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1.  カンナさん大成功です!(2006) 《ネタバレ》 
外見の美しさって何なのか。内面の大切さを語りつつも整形だっていいじゃないかとも同時に語る、たったそれだけのことなのに何でこんなに物語は美しいのだろうか。  キム・アジュンは演技も、素の外見も文句なし。  外見故に苦しみ、友人すら気づかせないほどの全身整形に挑む。鼻だけ整形し直すシーンがあるが、パンフに稿を寄せた高須クリニックの院長は「鼻は整形前後で変わってない」と見抜いているが、特殊メイクの具合から言えばそれは当然とかいう所がちょっとおかしかったり、整形前に「イ・ヨンエみたいに」とか注文していたのだがどこがイ・ヨンエに似ているのか全然分からないとか、つっこみどころは満載なのだが、その後の物語の見事なこと。  彼女に整形を決意させたチュ・ジンモ の言葉「利用しておけ」というのは、ソ・ユンを慰めるために言った言葉なわけで、どこまでが本音なのかは不明なのだが、パンフなんかは「本音」と断言している。しかしながら、リアリティはある。  さぁ、整形してからが映画の本番。整形美人故に驚き、だまされ、そのコミカルな様の実にキュートなこと。そして、過去を捨てる。過去におびえながら、美しくなった外見を利用して頑張ろうとする様のこのけなげなこと。そして、最後に、過去と向き合い、今を受け入れる。  …たったそれだけの物語なのだけれども、ストーリーテリングがしっかりしている。さすがキム・ヨンファ。今後も期待しているよ。  …それにしても、声が商売なんだろチュ・ジンモ 、声で気づけよ。
[映画館(字幕)] 8点(2010-01-12 14:55:28)
2.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
宮崎駿は黙って作品を作ればよい。何を考えて作ろうと、娯楽作品となって出て来たものが観賞に堪えればいいのだ。子供が楽しめて、大人も(大抵は)退屈しない、映画としては合格点だ。もう、それでいいだろう。  人魚姫を元にキリスト教色を排除して云々とは宮崎駿の弁。だからどうした。  神経症と不安な時代に立ち向かおうというものであるとは宮崎駿の弁。ふざけるな。  未完成の時期にTVドキュメンタリーの取材を受けていた時には、最初のつかみの絵のイマジネーションの創造に四苦八苦していた。ポスターにも使われる、クラゲの上で幕の透き間から顔を覗かせるポニョ。でも、できあがってみればその絵は最初のシーンではなく案外後ろの方に動いていた。  同時に関係者は語っている、主題歌を聞いて映画を見終わって楽しいと思ってもらいたいと監督は語っていたと。あの主題歌を最後に持ってくることを起点に映画として構成したと。この話はわからんでもない。この歌は明らかにちまたで流行っている。口ずさんでもらうことを意識しまくった歌詞とメロディ。商業的に言えば映画の主題歌としては最高の出来だ。  設定には人魚姫だの小川未明だの夏目漱石だのワーグナーだの海底二万マイルの影響を監督自身や関係者が語っているが、そんなことはどうでもいい。  現代と魔法世界の混沌を混ぜた映画。ポニョが可愛くてなんかよくわからんが退屈せずに最後まで見られてハッピーエンド。それでいいじゃないか。  トトロの後で監督が言っていたではないか、「トトロは一回見て、なんかわからないけど面白かったね、不思議だったね、とそれでいい」。この映画も出来たものだけ見れば同じである。理屈でこの作品と対峙すれば突っ込みどころは満載だ、しかし、そんなことは無意味だ。トトロのように世代を超えたすさまじい社会的影響力を残す作品にはならないだろうが、久方ぶりに映画史に残る作品を作ったと、それでいいじゃないか。
[映画館(邦画)] 8点(2010-01-12 14:53:06)(良:2票)
3.  飛べ、ペンギン
見事なオムニバス「韓国人権委員会」委嘱作でこんなの作れるのはさすがイム・スルレ監督は格が違う。世代を追いながら会社社会と家族、男女をテーマにして、見事。ほどほどにほほえましく、そして、リアルで耳が痛い。  あいち国際女性映画祭2009で二本初公開(韓国内より実は早い)されたのは伊達じゃない。真!韓国映画祭にて全国上映されてどれだけ評判になるか本当に楽しみ。  ※関係者なので内部用DVD(レビュー執筆当時未発売)で見ていますが、作品の感想は間違いなく映画ファンとしての本音です。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-05 09:56:02)
4.  空気人形
是枝裕和は教えてくれる。映画にはまだ仕事があるということを。非常に日本であって、グローバル。映画は国境を越えるのか?それはわからないが、とてもすごい。  メタファー等についてはさんざん書かれているので私が悪い頭で余計なことを書くこともなかろう。  スタッフ、キャストの力によるこの作品。有機的に絡み合って見事な作品として結実した。  結構映像のディテールまでこだわっているのにそれを見せつけるようないやらしさはない。主題ではない「映画・レンタル屋」もなかなか楽しい。話題に上る実在の映画からこの映画の年代をある程度推定できるが、決定的に時期を特定するシーンはなかったのでは。実在のソフトを写すときには焦点をぼかしてある。一方で実在しないと思われるパロディな映画ポスターなども出てくる。いやぁ、これは、映画、愛だなぁ。  私はこの映画を愛しているし、映画も愛している。うん。
[映画館(字幕なし「原語」)] 10点(2009-11-11 23:33:41)
5.  母なる証明 《ネタバレ》 
母の強さは正しさなのか。何にせよ、ポン・ジュノの映像から役者の演技の引き出し方から見事。  狂気の愛である。しかし、普遍の愛でもある。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』から10年近く。ダークが完全にファンタジーであるのに対して、本作はどこまでリアルなのか。  いや、警察の見込み捜査もひどいもの。ジンテもわけがわからない。そこがつっこみどころなのかリアルさなのか、微妙な綱渡り。そのバランスの結果、思わせぶりで先に進んでいく。  結局の所「唯一の真実」はそれほどはっきり描かれないので、標準的な解釈以外の解釈の余地が残ってないわけではない(真犯人は本当は誰なのか?)。しかしながら、「標準の解釈」で良いのだろう。この辺りのバランス感覚がミステリー演出の妙なのだろう。  そして、踊る。トリアーを意識したものなのか?いや、韓国人は良く踊るのである。あのようなシチュエーションで踊るというのは、見事な演出としか言いようがないのであるが。  イ・ビョンウの音楽も・・・。OSTを買うかな。
[映画館(字幕)] 10点(2009-11-11 23:32:33)
6.  クライング・フィスト
男の魂を贅肉をそぎ落としたように淡々と描くこういう映画が評価されないのは残念という他ない。監督リュ・スンワン天才!
[映画館(字幕)] 9点(2007-01-22 21:33:24)
7.  デュエリスト
映像美に見るところはあるけれど、演技はほめるところを探す方が大変。それでもここまで魅せるのが監督の才能。
[試写会(字幕)] 6点(2007-01-22 21:25:22)
8.  美しい夜、残酷な朝
日本のがたるかった。韓国のはパク・チャヌクの「復讐四部作」だよこれは!香港もなかなかで見応えのある作品。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 21:22:16)
9.  私にも妻がいたらいいのに
ソル・ギョングもチョン・ドヨンも変身ぶりがいい。男女共、いけてなさがキュートな一作。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 21:21:00)
10.  ひとまず走れ!
イ・ボムスに竹中直人風の演技ができるとわかったことが最大の収穫!
[映画館(字幕)] 3点(2007-01-22 21:19:54)
11.  ライターをつけろ
まるでついていけないけど、退屈するほどでもないってところかな。音楽はいい。
[映画館(字幕)] 3点(2007-01-22 21:18:37)
12.  ダンサーの純情
ムン・グニョンのかわいらしさだけで高得点なのだけれども、ダンスの肉体美は男女主演とも輝くものがある。爽快な一作。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-22 21:16:58)
13.  スパイダーフォレスト 懺悔
結局、心から「面白い」と言い切れない中途半端さはあるのだが、作家性と演出力を感じるのが高得点。
[映画館(字幕)] 6点(2007-01-22 21:15:48)
14.  マルチュク青春通り
喧嘩に強いだけの物語じゃないのがいい。あぁ青春。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 21:14:44)
15.  ユア・マイ・サンシャイン
チョン・ドヨン好演。彼女の行動に同情できるかというのは難しいところだが、それでも涙を誘うには十分。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-22 21:13:19)
16.  酔画仙
イム・グォンテクの魂がこもった一作。「民族思想的」映画でもあるし、「伝記」映画でもある。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-22 21:12:27)
17.  頑張れ!グムスン
コメディのつぼを押さえた、リズム感最高の一作。余計な演出がないのがいい。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-22 21:11:08)
18.  オオカミの誘惑
見ているこっちもこっぱずかしくなってくる、少女漫画そのまんまやー。
[映画館(字幕)] 6点(2007-01-22 21:08:30)
19.  Sad movie/サッド・ムービー
韓国映画らしいあざとさは健在だが、豪華キャストの味のある演技で落ち着いた泣ける一作に仕上がっている。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-22 21:07:44)
20.  四月の雪 《ネタバレ》 
これは暖かい「四月」なのか、冷たい「雪」なのか。日常なのか、非日常=外出なのか。  劇的であるよりは日常を撮ってきたホ・ジノが、より感情がぶつかり合う、出来事も非日常的である、原題「外出」にはそんな意味も込められているという。「妻が事故に巻き込まれたと聞いてかけつけてみれば、妻は不倫相手と事故にあったのだと、その相手の妻と不倫に」という枠組みだけで言えば、劇的で、ドロメロにでも何にでもなる。これをホ・ジノがやるとどうなるか。  配偶者が事故で重傷で目も覚まさない状態の中で、不倫相手の配偶者と会話を交わさなければならなくなったとき、さて自分ならどうんな行動を取るのか。主演の二人も答えを捜しながら演じたというが、当然わかるわけがない。次の台詞がまったく読めないにもかかわらず、画面に現れる台詞の一つ一つは、「わかる」。いや、わかるなんてきっと嘘なのだろうけれど、映画という嘘なのだろうけれど。非日常映画のはずなのに、台詞の一つ一つが、類型的過ぎず、劇的に裏切ることを目指したものでもない、意外であり、等身大である。まったくもって見事。  この映画のプロットの二番目の核となるのが、 ペ・ヨンジュン とソン・イェジンという同じ境遇で出会った二人の、その境遇の違いである。彼女は専業主婦で、見合い結婚。新婚の時期は幸せだったが、夫が離れて行っていたという。この構図があるからこそ、夫の不倫には憤りを感じるが、ペ・ヨンジュンには惹かれてしまう、というのに結びつく。その後、ソン・イェジン夫は命を失い、ペ・ヨンジュン妻は回復する。すでに日常には戻れないソン・イェジンと選択を迫られるペ・ヨンジュンでドラマになる。男女を入れ替えてしまうとこの物語はたぶん成り立たない。男の側から見た実に都合のよい設定なわけであるが、最終的に、監督の言うところの、他人なら不倫、自分ならロマンス、という愛の形へ迫っていけたのだから、それでよいというべきだろう。二人が最後どうなるかは描かれないが、死を選択するだけの説得力がある。  ライブ感のある演技もさることながら、前作では主人公の職業という形で作品の前面に出た「音響」も健在。この小さな音も軽視しない音作りは是非劇場など、音にこだわった環境で見てもらいたい。4年間のブランクの間にホ・ジノが撮った二作の短編も見事なものだったけれども、私はまだまだ彼に付いていく。無条件に。
[映画館(字幕)] 10点(2007-01-22 21:05:31)(良:1票)
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