1. 我が家の楽園
まるで舞台劇のようだった。最初にシカモア家が紹介されるシーンでは、観る者を完全に置き去りにする程のスピード感。勿論いい意味で。次々に現れるヘンな住人たちに、一気に引き込まれずにいられない。全体を通して、一見支離滅裂でありながら緻密に計算された演出が心地よく、散りばめられた小ネタも楽しい。とにかく古さを感じさせない。大企業の社長さんが堂々とした演技を見せており、見事な人間像だった。「どんな大団円なんだろう」と先が読める展開だったにも拘らず、ラストも不満の残らない形で締めてくれたのは、監督のさすがの力量か。 8点(2004-04-15 22:49:44) |
2. 駅馬車(1939)
西部劇の古典として、教科書を見るような感覚で鑑賞した。クライマックスの襲撃シーンでは現在に通じるカメラワークもあって思わず感心。あれだけのアクションが当時開発されていたなんて驚きである。ダメ医者の役、いわゆる狂言回し的な役も現在でも多用される配役だし。脈々と繋がる映画史の系譜を感じることが出来て妙な嬉しさも覚えた。 6点(2004-04-10 17:54:34) |
3. 或る夜の出来事
心理描写が実に巧みで、監督の演出さすがに上手いなーと唸らされる(フランク・キャプラはアカデミー監督賞3度獲得の名匠)。わがまま娘のエリーが一人ぼっちになってオロオロするシーンや神妙にニンジンを食べるシーンは、ピーターへの心の距離が縮まっていることを如実に語る。最後の1泊をねだるあたり、エリーの切なさ爆発である。そして、クラーク・ゲーブルが最高の二枚目半を演じてみせた。機転の利いた長セリフも楽しく、特にヒッチハイクのシーンでのコミカルさは見事に尽きる。公開当時もきっと映画館中が大爆笑だっただろうな。『風と共に去りぬ』のレッド・バトラーのイメージしかないので、かえって新鮮だった。こんな古い時代に最上級のロードムービー作品がここにあった。 9点(2004-03-11 21:50:15) |
4. 風と共に去りぬ
高校生の時に初めて観た。長いので確かに途中で退屈さも感じたのだが、この映画を観た多くの大人たちの仲間入りをしたゾ、という的ハズレな達成感を覚えた記憶がある。と同時に、映画の芸術性を初めて意識したのもこの作品だった。カラー映像、音楽、俳優陣などの素晴らしさに、映画が総合芸術たる所以を知った。この映画にかけた先人達の努力は驚愕に値する。好き嫌いは別にして、敬意を表さずにはいられない。 8点(2004-01-08 00:26:57) |