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プロフィール
コメント数 220
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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1.  日本橋(1956) 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 青や紫を多用した画面は泉鏡花の薄気味悪い世界観をよく醸し出しています。これはきっと撮影所の技術の賜物だろうし、もともとの戯曲の舞台美術にも多くを負っているのかもしれません。その映像の美しさだけをいえば、のちの鈴木清順の大正3部作にも比肩しうるものだと感じます。 しかし、戯曲をそのまま敷衍したような散漫でメリハリのない脚本はまったく要領を得ず、無駄なシークエンスが多いわりに物語の肝がさっぱり見えてこない。のっぺりした脚本が鏡花らしいと言えばそうも言えるかもしれませんが、もうすこしポイントを絞った明瞭で簡潔な脚本に出来るだろうと思わずにはいられない。 冒頭のシーンは幕が上がって路地が出現するところから始まりますが、そこが演劇的空間であることを示唆するよりも、なにより「路地」や「橋」の意味づけを明確にすべきです。登場人物の関係性や心の確執についても、たんに戯曲のセリフで説明するのでなく、もっと映画的な手法に置き代えて表現すべきだろうと思う。蛆虫が湧くという赤熊の毛皮も、舞台演劇ならばともかく映画の服装としては漫画じみた感がありました。 画面の美しさには9点以上つけたかったところですが、市川夫妻の脚本と演出には才気も創意も感じられず、7点以上はつけられません。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-03-19 22:34:54)
2.  浮草 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。昔いちど観たはずだけど、まったく中身を忘れていました。 カラー時代の小津のエロコメディの文体で撮られていることに加え、家族ではなく旅芸人を題材にしたリメイク作品であること、関東ではなく関西(小津の故郷の三重県)を舞台にしていること、松竹ではなく大映で作られたこと…など、いくつかの点で特異性があります。キスシーンが多いのも意外だし、杉村春子と京マチ子の対決ってのも、いま考えるとスゴいことだなあと思う。 リメイクしただけのことはあって、お話はとてもドラマティックで面白い。映画人だって旅役者と同様のヤクザ稼業には違いないから、この物語は小津にとって(舞台を故郷に設定したことも含めて)他人事じゃなかったのかもしれません。その哀しい生きざまを、松竹ではなく大映の役者に演じさせたのですね。 端的にいえば「パワハラ親父の毒親物語」なので(当時の観客は旅役者の境遇に同情したかもしれませんが)、現在の観客なら、こんな両親を許せないだろうし、むしろ「息子たちは物分かりがよすぎる」とさえ感じるかもしれません。 しかも、村の女たちと旅役者たちとの行きずりの恋は世代を超えて性懲りもなく反復されており、いわば構造的な悲劇であることが暗示されています。たとえば床屋の娘は、父親ではなく母親に守られていますが、村の男たちも客商売なので、ふしだらな旅役者といえど無下にはできない弱い立場にあって、一様に無口で影が薄いのですね。したがって、村の女たちは(ある意味では自由とも言えるけれど)自分で自分を守るしかありません。 隠し子を生んだ主人公の男女は、浮き草のような自分たちの生き方に後ろめたさを感じ、郵便局勤めのお堅い息子に希望を託していたものの、結局は世代を超えて同じ過ちが反復され、その身勝手な希望もあえなく砕かれます。「蛙の子は蛙」という哀れなセリフには思わず笑ってしまいました。これはほとんど希望の見出せない物語。旅役者の男女が再起できるとも思えないし、残された母子が女優あがりの若い娘と上手くやっていける保証もない。むしろ息子の進学や出世の可能性はかなり狭まったと言ってよい。小津と野田はあからさまな悲劇にはしたくなかったでしょうが、あたかも希望があるかのように終わらせるのは無理がありました。実際は、かなり悲劇的なエンディングだと思います。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-03-16 06:52:04)
3.  道(1954) 《ネタバレ》 
GYAO の無料動画で視聴。たぶん2度目の鑑賞です。 何かとてつもなく深遠な名作のように錯覚してましたが、あらためて観てみたら思いのほか凡庸だった(笑)。ネオリアリズモっぽい面もあるけど、なによりニーノロータの音楽がやたらと叙情的に鳴ってるし、終盤はほとんどお涙頂戴的な展開で、まるでチャップリンのような通俗的なセンチメンタリズムに終わっていた。まあ、これこそがフェリーニの個性でありジュリエッタ・マシーナの個性なのかもしれませんね。「女を支配することへの自戒」がテーマなのだとすれば、その点では『8 1/2』に共通してる気もします。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-18 13:17:55)
4.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。これが2度目の鑑賞です。前回は画質や音質が悪くてよく分からなかったけど、今回はデジタルリマスター版とあって内容は理解できました。 たしかにとても良く出来た映画で、これなら国際的な評価にも値するだろうと思ったけど、残念ながら、のめり込むほどの魅力は感じられなかった…。あまりにも緻密に作り込まれた結果、かえって明快さに欠ける気もするし、結末のカタルシスにも乏しく、墓場から去っていくラストシーンもちょっと寂しいですね。スタジオセットから飛び出して現代を走り抜けるラストなら、だいぶ印象は違ったかもしれません。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-09-27 02:51:59)
5.  黒いオルフェ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 原作は、ギリシャ神話の設定をブラジルに置き代えたヴィニシウス・ヂ・モライスの戯曲。「平地に富裕層が暮らし、高地に貧民層が暮らす」というリオデジャネイロの都市構造や、その両層が入り乱れるサンバカーニバルの文化を世界に知らしめただけでなく、新しい「ボサノバ」という音楽の誕生も予告した映画。そして、国際的に評価された初の黒人映画なのかもしれません。 仏カンヌと米アカデミーをW受賞していて、(大傑作とは思わないけど)文化史的にはかなり重要な作品だと思います。60年代以降のブラジル文化の国際的なイメージは、よくもわるくもこの映画に縛られたはずです。また、ギリシャ神話を黒人の物語に変換するという発想は、ヴィニシウスのたんなる思つきかもしれませんが、これはマーティン・バナールの 『黒いアテナ』によって学説にまで発展したともいえる(古代ギリシャ人は肌の色が黒かったということ)。 映画の物語は、べつにギリシャ神話をなぞっているわけでもないけど、あきらかに生命賛歌の神話的な雰囲気をまとっていて、その神秘性が最大の魅力になっています。アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽は、いわゆる劇伴ではなく、劇中世界の実音として演奏されており、そのことが神話のリアリズムを強めている。フランス産のブラジル映画でありながら、どことなくイタリアのネオリアリズモを思わせるところもある。 ただ、原作者のヴィニシウスも、99年のリメイク作品に関わったカルロス・ヂエギスやカエターノ・ヴェローゾも、本作のことを「元の戯曲とは別物」「ファヴェーラ(貧民街)の実態を描いてない」などと批判していました。つまり、それは「ヨーロッパ側から見たエキゾチックな黒人幻想でしかない」「黒人を社会的な主体としてでなく美的な対象にしているだけ」というポスコロ的な批判なのでしょう。逆にいえば、もともとのヴィニシウスの戯曲は、一種のプロレタリア芸術だったのかもしれません。 わたしは、この映画にちなんで「イザナギとオルペウス神話と小泉八雲の関係」に興味が湧いたのですが、それについては自分のブログにでも書きます。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-09-14 11:35:39)
6.  洲崎パラダイス 赤信号 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。すばらしい。他には見たことがないような非凡な傑作。  これは「入り口」の物語なのですね。赤線地帯の内側の様子は一コマも出てきません。何もかもが外側のギリギリの地点で繰り広げられる。そのことが、煮え切らない付かず離れずの男女の物語を何ともいえずスリリングにしています。 主人公の二人は突出して魅力的というわけでもないし、物語がそれほど面白いわけでもなく、原作を読んでみようという気にもならないけれど、やはり内と外の境界という絶妙な設定が効いていて、そこを出入りする人々や、その周辺で働く堅気の人々や、土砂を運ぶトラックや、水辺でボート漕ぎに興じる人々や、たわいもなく遊ぶ子供まで、すべてがスリリングに見えてしまって飽きません。 撮影所の技術に裏打ちされているとは思うけれど、まるでヌーベルバーグのようなしなやかさと軽さもあります。川島雄三の技ありの一本。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-08-25 03:21:02)(良:1票)
7.  山椒大夫 《ネタバレ》 
世界的な評価の確立した名作に対して「7点」というのは、自分としてはやや低めの評価です。観る前のハードルが高すぎたのですが、駄作と言うほど悪いとは言えないものの、傑作と呼ぶ気にはなれません。宮川一夫のカメラと香川京子が申し分もなく美しいことに変わりないし、花柳喜章だって悪いとは思いません。じゃあ、いったい何が不満だったのか。おそらく、わたしは、鴎外の文章がもっていた非常に簡潔な叙事性と、前々作の「雨月物語」が強烈に放っていた神秘性とを、両方とも併せもったような世界に期待していたのだと思います。わたしが勝手に設定したそのハードルから見ると、この作品はごくフツーでした。いくつかの点で、鴎外の短編と違っている部分(安寿が妹である、巫女に騙される、姥竹が自殺ではない、厨子王に変節がある、山椒大夫に仕打ちが与えられる、最後に官位を捨ててしまう、地蔵の奇跡が描かれていない、等)がありますが、そうした変更を一概に悪いと言うつもりはありません。鴎外の小説じたい、もともとあった複数の伝説の翻案なのだし、たしかに小説どおりの展開にしていたら、かえってリアリティに欠けていたようにも思います。しかし、結果として現代的な意味での説得性が増しているぶん、おなじ中世の物語である「雨月物語」に感じられた理解を超越するような神秘性が薄まり、ややマンガじみた分かり易さに帰着した気がします。ヨーロッパの人たちにそのあたりがどう見えたのかは知りませんけど…。けっきょく総合的な意味でやっぱり最高傑作だって思うのは「近松物語」かなぁ。といいつつ、いまだに他の作品をレビューできていませんが。
[DVD(邦画)] 7点(2012-10-07 01:13:48)(良:1票)
8.  ハリーの災難 《ネタバレ》 
 森に横たわる死体をめぐって右往左往する4人の男女。でも、そのわりには、4人ともなぜかとっても楽しそう(笑)。不謹慎ですが、死体がひとつあるだけで、人生がこんなに楽しくなるなんて‥。 風景は美しいし、恋の予感があふれてるし、それでもやっぱり死体は転がってるし、人生って何て素晴らしいんでしょう‥!!この大の字に横たわってる死体は、どう見ても、この美しい田舎町に一つの彩りを添えてしまっています。  ヒッチコックがこの題材に注目したのは、アントニオーニが『欲望』を撮ったのと似た理由だったと思える。「物理的な死」に対して、「出来事としての死」というものの不確かさ。ハリーの死体が、アーニーによって再び発見されることによって、結局ハリーは「昨日死んだのか、今日死んだのか、明日死んだのか」さえ解らなくなるはずですが、アントニオーニの『欲望』は、ちょうどアーニーの視点から見た『ハリーの災難』だったように思えてきます。『欲望』では、同じ題材が虚無的に描かれてるけど、ヒッチコックはそれを滑稽に、また肯定的に描いてるとさえ言える。『欲望』について様々なことが考察されてるように、この映画でも色んな考察ができるのかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-28 17:31:32)
9.  早春(1956)
わたしの小津の中でベスト。純粋で、端正で、品があって、キレイな映画。 小津はカラーになったら、ちょっと卑猥で下品な作品をつくるようになりますよね。エロおやじの大学教授とか、うんちの話とか。小津にとって「色がつく」ということは「エロくなる」ということだったように思う。もちろん、それはそれで面白いんだけど。でも、それに対して、小津のモノクロ時代の作品は、みんな清潔だし上品です。この作品は、全作品中でも異色作と言われるけど、次の「東京暮色」ほど特異な感じはしない。そもそも浮気なんて、登場人物が口々に言ってるように、どこにでもある話です。もしも、この作品が特異だとするならば、それは小津作品の中で唯一「春」を描いているということでしょう(じっさいの物語の季節は夏のようですけど)。「秋」とか「遅い春」といったイメージが強い小津映画の中で、この作品だけが、タイトルどおり「春」そのものを瑞々しく描いてる。男の人たちにまじって自由奔放にふるまう岸恵子が可愛くて好きです。かなり開放的で大胆ではあるけど、けっして慎ましさや、爽やかさや、瑞々しさというものが損なわれていない。まあ、これがカラー作品だったら、もうちょっと下品だったのかもしれませんけども。これはモノクロ時代の最後のほうの作品ですし、モノクロの小津作品の端正さがここで完成されてるように思います。長時間の映画ですが、まるで爽やかな短編佳作のようで、長さを感じさせません。
[映画館(邦画)] 9点(2004-03-19 14:17:28)
10.  神の道化師、フランチェスコ
純粋で崇高な映画だなーと思う。フランチェスコが変な権力者にお尻ペンペンされてるシーンは、本来、聖人が侮辱されてる場面なんだから、見てる側は憤慨したり同情したりすべきなんだろうけど、どう考えても笑ってしまう。観てる人の反応を惑わせてしまうリアリズムが、全体としてかえって映画の崇高さを増してます。ロッセリーニの最高傑作。
10点(2004-03-18 10:29:24)
11.  エル(1952)
出た!ラテンおやじのエロ作品。 「腿(あし)」が対象とはいえ、エロティシズムが日本人みたいにちまちましていません。ドカン!といかなきゃいけません、ドカンと。 なんつったってエロティシズムはなまものなんですから。
[映画館(字幕)] 9点(2004-03-18 00:05:04)(良:1票)
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