1. ウエスタン
観始めてすぐに驚愕。まるでファンタジーではないか。ロケーションの見事さ、役者たちの汚さ、建築物や調度品や機関車などの不思議な異世界感。私の中では本作は「ロードオブザリング」や「スターウォーズ」と同じカテゴリーに入る。特筆すべきは音楽の素晴らしさ。こんなしつこくクドイ音楽の付け方は、現代の映画ではもうできないのではないかな。他のレビューさんのコメントを読むと、冗長と感じられている方が多いようだが、私は本作の世界観に魅了されてしまったので、3時間近い長尺でもあっという間に感じた。一つだけ惜しかったのは、私の目にはヘンリーフォンダが極悪人には見えなかった。上品さが透けて見えてしまうというか。可能なら劇場でもういっぺん観たいな。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-11-06 22:23:05)(良:1票) |
2. 東京物語
30年ぶりくらいの鑑賞。当時はまだ私も学生でそんなにピンと来てなかったが、子供が大きくなり両親も年老いた今改めて観ると、色々と胸に去来するものがある。決してつまらない作品ではないが、面白いというのもちょっと違うような、点数をつけるという行為があまり馴染まない作品。ただ、これが「名画」であることは揺るぎがないような、そういう独特の風格はある。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-10-04 20:05:06)(良:2票) |
3. アポロ13
およそ20年ぶりの鑑賞。登場人物たちがそれぞれ魅力的で素晴らしかった。昔も感動したが、今観てもやっぱり感動した。宇宙に行けなかったパイロットが活躍するのカッコ良すぎ。しかし、20年も前の特撮やCGを駆使した映画となると、今観ても映像が古くないかとか、現代のCGと遜色ないかとか、そういう減点方式みたいな評価をしがちになってしまって、我ながらさもしいような気持ちになってしまった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-04 19:54:05) |
4. シックス・センス
《ネタバレ》 もう何回も観ているのに、BSでやってたのでまた観てしまい、そしてまた号泣させられた。作中に仕掛けられたトリックばかりが注目されるが、実際にはこれは心を通わせることによって魂を救済する物語だ。終盤、自分の使命に気づき、受け入れ、一回り成長したオスメント君は、クラスの演劇で見事に主役を張る。それまで常に眉間にしわを寄せて不安な表情だったオスメント君が、初めて子供らしい無邪気な笑顔を見せる感動の場面だが、客席に母親の姿は無い。ラストの車内のシーンで、母親はハンドルを握りながら、オスメント君の顔も見ないで、「発表見に行けなくてわるかったわね、忙しくてね」などと素っ気なく言う。一見冷たそうに見えるが、ここまで映画を見てきたぼくらは、この母親は、実は、とっても良い母親だとわかっている。このシーンの母親の演技、演出はすごいと思う。オスメント君もそんな母親のことが分かっていて、自分の秘密を告白しようと決心する。この世に思いを残して亡くなった者が、救いを求めてオスメント君に取り憑くわけだが、おばあちゃんがオスメント君に取り憑いた理由は、娘(つまりオスメント君のお母さん)と心を通じ合わせることができなかったから。最後、オスメント君から、自分がおばあちゃんからどんなに愛されていたかを知った母親が、無防備な子供のような表情になるシーン、あそこで必ず号泣させられてしまうのだけど、あの場面では、お母さん、おばあちゃん、オスメント君、それぞれの魂が同時に救済される、映画史上屈指の感動的なシーンだと思う。。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-06-18 17:24:16) |
5. 天空の城ラピュタ
小学生の子供たちと鑑賞。10年ぶりくらいに観ましたがやっぱり面白い。テンポの良さと筋運びの無駄の無さが気持ち良い。ウチの子供たちは、普段はしょうもないYoutubeばっかり見て、映画を2時間集中して観るのは困難なのですが、さすがに本作は最後までだれる事なく楽しんでくれました。ひとつ衝撃だったのが、昔からドーラのファンでしたが、なんと同い年になってしまっていたとは…。 [ブルーレイ(邦画)] 9点(2024-06-01 17:48:34) |
6. ブリット
《ネタバレ》 まずオープニングが抜群にオシャレで、俳優も音楽も街並みもカッコ良いのだけど、筋がシンプルにもかかわらず絶妙にわかりにくく、カタルシスもない。印象には残ったものの面白い作品ではなかった。すごいと思ったのは、中盤のカーチェイスや、終盤の滑走路でのチェイスシーンに音楽が入ってない。現代の映画ならここぞとばかりに煽るBGMを入れたことだろうが。果たしてアクション映画にBGMは必要なのだろうかと、変なことに思いを巡らせてしまうのであった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-05 00:03:06) |
7. お早よう
初老の私にとっても、この作品で描かれている古き日本は、懐かしいを通り越して、もはやファンタジーみたいな不思議な世界なのだけど、そこにカワイイ子役や、もどかしい恋愛をしている若者など、現代の私たちにもリアリティを感じられる人々が絡んで、大した盛り上がりがないにも関わらず、そこはかとなく面白く、印象的な作品になっている。テーマとして、いろんな意味の「未熟さ」が描かれているのかなと思った。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-19 00:48:35) |
8. シンドラーのリスト
素晴らしい作品だと思いました。特にシンドラーを俗っぽい人物として描いているところに深みを感じさせられた。しかしながら、これはスピルバーグの良いところでもあるのだけど、作為的というか映画的というか、演出上とても作り込まれた絵面がリアリティを損なっていて、作品にのめり込む妨げになってしまったのが残念だった。例えば、カメラをゆっくりパンしていくと、パンした先に違う役者がスタンバっていて、次のシーンにスムーズに切り替わっていくみたいな。作為に気付かされると、ついつい演出の作法を鑑賞するモードになってしまうというか。リアリズムに徹すると、見るのが本当にツラい映画になってしまうのだろうけど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-16 22:37:33) |
9. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 劇場で観て良かった!ゴジラが東京で暴れるシーンは大変迫力がありました。戦争で焼けた東京の街並みも一体どこまでCGなのかわからないクオリティでした。当時の技術でどうゴジラと対決するかというアイデアも素晴らしかった。賛否ある人間ドラマの部分も良いと思いました。主人公もヒロインも生き残って結構じゃありませんか。エンタメってこういうものだと思う。子供と一緒に見られる絶妙な匙加減になってると思います。ただ個人的にはシンゴジラの方が面白かったですが、あれはちょっと変化球になるのかな。こっちは直球、豪速球って感じ。 [映画館(邦画)] 8点(2024-01-24 22:35:06)(良:1票) |
10. 地下鉄のザジ
これはその時代にその土地で観なきゃよくわからん映画ですね。画面の端や奥の方でも無数の小ネタが炸裂してて、その密度の高さに圧倒されました。ぶっちゃけ全然笑えないしつまらなかったわけですが、回り回ってそのつまらなさが逆に面白い感じでした。実況解説版なんて作ったら結構ウケるんじゃないでしょうか。全体にそこはかとなくフランスっぽいです。エッフェル塔からの眺めが素敵でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-01-19 14:33:37) |
11. リオ・ブラボー
クラシックですね。高い点数はつけてませんが、古典としていい映画だと思います。登場人物たちがキャラ立ちしていて面白い。現代の感覚からするとちょっと間延びして緊張感がないですが、当時の観客はハラハラドキドキしたんでしょうか。全体的に演劇的な感じを強く受けました。途中に挿入される歌が激ウマでびっくりしましたが、そっちが本職なんですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-10-08 11:33:13) |
12. ドクター・ドリトル(2020)
原作は少年時代に愛読しました。子供たちにも読ませました。その子供たち(小学生)と一緒に視聴。子供たちは「全然違うやーん!」と突っ込みながらも結構楽しんで観ていました。映像は派手で綺麗で、飽きないように数分ごとに見せ場がくるような作りで、現代のファミリー映画としては、頑張っていたようにも感じました。しかし!原作を愛する私としては、やっぱりもっと原作に寄せて欲しかった。児童文学の映像化というより、何かのアトラクションを体感したみたいな感じでした。 [地上波(吹替)] 3点(2023-09-03 11:52:00) |
13. 地球の静止する日
1951年ですよ!このくらい古いSFとなると、もう逆に面白くてたまらんですよ。冷戦初期の時代背景が色濃く出ているのも興味深いし、UFOやロボットの造形のチープさもたまらん。ちょっと説教臭いが、昔のSFはみんなこんなもんですよ。日本の漫画やアニメに与えた影響も大きいでしょうね。ツッコミどころは多いし、ぶっちゃけ現代のSFと並べるとかなり厳しいので点数は低くつけていますが、個人的には十分満足しました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-07-16 08:59:19) |
14. 海街diary
メインの四人の女優さんがそれぞれ美しく魅力的で、脇役も素晴らしい俳優が揃っていて、みんないい演技をされていて、風景も美しく、音楽も品があって、なんてことはないのになぜか深く感動してしまうシーンもあって、これは久しぶりに10点満点の映画かと思いきや、大きな不満点がありました。カメラワークです。なんか意味もなくゆっくりズームしたり、ゆっくり左右にパンしたり、(ひょっとしたら意味はあるのかもしれませんが)、せっかく俳優の皆さんが自然な演技をしているのに、カメラの変な動きのせいで作為的な感じが強くなってしまって、映画の世界に没入することを妨げられてしまったのが残念でした。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2023-05-22 00:28:39) |
15. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 とても残念な作品。モリコーネの音楽の力があまりに凄すぎて、ドキュメンタリーとして焦点がボケてしまった。本作では、さまざまな映画の名シーンやコンサートの映像がふんだんに引用され、それはもう感動させられてしまうのだけど、結果的にモリコーネの仕事の豪華なショーケースみたいな作品に仕上がってしまった。かつては純音楽と映画音楽の間には厳然たる線引きがされていた。映画音楽をやるのは「売春」だとまでいう人もいた。尊敬する師匠との確執もあった。モリコーネも映画音楽を辞めたい気持ちをずっと持ち続けていた。しかし作品を通じて映画音楽の地位が向上し、師匠やその周辺の人々からも評価されるようになり、自身の気持ちが代わってきたところこそが、本作の重要なポイントだろう。せっかく多くの関係者や本人にも取材して、モリコーネの人物像や映画音楽の歴史を浮き上がらせる多くの材料が揃っていたにも関わらず、そこに焦点を合わせることをせず、名画ダイジェストみたいな作品に仕上げてしまったのは、監督の力量不足ではなかったかと思う。モリコーネの音楽の真髄を味わいたいのであれば、「ミッション」なり「ワンスアポンアタイムインアメリカ」なり、映画の本編を観れば良いのだ。 [映画館(字幕)] 7点(2023-02-28 23:07:29) |
16. めまい(1958)
3回目、およそ20年ぶりの鑑賞。若い頃はキムノヴァクにばかり目が行っていたが、ロケーションの見事さにびっくりした。街中も郊外も屋内も美しく色彩豊かで息を呑む。ストーリーも素晴らしい。ミステリーは謎解きがあまり複雑になると映画では厳しいが、このくらいがちょうどいい。演技も素晴らしく、特に後半のキムノヴァクは本当に良いと思った。キムノヴァクで良かった。あえてケチをつけるところを探すなら、甘美な音楽が印象的だが、それがほとんどずーっと流れっぱなしのうえ、音楽の「圧」が強すぎて、現代の感覚ではちょっとクドく感じてしまう。しかしこの映画のミステリアスかつ甘美なトーンを決定づけているのが音楽であることも確か。若い頃に観た時も傑作と思ったが、半世紀に亘りさまざまな映画を観てきた今、人生でベスト映画の一つと確信します。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2023-02-25 19:46:35)(良:1票) |
17. スケアクロウ
《ネタバレ》 時代の空気とでも言うんでしょうか、物語の始まりからそこはかとなく重い空気が垂れ込めていて、行く先々の町や矯正施設は汚く土や埃にまみれていて、そこで出会う人々も荒んでおり、ついには悲劇的なラストへと突き進んでいくわけですが、どうしたわけか不思議に力強さみたいなものが感じられるのは、ジーンハックマンの存在によるところが大きいのかなと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-01-15 17:00:43) |
18. 翔んで埼玉
コンプラやら何やら色々とうるさいこの世の中、よくもこんな映画が作れましたね。私は大阪民なので、よくわからないネタが多かったですが、十分面白かったです。関西だったらどの県でできるのかな、なんて妄想してみたのですが、これがなかなか難しい。多分シャレでは済まない事態になってしまう。きっと埼玉だからこそ、このスケールで映画化できたんでしょう。そう思うとやっぱり埼玉の人って凄いですね。個人的には麿赤兒が一番面白かった。 [地上波(邦画)] 5点(2022-11-01 22:31:26) |
19. トップガン マーヴェリック
いやあ、これは凄いですね。「100点の映画を作れ!」って言われて、「はい!作りました!」って、100点満点の映画を作っちゃったみたいな。そして前作のファンへのサービスが凄い。わざわざ古いF14を活躍させちゃうあたり、もうめちゃくちゃなんだけど、とにかく盛り上がっちゃいますよね。トム・クルーズもかっこいいし、あの主題歌が聴こえてきた瞬間に絶対「キター!」ってなる。私個人としては、映画というものに新たな気づきやサプライズを求めるタイプなので、8点をつけましたが、映画として100点満点でいいじゃね、という感じの作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2022-10-04 21:54:19) |
20. ブレードランナー 2049
あの名作の続編としては十分に及第点だったと思います。ハリソンさんも出てたし。しかし、旧作ありきであることや、思わせぶりな終わりかた(旧作もそうであったが…)など、単体の作品としては評価が落ちるかも。旧作へのレスペクトが少々行き過ぎている感じがしたことと、SFとして新しいビジョンを示す以上に、情緒に寄ってしまったんじゃないかなあという感じがしてしまったのが個人的な残念ポイントでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-09-19 00:16:21) |