1. 残された者 -北の極地-
見渡す限り雪と氷に覆われた原野でたった一人、遭難した1人の男。 演じるマッツ・ミケルセンのほぼ1人芝居の作品。 もう1人、ほぼ動けず話すこともできない、瀕死の重傷を負った女性の登場人物がいる。 この彼女の存在が非常に効いています。 助かる見込みはあるのか。絶望的な状況の中ではあるけど、独りじゃない。 彼女の生存がミケルセン演じる男にとっては最後の力を振り絞る大きな理由の1つであり、 彼女の生存が彼にとっても、観る者にとっても一筋の希望となっていく。 雪と氷に覆われ、撮影も過酷だったであろう寒さの中に見せるミケルセンの熱演が見応え十分の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-11-05 17:43:09) |
2. ようこそ映画音響の世界へ
《ネタバレ》 「音が与える印象は映像よりはるかに大きい。だが、それに気づいていない人が多い。」 とは、本作のいちばん最初に語られる一言。いきなり、この冒頭の一言から参りました。 映像と音。映像に音を吹き込み、映像に力を与えていく音響のプロフェッショナル達が数多く登場する。 そんな、映画と音に魅せられた音響屋たちが語る1つ1つが興味深く、そして楽しく 彼らが語る映画愛や、仕事に対する情熱や誇りが感動的ですらありました。 数多くの映画が引用され、その音の話を満喫した後のエンドロール。 無音で始まったエンドロール、その最初の1~2分くらいか。 かすかに動物や虫の声、鳥のさえずりが聞こえてくる。 冒頭のメッセージと共に印象的な、映画音響にフォーカスした作品の締めくくりでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-20 12:51:07) |
3. 台北暮色
台湾の大都市、台北市。鉄道や高速道路が行き交い、一見無機質に見える台北の街並みの遠景と、 人々が密集して暮らす生活感あふれる路地。その両方を捉える映像それぞれにいい味がある。 そして登場人物それぞれに家族や今の人間関係と、今の自分に大きな影響を与えている過去がある。 終盤に「距離が近すぎると人は衝突する。」という台詞が登場しますが、 登場人物それぞれの人間関係と、そこにある目には見えない距離感や孤独感、隙間風のようなものを実に巧く描き出しています。 その一方で亜熱帯の暑気を帯びた空気やそこで生きる人々の熱を感じさせる台湾映画らしい質感がいい。 大都会の遠景と、その中で生きる人々のごく近くに見える姿。 迷惑でしかない「ジョニーに代わってよ」と頻繁にかかってくる間違い電話をある意味受け入れているかのような主人公の女性。 遠景を見せられるとひっきりなしに車や鉄道が行き交い、そこに人同士の関りが見えてこない大都会。 しかし近くに寄って行けば、一見もう終わり?というラストにはエンストした車を脇に寄せようと人々が助け合う声が聞こえる。 「距離が近すぎると人は衝突する」とは言うものの、やはり人は何らか関わり合わなければ生きてはいけない。 作品は3人の主要登場人物の今後にこれといった解決策は見出しませんが、そんなことを感じさせるラストが印象的です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-08-19 12:06:32) |
4. ディープ・ブルー2
《ネタバレ》 前作からなぜか20年近く経っての続編です。 サメを使った薬の研究、洋上の秘密研究施設、人間の想定以上に知能を持ってしまったサメ。 このあたりは前作と同じような設定ですが、スケールもキャストも前作よりも小ぢんまりとした感じです。 ピチャピチャと水面を賑わせながら向かってくる、知能を持ったサメから産まれた赤ちゃんザメの大群との闘いがメインとなっていて、 この赤ちゃんザメというのは新しいとは思いますが、この時間帯はピラニア映画でも見てるような感覚に近い。 知能を持った巨大凶暴ザメとの闘いはほとんどないのでサメ映画としても物足らないし、 海水が入ってきて沈みゆく施設から、サメに狙われながらの脱出モノとしても前作の方が面白かった。 生き残った赤ちゃんザメがいることを見せるラスト。 「3」を作る気満々のラストだなと思って確認したらやっぱりありましたね。 赤ちゃんザメが大人になった続編か、はたまた別のストーリーになっているのか。 機会があれば期待しすぎないで見てみることにしよう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-02-20 12:32:25) |
5. デッド・ドント・ダイ
《ネタバレ》 新旧のジャームッシュ映画の常連たちが顔を揃えた、このジャームッシュ的豪華キャスト! なんですが、しばらくは見ずにいた作品です。 ジャームッシュの映画にはストーリーがあって無いようなものもあるけど、 登場人物の何気ないやり取りを、ゆるい空気とちょっとした間の使い方ででコメディにしてしまうのが巧い人なんですが、 本作はいつものジャームッシュの作品の空気が好きな人にとっても、 ゾンビ映画ファンの人にとってもどっちつかずに終わってしまった感じですね。 とはいえ、「まずい結末になる。と君は予言のように言い続けた。何故なんだ?」 「台本を全部読んだ。ジムが見せてくれた。」 「俺には出演シーンだけだったぞ。あいつにはずいぶん協力してきたのに。恩知らずめ!」には笑った。 しかしながら最後の意味不明のUFO登場に至っては、ちょっとなんでもアリが過ぎませんか?でしたけどね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-02-10 17:39:29) |
6. シング・ア・ソング! 笑顔を咲かす歌声
寡作の人ピーター・カッタネオの久々の作品です。 「フル・モンティ」もそうなのですが、不安や悩みを抱える庶民が一致団結して何かを成し遂げていく。 こういうストーリーをコメディタッチで描き出すと、変わらずいい味わいを出す監督さんです。 本作もリーダーシップを発揮しようとする大佐の妻と、部下の妻たちに最初は微妙な空気が流れつつも、 少しずつその心の距離を縮めていく過程の描き方がまあ、ベタではありますが本作はそれがいい映画です。 本当にこれで合唱団になっていけるのか?と思っていた序盤、 1つにまとまるきっかけとなるのが日本での知名度はないですがヒューマン・リーグの曲というのもイギリスらしくていい。 本作も「フル・モンティ」などと同じくイギリス映画らしい空気、イギリス映画らしい良さがある佳作です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-30 16:19:07) |
7. ゲットバック
《ネタバレ》 稼いだだけ金を使いまくる浪費家として有名な人なので常に金が必要なのか、 とにかく何でもかんでも映画に出まくっている印象を受ける近年のニコラス・ケイジ。 まあ、この人らしいクライム・アクションサスペンスなんですけど、 これは結構いい方なんじゃないでしょうか。 冒頭の銀行強盗から8年、ムショを出てからのお話がメインなんですが、 彼を追うFBI、人間のクズのような8年前の共犯者と、この男に誘拐された娘。 それぞれにニコラスと均等に絡みがあり、無難にまとまっている。 何事も無かったかのように元の鞘に収まる家族とその様子を見守るFBI。なかなか洒落たラストが良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-01-16 16:59:30) |
8. 杉原千畝 スギハラチウネ
多くの命のヴィザを発行し、東洋のシンドラーと言われた杉原千畝。 杉原千畝に関しては恥ずかしながらこの程度のことしか知らなかったので、 外交官としてのみならず戦争の時代を通して諜報の最前線に身を置いていたことなど初めて知る内容も多かった。 第2次世界大戦のダイジェストのようになった後半はやや残念ですが、 当地において彼の周りにいた同志たちとのドラマなどはとても良かったと思うし もう1人、ウラジオストクにも彼の意思を継いで船に乗せた人がいたことを知ることができて良かった。 作品タイトルに関しては、直球勝負の「杉原千畝」よりも、 作品の内容からも「ペルソナ・ノン・グラータ」かその和訳タイトルが良かったんじゃないかと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-26 16:12:01)(良:1票) |
9. オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁
山岳アクションが好きなので見たのですが、なんですかこれは? 僕には登山の知識自体は無いのでよく分からないのですが、 エベレストのデスゾーンで酸素も無しにあんなに元気に走り回れて格闘できるもんなんですか? あれだけ豪快に墜落したヘリの操縦士があの重傷で、あの場所で、格闘までできるもんなんですか? 主人公のヒロインの女性がいくらなんでも超人すぎやしませんか? 皆さんゴーグルも帽子やフードも被らずお顔を出したまんまで大丈夫なんですか? 8000メートル峰の過酷さが伝わってこない考証もストーリーもCGも、色んな意味でいい加減すぎる。 役所隊長はカッコ良かったんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-10-29 12:07:12) |
10. サスペクト-薄氷の狂気-
《ネタバレ》 女性の暴行事件が起こっていることを匂わせる謎めいた冒頭。 そしてあっさりと事件の容疑者の身柄が拘束される。 しかし、事件は終わらない。 ラストの氷上のサスペンスではその結末は読めてしまったものの、 やはりこういう映画では並々ならぬ存在感を見せるベン・キングズレーに、 捜査官役のアレクサンドラ・ダダリオもなかなか見応えのある熱演を見せる。 これもサスペンスの一つのカタチではあるのですが、 容疑者を逮捕、解決したはずの事件は続くモノとしてなかなか面白い作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-10-27 17:20:21) |
11. スマイル、アゲイン
《ネタバレ》 かつてはヨーロッパのクラブで鳴らしたサッカーのスタープレイヤー、 今では自業自得で離婚しながらも別れた妻子に未練タラタラ、家賃も払えず大家から逃げ回る。 すっかり落ちぶれた男の人生再出発モノ。 そこに父と子の絆や指導するサッカーチームの選手の子ども達の素敵なお母様方とのラブコメを巧く絡めています。 何気に豪華なキャストです。田舎町のサッカーチームの保護者にしてはゴージャスなお母様が揃ってますが、 男の方も落ちぶれたとはいえ元サッカーのスタープレイヤーで、しかもジェラルド・バトラーですから。 何となく納得してしまうものがあるキャストです。 結末がどうなるかは分かり切っているお話ですが、ラブコメってそういうものですからそれで全然OKです。 ただ、1人の女を巡っての、ほとんど無かった男2人の絡みが少しはあっても良かったと思いますが、 それでも笑いドコロもきちんと挿入されており、(特に大家の男とのコミカルなプチ心理戦が面白い) ラブコメとしては十分楽しめる作品に仕上がっています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-09-07 17:20:12) |
12. ミラクル・ニール!
《ネタバレ》 地球の運命は、ペッグ演じる1人のダメ男ニールに委ねられた!という設定と、 ニールが自分に与えられた能力に気づき始めた序盤は面白くなりそうだったのですが、思ったほど笑えず。 宇宙を支配する評議委員会(声はモンティ・パイソンというのは鑑賞後に知りました)は面白かったのですが、 地上のドタバタコメディが、この宇宙での事情とはほぼ関係なく進行していく・・・。 この男では駄目だ・・・。いよいよ地球も終わりかと思いきや、 犬(声はロビン・ウィリアムズ!)があっけなくその危機を救ってしまう、徹底した作品の軽さは良かった。 ロビン・ウィリアムズが好きだった方は是非エンドロールまでご覧ください。 本作が彼の遺作になるそうです。本編では犬の声だけでそのお姿を見ることは出来ませんが、 エンドロールでロビンのアフレコの様子を見ることができます。 僕たちが見ることができる彼の生前の最後の姿ということになるのでしょうか。 ファンに向けられた本作の粋なはからいに感謝です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-08-28 17:16:16) |
13. サンダーロード
《ネタバレ》 ブルース・スプリングスティーンの名曲”THUNDER ROAD”をタイトルにした作品。 主人公の警官の男ジムが母の葬儀で、母が好きだった曲を、とこの曲を流そうとするが、ラジカセが壊れて流せない。 そこで流れない曲の替わりに踊りだしてしまい、葬儀の場が凍り付いてしまう・・・。という冒頭。 踊りだす前にもそろそろいい加減にしておけよ、といいたくなるほど長く要領を得ないスピーチが続く。 90分の作品で、ここまでで既に15分ほど経過していたと思う。 しかし、ブルースの”THUNDER ROAD”を見る者に刷り込み主人公の男がどういうタイプの人間か知るには十分な冒頭。 後になって振り返れば、この冒頭が効いている。 人生のうまくいかない一時期。長いこと生きているとこういう時期が必ず訪れる。 こういうおじさんを主人公とする場合、不器用で要領も悪いけど、分かりやすい善人の方が共感は得やすい。 しかし本作の男はその後もやることなすこと発言すること全てがうまくいかず、 常に周りにいる人間をイライラさせてしまう。そんな様子に本作を見る者までもがイライラしてくる。 最終盤の展開は唐突すぎて、もうちょっと他のストーリーは無かったものかと思うけど、 そして最愛の娘に対し、「荷造りして今夜ここを出て行こう・・・これじゃ歌詞のまんまじゃないか・・・。」と言う。 ここまできてふと気づいた。ブルースの”THUNDER ROAD”を作品タイトルにして見る者に刷り込みながらも、 挿入曲や主題歌としてここまで一度も流れていないし、結局最後まで流れなかった。 こういう使い方もあるんですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-08-28 17:07:31) |
14. パニック・マーケット3D
序盤のスーパーでの万引き娘と刑事の父、そこに現れる強盗。 この辺りまでは早く本格的にサメを投入してくださいよ、という感じでしたが、 サメ投入後、これら序盤の人間模様を巧くサメ登場後の現場に落とし込んでいきます。 スーパーの店内と駐車場。サメ登場の現場を2手に分けていますが、 店内と駐車場の切り替えもうまくいっていて、作品が一本調子にならない効果も出ています。 もう誰もが忘れていたワンちゃんの再登場もうまく作品の空気を緩めていくれて、 序盤の人間関係の修復など、サメ退治後のラストまでストーリーもちゃんとしている。 B級率が高いサメ映画ですが、これは大健闘の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-09 16:23:05)(良:1票) |
15. 43年後のアイ・ラヴ・ユー
ブルース・ダーンの名演を堪能しました。ブルース・ダーンを見ているだけで退屈しない。 それに加えて、彼の話を聞いているのか聞いていないのか。フワフワした雰囲気を漂わせながらも、 終盤の演劇のシーンではキリッとしたこれぞ女優という表情を見せる。 ダーンのお相手を演じた女優さんがまた素晴らしかった。 「きみに読む物語」を思い出したりもしましたが、ユーモアと品のある空気がいい具合に絡み合い、 年老いるということ考えさせられる作品の舞台設定ですが、いい意味で作品は重さを感じさせない。 コメディの要素を担当する、ダーンと絶妙の掛け合いを見せるブライアン・コックスもまた良かった。 これもラブコメの1つのカタチなのかな。90分に満たない小品。いい映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-06-20 18:12:23) |
16. バレット(2012)
《ネタバレ》 サクサクと話が進みいつも通り安定の90分程度の上映時間。 バディもの、アクション。お馴染みのウォルター・ヒルの映画です。 10年ほど前の作品でスタローンはこの時、60代も後半に入りつつある頃ですが、 年齢を感じさせない筋骨隆々ぶりと強さでまだまだ元気なところを見せてくれます。 相手がクリスチャン・スレーターだろうが登場してきてすぐだろうが関係無いぜ! とばかりにとりあえず数えきれないくらい敵を撃ち殺しまくりますが、 お互い斧を持ってのラスボスとの最後のタイマンがいい。 やっぱり強いスタローンがいる映画はそれだけで一定の満足感はありますね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-05-31 14:08:30) |
17. タイム・トゥ・ラン
組織のカネを強奪し、バスジャックして逃走、組織からも警察からも追われる犯行グループ・・・。 既視感のあるプロットで大した期待感も無く見始めたのですが、これが大変面白い映画でした。 近年はすっかり丸くなった感のあるデ・ニーロですが、こういう役を演じると流石の凄味を出しますね。 その他の登場人物もそれぞれに味があり、それぞれに事情があり、ある者は裏の表情もある。 バスジャック犯グループと組織、警察との攻防とアクションが常に作品の前面に出る中、 テンポや緊張感を緩めず、この、それぞれの味とそれぞれの事情を挿入しつつ、 最後にはあっと驚くバスジャックの顛末とその後のドラマが用意されています。 これだけのお楽しみを詰め込んで、よくぞ90分に収めました。お見事! [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-25 17:33:44) |
18. 天才作家の妻 40年目の真実
《ネタバレ》 ノーベル文学賞受賞作家の夫婦。 ベッドの上で受賞の第一報を聞き、喜びを共にする冒頭から作品がスタートする。 この受賞を機に、墓場まで持っていくはずだった夫婦の秘密を、 2人が若かりし頃はまだまだこういう創作活動の世界でも女性が不当な評価を受けていたことにも言及しながら、 ミステリ・サスペンスタッチで半世紀前からの夫婦の歴史を振り返りながら表面化させていく。 この夫婦を演じるグレン・クローズとジョナサン・プライス2人が味わいのある演技を見せる。 特に終盤、動と静の緩急をつけながらのノーベル賞の授賞式と晩餐会から続く、 40年間の愛憎入り混じるホテルに戻ってからの2人の最後の時間が見応え十分でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-12 13:15:43) |
19. ハイネケン誘拐の代償
《ネタバレ》 面白くなる可能性はあったと思うけど、残念な作品でした。 実話モノだけに難しい面はあったかと思いますが、 せっかくアンソニー・ホプキンスを起用しているのに勿体ない使い方に終わっている。 犯行グループとの心理戦などがもう少し挿入されていると見応えも増したかと思いますが、 別にホプキンスのような名優を起用する必要も無かったですね。 この手の映画の見どころの1つでもある犯行グループと捜査当局の攻防戦もほとんど無し。 有名な犯罪を取り上げるTV番組でよくある、犯行グループの動きを追う実録再現映像に近い感覚です。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-01-06 15:19:15) |
20. 世界で一番しあわせな食堂
フィンランド北部、ラップランドの小さな村。 人々の暮らしのすぐそばにトナカイが住む森があり、 釣れたらすぐに店に出せる魚が取れる美しい川や湖がある。 生活圏のすぐ隣にある豊かで美しい森と水とを背景に登場する人物は全て善人。 そんな村にある小さな食堂を舞台に、料理が人々の心と体を癒していく。 そんな徹底的にゆるい世界観の中、大したことは何も起こらない日常を綴っていく。 監督はミカ・カウリスマキ。カウリスマキ兄弟のお兄さんの方。 特に本作は冒頭からほんわかしたハッピーエンドのラストまで、寡黙な弟アキとは異なる空気がある。 この小さな村に現れた中国人の父と幼い息子と、地元の人々の交流が軸となっていきますが、 互いの異なる文化を受け入れ、少しずつ心の距離を埋めていくゆるい描写が心地いい。 たまにこういう静かでゆるい映画が見たくなる。 特に今回は色々あって、いいタイミングでこういう映画を見ることができたことに感謝。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-01 13:13:16) |