1. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 もうこれは、よくぞハリウッドがこれだけの全編日本語の映画を作ったもんだ、というのが第一印象。硫黄島関連の書籍はたくさん読んでいたので、ストーリーそのものには物足りないものもあるし、日本兵の上官への口の利き方や脇役の台詞がおかしなところなどもあるが、そんな事どうでも良いくらい良くできている。日本人が作ってもこれ以上のものが出来るだろうか?恐らく戦争って恐いね、嫌なもんだね、って悲惨さを強調するだけのものに成り下がってしまうのではないだろうか?イーストウッド恐るべし。日本軍が少年兵に自決させる場面(それを見た少佐の叫びはあまりに酷いが)があるかと思えば、米軍が捕虜にした日本兵を射殺する場面もあり、戦争というものの真実を淡々と公平に描いている。日本を描いた映画として、日本映画以上に日本らしい、驚愕の作品だと思う。一つ心配するのは、我々は日本語で俳優の演技を見れるが、海外では吹き替え(もしくは字幕?)になるだろう事。果たして吹き替えや字幕でこの映画の俳優陣の素晴らしい演技が伝わるだろうかという所。 [映画館(字幕)] 8点(2007-01-02 23:23:47) |
2. パッション(2004)
キリスト教徒以外の人には、非常にスローテンポでやけにうるさい、ただの残酷なリンチ場面を写しただけの作品。私もキリスト教徒ではないからなーんにも感じるものなし。ユダヤ人は嫌悪感を催すだろうし、イスラム教徒は舌打ちするだろう。宗教映画は万人を感動させる事はできない。キリスト教徒がキリストの受難を嘆き、畏れ敬いながら涙するための映画。イスラエルとイスラム圏には配給されなかったんでしょうね。 3点(2005-01-13 01:32:12) |
3. チョコレート(2001)
《ネタバレ》 人種差別問題という重いテーマに男女の愛、親子の愛を重ねて丁寧に仕立てられた、とても奥の深い高尚な作品だと思います。ただのラヴストーリーとは一つか二つ次元が違います。オープニングのまだ暗い部屋でハンクが寝ている場面、上で回るローターの陰が彼の抱えている苦悩を既に暗示しています。ラヴシーンに挿入される鳥かごの中の鳥とそれをつかみ出そうとする腕。ハンクの閉ざされた心が解き放たれるのを暗示しているのでしょうか?ハル・ベリーは本当に素晴らしい演技をしました。酔っ払ってハンクに絡むシーンの迫力は凄い。さらに続くラヴシーンはもっと凄い!ラストの場面、チョコレートアイスを口に入れてもらった後のレティシアの表情の変化はもう見事というしかありません。初めはハンクが夫の死刑を執行した看守である事を知った(ハンクがそれを隠していた)明らかに険しい表情、その後次第に柔和な表情になって行くのですが、決して微笑んでいる訳ではないのに全てを許した女神のような、見ているこちらの心を和ませ、この作品の結末を暖かいものに変えていく、そんな重要な心の動きを、もうこれしかないっていう絶妙の表情で表現しています。オスカーはこのラストの表情に与えられたものと信じたい。観終わって暫く言葉が出せず呆然としてしまいました。惜しむらくは、あの素晴らしいラヴシーンのせいで、この作品は決してゴールデンタイムにTV放映はされないであろうということ。 8点(2005-01-12 00:39:31) |
4. 21グラム
大好きなナオミ・ワッツ、うーん相変わらず綺麗ですねえ。ショーン・ペン、あの鼻につくわざとらしい演技が好きじゃないんだがこの映画では比較的さらっとしてて好感度アップ。ベニチオ・デル・トロ、年食ったブラピみたいで渋いですねえ。さてと映画、映画。あれ?メメントみたいだけど一応時間軸は正方向に流れてて途中に未来が挿入されるのかあ。今見た未来の場面が後で重要な意味があるかも知れないし、よーく覚えておくぞっと。マルホランドみたいな謎解きもあるかも知れないしなあ。うーん、よしよし、そういくのか、それで?ん?んっ??これで終わり?なんの技もないじゃん。現在と未来をごちゃ混ぜにしただけなの?まあ、このストーリーでまともに作ったら面白くも何ともないもんなあ。キャストにつられて観てしまったけど、完全にキャスト負けしてるなあ。まあ、美しいナオミ・ワッツ観れたから良しとするか。 5点(2005-01-11 02:51:33) |
5. ラブ・アクチュアリー
甘い甘い映画で、ストーリーもつぎはぎだし、こういうのダメな人は多いんでしょうが、私はこの映画の中に溢れかえっている多くの「愛」の場面で微笑んで、泣いてました。簡単そうでなかなか作れる映画ではないです。観終わった後にほっと暖かい気持ちにさせてくれる、精神安定剤みたいですね(笑)。ポルトガルの酒場でのプロポーズシーンが好きです。 8点(2004-12-14 16:38:02) |
6. コールド マウンテン
現代を代表する美形役者2人を主役に、そこにレニーをからませて絶妙のバランスです。ジュード・ロウはやはりこのような無口な役が似合いますね。キッドマンは益々綺麗になりませんか?レニーの助演女優賞は納得。久しぶりにアカデミーと意見が合いました(笑)。良い映画だと思います。泣けたから8点ですね。 8点(2004-12-14 14:46:10) |
7. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 重くて暗い。この手の映画は私はダメですね。2人も殺した殺人犯が何の罰も受けず生き残るってものいけません。俳優も嫌いな3人が揃い踏みで、、、ああ何でオスカーなんだろう?ショーン・ペンの演技はそれに値するものだろうか?全然泣けませんよ。 4点(2004-12-14 14:33:40) |
8. シンドラーのリスト
スピルバーグに戦争物、そしてユダヤ人。大方予想できる作品として、さしたる期待もせず、でもチェックはしとかなきゃ、ってな気持ちで観たのだが、見事に期待を裏切られた。はっきり言ってかなりよかった。大掛かりなCGなど使わず、しかもモノクロで、ひたすら役者の演技だけで魅せる映画。こんな映画も作れるんじゃん!スピルバーグの映画で泣けたのは唯一これだけ。つきなみですがラスト、自分の助けたユダヤ人を前に、シンドラーが「もっと助けられたはずだ!」のシーンに尽きます。 8点(2004-05-01 01:07:37) |
9. 愛さずにはいられない
《ネタバレ》 異文化間の恋愛・結婚をテーマにした楽しいラブコメですが、そんな中にも、家族や子供、愛について深く考えさせてくれる秀作です。見終わった後にほーっとする、私の好きなタイプの映画です。美しいサルマ・ハエックを見たいならデスペラードでしょうが、彼女の笑顔と演技をしっかり見たいならこの作品ですね。個人的に好きな場面は、はじめの方のシーンで彼女の家に招待されたマシュー・ペリーが、よその赤ん坊を抱いて微笑んでいるシーンと、ラストの方でダムの上の救急車の中で、子供と3人でいる時、ふと時計を見て「あ、離婚だ!」って言った後のマシュー・ペリーのくしゃくしゃな笑顔。彼はとっても良い笑顔をしますね。原題のFools Rush Inて何の事か分からなかったけど、ラストに流れる「Can't stop falling in love with you」の出だしの歌詞なんですね。 8点(2004-03-02 18:16:41)(良:1票) |
10. バッドボーイズ(1995)
この映画のティア・レオーニ綺麗過ぎ。ここ10年くらいの女優さんの中で一番美しいんじゃないかなあ。映画はまあそこそこの出来という事で。 5点(2004-02-23 02:51:22) |
11. ローマの休日
もう何回も観ていますが、観る度に、いや歳をとっていく毎に感動の増す名作ですね。若い頃は、いい映画だなあと思っても泣けたりしなかったけど、最近観るとオードリーやグレゴリー・ぺックの演技に感動し、感情移入し、涙あふれてしまいます。若い頃に観た時はね、たった1日の恋、そして別れ、くらいにしか思えず、あの大使館前の別れのシーンや、記者会見でのオードリーとペックの感情を読み取る事ができなかったんですが、今観るとね、1日の恋だからこそ燃え上がり、名残惜しい気持ちは最も強いはずなのに、お互いの立場を考えて別れなければいけなかった二人が、その感情を実に繊細に表現しているのを感じる事ができます。やはりこの頃の名作はいいですね。満点です。 10点(2004-02-23 02:23:25) |
12. ロミオ&ジュリエット
ムーラン・ルージュ→本作の順に観たのだが、正解だった。もし逆だったらこの作品の評価は厳しいものだったろう。ムーラン・ルージュでバズ・ラーマンの手法を理解していてこそ、一つ一つの場面に納得が行く。派手な色使いとカメラのズーム、早回しの人物の動き。彼はこの手法をムーラン・ルージュでさらに完成させ、素晴らしい作品に仕上げた。ただ、本作はやはり作品の出来としてはどうしても見劣りしてしまうし、あまり感動もないなあ。まあ、何度もリメイクされた映画を今までどおりに撮っても意味ないし、これくらいにしないとなあ、という監督の気持ちは分かるが。 クレア・デインズは可憐。この人、若い頃の作品になるほど綺麗なんだよなあ。ターミネーター3と同じ女優さんとは誰も思うまい。この逆の人も多いんだけどねえ。 6点(2004-02-15 02:56:05) |
13. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
同じマット・デイモンで言うならレインメーカーの方が良かった。まだ売り出し中って感じ。あと、天才の描き方に一言。アインシュタインを引き合いに出しているが、彼は学生時代は数学・物理は落第生だった。天才とは、型にはまらず、奇抜な発想ができて、ある一点のみに飛びぬけた才能のある者を言う。今作のマットは記憶力抜群で数学、化学、物理と何でもできる秀才。 6点(2004-02-03 00:51:18) |
14. レインメーカー
《ネタバレ》 さすがにコッポラ。非常に良質の映画ですね。マット・デイモンはやっぱり才能を感じます。新米弁護士で抜けてるところもあるんだが、しっかりした自我と信念を持って肝心なところでは相手を打ち負かす狡猾さも持っている。そんな役柄を見事に演じていました。脇を固めるキャストもまた豪華。名優ジョン・ボイトに、ナインハーフのミッキー・ローク(年取って貫禄増したね。嗄れ声も良かった)、判事役にリーサル・ウェポンのダニー・グローバー、被告役の社長はなんとロイ・シャイダーと来た。これら円熟に達した俳優達に盛り上げられ、そしてそれに負けずにマットの若々しい演技が上手く溶け合っていました。ラストシーン、原告の母親にマットが会いに行って、賠償金が手に入らなくて申し訳ないと謝罪するところで、この母親が「こんな田舎のおばさんが、あの大きな会社を潰したなんて凄いことだわ」と笑顔で誇らしげに言う場面で涙が出てきました。私は泣けた映画には8点以上をつける事にしているので、8点です。あと、クレア・デインズは、このころはすごく可憐で綺麗でしたね。最近の「めぐり合う時間たち」や「ターミネーター3」では見る影も・・あ、これ以上言うのはやめとこ。この作品のクレア・デインズを見て、この1年前のロミオ+ジュリエットもやっぱりチェックしとこうかなという気になりました。 8点(2004-01-21 02:17:44) |
15. ミュージック・フロム・アナザー・ルーム
自分が子供の時に「この子をお嫁さんにするんだ」って思ったからといって、その子が成長した姿を見て一目で恋するか?またその女の子も、婚約者がいながら、あんなに素早い身替わりでジュード・ロウに鞍替えするか?とか、そんな事を感じる現実主義の人は見ていてムカつくんだろうな。私は、男と女の間は理屈や経過ではなく、本能的に惹かれあうものと思っているので、こういうのはあり。アンナがそれまでダニーにつれなく当たっていた時の厳しい表情から、彼に心を曝け出した時の優しい表情に変化するのをグレッチェン・モルがうまく表現していたと思う。ジュード・ロウは他の彼の作品とは一味違った口数の多い男を演じているが、この作品の彼の演技はあまり上手くないと思う。「一番素の自分に近い」というのは実は演じにくいという事なのかも知れない。ラストは素直に気持ち良くさせてくれる。 7点(2004-01-18 23:54:45)(良:1票) |
16. シカゴ(2002)
上質のミュージカルですが、私的にはムーランルージュの方が好みですね。キャサリン・ズィータ・ジョーンズは完全にレニーを食っていますね。助演が主演より存在感も演技も歌も踊りも、あまりに勝っているっていうのは映画としては減点じゃないかなあ?レニーは好きな女優さんですが、この映画のレニーはあまり魅力的じゃ無かったし、彼女独特の舌足らずのセリフがこの役には合っていなかったと思えた。歌や踊りも上手い訳ではないし、何故この映画の主演にレニーが選ばれたんだろう? 6点(2004-01-05 00:44:23) |
17. Love Letter(1995)
《ネタバレ》 泣けるぞー、とか、いいぞーとか周りの雑音をたっぷり吸い込んでから見て、大概こういうのははずれる事が多いし、岩井俊二って綺麗な映像撮るのは知ってたけど、所詮は短編のCM監督でしょ、って思い込みもあって、全然期待していなかったんだが、不覚にも泣いちゃいました。中山美穂はアイドル時代に好きだったというのもあるんだろうが、とっても綺麗に撮れてたのが嬉しかったし、演技や映画そのものの内容も上質でした。オープニングの雪の上に仰向けに寝てる中山美穂とそのバックに流れるピアノの旋律は美しいですねえ。ラストの似顔絵を見る場面で泣いちゃいます。あそこの中山美穂の演技は、まあ上手いと言えば上手いんだが、少しクサいとも言えるのに、なんで、こんな所でって思うんだけど、何度観ても知らないうちに泣いてるんだよねえ。不思議な映画です。中山美穂をとっても綺麗に撮ってくれてありがとう、岩井監督。実は酒井美紀も好きな女優さんなので二倍に嬉しかったりするのだが。 音楽の素晴らしさもこの映画に大きく貢献していますね。REMEDIOSって、その名前とこの音楽の感じからずっと外国人だと思っていたら違うんですねえ。沖縄出身の、しかも女性であることをつい先日知りました。ただ、途中の脇役の役者の演技や各場面のセリフにはバツもあり。「お元気ですかー?」もちょっとねえ。あそこで泣く人多いんだろうけど、もうちょっと違うセリフあるでしょう。あと個人的にトヨエツはいらないなあと・・ファンの方、ごめんなさい。私的にはとってもお気に入りの作品だけど、自分の中山美穂びいきを公平化するために1点引きます。 7点(2004-01-04 04:08:04) |
18. フロム・ダスク・ティル・ドーン
ああ、なんておバカな映画なんでしょ。B級テレビドラマじゃないんだからさあ。キャストはいいのにねえ。ジョージ・クルーニーにサルマ・ハエック、そんでハーベイ・カイテルかあ、彼ってタランティーノ作品に良く出るけど、この映画やっててどう思ったんだろう?ま、タランティーノの演技が見れるという事と、ケープ・フィアーで子供だったジュリエット・ルイスの女らしく成長した姿が見れたのが良かったけど。 3点(2004-01-03 02:16:20) |
19. パルプ・フィクション
レザボア・ドッグスで世に出たタランティーノが豪華キャストとハリウッドパワー使って作った活劇。好きな人はたまんないんでしょうが私とこの監督の感性とは違うのだと感じます。私は映画には愛とか感動、癒しとかいったものがないとだめなんです。無意味に無表情に人を殺すのもダメです。まだレザボア・ドッグスの方が上と思います。 6点(2004-01-03 01:57:50) |
20. レザボア・ドッグス
タランティーノ作品は個人的にあまり好みではありませんが、その中では最も出来が良いと思います。ひたすらシンプルな舞台劇のような構成なのに、飽きさせずにテンポ良くストーリーが展開してゆく、彼の原点にして最も彼を代表している作品だと思います。 7点(2004-01-03 01:33:21) |