1. 浮き雲(1996)
《ネタバレ》 バスの運転手にキス。フィンランドってどんな国だよ! と一人突っ込んでいると、この二人は夫婦であることが分かる。おいおい何プチドッキリやってるの、と監督の思惑にまんまとはまる。所々に可笑しさを誘うシーンがある。夫の解雇をトランプで決めるシーン(そんなアホな!)。映画館のもぎりのお姉ちゃんに悪態をつく夫(妹かよ! 又騙された)。回転資金をカジノで稼ごうとする(やめろって)。愛想の無いレストラン(「いらっしゃいませ」は日本の文化か?)。監督の掌で遊ばれながら、私はこの短いお話にぐいぐいのめりこんで行った。そしてラストの夫婦のカット。無表情なオウティネンが笑ってるようにみえる。かー、いい話だ。アホな日本人が海外旅行やブランドものや学歴でしか幸せを叶えられないのに反して、この貧乏の極地にいる二人はそれをしっかり掴んだ。見習わなくちゃいけないんじゃない、こういうの。それにしても支配人は銀行には金を払えず、なんで新規の回転資金は出せるの? こういう詮索は無粋か。 (ビデオ) 9点(2004-03-09 21:59:57)(良:1票) |
2. 遠い空の向こうに
根暗理系映画ですね。素晴らしいです。アメリカ人はなぜか知らないが典型的なマチズモ志向があるようで、 青春映画ではアメフトやらの選手がチアリーダーに囲まれているシーンが多いように思われます。 卒業パーティーのプロムに何不自由なく女の子を誘えてしまうような。 でも実際その理想像に当てはまらない若者もいるわけです。日本でもそうでしょう。 いわゆる「今時の若者」像と隔絶した世界で生きる人間のほうがマジョリティーではないでしょうか。 おたくとか、おたくとか、おたくとか。 それでこの映画は他の凡百の映画と一線を画しています。ロケットですよ。地味です。 大体こんな地味な素材で映画になるのかいぶかっていると、十分になってるんですね。 保守的な土地で現実とたたかう青年。親との確執。先生や周囲の大人との交流。友情。 素晴らしいです。どんなことでもそれに打ちこむ姿には心を打たれるんですね。 世の先生方、下らないお説教をする暇があるのならこの映画を生徒に見せて下さい。 「遠い空の向こうに」の中に明治の文豪や西洋の哲人に負けない力が含まれています。 (映画館) 10点(2004-03-06 18:45:26)(良:1票) |
3. ナビィの恋
冒頭のひょっこりひょうたん島のテーマに思わず顔が綻ぶ。 お気に入りの女優の姿に魅入られる。 沖縄の蒼穹とブーケンビリアの色彩に吸い込まれる。 おばあの可愛らしさに癒される。 そして映画を通して包む沖縄民謡やアイルランド民謡に、 全く音楽の素養もない自分が酔いしれている。 そして、ナビィの恋に隠れたおじぃの無償の愛に目頭が熱くなる。 この映画は幸せに包まれている。何度でも観たくなるとびっきりの映画がここにある。(映画館) 9点(2004-02-26 23:30:11) |
4. 処刑人
映画館で結構前に観たんだけれど、めちゃめちゃ興奮した覚えがある。特に便器落下のシーンがカッチョ良すぎた。この兄弟最高! 2が上映されるとかされないとかの話しもあるようなので期待。それにしてもこの兄弟この作品のあといまいち露出してないんだよな。特に兄貴のほうが。アメリカでは人気ないのかな? (映画館) 9点(2004-02-24 21:47:09) |
5. シベリア超特急
この映画に点をつけるのはかなり悩んだ。10点か0点で。映画界に侃侃諤諤を大論争を巻き起こした今作は「北京原人」と並んで世紀の傑作といえるであろう。幾星霜を越えて後、まだ話題にのぼるのであるのだから。しかし、翻って考えてみるとここまで「物語」の体をなしてない映画も稀有である。アームチェアディテクティブを演じる山下閣下はシックスセンスを持するが如くたちどころに犯人を当てていく――なんの調査もなしに。そこまで知っていたら被害者を救ってあげれば良かったのに、とおもわなくもない。ちんけなセット。場違いかともとれるかたせ梨乃。列車上での神業的な格闘。加えて最後の自己陶酔極まりないオチ……。そこで私ははたと気付く。こんなんでいいのなら自分でも映画を撮れるのではないか。そうか、これは今一歩勇気を出せないでいる映画監督予備軍への応援歌なのか、と。決して「マレーの虎」こと山下将軍と水野監督の容姿がクリソツだったことから発生した大仮装大会ではないのだと。まあ、どうこう考えても0点だけれども。 (ビデオ) 0点(2004-02-22 00:14:40)(良:2票) |