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プロフィール
コメント数 606
性別 女性
ホームページ http://blog.goo.ne.jp/nohara-gogo/
年齢 53歳
自己紹介  映画とこのサイトには本当にお世話になっています。
 読み返すと稚拙で恥ずかしいレビューもありますが
 どうぞご容赦下さい 。

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1.  ゼロの未来 《ネタバレ》 
真面目に生きて真面目に仕事を頑張り、 ひとつのものを追い求めるあまり心を病んで扉を閉ざした人(主人公コーエン)、 その脳内世界を表現したものだと理解した。 ラスト近くの我々君のパジャマ姿は「患者」ということだろう。 だから観ている私たちにとって筋が掴めず難解なことも計算なのだ、多分。 外に出ろ!とかあなたが好き!などの言葉を拒絶して自我の中だけで暮らし、 おそらくさまざまな経験で傷ついた後に沈んだ「虚無」の渦を見つめ、 それを追い求めることを止められないその姿。 我々君は虚無を選び飛び込んで行ったのだ。 現実との決別だ。 私の心には少し悲しい物語として映った。 ブラジル以後いくつもの作品で見てきたアイテムがちりばめられ心地良く、 彼の世界はやはり現実を超越した人のなかに息づくものの投影なのだと思った。 現実と折り合いをつけずにまたこんな作品を作った監督に拍手。
[映画館(字幕)] 8点(2015-06-24 21:19:52)
2.  ローマでアモーレ
なんと愉快な夢物語。観光客が胸に抱く「憧れのローマ」そのままを舞台に、現実に不思議なエッセンスを加えた夢時間を過ごしました。ウディ本人も登場して皮肉もばっちり。彼の外国人目線がこの映画を最後まで愉しいものにしていました。あの葬儀屋のお父さんは本物のテノール歌手だそうで、時代先取りの舞台は爆笑でした。ツアーなんかやったら体中ふやけて大変だもの、断るわな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-06-07 18:08:15)
3.  三人の女
尖った針がいっぱい出ていてチクチク刺さり引っかかり、どう扱ったらいいのかよく解からず。その真髄には特別なものが潜んでいそうな気もするけれど、好みが分かれる。タイトルは三人だけど、実質二人の、個性的という言葉を遥かに越えた怪しい女の話。何とも言えない方向に話は進み、予期せぬ終末はドロッとした感触を残す。砂漠やアーティスティックな絵や、70年代の不安定さがよく出ていると言えばそれまでだけど、訳が解からなくて私には消化できない。途中ホームパーティをするために食材を並べていろいろ準備するシーンがあるけれど、食べ物が全く美味しそうに感じられない。そういえば女二人はガリガリだし、そこからして人間の活気を削った話だったと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2015-05-04 20:47:55)
4.  地獄の逃避行
胸の内が灰色になるような実話を、空の青色で染めている。あっさりと美しい色でまとめられた景色の中に際立つ、マーティン・シーンの狂気。理由など無い、誰にも理解できない彼の内面に踏み込んで立ち入ることもせず、それでも延々と追いかけていく画。普通のようで普通ではない常軌を逸脱した地獄の時間に言葉もなく浸った。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-28 19:06:07)(良:1票)
5.  リトル・フォレスト 夏・秋 《ネタバレ》 
食べるための日々の営みを素直に淡々と映した作品。ああ、主人公いち子が自然に溶け込んで生きている姿に憧れてしまう。大きくてきれいな自然と黙々と動く彼女。感情の起伏はほぼ無く、人々の内面描写は数少ない。だから、生きていくための「いただきます。」や「ありがとうございます。」の言葉が美しく響く。実際やってみれば体力精神力共にキツくて私などすぐにへばること請け合い。それでも、落ちたグミの思い出を「無駄だった、ってことにしたくない。」とジャムを煮てパンをかじりたい。自分の思いを明るく塗り替えたいち子のように、生活してみたい。
[DVD(邦画)] 8点(2015-02-11 20:01:36)
6.  チョコレートドーナツ
アラン・カミングの人間臭さと歌声と母性に魅了された。素敵だった。
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-18 16:53:44)
7.  ブルージャスミン
花びらの端のほうが枯れてカサカサしてる、主人公ジャスミンはそんな感じの女性。ウディと同じくニューヨークを去った彼女は、セレブな奥様を保ちたくて保てなくて、ボーダーラインの上を歩くうちに崩れていく。彼女からクルクルコロコロと繰り出される言葉、思い出と虚構といろいろが混ざった言葉に目を丸くする人の姿、ガラスに映り込む情景を上手に使った画面、どんな場面でも平等に流れる音楽。あれれ、「人間」を描くその手腕が確かなのは知っていたけれどどうも苦手だったウディ映画が、今回心地いいぞ面白いぞ。何でもこなすケイト・ブランシェットが、この作品でも素晴らしい。すごいスピードでパホッと錠剤を口に入れ、ベラベラ勝手にしゃべりながらカパカパ酒をあおる姿は圧巻。妹のジンジャーの捻たりだらし無かったりの姿も見応えあった。
[DVD(字幕)] 8点(2015-01-17 22:13:42)(良:1票)
8.  小さいおうち 《ネタバレ》 
秘密云々も淡い思い出。あれほど愛した人々や赤い屋根の家を戦争でズタズタにされ、なお長い時を経てひとり平成の時代を生きることをタキおばあちゃんは泣いたのだ。平井のご主人が乾いた口調で「つまらないことをするね。」と言っていたのがしみじみ思いだされる。全体的に丁寧に作られた作品で、働き者のタキちゃんが口数少なに家事をする姿一つ一つが愛らしかった。けれど、回想である昭和10年代のシーンのお芝居がみんな昭和初期の名画みたいな台詞回しと身のこなしなのが受け入れ難く、もっと普通の演出でいいんじゃないか?と途中苛立った。まあ思い出だから仕方ないのだろうか。お雑煮食べたい、とんかつじゃなくて。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-13 23:06:33)
9.  風立ちぬ(2013)
なんとロマンティックな!男のロマンそのままの映画でしょうか。幼い頃から心酔していた飛行機と歩む時間と、お姫様のような女の子との恋愛。宮崎監督がナウシカの頃から持っている「ヒーロー」のかたちに、やはり昔から一貫して持っている「生き抜け」というテーマを添えています。アニメならではの視点も多く楽しく美しい画も魅力的でした。まあ、この世を生き抜くにはもうちょっとパワーが必要かなと思いつつ、優しい色彩に彩られた夢物語を堪能しました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-08 10:55:27)
10.  水の中のナイフ 《ネタバレ》 
奥と手前、煽りと俯瞰、アップ、アップ、そしてまたアップ、人をこれでもかと追っている映像。ブルジョア夫婦とその休日に紛れ込んだ青年の過ごした時間。車中ではろくに会話も無く、おそらく2人でヨットに乗っていてもそんな雰囲気だったに違いない夫婦に異分子がプラスされて、水面が乱れて光を放つように内面が吐露される。単調で何も起こらない時間は返って次のアクションが気になり、画面に大きく映される人間の仕草や言葉に引き寄せられた。ラスト近くの「この先 警察」の看板はちょっと笑ってしまったけれど。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-04 20:55:17)
11.  オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
昼の2時から見始めたというのに、リビング中に満ちたこの夜の空気は一体どうしたことだろう。夜のなかでしか生きられない吸血鬼達のシュールな日々。我らゾンビは命を廻らせている。死んでも死んでもまた生まれてレコードみたいにぐるぐる廻りながら人生というのを繰り返している。永遠に一方通行の旅を続ける彼らがボンヤリとした明かりに照らされながら活動する画の美しさ、そのシニカルな会話の楽しさ。美しい芸術をありがとう、映画もきっと彼らが上物をちびちびすすりながら作ったんだろう。ティルダ・スウィントンは多分本物の吸血鬼じゃないかと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-03 16:43:39)(良:1票)
12.  ウォールフラワー
学内ヒエラルキーから早々にはじき出されたチャーリー。鋭い感覚を持ちながらひっそりそしてフワフワと過ごす彼と少し変わった仲間達との思春期の日々が描かれる。愛情ある家族と仲間のなかにいながらどこかジンジンと痛む傷を感じさせるこの主人公と、80年代の心疼く曲が「ドニー・ダーコ」を連想させた。プールの深い部分、足の付かないこのエリアをどう渡りきるかという、リリカルな17歳に漏れなく課せられる人生初の課題を、優しく見守るような目線で追っていた。涙溢れることはなかったけれど静かに浸みる佳作。役者はみんな良かったけれど、思いやりと素敵な笑顔を持つパトリック、エズラ・ミラーが素敵。若い今のうちにどんどん映画に出て欲しい。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-14 09:29:40)(良:1票)
13.  ふがいない僕は空を見た
何か辛い感じの人、何か間違っちゃってる人の群像劇。ふがいない人たちが折り重なって作る日常の景色に邦画らしい重たさがあり、そこを切り抜けて行こうとする力がまた良い。若い役者さんが皆良く、それを堪能する作品に思えた。ベテランさんは彼らを光らせる縁の下の力持ちかな。だから田畑智子のポジションにちときついものを感じる。彼女好きなんだけどな。スタートから1時間はもうちょっと端折ってもよかった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-06-14 08:49:20)
14.  クロニクル 《ネタバレ》 
短い時間で主人公の置かれた状況を伝え、力を手にしてから高揚し爆発する姿を凄いスピードで見せる。己の力をコントロールできなくなる、暴走する主人公を助けるのは友だち、と「AKIRA」の影響がちらちらと見える。なかなか実写版が出来ないもんだから、若い力がこんな面白い映画を作ってくれた。監督の次回作が楽しみ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-10 22:15:30)
15.  ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区 《ネタバレ》 
タイトルにあるギマランイスという町で行われる文化フェスティバル用に作られた映画とのこと。ポルトガルに縁のある(カウリスマキがポルトガル在住だったとは!)監督がそれぞれ短編を作ってそれを束ねています。短い時間のなかに、美しい映像とそれぞれの個性が生き生きとしていました。エリセ監督の作品はドキュメント仕立てで、人は誰でも物語を背負っていることをしみじみと思わせるもの。人々の語るそれぞれの時間のなかに、人間の血と肉の持つ熱を感じました。ドキュメントはどうしてもフィクションを超えて感じ入ってしまうので少し点数を下げますが、どれも味わい深く見応えがあります。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-10 21:40:49)(良:1票)
16.  ゼロ・グラビティ
文化祭で、発表者とその仲間内が熱っぽく真面目に張り切っているのを「面白いの自分たちだけでしょ。」と斜に構えて眺めている感じ。私は映画に置いて行かれた第三者だった。自宅の小さなTVで鑑賞したのもその感を強めたのかもな。この映画、プラネタリウムの半球体のスクリーンでの投影用に部分的に作り直してくれないかなぁ、きっと迫力あって面白いと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-10 21:13:19)
17.  天使の分け前 《ネタバレ》 
fu○kingという台詞が何回聞こえてきただろう。その日を生きるのが精一杯のゴロツキが沢山出てくる映画だ。現状を何とかしたいと一念発起するかと思いきや、結局悪事で金儲けして終わってしまったのが惜しい。そりゃ見事泥まみれの生活を蹴倒して清らかに羽ばたく話なんてありきたりかもしれないけれど、こんなラストだと連中は小ずるい悪事を絶対また繰り返すだろう、と先を想像してしまいやっぱり釈然としない。たかだか酒に法外な値を付けて買おうとする大金持ちと彼らを並べて映したのが、今作のケン・ローチの問題提起方法なのかな。黒と白のコントラストが効いていたのもそこに引っかけていたのかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2014-01-03 21:03:39)(良:1票)
18.  アルバート氏の人生 《ネタバレ》 
ただただ悲しい映画。 「君の名前は?」 「アルバート」 「いや、本当の名前は?」 「……アルバート」 生き抜く術として男となった2人の悲しい会話に唇を噛む。 妻をめとってささやかに生きようとするも何かしらぎくしゃくするアルバートに、 自分を解放しろ、とドレスを着せるミスター・ペイジ。 不格好な2人と曇り空の海岸線に泣けてくる。 金、病気、労働階級と色々な立場での「弱者」がこの作品には多く出てくる。 ふた言目には「アメリカへ…」と遠い地に夢を馳せるアイルランド人達。 真面目に生きてもそれが幸せに繋がらなかったアルバートの姿は、 この時代の疲弊した社会をそのまま投影しているようだった。 新しく生まれた男の子には、せめて明るい光が差し込むことを祈るばかり。 グレン・クローズは、こういった苦しみを抱える人物が当たり役としか言いようがない。
[DVD(字幕)] 8点(2013-09-29 14:33:23)(良:1票)
19.  オズ/はじまりの戦い 《ネタバレ》 
こっくりとした油絵のような色使いは、初代「オズの魔法使い」を思い起こさせる。ごめんね、オレペテン師だから。足を治せなくてごめんね、友だちだぜってハグできなくてごめんね、「オレに付いてこい何も心配するな愛してる!」って言えなくてごめんね。ここに来たから言えるんだ、虹の向こうの世界に。
[DVD(吹替)] 7点(2013-09-06 15:51:48)
20.  ゴッド・ブレス・アメリカ 《ネタバレ》 
主人公フランクは人と交わるのが苦手。今風の物でも宗教でも、何であろうと自分と違うスタンスを持つものは両手をかざしてはじき返してしまう。そんなことをしていたら居場所を失い命まで危なくなったので、決行。「オレが死んだ方がいいと思うヤツはみんなやっつける作戦」だ。無論このやり方マズいんだけど、なぜか爽快。やっぱりフランクに同意しちゃってるから、きっと自分に似てるから胸がスッとする。そして今時アリス・クーパーが好きだと叫ぶ少女は70年代映画の優等生風な横顔で、この社会生活的マイノリティの2人組は獲物を探してはやっつけて行く。それも、どうにもならないほど暴れ回るんじゃなく、情緒的な画や言葉を挟みながら意外と静かに物語は進んでいて、頬を押さえながらうっとりと見入る自分に気がつく。ラスト、あれだけ嫌ったTVで見せた説教はちょっとテンション下がったけど、結局「踊った」のは誰だったか気がついたときの笑顔。ジョエル・マーレイ最高!
[DVD(字幕)] 8点(2013-03-23 18:10:50)(良:1票)
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