1. ザ・マジックアワー
《ネタバレ》 シアターを出るとき、自分の口元がゆるんでいるのを感じました。いやあ、楽しかったです。前半はシチュエーションを作るための説明的な場面が多くて(そしてダミーがうまくいくのかちょっと心配で)笑えなかったけど、中盤からはその伏線が生きてきましたね。それに映画人の人生にホロリとさせられて、笑いながらも涙がにじみました。キャスト全員が彼らにしかできない役どころを演じていて、過不足なく(これほめ言葉のつもり)はまっています(いきなりだけど、なっちゃんは支配人のことが好きなんだろうな)。エンドロール終わるまで楽しませてもらいましたし(あのまままた冒頭から観られるのかと一瞬期待しちゃった)。映画を観て幸せな時間=マジックアワー としてもオッケー! [映画館(邦画)] 8点(2008-07-14 16:12:59) |
2. NANA
宮崎あおいが見たくて観たけど、予想以上の好印象。ストーリーにぐいぐいと引っ張られて、時間が短く感じました。振り返ってみればありきたりの恋愛青春ものだけど、二人のNANAの対照的な個性がいい味を出してる。ベタベタになりすぎず離れすぎず、いい距離間の友人ってところがいいのかな。宮崎あおいの演技はさすが、中島美嘉もリアルの彼女とキャラがかぶって見えるくらいはまっている。全員のあの個性的なファッションが、画面の中でちっとも浮いて見えないのに感動してしまった(しっかし、みんな細いなー)。歌は当然どれも良し。なんか気持ちよかったなー。あと10歳若かったらもっと好きになっていたと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2008-06-10 22:49:33) |
3. 姑獲鳥の夏
あっれ~?演技禁止令でも出てたのか?「この人はこういうイメージ」という以外のものがな~んにもない!うまく使えばおもしろくなりそうな配役だと思ったんですけどねえ(すみません、堤真一は好きだけど、京極堂は予想どおりミスキャスト、もしくは役作りまちがえてる)。そもそも京極堂シリーズの肝は「謎解き」だけじゃない。「憑き物落とし」なんです。そこにカタルシスがあるのに、なにこの盛り上がりのなさ。シリーズ化を考えればオールスターキャストになるのは仕方ないけど、配置が散漫すぎてただ淡々と出来事が起こっておしまい。軽すぎる!もっと緻密で重くてどろどろした画で作りなおしてほしいです。 [DVD(邦画)] 3点(2008-06-07 21:37:52) |
4. ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
《ネタバレ》 他の方のレビュー、ずいぶん辛口なんですね。こういう話だったっけなーと思い出しながら楽しんで観たんですけど。確かに、はまれないと辛いでしょうね。復活シーンなんか先が読めちゃうし。まあ、お約束どおりに事が進行していくところが、子ども向けに安心して観せられるんでしょう。児童文学の古典ともなると、その後に現れた同じジャンルの本と比較して古くさく見えるのは仕方がない。同様に、先行して作られた映画と比較されるのも当然とはいえ、『指輪物語』のスケールと比較されても気の毒かな(あっちだって、けっこう違和感感じる所はあったしね)。まあ、原作の「ライオンと魔女」はシリーズ中もっとも印象が薄かったというのを、援護射撃として書かせていただきます。他の巻より後に読んだせいもあるんだろうけど。私としては最終話まで観たい。ナルニアって、大人になってから読んだせいか、神とかアスランの存在とか、いろいろ引っかかったんです。好き、ではない。むしろ最終巻のラストなんか大嫌いというか腹が立つ。でもそのラストがどんな作りになるかとか、すごく気になるんですよね。 [DVD(字幕)] 6点(2008-05-26 23:02:30) |
5. モンゴル
《ネタバレ》 まず、伝承でしか語られないテムジン=チンギスハーンの物語を、血肉の備わったリアルさで現代の私たちの前に見せてくれたことに拍手を送りたい。父イェスゲイの毒殺や嫁選びなど、遊牧民特有の風俗や習慣があってはじめて、原作・元朝秘史が語るひとつひとつの出来事が起こりえたのだと、素直に納得できる出来映えだった。族長が強いうちは結束が固いが、弱ったり信頼を損なうと配下の者に見限られ、別のリーダーのもとへとあっさり去ってしまう淡泊さ。また、盟友となった相手とも仲違いをし、戦をする不合理さ。弱い部族を襲い、殺し合い略奪することなど、私たちの常識に照らし合わせればあまりにも不可解で悲惨だ。殺さなければ殺される、生きることが難しいくらいの過酷な世界。なんでこんなに襲撃・戦さ、殺し合いばかり見せるのか、理解しにくいくらいだ。けれどその疑問をボルテに語らせ、テムジンが答える。それこそがこの映画の要の部分で、チンギスハーン一人の物語にとどまらずに、あの時代に生きた遊牧民全体を語る深みにまで到達できたと思う。景色は雄大で本当に美しかったけど、ロケーションとしては地元モンゴルで撮影した「蒼き狼」のほうがリアルさで上かな。主役浅野とボルテ役の女優の目で語る演技にはとても惹きつけられた。ジャムカはエキセントリックなパンク野郎で、ちょっと笑える。捕虜時代や衣装など、エンタメ性を考慮したフィクションなどもあったんだろうけど上手に処理している。戦闘シーンはつらいけど、もう一度見てもいいな。 [映画館(字幕)] 8点(2008-04-10 21:31:58) |
6. 蒼き狼 地果て海尽きるまで
《ネタバレ》 正直あまり期待していなかったし、モンゴルの大草原を見るつもりで映画館へ行きました。それで正解だったところがちょっと悲しい。チンギス・ハーンの生涯は伝えられているかぎりまさにあんな流れだし、父子関係の齟齬をドラマにしてみせた点はおもしろかったと思います。けれど、モンゴル建国800年記念の映画としてふさわしいといえるのか?一部族の長が次々に他部族を配下におさめ、国を統一していくその課程を、想像をふくらませる余地がせっかくあるのだから、思い切った描き方をしてほしかった。だのに、脚本のセリフまわしと演技のつけ方は、戦国武将の時代劇そのまま。部族間の抗争は、いってみれば国盗り合戦みたいなものだけれど、それをそのままモンゴルに移し替えるのは、ねえ。武張った堅苦しい言葉づかいが、若々しさ猛々しさとアンバランスだし。もっとふつうの言葉でいいと思うですよ。騎馬のシーンはどの役者も相当訓練をしたとみえて様になってましたね。(馬を転ばすのはかわいそうだったけど。モンゴルの人は落馬を恥と考えるし)戦闘シーンの見応えもありました。ただ戦術的に、部隊があんな動きする必要があるの?緑の丘がどこまでも続く草原は、遠くの稜線がにじんで本当に美しかった。モンゴルの全面的な協力も得て人も馬も大量動員して作った映画のにもったいない。役者さんひとりひとりの存在感は悪くなかっただけに、惜しいです。 [映画館(邦画)] 4点(2007-03-29 20:44:36) |
7. パフューム/ある人殺しの物語
《ネタバレ》 主人公がシリアルキラーと聞いて想像していたほどには残酷さがなく、むしろ淡々とすすんでいくストーリーに中盤まで飽きを感じるほど。しかし処刑台のシーンで、それまでナレーションで時折語られる主人公の心情に一切感情移入できなかった私と彼の間に、はじめてつながるものを感じました。生い立ちのなかで社会性や人間性をはぐくむことができず、ほとんど本能的に臭覚に頼って生きてきたグルヌイユ。普通の人間なら成長途中でもっと早くに自覚できたことだったろうに、あの場で気づいたのかと思うと、哀れで涙が止まらなくなりました。ああいうのはコミュニケーション不全症候群とでもいうのかな?なにげに現代的なテーマかも。ラストは余計。なにもそんな始末のつけ方しなくてもいいのに。全体的には、ファンタジー映画として満足できる内容でした。かなりグロテスクだけど。なぜか笑いたくなるシーンの多さ(不自然さにつっこみたくなる)と冗長さにマイナス点。音楽は○。 [映画館(字幕)] 6点(2007-03-09 23:04:27) |
8. ラスト サムライ
《ネタバレ》 エンターテイメントとしての評価は、長すぎたことをのぞけばけっこう楽しめたので良しとしたい。が、感想は正直複雑な気分。これを観た人に「これが日本なんだ」と受け取られちゃったら困るよ、という感じ。たしかに「サムライ」はよく描けていた。「ハラキリ」の言葉だけ独り歩きして不気味な侍観を増幅させられていた外国の人には、イメージ転換をせまるものかもしれない。だけど、日本人はだませないぞ(笑)幕末どころかもう明治になって何年もたつんだよ?天狗党だって鳥羽伏見だって白虎隊だってあったのに、なんでそんなに戦国以前の武装なの?日本の時代設定を南北戦争にむりやり合わせたとしか思えない。大村の存在も、なんかいかにも悪役を作ったぽい。それもこれも、ハリウッドのご都合主義と思えば腹は立てられないか。渡辺・真田両氏が細かい所作を指導したそうだが、演技もいでたちもさすが堂々としたものだった。ただ勝元への全員土下座はどう見たってヘンだよ、みんなただ指揮官に従っただけやん。俳優陣は小さい子まで熱演していて二重丸なのでこの点。でも、どうもすっきりしないよう。 7点(2004-08-18 11:32:23) |
9. 赤い靴(1948)
なんといってもバレエシーンが素晴らしかったです。うろ覚えですが、グレー色調の強い画面のなかで目を引きつける赤い靴、その靴を自在に操るように踊るバレリーナの美しかったこと。TV放映で2度ほど見た記憶がありますが、それ以来見てません。私の心の中では伝説と化している名画。 9点(2004-07-06 11:13:16) |