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プロフィール
コメント数 230
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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1.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
2時間半の超大作で、シリーズの中でいちばん面白かったかもしれない。雷雲へ飛び込むスカイダイビングも、トイレのカンフーアクションも、バイク&トラックのカーチェイスも、パリの屋根伝いの疾走も、カシミール山岳地帯でのトップガンみたいなヘリ空中戦も凄かったです。 ただ、いかんせん内容が複雑で分かりにくい。IMFとCIAとMI6とアポストルとホワイトウィドウと東欧マフィアとが絡み合う六つ巴戦ですが、とくに英国MI6の関与が不可視なために、後から考えてみてもホワイトウィドウの取引の背景やイルサの行動に謎が残ります。 ジョン・ラークを暗殺しようとした組織は何だったのか?なぜホワイトウィドウはイルサの身柄を要求したのか?なぜ取引場所はパリからロンドンへ移ったのか?…そこらへんは自分のブログでも考察してみますが、辻褄は合ってる気がするものの、あまりに分かりにくいのは減点要素。そして、いちばん落ち度があるのはCIAだと思いますが、CIAの責任が問われないまま終わるのも腑に落ちない。
[地上波(字幕)] 8点(2025-06-02 11:49:16)《新規》
2.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
いままで見たシリーズ作品のなかで、物語はいちばん面白かったです。アクションの面白さじゃなく、物語としての面白さがありました。 米ソのような国家対立の話ではありません。米英の同盟関係から生まれたテロリストとの対立であり、最大の同盟国が諸悪の根源だった…という話。自国の軍隊が敵を育ててしまうように、自国の情報機関が敵を育ててしまうのですね。最大の敵が内側にいるところにリアリティがあり、誰が敵なのか分からない恐怖もある。国家の殺人に憎悪を抱くテロリストの動機にも説得力があります。 主役はイルサ・ファウストとソロモン・レーンの2人であって、イーサンはほぼ脇役です。アクション映画としてなら、イーサンの強さを見せれば事足りるだろうけど、物語としてはイーサンが強いだけじゃ面白くない。その意味でイルサ・ファウストとソロモン・レーンはとても魅力的でした。イルサ役のレベッカ・ファーガソンは、過去のヒロインと比べても存在感が群を抜いてますね。往年のロミー・シュナイダーのような知性的な雰囲気を漂わせながら、それでいてセクシーでもあり、切れのあるアクションもこなすのだから凄い。 最後はCIA長官がIMF長官に転任する結末でしたが、あんな間抜けな奴が長官で大丈夫?ってのはツッコミどころ。それから、冒頭のシーンで飛行機にしがみつくのはともかく、さすがに羽根に飛び乗るのは高さ的にも速度的にもありえなさすぎる。なお、シンジケートのメンバーはなぜスウェーデン語で話してたのか、何かしら前作との関わりがあるのかどうか、ネットで調べてみても分かりませんでした。
[地上波(字幕)] 8点(2025-05-24 22:40:15)《更新》
3.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
米ロの見かけの対立の原因はスウェーデン人テロリストだった…という話。イーサンたちは4人のチームですが、スウェーデン人側はたった2人で動いてる。実際のスウェーデンにも情報機関や特殊部隊があるらしいので、それをモデルにしてるのかも。それと同時に、このテロリストのモデルは、アルフレッド・ノーベルとヤン・ギィユー(あるいはカール・ハミルトン)の掛け合わせかもしれません。最後の対決は、もっとインドらしい場所でやればいいのに…と思うけど、インドは自動車の渋滞問題が深刻とのことで、実際にあのようなオートメーションの巨大立体駐車場が実在するのかもね。 ブダペスト〜モスクワ〜ドバイ〜ムンバイと舞台を変えながらスリリングな展開が続くのは面白いですが、相変わらず不可解なことも多い。妻は殺されてないのに遺体の一部が発見されたのは、またしても替え玉の女性が殺されたから? そして、報復の必要もないのにセルビア人を殺したのは、IMFの指示でロシアの刑務所に侵入し、ボクダンを脱獄させるためとしか思えない(Wikipediaの英語版にもそう解説されてる)けど、脱獄協力チームがその真のミッションを理解してないのも不可解。テロリストとイーサンとIMF長官が同日にクレムリンに結集するのも偶然すぎるので、これもIMFの指示でテロリストの動きを追ってたからと考えるのが自然だし、イーサンと分析官ブラントを引き合わせるのも計画通りだったはずだけど、長官がロシアの特殊部隊に射殺されるのはマヌケすぎます。そして何より、自殺してまでして核戦争を起こさせたいというスウェーデン人のカルト的な動機は説得力に乏しい。
[地上波(字幕)] 7点(2025-05-17 15:33:48)
4.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
映像にも設定にもリアリティがあって面白かったです。 遺伝子操作の結果、《保護色&赤外線抑制&高い知性》などの能力をもった怪物が出来上がってしまったのですね。もちろん、それに起因する事故は「想定外」ではなく、適正に情報を共有していれば防げたことですが、日本の福島原発を見ても分かるとおり、個々の利害に囚われて情報共有や危機管理が後回しになれば、こういう事故はいつでも起こるりうるわけです。CEOがインド系で科学者が中国系なのもありえそうな話だし、恐竜を殺人兵器として利用しようとする発想が、かつて白人が黒人を奴隷化したことの隠喩になっていたのも的確です。 ヒロインや兄弟などの主要人物が善玉すぎないのもリアルでした。登場人物に安易な共感をさせないことで、勧善懲悪的なベタな話になるのを避けているわけなので、それが作品の欠点だとは思いません。インドミナスとティラノサウルスの対決シーンを長回しの移動撮影に組み合わせた映像もよく出来てました。 ただし、インドミナスとラプトルの知性の高さが極端すぎて説得力に欠けます。すでに共食いをしていたインドミナスが、なぜラプトルのことを「同種」と認識して共闘するのか不可解だし、そのラプトルたちは、なぜ人間に攻撃されてもなお主人公を襲わずにインドミナスのほうを裏切るのでしょうか? その行動原理が飛躍しすぎてて理解しにくい。
[地上波(字幕)] 8点(2025-05-04 00:37:11)
5.  記憶にございません! 《ネタバレ》 
ミュージカル映画と同じように、こういう路線の三谷コメディって、独特の演劇的な設定とかお約束のノリを共有できないと楽しめないですね。それなりに笑えるところはあるけれど、いまいち独特のノリやリアリティのない設定への違和感に馴染めないし、権力闘争の物語として見た場合にも、大河「鎌倉殿」などを書いた人の作品とは思えないほど薄っぺらいので、さすがに拍子抜けがします。いっそのことお馬鹿なミュージカルにしてもらったほうが、わりきって楽しめるのかもしれません。きっと俳優陣は、どこまで振り切るべきか匙加減が難しいでしょうけど、わたしは由貴ちゃんのベタベタなコメディっぷりがいちばん面白かったです。
[地上波(邦画)] 7点(2024-09-15 17:27:40)
6.  舞妓はレディ 《ネタバレ》 
京都の舞妓文化の再生に一役買おうという主旨で、それなりの取材をしたうえで作ったのはいいと思うけど、残念ながらさほど面白い物語にはなってないし、ミュージカル映画としても中途半端にすぎる。たんに「マイフェアレディ」のダジャレという以上の意図を感じません。実際のところ、長谷川博己の役どころはただのヒギンズ教授のパロディであって、訛り音声の波形分析などは出鱈目なフィクションだろうし、ミュージカルの演出部分もまったくの素人じみた出鱈目にしか見えません。 京都の舞妓の世界をミュージカル仕立てで描くアイディア自体は悪くないと思うし、地元訛りを封じられて言葉を失なう主人公の心の声を歌で表現する手法も有効だとは思うけど、どうせやるならミュージカル映画として成立させるだけの技術的な前提が必要なはずです。それがまったく揃っていないように見える。  音楽の周防義和も、振り付けのパパイヤ鈴木も、ミュージカルの経験はほぼ皆無だったようだし、キャスト陣にもミュージカル俳優は含まれていません(全キャストのなかでミュージカルの基礎を学んでるのは、おそらく新人の上白石萌音だけ)。どんなにベテラン俳優勢を並べたところで、歌や踊りについては素人なのだから、スタッフ側にもミュージカルのプロがいないとなれば、どうしたって「なんちゃってパフォーマンス」にしかなりませんよね。 主演の萌音は「ド素人の田舎娘」という設定だからヘタでもいいと思うけど、脇を固めるキャストやエキストラがそれ以上にヘタじゃ話にならないでしょう。唯一まともなミュージカルとして見れたのは大原櫻子のシーンだけです。それ以外は、音楽にせよ振付にせよ舞台装置にせよ、せいぜいマツケンサンバみたいな歌謡ショーのレベルにしかなっていない。 演出に「ミュージカルらしさ」が欠けているため、たとえば序盤で舞妓さんたちが出迎えるシーンなどは、たんなるパレードの場面なのかと思ってしまうし、竹中直人のシーンなども、たんに悪ふざけで踊りながら歌い出しただけかと思ってしまう。せっかく東宝の制作で東宝の俳優を起用したのなら、スタッフやキャストにも宝塚や東宝ミュージカルのプロの人材を入れて、もっとちゃんとしたミュージカル映画に仕立てるべきだったと思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-04-14 06:13:06)(良:1票)
7.  KUBO/クボ 二本の弦の秘密 《ネタバレ》 
CGアニメは、ディズニーをも上回るのではないかしら? 昔のNHKの人形劇みたいな風合いもあり、とくに折り紙の表現は独創的で素晴らしい。 三味線や雪山の猿が出てくるので江戸時代の東北地方に取材してるのかと思ったけど、大魔神みたいな仏像が建ってたり「三種の武具を探す」とか「鷺が魂を運ぶ」とかはヤマトタケルの東征神話を意識してるようでもある。また、月の帝の娘との婚姻譚は竹取物語のようでもある。その他の細かいモチーフについての話は、長くなるので自分のブログに書きます。 日本的なモチーフをさまざま寄せ集めたところが、日本人にはかえって一貫性なく思えてしまうかな。最後は三味線をギターに置き換えて、ビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」のカバーで締めてるけど、そこまで深い意味があるとも思えない(ジョージ・ハリスンはこの曲を「易経」に触発されて作ったらしい)。 簡単にいえば「長女の結婚を許さなかった男の罪に、その孫が立ち向かい、一族の不幸を終わらせるまでの物語」であり、いってみりゃ「もしもロミジュリに子供がいたら…」みたいな話なので、物語の類型からいえば、あえて日本を舞台にすることもなく、ヨーロッパでもアメリカでも中東でもどこでもいいんじゃないかって感じ。技術的には8点つけてもいいけど、物語にはさほどの深みを感じなかった。
[地上波(吹替)] 7点(2024-03-20 22:00:42)
8.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
初めての鑑賞です。面白かった。ものすごくくだらない内容なのに、それなりの教養にもなるところがスゴイ(笑)。たんに「顔が濃い」という理由だけで集められた俳優たちも笑えますが、これが驚くほど古代ローマの風景に溶け込んでおり、これならイタリア人でも違和感なく観れるんじゃないかと思いました。まあ、いくらファンタジーとはいえ「日本人が古代ローマ文明を発明した」という歴史修正主義はイタリア人から見れば噴飯ものでしょうが、さすがに日本人とは言わないまでも「属州の異民族文明を吸収することで古代ローマ文明が発展した」という面は実際にありそうな気がします。古代ローマ人にお姫様抱っこされるのがヤマザキマリの願望だったのかしら?続編も楽しみです。
[地上波(邦画)] 8点(2023-02-12 22:33:01)
9.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
なるほどね。とても良く出来ている。大林宣彦の「さびしんぼう」の物語に似ていますが、大林のほうがこの原作を読んでいたのかしら? さらにこのアニメは宮沢賢治も引用して、より普遍的な構造に組み立て直したのでしょう。ついでにいえば、じつは松田聖子も引用されてる感じ(笑)。そこらへんの話は長くなるので自分のブログにでも書きますが、簡単にいえばイマジナリーフレンドとの交流がもたらす成長物語なのですね。基本的には反復されてきたモチーフの組み合わせでしょうけれど、とても綺麗にまとめられているし、作画や音楽の美しさにも不満がありません。8点です。
[地上波(邦画)] 8点(2023-01-14 00:18:24)
10.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 
GYAO の無料動画で視聴。第1作以外は見てないし、その第1作も38年前に見たっきりです。  期待値が低かったわりには、かなり面白かった。シガニー・ウィーバーの役どころを頭の弱いイケメンに代えたのを含めて、まるごと男女を逆転させた配役ですね。セリフはいちいちシャレが効いていて、けっこうエッジのある下ネタが入るのも笑えました。特撮も良く出来ていたと思う。第1作のメインキャストがこぞってゲスト出演して、ちゃんとマシュマロマンも登場して、「シャイニング」や「サタデーナイトフィーバー」などのパロディが入ってたのも楽しい。 ただ、物語にいまひとつ「回収感」が乏しかったのは残念。(もしかしたら9・11を想起させないための配慮かもしれないけど)オバケを退治した後は、破壊の痕跡をふくめて何も無かったかのように原状回復されていて、バスターズたちはさほど称賛されることもなく、主人公がコロンビア大学に復員するでもなければ、出版した本が飛ぶように売れるわけでもない。オバケに勝利した達成感や納得感がないので、見終わったあとのカタルシスが薄い。 それから「オルドリッジ邸の悲劇」「刑場跡地に作られた地下鉄」「大虐殺の場所に建つホテルでレイラインが結ぶ」「霊界とのバリアを除く第4の大変動」などなどの話が散りばめられるわけですが、それらのエピソードも最終的に回収されることはなく(かといって実際の歴史に取材してるわけでもなさそうです)、ただそれっぽいネタを散らかしただけで終わってる感じ。悪役であるローワンの人物像の掘り下げも不十分で、全体的に物語の背景的な厚みが感じられません。 せっかく中華料理店の階上でオフィスを構えたのに、店員が中国人ではなく、中国的な描写が皆無なのもちょっと不満が残ります。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-31 00:59:28)
11.  バスルーム 裸の2日間 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。予想以上に面白かったです。ほとんどのシーンを狭い浴室の中の全裸の男女の会話だけで撮るという非凡かつ実験的な試み。 フランコの死去から約10年後、軍事クーデターの失敗から約5年後の1987年。ようやく民主化を果たして当時のECに加盟したばかりのスペイン。かつてのファシストの娘である女子大生が、尊敬する反ファシストの老文筆家のもとへ取材に訪れるも、老人は彼女の美しい肉体にしか興味を示さない。二人はアクシデントによって全裸のまま浴室に閉じ込められるけれど、女性が体を許すまで老人はひたすら口説き続けるだけ。おそらくは、これこそが「民主的な方法」ということなのでしょう。 ファシストだった女子大生の父には8人の子供がいるとのことですが、それが若さと肉体の魅力によって女性を勝ち得た結果なのか、それともファシズム時代の暴力によって女性を支配した結果なのかは分からない。老人は男根のことを「ゴリラ」と表現しますが、たとえばブラジルにおいて軍事独裁期の支配者のことを「ゴリラ」と揶揄したように、それは暴力性の象徴でもあります。 しかし、反ファシストの老人は、若さや肉体の魅力でも暴力によってでもなく、言葉の力だけで最終的にファシストの娘の美しい肉体を得ます。これはいわば「民主主義の勝利」ということかもしれないし、あるいは民主的な手続きの「面倒臭さ」や民主主義における「権力の弱さ」でもあるかもしれない。 情事の後は、自殺した女ともだちの話。そして、フランスで鬱病から回復して両親から旅立つ息子についての架空の映画。ラストは、閉ざされた密室を出て、過去の重荷を捨てて「明日」を生きよというエンディング曲のメッセージ。女子大生が老人から学んだことがあるとすれば、それは「過去を捨てろ」ということだったのでしょうか? 会話の中身の半分は下半身の話ですが、この作品自体はほぼ「上半身の映画」であり、画面に下半身が映りこむことはほとんどありません。作品の原題は『MADRID,1987』であり、『バスルーム裸の2日間』という邦題は、この映画の位置づけをまったく別のものにしています。もし、この監督が別の作品で高い評価を得れば、本作の邦題も変わってしまうかもしれません。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-11-03 03:42:07)
12.  クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 クリムトとシーレだけではなく、世紀末から大戦までのウィーンの芸術文化を横断的に描いています。たとえばフロイトの「エディプスコンプレックス理論」とウィーン分離派による「父殺し」を関連づけたり、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」とクリムトの「接吻」を関連づけたりしている。映画というよりはテレビドキュメンタリーの体裁ですが、写真や映像資料はなかなか興味深い。 帝都ウィーンは、フランスにはじまる革命期の後も100年以上にわたって君主制を維持しつづけ、たとえば音楽では古典主義からロマン主義を経て近代主義へと変遷をつづけ、芸術上の黄金時代を築きました。ヨーロッパの辺境であるはずのウィーンが芸術革命の前線だったともいえる。「人間性の解放」から最後は「爛熟」「腐敗」「退廃」「狂気」へと至りますが、こうした近代化を推し進めたのはフロイトやウィトゲンシュタインのようなユダヤ人です。マーラーを米国へ見送ったシェーンベルクやベルクやツェムリンスキーやクリムトも全員ユダヤ人だろうと思います。とくにフロイトはスキャンダラスな無意識(性と暴力)の暴露に至った。カトリシズムの支配するウィーンは、それゆえに近代主義の矛盾がもっとも極限的な形で現れる都市でもあった。現在のウィーンはすっかり「伝統文化の町」みたいになってますが、そこはかつて天才たちがひしめきあう過激な文化都市だったのです。 1907年に(ユダヤ人迫害を避けて)マーラーが渡米し、1914年に皇太子暗殺を発端として戦争がはじまり、1918年に分離派のオットー・ワーグナーとコロマン・モーザーとクリムトが、さらにはエーゴン・シーレまでもがスペイン風邪で死去し、その直後に戦争が終わってハプスブルク帝国が崩壊します。これにてウィーン黄金時代が終わる。ヨーロッパの東側で君主制を終わらせた第一次世界大戦とロシア革命は、いわば「遅れてきた革命」だったかもしれません。
[インターネット(吹替)] 7点(2022-10-24 17:42:18)
13.  花筐/HANAGATAMI 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 最晩年にこれだけ瑞々しいアマチュアリズムと実験精神を炸裂させる自由度はなかなかスゴイ。黒澤明のカラー作品のようでもあり、鈴木清順の大正シリーズのようでもあるけれど、書き割りっぽい合成映像を多用した画面やポリフォニックな音響はかなり演劇的であって、むしろ寺山修司の映画を思わせるところがある。 20才の矢作穂香から42才の長塚圭史までを「同年代の若者」とした大胆な試みにも違和感はなく、それぞれのキャラ立ちもしっかりしていて、そこには大林宣彦の俳優起用の巧さをあらためて感じます。音楽の使い方にも彼流の美学が徹底している。 戦争の予感のなかで死んでいく若者たちを描いていますが、反戦色が強いというよりも、むしろ破滅の美学のなかに陶酔しているように見える。そういう傾向も鈴木清順や寺山修司に近似しています。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-08-22 02:04:21)
14.  パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。すこぶる痛快で面白かった。ただし、パガニーニの伝記的な半生を知る目的で観ると、ちょっとアテがはずれますが。 これはあくまでイギリス人の監督がロンドンを舞台にして、英国のロックスターに類型的な破滅型の人生を19世紀のイタリアの音楽家に投影してケン・ラッセルに捧げた、きわめて現代的かつ英国的な英語の映画です(製作はドイツで主演もドイツ人だけど)。主人公に群がる女の子たちにもロック全盛時代のグルーピーの姿が投影されていると思う。 たしかに史実からエピソードを引いたところはあるでしょうが、ここに描かれている話はまったくの創作というべきだし、19世紀のイタリアらしい雰囲気はどこにも感じられないし、パガニーニの音楽に特有の異教的な感覚にも乏しい。 とはいえ、敏腕マネージャーが無名の演奏家の才能を引き出しつつ、社会規範を逆撫でするような悪魔的演出と炎上商法によって全欧的スターにまで育てたのだという解釈は、いわゆる「パガニーニ伝説」を理解する上で合点が行くところもあるし、第4コンチェルトの二楽章を扇情的なテーマ曲に仕立てたアイディアもなかなかだと思います。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-08-03 19:09:05)
15.  小さい魔女とワルプルギスの夜 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。たぶん原作のメッセージは「大人たちの善悪の基準に惑わされず、自らの良心に従いなさい」ということなのだろうけど、この映画を観るかぎり、異教の象徴である汚い魔女を退治する勧善懲悪物語のように感じられてしまう。ファンタジースペクタクルとして技術的にはよく出来ているけれど、内容的にいってミヒャエル・エンデのような深みに乏しいし、ドイツらしさもとくには感じられない。音楽がスメタナ風なのは何故なんでしょうか?
[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-20 06:06:48)
16.  テリー・ギリアムのドン・キホーテ 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。現代的に解釈した「ドン・キホーテ」の設定を借りて、さながらフェリーニの「8 1/2」みたいなことをやろうとしたんでしょうか? 映画人としての贖罪と同時に、性懲りもない映画愛・映画賛歌をテーマにしているようです。 壮大に突き抜けたホラ話に期待したものの、じつは意外に真面目な内容だったので、やや窮屈に感じないでもありません。凝りに凝った緻密な作品なのは分かるけど、いまひとつ面白みに欠けるのは、きっとテリー・ギリアムのなかに本質的な意味での「ラテンの血」が流れていないからでしょうね。ラテンの作家が醸し出す「滑稽と哀愁」みたいなものが英国人のテリー・ギリアムからは滲み出てこないのです。やはり英国人の真骨頂は達観したブラックユーモアであって、いくらスペイン人の真似をしようと思っても超えられない壁があるのだと感じました。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-05-14 02:41:02)
17.  ボヴァリー夫人(2014) 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。美しい画面でつづったダイジェスト映像という印象です。原作のあらすじを知るには好都合ですが、物語に没入させるほどの細部の魅力には乏しい。人生の「退屈」というのが大きなテーマなのだけど、この映画自体が「退屈」から逃れられていないように見える。妻を主人公にしていますが、やはり夫の視点を軸にしたほうが物語としては面白くなるような気もします。以前、オリヴェイラの「アブラハム渓谷」も観ましたが、あらためて他の映画と見比べてみたいし、原作にも触れてみたくなりました。音楽はミニマル風で、マイケルナイマンにも似ているけれど、わたしはこちらのほうが好みです。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-05-13 14:33:17)
18.  エール! 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。とても良い映画! 社会的弱者を必要以上に美化することなく、安易なセンチメンタリズムや扇情的な演出にも溺れず、あえて露悪的なほど俗っぽく滑稽に描いていますが、それがかえって好感触。フランスらしさはあるけれど、フランス映画っぽい難解さや気取ったところはなく、気安い海外ドラマのような演出がむしろ功を奏しています。父親も母親も、まるで子供みたいに感情むき出しだったりしますが、そこにもオーバーアクションにならざるをえない聾唖者特有の必然性とリアリティを感じる。大袈裟なサクセスストーリーではなく、ささやかな巣立ちの物語になっているのも良い。 歌唱シーンで無音になる演出には、困惑するほど複雑な思いを呼び覚まされました。親自身は子供の能力を理解できないのですよね。実際のところ、障害があろうとなかろうと、世代間の価値観の違いから子供の能力を理解できない親は世間にありふれているわけだから、その意味ではとても普遍的な物語になっています。 主人公は16才の高校生なのですが、学校が自由な雰囲気だし子供たちも大人っぽいので、初潮の話が出てくるまではてっきり大学生かと思いました。家族や友人とあけすけにセックスの話をしたり、男女で抱き合って激しい内容のラブソングを歌ったり、幼い弟がセックスをはじめたりするのにも驚きます。日欧の文化の違いを痛感しました。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-11 07:18:57)
19.  希望のかなた 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。カウリスマキの映画は30年くらい前に何本か見たけど、今の彼がこんなアクチュアルなテーマに取り組んでいたとは知りませんでした。クールなユーモアは健在だけど、内容的にはかなり熱い。 世界的な監督が「自由」という普遍的正義をシンプルに信じていること自体に希望を感じますし、世界中のアーティストが怯むことなく、こういう姿勢に勇気づけられるべきだと思う。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-04-30 00:56:19)
20.  寝ても覚めても 《ネタバレ》 
怖い。どちらが現実でどちらが夢なのか分からない。くっついたり離れたりする恋愛ドラマはテレビにありふれてるけど、こんなにリアルで怖い話は見たことがありません。この映画には「2人の東出昌大」が登場します。でも、ほんとうに重要なのは「2人の唐田えりか」。英語のタイトルは「Asako I & II」です。 はたして震災前と震災後の世界は、どちらが夢でどちらが現実なのか? 震災後のどんよりした世界は、まるで黒沢清の「回路」や「トウキョウソナタ」みたいに薄暗くて不気味であり、ほとんど悪い夢のように思えてしまうけれど、それが現実であるならその世界を生きるしかありません。子供のようにはしゃいでいた渡辺大知は寝たきりになっているし、汚い川は水かさを増してアパートを呑み込みそうになっている。「水かさが増してる。…汚い川やで」「でも、綺麗」…それが現実なのですよね。 唐田えりかは、この撮影の後、ほんとうに夢から抜け出せなくなってしまったのでしょう。どちらが現実でどちらが夢なのか分からなくなってしまったんだと思う。それを思うと、彼女の没入感もまた怖いのです。「オーロラ。あのCMの。ほんまに見たん?」「うん。見たよ」「空が海みたいやった?」「うん。そう。なんだか夢見てるみたいやった」「そっか。私は、まるでいま、夢を見てるような気がする。…違う。今までのほうが全部長い夢だったような気がする。すごく幸せな夢だった。成長したような気でいた。でも目が覚めて、私、何も変わってなかった」…でも、長い夢のように思えた世界こそが、ほんとうは現実だったのです。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-16 05:20:02)
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