たちも「圧力隔壁説」は絶対に違うと主張している。圧力隔壁説の証拠として、煙草のヤニが垂れるほど付着したリベットが見つかったとされたが(当時の飛行機は禁煙ではなかったため、隔壁に破壊の元ととなる亀裂が生じ、そこから煙草の煙を含んだ空気が流出した結果、ヤニの付着したリベットが生じたとされた)、そんなリベットがあったら、整備作業で必ず発見しているはずだという。 さらに、この事故では結局、すべての関係者が不起訴となっているが、不起訴を決定した担当検事(山口悠介検事正)も微妙なことを述べている。「(墜落原因が)圧力隔壁の修理ミスかどうか疑わしい」というのだ。そのために案件としては不起訴とせざるを得なかったのであって、検事自身、事故調査委員会が出した圧力隔壁説という結論には疑念を抱いていたのである。 では、ほかにどんな原因がありえるのか、ということになるが、それこそがこの作品の核心であり、隠されたメッセージだと私は解釈している。当初私は、悠木はジャーナリズム論として不掲載を決断したと思っていた。しかし、「圧力隔壁説」の真実性に疑問があるという観点に立ってみると、「圧力隔壁説」を掲載しなかったことこそが「真実を伝える」ことになるという逆説的な図式が見えてくる。悠木にスクープ不掲載という不作為をさせることで、ドラマは「圧力隔壁説」とは異なる「墜落原因X」の存在を暗黙のうちに示唆しているのではないか。よくよく考えれば、「圧力隔壁説」を掲載しなかった理由について悠木は何も語っていない。 墜落の真の原因が何かは私なんぞにはわからない。しかし、あの事故では何かが隠蔽されているということだけはまず間違いないという心証を抱いた。あのとき123便と交信した管制官がその後何の事情聴取も受けていないという事実を知り、心証は確信になった。「クライマーズ・ハイ」は人間ドラマやジャーナリズム論を表面にかぶりながらも、寡黙なうちに欺瞞を告発し、真実は何も明かされていないと強烈に訴えているのではないだろうか。恐るべき作品だと思う。そういう隠された狙いを秘めたうえで本作は制作されているのではないか。 [DVD(邦画)] 10点(2013-08-08 12:59:59)(良:1票) |