1. ショウタイムセブン
《ネタバレ》 元ネタの「テロ、ライブ」は比較的最近観賞したので記憶に新しいところ。アチラに比べると随分と抑えた着地点ですね。切り口が違うと言うか、本作の場合はマスコミや報道の在り方に一石を投じるスタンスが若干強めに感じました。 とは言え結構無理筋。ひとりのキャスターの暴走がこんなにも止められないもんなのか?んな訳ないだろ、って思えてしまいます。で、そう思いだすと全てが茶番に思えてしまい、んな訳ないだろ!と何回ツッコミ入れてしまったことか。 テーマ的には奇しくも時宜に即したと言うか、若干の自虐性も感じさせつつ(映画産業とマスコミは別物と理解してはいます)、少なからずオーソドックスな事件の背景ではあるものの、結構思い切ったものだとは思います。が、イマイチ軽く仕上がってしまったなと言う感じでした。 まぁ主演の阿部さんあっての作品ということは、既にご指摘もあるとおり私も同感です。阿部さんのキャラあってこそ成り立っている作品と言い切って良いでしょうね。その存在感に+1です。 ちなみに、「テロ、ライブ」が元ネタということなんですが、個人的にはもっと最近観賞した「ミッドナイト・マーダー・ライブ」の方を連想してしまい、オチを取り違えて途中まで観てしまったので尚更に勝手に混乱してしまいました。思えば生中継モノもいろいろ出揃いましたね。次はどんなのが出て来るのか楽しみでもあります。 [インターネット(邦画)] 5点(2025-06-04 00:11:00)(良:1票) ★《新規》★ |
2. ハウス・オブ・VHS
《ネタバレ》 いきなりドアップで登場する女性ブロガーの語り口と、本編突入後のホームビデオ感たっぷりの画質からして何やらイヤな予感。てか、もとよりB級ホラー見たさに観賞してるのですから期待通りと言うことかも知れませんが。 6か国代表?の学生たちが廃屋(中身が綺麗すぎて廃屋感ゼロ)に忍び込んでバケーションと言う設定なんですが、ライフラインがストップしていて人里離れた場所に一週間滞在ってあり得ないでしょ。おねーさんたち到着早々ドライヤーが使えないとか風呂に入れないとか文句タラタラだし。だったら来るなよ、なんですが帰らないし。 兎に角登場人物の誰にも感情移入不能。強いて言うなら最後まで残ってた落ち着いた雰囲気のおねーさんが唯一比較的マトモかも知れないけど結局お亡くなり。 その反面、ビデオを複数見ると新しいビデオが1本生まれるというアイディアだけは斬新。元ネタとなる映画の数々(Wikiによると10本です)も魅力的。ちょいちょい挿し込まれるサービスカットも良いですね。 呪われたビデオとビデオデッキのイワク因縁とか由来とかに全く触れないことはイイんですが、イマイチ折角の設定が生かされていないのが残念。B級ホラーとしての良さをもっと生かして欲しかった作品でした。 [インターネット(字幕)] 3点(2025-06-03 12:05:07)《新規》 |
3. あるいは、ユートピア
《ネタバレ》 謎の生物って巨大なダイオウグソクムシなのかしら?劇中の台詞にあるけど、ナウシカのオームじゃないみたいな気が。主人公の遊び相手が巨大化したとか?ある意味、終盤で告白してることは本当なのかも知れませんね。「自分が連れて来た」みたいな告白。 とするとこれは主人公の妄想の世界とも受け取れます。現実だとすれば怪獣モノかファンタジーか。妄想だとすれば、現実に苦悩する一人の若者の現実逃避の妄想劇とか。 いずれにしてもソリッドシチュエーションサスペンスとして楽しめる作品ですね。舞台劇的な密室劇。コメディ要素は必要なんでしょうか?その分、尺が長過ぎになっている感がしないでもありません。 テーマは人の生き様?命?ラストの最後の晩餐に突入して来た自衛隊(米軍との合同チーム?)は、必ずしも救済ではなかったようですね。結局誰も真の平穏を得られなかった。命さえも失ってしまう者さえいた。そこに残ったのは絶望だけだったのでしょうか? やっぱり妄想劇ではないように思えて来ました。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-03 09:44:14)《新規》 |
4. トゥルボウ
《ネタバレ》 結局「トゥルボウ」って何だったんだろう?否、正確には「トゥル」かな?「トゥル坊」なのかな? 一見水中の動物(何類というか失念)のようでいて土中に生息。しかも金属音で土柱化してせり上がる?と言うことは本体は太くて長いとか?パーツを刈り取ってるとか?謎。 テーマ性云々と言うより、メインの物体のビジュアルで意表を突く感じの作品に思えました。この監督さんの他作でも感じたことです。てか残念ながらテーマがイマイチ解らんです。 主人公の陰鬱な雰囲気(そりゃ仕事見つからんかも)から何とはなしに見えて来る将来。「トゥルボウ」が少しでも明るい未来に導いてくれるのか?おじさんとの出逢いで彼の未来が開かれていくのか?やっぱり解らんです。 食べたくはなりませんが、エンドロールのお洒落な感じが良かったです。やっぱビジュアル主体の作品に思えてしまいますけれど、そこに+1です。 [インターネット(邦画)] 5点(2025-06-03 09:30:58)《新規》 |
5. スラムドッグス
《ネタバレ》 これは最高!ピンポイントでハマりまくりました。 動物を擬人化して口パクで語らせる映画は数あれど、ここまでお下品で下ネタ満載なのってあったでしょうか?下ネタにしたって、大人の下ネタあり、中学生レベルあり、小学生レベルありとバラエティ豊か。勿論、一見ファミリー向け映画ですが、お子様と一緒に家族での観賞は絶対NG!だって、親が笑う度に子どもからの質問攻めにあって、お父さんもお母さんも気が気じゃなくなっちゃいますから。 下ネタ下ネタって言うと相当お下劣な作品と思うかも知れませんが、ちゃんと感動出来るシーンだってあります。でも、即座に下ネタ被されちゃいますから感涙はしません。やっぱお下劣です。一体全体、全部で何回ファックって単語が出て来たことやら。 犬やら動物が大好きな人は勿論、犬がそれほど好きでもない人でも、お下品系が大好きな方には超おススメしたい1本でした。 ちなみに、邦題より原題の方が好きかな。うん、ちょこっと捻ったタイトルよりシンプルな方が良いような気がします。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-06-02 23:22:51)《新規》 |
6. 世界の果てという名の家
《ネタバレ》 思いっきりネタバレしてしまうと、SFではない、とも言えそうな気が。男の見る世界はVRの世界。現状でも実現出来そうな世界。成長した息子の姿だって徹底的に情報収集すれば、現在の技術でも実現可能なんじゃないかと。要はどこまで主人公についてリサーチ出来るかってことのような気が。息子と触れ合う触覚だって実現出来そう。 とは言え、僅か10分余りの尺でアイディア一発(失礼!)で撮り上げたところは賞賛すべきじゃないかと思います。この物語を長尺化して魅力的に制作出来るかと言うと難しいかも知れませんが、短編作品としては十分楽しめました。 強いて個人的に言えば、イマイチ納得出来ないのは招かねざる客である息子を殺害した犯人への対応。逃げてる場合じゃないでしょ。徹底的に復讐すべきでは?などと思ってしまうのは無粋なだけかなぁ? ラストの男泣きは何だったのでしょう?復讐出来なかった自分の情けなさ?世界の果てと言う名の家への出禁になってしまった、つまりは息子に会えなくなってしまったことへの絶望?うん、やっぱりもう少し尺延ばして語って欲しかったような気もします。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-01 18:13:53)《新規》 |
7. お母さんが一緒
《ネタバレ》 これは強烈な家族ドラマですね。多少のデフォルメはあるにせよ、結構な割合の家族で似たり寄ったりの諍いはあることでしょう。一つひとつの台詞が見事に三姉妹のキャラを表現していて、自分なりに想像するこの家族の昔からの在り様や家族関係を、まっこと当を得て表現しているものと思わせてくれます。 と、ここまで書いてみて、既にレビューされているお二人が殆ど書き尽くしてくださっているので重複は自粛します。(勝手に乗っかってスイマセン) これだけワンパターン的に繰り返される悪口雑言に全く飽きることなく、それどころか次はどうなるのと期待までさせてくれる脚本と演出、そして出演者の演技。これは脱帽でした。満足。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-31 10:29:09)《新規》 |
8. エクス・マキナ(2015)
《ネタバレ》 美しいヒロイン(?)、巧みな映像処理、哲学性を感じさせる会話の数々…魅力的な要素に満ちた作品ですね。序盤はイマイチといったご意見も多いようですが、私は全編通じて楽しむことが出来ました。 ただ、オリジナリティ溢れる優れたSF作品かと言うと、正直なところ奇抜なアイディアがある訳でもなく、寧ろ近未来AI関連SFアルアルといった物語に思えました。ドンデン返し的な結末にも特に意外性はないというか、やっぱりそうなるかな?といった感じでした、 何人かの方のご指摘にもあるように、セキュリティシステムの杜撰さを始め、細部の設定やら展開に物足りなさや非現実的な部分があったりと、魅力的な面と不満を感じざるを得ない面が混在しているチグハグさを感じてしまいました。 総じて言えば、面白いには面白いけれど不満点も多いといったところ。プラスマイナスいろいろあって平均的な評価にさせていただきます。 ラストの影の表現は印象的でした。けれど、エヴァの動力源はどうなっているのでしょう?街に出て暮らす能力はあるにせよ、物理的に動けなくなるのではないかと心配したりするのは無粋ですね。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-05-30 22:22:03)(良:1票) 《新規》 |
9. お願いだから、唱えてよ
《ネタバレ》 短編でラストのヒネリがポイントとなる作品なので、そこんところはネタバレ無しが良さそうですね。と言っても、ラストのヒネリ部分は容易に先読み可能。それまでのベタなコメディ感から一気にほのぼの系へと転換するので子気味良しと言ったところか。舞台劇然とした雰囲気は結構好きです。 出来ればクレームして来た少々変人風の隣人が絡んでも良かったのでは?最初の騒ぎでクレームしといて、その後もっと騒々しいのに再登場しないのも変ですし。コンパクトに纏めるのには要らなかったのかな?でも、だとしたら最初の登場も要らないような…? [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-30 11:41:13)《新規》 |
10. 愚鈍の微笑み
《ネタバレ》 60分というやや短めの作品にも関わらず、やたらデカ文字のオープニングに約5分、3人の登場人物にそれぞれ約5分のほぼワンカットの紹介的映像。その後やっとタイトルが。ラストはラストでオープニングのほぼ繰り返しのエンドロールに約5分。それだけで合計20分以上なので正味は40分弱の作品。正直なところ、その時間配分と映像表現、更にはオープニングから鳴り響く不安を煽られるようなジャジーなサックスソロという演出意図は、今一つ私には理解出来ませんでした。 物語はかなりシンプル。楽しい非日常を楽しむ女性たちに突然降り注ぐ恐ろしい非日常。その時、彼女たちは一体何を選択するのか?日常を離れ、自由気儘に過ごしていた時間を何としてでも持続させようとし、迫り来る爆音や振動も無いものとすべく努める彼女ら。しかし、現実は待ってくれない。それではどう受け入れる?さっさと自衛隊員に従って避難する?でも、それって力任せに現実に連れ戻されることになる。じゃあ、この苦難を運命として受け入れる?大好きな人たちと運命を共にすることが最良にして最期の決断? 最初に述べた矢鱈ロングカットの演出には馴染めませんでしたが、作品そのもののテーマ性と言うか観る者に投げかけて来るスタイルは好物です。トリプル主演の3人にも三人三様の魅力。手放しで高評価は出来ないまでも馴染めない部分も含めて魅力ある1本でした。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-30 10:52:59)《新規》 |
11. 愛に乱暴
《ネタバレ》 原作未読です。 主人公の桃子は、どう考えてもとんでもないストレスに晒されて生活しているに違いないのに、整理整頓清潔な暮らしに励み、義母に心から優しく接し、ゴミ捨て場が汚れていれば率先して清掃し、手作り石鹸教室では懇切丁寧に指導する。嫌な顔ひとつせず疲れた顔を見せることもなく、彼女の暮らしぶりは主婦として妻として模範的としか言いようのないもの。それなのに報われない。何故? 報われないどころか、可愛がっている飼い猫は姿を消す、ゴミ捨て場では不審火、手作り石鹸教室で提案した新企画は無視、更には夫の不倫等々、日々の小さなストレスが蓄積しているところに大きなストレスの波が覆い被さる。そりゃ錯乱してしまうでしょう。 ところが、桃子のストレスが怒りに転じてピークに達したところで明らかになる過去。え?そうだったの?他人のこと言えないじゃん!という新事実。放った矢が巡り巡って自分に当たってしまった構図。ハッピーエンド?エンドロールの背景に鳴る靴音は新たな船出?違うんだろうなぁ…。 主演の江口のりこさんが素晴らしいです。甲斐甲斐しい妻のパートでは可愛らしく、怒りに震えるパートでは底知れぬ恐ろし気な迫力。難しい役どころを見事に演じ切ってますね。次の主演作が楽しみです。 タイトルの「愛に乱暴」って、シンプルに主人公の生き様なのでしょうか?日々の暮らしは丁寧に。でも、愛については乱暴に。日々の暮らしには冷静に対処(夫も認めている)出来ているけれど、こと愛に関しては激情的になってしまう。そんな彼女のキャラクター?夫については「乱暴」じゃなくて「乱雑」な気がします。 ちなみに、本作は神奈川県綾瀬市のフィルムコミッションを活用。個人的に馴染みのある土地故、ご当地映画的楽しみも出来て一粒で二度美味しかったです。なので、そこに+1! [インターネット(邦画)] 7点(2025-05-29 21:51:06)《更新》 |
12. スペース・シャーク
《ネタバレ》 Z級サメ映画の巨匠(の一人)、ダスティン・ファーガソン監督によるトンデモ映画ですね。 大作のパロディ(と言うか思いっきりコピー)だったり、自身の作品のネタを引用したり(殆どの人には伝わらんて)、いつも通りの作風です。(ここで「いつも通り」と言ってしまえる自分にも驚きますが) 要は、何故か運動能力を備えた宇宙植物(この時点で植物じゃなくて動物でしょ)と、これまた何故か植物由来の手足の生えた小型のサメ風生物(やっぱ植物じゃなくて動物でしょ)が、墜落事故で地球上に放り出されて何故か急成長して植物も動物も人間を襲うというお話です。 細かいことは言いっこなし。とは言え少しだけ綴らせていただくと…異様に長いオープニング&エンドロール。のみならずヒーリングビデオよろしく長回しの風景と出演者のフル尺ランニング。宇宙船内はお馴染みのゲーム的画面も長い。何という尺稼ぎ。宇宙船内の研究室の壁面が銃器で埋め尽くされている。宇宙船に衝突する隕石を地上から双眼鏡で発見して個人的判断で宇宙船と交信する人物。完全にPデター丸パクリの宇宙ザメが走り回るetc.…兎に角すべてがツッコミどころ。それを楽しむためのものなのだ、と割り切れる方だけが楽しめる作品。ある意味貴重な作品を生み出し続ける監督に+1です。 ちなみに、何故にエリック・ロバーツさん??(何かしら大人の事情でしょうか?) [インターネット(字幕)] 2点(2025-05-29 10:00:58) |
13. 侵入者たちの晩餐(TVM)
《ネタバレ》 バカリズムという人の書く脚本は、彼の芸風をそのまま映し出したようなおかしみがありますね。細かいと言うか、誰でも思ってても気付かないようなことを取り込んで、しかもそれがキチンと観る者に伝わるように表現出来ている。勿論、万人に受ける訳ではないのでしょうけれど(寧ろ嫌う人もいるかも)、私にはピンポイントでハマってしまいます。 なので、普通に考えたらバカバカしい設定と展開、そして演出なんですが、比較的短めの尺とは言え始終(大笑いじゃないです、クスクスと)笑いっぱなしで過ごせました。よくよく考えれば、同氏の他作(映画であれ連続TVドラマであれ)と殆ど同じような作風(出演者も)なんですが、何せ基本的に芸風が好きなので本作についても高評価です。ラストのちょっとしたどんでん返しもいいですね。いや~面白かった。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-29 09:34:30) |
14. 少し未来のある部屋で
《ネタバレ》 ひとつ間違うとコメディになってしまいそうなシチュエーション。もっとも、多様性が常識化した今の時代に、これをコメディにしたらさぞかし怒られるでしょうけれど。 男性による出産という設定は、SFの世界では既視感がないこともないような。ただ、本作では出産願望のある男性が実はゲイであるというひとひねりがあります。そして、突然訪れたお腹の子の父親には彼なりの苦しみがある。決して単純な話にはならない変化球的展開が新しく、物語に厚みを持たせてくれてます。 現実問題として、人工子宮による男性の出産って、倫理的な問題とかいろいろ障壁があるでしょうけれど実現可能なように思えてしまいます。現状では、出産そのものは女性に限られたお話(勿論原因は男性にもあることは承知していますが)、という前提があってこその不妊治療だったりする訳で、もし本作のように男性による出産が前提条件に加わったならば、当事者の思いは一体どうなることやら。決してコメディにはなり得ない深刻な問題ですね。 短編だからこその問題提起。結末までは示されない中、考えさせられるものはありました。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-27 22:14:14) |
15. 帰り道
《ネタバレ》 戦後派の自分としては想像の域を出るものではありませんが、どんな思いを抱いていようと徴用され戦地に送り込まれる前日の苦しみは皆同じでしょう。本作については、必ずしもセクシャルマイノリティをテーマにした作品ではなく、極限の心理状態における愛する人への偽らざる感情を描いたものではないかと。 とは言え、ゲイの学生にスポットを当てていることは確か。戦時下であれば特に風当たりは強く、到底カミングアウトなど出来なかったことでしょう。そうじゃなくても不安定な精神状態なのに、性病検査で全裸になって並ばされているのですからより一層心は乱れてしまいます。 極限状況における恋心を少々角度を変えて捉えた意欲作。わずか10分の尺の中で大いに語ってくれました。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-27 21:40:12) |
16. マッド・ハイジ
《ネタバレ》 冒頭にナレーションがありますが、これってクラファン原資としたインディーズ作品なんですね。思い切った設定と派手な演出、スイス映画、恐るべしといったところでしょうか。 随所に遊び心が感じられ、決して退屈させられることのない作品ではあります。が、「ハイジ」である必要があったのかどうか…。既にご指摘もありますが、序盤は「ハイジ」のパロディ的な作りになっていてクスリとさせてくれます。でも、中盤以降はチョコチョコといろんな別のパロディ(というかリスペクトなのかも知れませんが)になってしまって「ハイジ」色がどんどんと薄くなっていくような。シチュエーションやら衣装やらだけが残って、メイン部分は普通にバイオレンスリベンジアクション(それも少々弱めの)って感じですね。 勿論それはそれで割り切れば楽しめはしたのですが、やっぱし「ハイジ」でスタートしたのであれば「ハイジ」で突っ走って欲しかったところです。続編作る気満々な感じのエンディングですが、もしそれが実現するのであれば、次こそは「ハイジ」一色に、しかもよりバイオレンス色に染めていただきたいところです。 そんなこんなで少しばかり不完全燃焼。勿体ないな、というのが正直な感想です。面白かったけどね。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-05-27 19:14:18) |
17. 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
《ネタバレ》 何から何まで胸クソ映画でした。てか、それは決して批判的な意味ばかりではない、と言うか殆ど褒め言葉ですが。 冒頭のブラックアウトしたスクリーンとそれに続く心臓外科カットが長過ぎな感じがして、もうその段階でゾワゾワとイヤな予感が。そして登場する主人公家族の何とも歪でドンヨリした空気。親子関係も夫婦関係も異様。純粋な意味での幸福感は微塵も感じられない家庭。 更に火に油を注ぐかの如く登場する謎の少年。このバリー君、他の出演作品でも振り撒いていた不気味と言うか正体不明というかそんなオーラが出まくりですね。「ロブスター」の時の雰囲気をそのまま持って来たような一触即発イカレオヤジを演じるコリンさんを完全に食ってる感じです。勿論、相変わらず美しく体当たり演技的なニコールさんも食われ気味。怪演と言うか怪優と言うか、存在感は半端ないですね。 二人の子どもたちもこれまた素晴らしい。ともにグリーン系の瞳が美しく、この微妙な役どころをキッチリこなしてくれて「子役」という雰囲気はまるでない存在感です。 そして何より、全編通してカメラワーク、BGM、照明などなど、この監督の非凡さというか胸クソセンスが全開です。見事に惹き込まれました。 当たり前かもしれませんが、現実的に考えてはいけないのでしょう。答えがあってないような寓話。言ってみれば人間の本性というか暗黒面をテーマにしたダークファンタジーですね。個人的には大嫌いだけれど好物という矛盾したジャンル。大嫌いだけれど気に入りました。 ところで、「聖なる鹿」ってシンプルにボブなのかなぁ?オヤジが居ないときは主の如しと言われてもいたし。なんとなく宗教的な色彩を感じないこともなく、それとも長女の書いた作文の題材がモチーフ?タイトルの謎はイマイチ解けず仕舞いです。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-05-27 00:26:52) |
18. 密かな企み
《ネタバレ》 王道を行かんばかりの鉄板サスペンスものですね。何とも既視感のある設定。記憶喪失になってしまった妻。妻を案じる夫。あれ?でも、何だか様子が変?本当に夫?そこに登場する熱血刑事。胸に悲しみを抱えながらも必死に事件を追う。するとそれ見たことかの事件の裏側。あぁやっぱり夫は偽物だったのね。妻も気付いて何とかしようとするがお約束通りにバレてしまう。刑事は夫を追い詰めるが、お約束通りに逆に襲われて窮地に。妻も刑事も絶対絶命、さてどうやって窮地を脱するのか?!という物語でした。 ほぼ予想を裏切らない展開。ある意味安心して観ていられる作品。類似作との違いがあるとすれば、犯人が凶悪殺人鬼ストーカーだということぐらいかも知れません。ただし、正直なところ楽しめました。キャスティングと演出の妙でしょうか。こういう作品があってもいいんじゃないかと思わせてくれました。 強いて不満点を言わせていただくならば、犯人の犯行が杜撰というか無防備というか、そりゃ敏腕刑事の手にかかればすぐにバレちゃうよ、という程度なことと、敏腕刑事の抱える悲劇が作品の流れの中でイマイチ生かされていないこと、そして何より窮地に陥った妻と刑事が結構アッサリ逆転勝利することでしょうか。まぁ、どれをとってもかなり重要な点なんですが。 そのあたりの詰めにもう少し工夫と言うかオリジナリティが感じられれば、と思える少々残念な作品でした。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-05-20 17:30:17) |
19. トンソン荘事件の記録
《ネタバレ》 かなりダークなモキュメンタリ―。でもって、これでもかとばかりに捏ね繰り回した感のあるストーリー。正直なところ、個人的には付いて行くのが難しかったです。もう少しシンプルに出来なかったものか?複数のエピソードが絡み合い、尾鰭付き過ぎの感は否めないような。 で、結局あの帽子を被った青年の霊が起こした呪いの事件だったのでしょうか?次々に取り憑いて惨劇を繰り返した?シンプルにホラーではなく、どちらかと言うとミステリー要素の方が強いですね。結局、(当たり前と言えば当たり前ですが)凶行に走るのは生身の人間。霊的なものに目をつぶってしまえば、抑圧された人間の狂気が生んだ悲劇(それもかなり複雑に絡み合った)について語られた物語ということなのでしょう。 おどろおどろしい雰囲気は本邦のホラーに優るとも劣らない強力なものですが、何せ人物相関図と事件の相関図でも作りながらじゃないと混乱してしまうお話。私の理解力が低過ぎたのか?あまり高評価は出来ませんでした。 ちなみに、英題の「Marui Video」とは、韓国国内で起きた事件映像のうち残虐度が高くて外部に流出させてはいけない映像のことのようですね。(てか、どんなだって流出はNGだと思いますが)なんだか、正直なところその辺りに引っかかって実話ベースの作品かと思ってしまいました。個人的な結論としては完全にフェイクなのでしょうけれど、それを悟らせないような巧妙な作品?未だ良く判りません。まんまと引っかかってしまったのかなぁ? [インターネット(字幕)] 4点(2025-05-18 16:07:13) |
20. ソフト/クワイエット
《ネタバレ》 全編ワンショットで撮影された超胸クソ映画。 ひとつには、最近では「カメ止め」でも話題になったワンショット撮影。予備知識なしで観始めたので、始めは「POV?」「目が疲れそ」みたいな印象でしたがそれがとんでもなかった。約1時間半の作品を見事に撮り切ってますね。これには脱帽でした。出演者さんたちも、台詞ひとつ取っても全部が全部アドリブってことはないでしょうし、立ち位置とかも目まぐるしく変わりますから動線を頭に叩き込んで演じ切ったのでしょう。相当キツカッタのでは?と察します。 もうひとつには、どうにもこうにも胸クソ悪過ぎる展開。そもそも、個人的には白人至上主義みたいなものを一切感じることがない環境で生活しているもんで、冒頭からヒロインの行動・言動に違和感というか拒絶感しか感じられず、小学校での少年とのやり取りにしても初会合の場でのやり取りにしてもスッキリしないものばかり。更にはメンバーの商店でのアジア系姉妹への異様な対応。それまでの経緯があるにしても異常です。割って入ったヒロインの夫もヘタレ過ぎ。そしてとうとう最悪の修羅場へ。やってることが全て犯罪なのにそれが正義と言わんばかりの傍若無人。こういう感覚、実際にあるのでしょうか?恐過ぎます。 ラスト、バンの中で遺体が動くカットから水面を長回しするカットで結末は予測出来ましたが、アナフィラキシーの妹は還る訳もなく、仮令4人のメンバーとヒロインの夫を刑務所送りに出来たとて姉の心に刻まれた傷は消えることはありえない訳で、いつか観た「ファニー・ゲーム」ほどの救いようのなさには届かないまでも、種類の違う相当な胸クソ悪さが残りました。 タイトルはこういった主義主張を社会に広めるにあたっての行動原理のようなものなのでしょうか?そのあたりもイマイチ理解に苦しむところです。 映像作品の制作レベル的には素晴らしいと思えますし、今も残り続ける差別主義をテーマにした作品としても見応えがあることは間違いないと思うのですが、どうにも胸クソ悪くてその分マイナス評価です。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-05-18 15:51:05) |