2. 十二人の怒れる男(1957)
《ネタバレ》 一人一人のキャラが立っていて、展開はスリリング。見ごたえがある映画ということに異論はない。しかし、肝心の内容が少々希薄に感じた。ヘンリー・フォンダ演じる8番陪審員。可能性の話ばかりして、説得力がない。逆の可能性を、ほとんど無視している(所々口ではフォローしているが)。「疑問があるなら有罪には出来ない」…これはよくわかるし、私もその通りだと思う。しかし、状況を再現したりするのは彼らの役目なのだろうか?日本とでは制度が違うから理解しがたいのかもしれないが、彼らがすべきことは、裁判で争われたことを客観的に分析して結論を出すことではないのか。証言が本当か嘘かというのは、弁護士や検事がするべきことなのではないのか。弁護士が無能の可能性も…などと言っているが、やはり出てくるのは「可能性」という言葉。陪審員の中に一人だけ有能な者がいたら、判決を誘導できる可能性があるという陪審員制度の危うさが垣間見れる。証言や証拠が不確かなのだから、有罪にしてはいけないと思うが、無罪にするのもどうかと思う。冷静に考えて、裁判をやり直すというのが、一番論理的な結論だと思うのだがどうだろう。やり取りの後、それを踏まえて裁判をやり直し(陪審員は全員変更)、結果満場一致で無罪になる…というストーリーだったら10点だったかもしれない。ただ、1957年という時代に、被告人の権利を主張した映画としての意義は大変深いと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2007-09-14 18:48:53) |