1. BECKY ベッキー
《ネタバレ》 痛快です。相手はニッくき極悪人。この際、何をやっちまっても構わないんじゃね?という相手。しかも、対するコチラは可愛い可愛い女の子。最初にワンちゃんが犠牲になったのは許し難い演出ですが、その後の父親とか婚約者の悲劇はお約束的。謂わばベッキー爆弾の導火線みたいなもんです。復讐の炎は燃え盛り、見事一件落着といった物語ですね。 まぁ、設定なり話の流れなりは決して奇を衒ったものでもなく、寧ろオーソドックスですね。極悪人の処理方法もそこそこグロくはありますが想定内。あ、最後の眉間撃ち抜きはちょっと意外、でもよく考えれば当然、てかあの大男は子どもに撃たれたことで人生清算出来て幸せだったかも、ぐらいに思えてしまう。 うら若き女の子にやらせる演技としては少なからず問題ありでは?という基本中の基本に目を瞑らなければ楽しめない作品ではありますが、そこのところの設定を外してしまったらオリジナリティの殆どが消えてしまう訳で、これはこれで良しと出来る者のみが楽しめる作品と思えました。で、私は楽しめたので続編も観るでしょう。 ちなみに、本作ではそもそもベッキーはどういう子なのか?とか、あのカギは何なんなの?といった重要事項がまるで明かされませんでした。想像してね?みたいにハグラカサレタ感じ。続編でその辺は明かされるのでしょうか?一応期待します。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-06-06 00:11:04)(良:1票) ★《新規》★ |
2. ショウタイムセブン
《ネタバレ》 元ネタの「テロ、ライブ」は比較的最近観賞したので記憶に新しいところ。アチラに比べると随分と抑えた着地点ですね。切り口が違うと言うか、本作の場合はマスコミや報道の在り方に一石を投じるスタンスが若干強めに感じました。 とは言え結構無理筋。ひとりのキャスターの暴走がこんなにも止められないもんなのか?んな訳ないだろ、って思えてしまいます。で、そう思いだすと全てが茶番に思えてしまい、んな訳ないだろ!と何回ツッコミ入れてしまったことか。 テーマ的には奇しくも時宜に即したと言うか、若干の自虐性も感じさせつつ(映画産業とマスコミは別物と理解してはいます)、少なからずオーソドックスな事件の背景ではあるものの、結構思い切ったものだとは思います。が、イマイチ軽く仕上がってしまったなと言う感じでした。 まぁ主演の阿部さんあっての作品ということは、既にご指摘もあるとおり私も同感です。阿部さんのキャラあってこそ成り立っている作品と言い切って良いでしょうね。その存在感に+1です。 ちなみに、「テロ、ライブ」が元ネタということなんですが、個人的にはもっと最近観賞した「ミッドナイト・マーダー・ライブ」の方を連想してしまい、オチを取り違えて途中まで観てしまったので尚更に勝手に混乱してしまいました。思えば生中継モノもいろいろ出揃いましたね。次はどんなのが出て来るのか楽しみでもあります。 [インターネット(邦画)] 5点(2025-06-04 00:11:00)(良:1票) 《新規》 |
3. あるいは、ユートピア
《ネタバレ》 謎の生物って巨大なダイオウグソクムシなのかしら?劇中の台詞にあるけど、ナウシカのオームじゃないみたいな気が。主人公の遊び相手が巨大化したとか?ある意味、終盤で告白してることは本当なのかも知れませんね。「自分が連れて来た」みたいな告白。 とするとこれは主人公の妄想の世界とも受け取れます。現実だとすれば怪獣モノかファンタジーか。妄想だとすれば、現実に苦悩する一人の若者の現実逃避の妄想劇とか。 いずれにしてもソリッドシチュエーションサスペンスとして楽しめる作品ですね。舞台劇的な密室劇。コメディ要素は必要なんでしょうか?その分、尺が長過ぎになっている感がしないでもありません。 テーマは人の生き様?命?ラストの最後の晩餐に突入して来た自衛隊(米軍との合同チーム?)は、必ずしも救済ではなかったようですね。結局誰も真の平穏を得られなかった。命さえも失ってしまう者さえいた。そこに残ったのは絶望だけだったのでしょうか? やっぱり妄想劇ではないように思えて来ました。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-03 09:44:14)《新規》 |
4. スラムドッグス
《ネタバレ》 これは最高!ピンポイントでハマりまくりました。 動物を擬人化して口パクで語らせる映画は数あれど、ここまでお下品で下ネタ満載なのってあったでしょうか?下ネタにしたって、大人の下ネタあり、中学生レベルあり、小学生レベルありとバラエティ豊か。勿論、一見ファミリー向け映画ですが、お子様と一緒に家族での観賞は絶対NG!だって、親が笑う度に子どもからの質問攻めにあって、お父さんもお母さんも気が気じゃなくなっちゃいますから。 下ネタ下ネタって言うと相当お下劣な作品と思うかも知れませんが、ちゃんと感動出来るシーンだってあります。でも、即座に下ネタ被されちゃいますから感涙はしません。やっぱお下劣です。一体全体、全部で何回ファックって単語が出て来たことやら。 犬やら動物が大好きな人は勿論、犬がそれほど好きでもない人でも、お下品系が大好きな方には超おススメしたい1本でした。 ちなみに、邦題より原題の方が好きかな。うん、ちょこっと捻ったタイトルよりシンプルな方が良いような気がします。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-06-02 23:22:51)《新規》 |
5. お母さんが一緒
《ネタバレ》 これは強烈な家族ドラマですね。多少のデフォルメはあるにせよ、結構な割合の家族で似たり寄ったりの諍いはあることでしょう。一つひとつの台詞が見事に三姉妹のキャラを表現していて、自分なりに想像するこの家族の昔からの在り様や家族関係を、まっこと当を得て表現しているものと思わせてくれます。 と、ここまで書いてみて、既にレビューされているお二人が殆ど書き尽くしてくださっているので重複は自粛します。(勝手に乗っかってスイマセン) これだけワンパターン的に繰り返される悪口雑言に全く飽きることなく、それどころか次はどうなるのと期待までさせてくれる脚本と演出、そして出演者の演技。これは脱帽でした。満足。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-31 10:29:09) |
6. お願いだから、唱えてよ
《ネタバレ》 短編でラストのヒネリがポイントとなる作品なので、そこんところはネタバレ無しが良さそうですね。と言っても、ラストのヒネリ部分は容易に先読み可能。それまでのベタなコメディ感から一気にほのぼの系へと転換するので子気味良しと言ったところか。舞台劇然とした雰囲気は結構好きです。 出来ればクレームして来た少々変人風の隣人が絡んでも良かったのでは?最初の騒ぎでクレームしといて、その後もっと騒々しいのに再登場しないのも変ですし。コンパクトに纏めるのには要らなかったのかな?でも、だとしたら最初の登場も要らないような…? [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-30 11:41:13) |
7. 愚鈍の微笑み
《ネタバレ》 60分というやや短めの作品にも関わらず、やたらデカ文字のオープニングに約5分、3人の登場人物にそれぞれ約5分のほぼワンカットの紹介的映像。その後やっとタイトルが。ラストはラストでオープニングのほぼ繰り返しのエンドロールに約5分。それだけで合計20分以上なので正味は40分弱の作品。正直なところ、その時間配分と映像表現、更にはオープニングから鳴り響く不安を煽られるようなジャジーなサックスソロという演出意図は、今一つ私には理解出来ませんでした。 物語はかなりシンプル。楽しい非日常を楽しむ女性たちに突然降り注ぐ恐ろしい非日常。その時、彼女たちは一体何を選択するのか?日常を離れ、自由気儘に過ごしていた時間を何としてでも持続させようとし、迫り来る爆音や振動も無いものとすべく努める彼女ら。しかし、現実は待ってくれない。それではどう受け入れる?さっさと自衛隊員に従って避難する?でも、それって力任せに現実に連れ戻されることになる。じゃあ、この苦難を運命として受け入れる?大好きな人たちと運命を共にすることが最良にして最期の決断? 最初に述べた矢鱈ロングカットの演出には馴染めませんでしたが、作品そのもののテーマ性と言うか観る者に投げかけて来るスタイルは好物です。トリプル主演の3人にも三人三様の魅力。手放しで高評価は出来ないまでも馴染めない部分も含めて魅力ある1本でした。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-30 10:52:59) |
8. 愛に乱暴
《ネタバレ》 原作未読です。 主人公の桃子は、どう考えてもとんでもないストレスに晒されて生活しているに違いないのに、整理整頓清潔な暮らしに励み、義母に心から優しく接し、ゴミ捨て場が汚れていれば率先して清掃し、手作り石鹸教室では懇切丁寧に指導する。嫌な顔ひとつせず疲れた顔を見せることもなく、彼女の暮らしぶりは主婦として妻として模範的としか言いようのないもの。それなのに報われない。何故? 報われないどころか、可愛がっている飼い猫は姿を消す、ゴミ捨て場では不審火、手作り石鹸教室で提案した新企画は無視、更には夫の不倫等々、日々の小さなストレスが蓄積しているところに大きなストレスの波が覆い被さる。そりゃ錯乱してしまうでしょう。 ところが、桃子のストレスが怒りに転じてピークに達したところで明らかになる過去。え?そうだったの?他人のこと言えないじゃん!という新事実。放った矢が巡り巡って自分に当たってしまった構図。ハッピーエンド?エンドロールの背景に鳴る靴音は新たな船出?違うんだろうなぁ…。 主演の江口のりこさんが素晴らしいです。甲斐甲斐しい妻のパートでは可愛らしく、怒りに震えるパートでは底知れぬ恐ろし気な迫力。難しい役どころを見事に演じ切ってますね。次の主演作が楽しみです。 タイトルの「愛に乱暴」って、シンプルに主人公の生き様なのでしょうか?日々の暮らしは丁寧に。でも、愛については乱暴に。日々の暮らしには冷静に対処(夫も認めている)出来ているけれど、こと愛に関しては激情的になってしまう。そんな彼女のキャラクター?夫については「乱暴」じゃなくて「乱雑」な気がします。 ちなみに、本作は神奈川県綾瀬市のフィルムコミッションを活用。個人的に馴染みのある土地故、ご当地映画的楽しみも出来て一粒で二度美味しかったです。なので、そこに+1! [インターネット(邦画)] 7点(2025-05-29 21:51:06)《更新》 |
9. スペース・シャーク
《ネタバレ》 Z級サメ映画の巨匠(の一人)、ダスティン・ファーガソン監督によるトンデモ映画ですね。 大作のパロディ(と言うか思いっきりコピー)だったり、自身の作品のネタを引用したり(殆どの人には伝わらんて)、いつも通りの作風です。(ここで「いつも通り」と言ってしまえる自分にも驚きますが) 要は、何故か運動能力を備えた宇宙植物(この時点で植物じゃなくて動物でしょ)と、これまた何故か植物由来の手足の生えた小型のサメ風生物(やっぱ植物じゃなくて動物でしょ)が、墜落事故で地球上に放り出されて何故か急成長して植物も動物も人間を襲うというお話です。 細かいことは言いっこなし。とは言え少しだけ綴らせていただくと…異様に長いオープニング&エンドロール。のみならずヒーリングビデオよろしく長回しの風景と出演者のフル尺ランニング。宇宙船内はお馴染みのゲーム的画面も長い。何という尺稼ぎ。宇宙船内の研究室の壁面が銃器で埋め尽くされている。宇宙船に衝突する隕石を地上から双眼鏡で発見して個人的判断で宇宙船と交信する人物。完全にPデター丸パクリの宇宙ザメが走り回るetc.…兎に角すべてがツッコミどころ。それを楽しむためのものなのだ、と割り切れる方だけが楽しめる作品。ある意味貴重な作品を生み出し続ける監督に+1です。 ちなみに、何故にエリック・ロバーツさん??(何かしら大人の事情でしょうか?) [インターネット(字幕)] 2点(2025-05-29 10:00:58) |
10. 侵入者たちの晩餐(TVM)
《ネタバレ》 バカリズムという人の書く脚本は、彼の芸風をそのまま映し出したようなおかしみがありますね。細かいと言うか、誰でも思ってても気付かないようなことを取り込んで、しかもそれがキチンと観る者に伝わるように表現出来ている。勿論、万人に受ける訳ではないのでしょうけれど(寧ろ嫌う人もいるかも)、私にはピンポイントでハマってしまいます。 なので、普通に考えたらバカバカしい設定と展開、そして演出なんですが、比較的短めの尺とは言え始終(大笑いじゃないです、クスクスと)笑いっぱなしで過ごせました。よくよく考えれば、同氏の他作(映画であれ連続TVドラマであれ)と殆ど同じような作風(出演者も)なんですが、何せ基本的に芸風が好きなので本作についても高評価です。ラストのちょっとしたどんでん返しもいいですね。いや~面白かった。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-29 09:34:30) |
11. 少し未来のある部屋で
《ネタバレ》 ひとつ間違うとコメディになってしまいそうなシチュエーション。もっとも、多様性が常識化した今の時代に、これをコメディにしたらさぞかし怒られるでしょうけれど。 男性による出産という設定は、SFの世界では既視感がないこともないような。ただ、本作では出産願望のある男性が実はゲイであるというひとひねりがあります。そして、突然訪れたお腹の子の父親には彼なりの苦しみがある。決して単純な話にはならない変化球的展開が新しく、物語に厚みを持たせてくれてます。 現実問題として、人工子宮による男性の出産って、倫理的な問題とかいろいろ障壁があるでしょうけれど実現可能なように思えてしまいます。現状では、出産そのものは女性に限られたお話(勿論原因は男性にもあることは承知していますが)、という前提があってこその不妊治療だったりする訳で、もし本作のように男性による出産が前提条件に加わったならば、当事者の思いは一体どうなることやら。決してコメディにはなり得ない深刻な問題ですね。 短編だからこその問題提起。結末までは示されない中、考えさせられるものはありました。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-05-27 22:14:14) |
12. マッド・ハイジ
《ネタバレ》 冒頭にナレーションがありますが、これってクラファン原資としたインディーズ作品なんですね。思い切った設定と派手な演出、スイス映画、恐るべしといったところでしょうか。 随所に遊び心が感じられ、決して退屈させられることのない作品ではあります。が、「ハイジ」である必要があったのかどうか…。既にご指摘もありますが、序盤は「ハイジ」のパロディ的な作りになっていてクスリとさせてくれます。でも、中盤以降はチョコチョコといろんな別のパロディ(というかリスペクトなのかも知れませんが)になってしまって「ハイジ」色がどんどんと薄くなっていくような。シチュエーションやら衣装やらだけが残って、メイン部分は普通にバイオレンスリベンジアクション(それも少々弱めの)って感じですね。 勿論それはそれで割り切れば楽しめはしたのですが、やっぱし「ハイジ」でスタートしたのであれば「ハイジ」で突っ走って欲しかったところです。続編作る気満々な感じのエンディングですが、もしそれが実現するのであれば、次こそは「ハイジ」一色に、しかもよりバイオレンス色に染めていただきたいところです。 そんなこんなで少しばかり不完全燃焼。勿体ないな、というのが正直な感想です。面白かったけどね。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-05-27 19:14:18) |
13. トンソン荘事件の記録
《ネタバレ》 かなりダークなモキュメンタリ―。でもって、これでもかとばかりに捏ね繰り回した感のあるストーリー。正直なところ、個人的には付いて行くのが難しかったです。もう少しシンプルに出来なかったものか?複数のエピソードが絡み合い、尾鰭付き過ぎの感は否めないような。 で、結局あの帽子を被った青年の霊が起こした呪いの事件だったのでしょうか?次々に取り憑いて惨劇を繰り返した?シンプルにホラーではなく、どちらかと言うとミステリー要素の方が強いですね。結局、(当たり前と言えば当たり前ですが)凶行に走るのは生身の人間。霊的なものに目をつぶってしまえば、抑圧された人間の狂気が生んだ悲劇(それもかなり複雑に絡み合った)について語られた物語ということなのでしょう。 おどろおどろしい雰囲気は本邦のホラーに優るとも劣らない強力なものですが、何せ人物相関図と事件の相関図でも作りながらじゃないと混乱してしまうお話。私の理解力が低過ぎたのか?あまり高評価は出来ませんでした。 ちなみに、英題の「Marui Video」とは、韓国国内で起きた事件映像のうち残虐度が高くて外部に流出させてはいけない映像のことのようですね。(てか、どんなだって流出はNGだと思いますが)なんだか、正直なところその辺りに引っかかって実話ベースの作品かと思ってしまいました。個人的な結論としては完全にフェイクなのでしょうけれど、それを悟らせないような巧妙な作品?未だ良く判りません。まんまと引っかかってしまったのかなぁ? [インターネット(字幕)] 4点(2025-05-18 16:07:13) |
14. ソフト/クワイエット
《ネタバレ》 全編ワンショットで撮影された超胸クソ映画。 ひとつには、最近では「カメ止め」でも話題になったワンショット撮影。予備知識なしで観始めたので、始めは「POV?」「目が疲れそ」みたいな印象でしたがそれがとんでもなかった。約1時間半の作品を見事に撮り切ってますね。これには脱帽でした。出演者さんたちも、台詞ひとつ取っても全部が全部アドリブってことはないでしょうし、立ち位置とかも目まぐるしく変わりますから動線を頭に叩き込んで演じ切ったのでしょう。相当キツカッタのでは?と察します。 もうひとつには、どうにもこうにも胸クソ悪過ぎる展開。そもそも、個人的には白人至上主義みたいなものを一切感じることがない環境で生活しているもんで、冒頭からヒロインの行動・言動に違和感というか拒絶感しか感じられず、小学校での少年とのやり取りにしても初会合の場でのやり取りにしてもスッキリしないものばかり。更にはメンバーの商店でのアジア系姉妹への異様な対応。それまでの経緯があるにしても異常です。割って入ったヒロインの夫もヘタレ過ぎ。そしてとうとう最悪の修羅場へ。やってることが全て犯罪なのにそれが正義と言わんばかりの傍若無人。こういう感覚、実際にあるのでしょうか?恐過ぎます。 ラスト、バンの中で遺体が動くカットから水面を長回しするカットで結末は予測出来ましたが、アナフィラキシーの妹は還る訳もなく、仮令4人のメンバーとヒロインの夫を刑務所送りに出来たとて姉の心に刻まれた傷は消えることはありえない訳で、いつか観た「ファニー・ゲーム」ほどの救いようのなさには届かないまでも、種類の違う相当な胸クソ悪さが残りました。 タイトルはこういった主義主張を社会に広めるにあたっての行動原理のようなものなのでしょうか?そのあたりもイマイチ理解に苦しむところです。 映像作品の制作レベル的には素晴らしいと思えますし、今も残り続ける差別主義をテーマにした作品としても見応えがあることは間違いないと思うのですが、どうにも胸クソ悪くてその分マイナス評価です。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-05-18 15:51:05) |
15. メタモルフォーゼの縁側
《ネタバレ》 原作未読です。本作品のみについての感想ということで。 W主演の二人の存在感・安定感が素晴らしく、ややもすると妙にヒューマンドラマ然とした雰囲気になりそうな物語が、極めて自然でどこにでもありそうにさえ思える印象に仕上がっていますね。 冒頭の法事帰りの雪の台詞とか聞いていると、もしかしたら余命を意識した老婦人が孫のような女子高生と友情を育み幸せに去って行く、みたいな展開とか、コミケやサイン会にすれ違いで行く二人の身に何か事故が起こってしまったり、みたいな展開とか、アルアル的なベタな流れを予感してしまいハラハラしまっくっていましたが全てが杞憂。こういう安心感のある作品って意外とないような? よくよく考えれば結構突拍子もない設定ながら、この安心感に包まれた作品世界は非常に心地良いものでした。常日頃から殺伐とした作品ばかり観ている自分にとっては、一服どころか百服ぐらいの清涼感と幸福感に溢れた作品に高評価です。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-17 09:53:57) |
16. いずれあなたが知る話
《ネタバレ》 一見、娘だけが生き甲斐で必死に暮らしているように見える母親。その実、娘のために疲れた体に鞭打って働き続ける暮らしには辟易している。そこに現れた見ず知らずの老女二人。娘に関わろうとする二人が鼻持ちならない。けれども、よく考えてみればあの二人に預けてしまえば娘は自分と居るより幸せに違いない。そっと覗き見ると娘は幸せそうだ。訳アリ風な老女たちも幸せそうだ。自分だって幸せだ。これでいいんじゃない? 追い詰められたシングルマザー。料金が支払えず電気を止められてしまうほどの生活困窮。ついには風俗で働くことに。夫が居た頃、それはそれで心理的DVで自分が何者か判らないような暮らしだった。一体私は何者なのか?そして突然訪れた救いの手。老女が娘を救ってくれる。そして、娘のいなくなったアパートは自分だけの空間。ろくに出来なかった掃除だって楽しい家事。風俗も指名してもらえるようになった。これで今までの暮らしからは脱出出来たんだ。 でも、世の中甘くはないですね。騙されてAVの道へ。アパートの隣人はいつの間にやら自分のストーカー。今や楽しみは老女と暮らす愛娘の幸せな姿を覗き見ることだけ。 しかし伏兵ストーカーも追い詰められていた。仕事をする気も起きず、実家に帰ることも出来ず、自分だって幸せな家族の暮らしをしたいのに恋しい靖子は彼女を食い物にする男に奪われ、可愛い綾ちゃんは老女に奪われ。そして決断してしまう。 オープニングに現実の出来事とは関係ないとのメッセージが表示されますが、老女たちによる誘拐容認とそれに続く娘の奪還シーンはともかくとして、他は如何にもありそうなお話。都会の片隅に生きる追い詰められた孤独な人間のお話。幸せになりたいのに追えば追う程幸せは逃げて行ってしまう。ある種淡々とした語り口に惹き込まれました。 ただ、ラストはどうなんでしょう?娘を取り戻すこと自体は実行犯も含めて概ね予想通りだったのですが、ちょっともみ合ってあっけなくお亡くなりとは…。そこの演出ってどうにかならないもんだったか?カメラアングルとか時折「お!」と思わせてくれるカットはあったのですが、ラストの頓死的な死に様はどうにも安直に思えて只管残念でした。最後の最後に興覚めしてしまった。 [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-14 00:32:35) |
17. レンフィールド
《ネタバレ》 シンプルに楽しいアクション・コメディ・ホラー。元ネタのエロティシズムは抑えられつつも、ちょっとばかりスプラッター風味が強いのでお子様には向きませんが、何も考えずに楽しむにはうってつけの1本ですね。 何よりも魅力なのはダブル主演のダブルニコラスさん。流石のケイジさんはドラキュラになりきっていて風貌はあのクリストファー・リーさんを彷彿させるお姿ながら、これぞニコラス・ケイジと言わんばかりのキレっぷり。お見事です。対するホルトさんもイイ味ですね。ご主人様にはどうにも逆らえない気弱なイケメン青年ではあるものの、迷いに迷いながらも過去を悔い「善」のために尽くそうとする健気な姿はピッタリの役どころ。ダブルニコラスさんあってこその作品になってます。 レベッカ巡査を演じるオークワフィナさんもいいですね。最初の登場時には矢鱈と突っ走るアジア系熱血女性警官としてなんだか取っ付きにくい雰囲気満々なのに、物語が進んで行くうちに何だか可愛らしくさえ思えて来て、ラストには最初とはまるで別人の優しい笑顔。このキャスティングも気に入りました。 元ネタのレンフィールドとは少々、てか相当異なる立ち位置設定で、登場人物をシンプルに纏めるためかかなりのアレンジですが、そもそもが創作と思えばそれもアリかなと。元ネタ通りにしちゃったら人は増えるは尺は延びるはという状況になっちゃいますね。約90分の尺なのも本作を大いに楽しむためにはベストではないかと。矛盾点とかは一切目を瞑りましょうという気にさせてくれました。 仕事選ばないんですか?と言いたくなって久しいニコラス・ケイジさんですが、これは出演して良かったですねと言いたくなる満足の1本でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-05-12 10:37:43) |
18. 怪獣ヤロウ!
《ネタバレ》 怪獣映画愛、特撮映画愛に溢れた作品ですね。個人的にはピンポイントでハマりました。 冒頭から思いっきりベタな雰囲気ですし、主人公にしても市長にしても主なキャラ設定も思いっきりベタ。それでも惹かれたのは思いのほか丁寧な作り故か。観始めて少しの間は頓挫しかけたりもしましたが、少しずつ惹き込まれていきました。 ズラリと並んだ特撮小道具大道具。ノスタルジックな気分に浸らせてくれました。押し入れから引っ張り出した中学校時代のVHSのラベルが浮いているところなんかアルアルでイイ感じ。微に入り細に入りコダワリを感じますね。 着ぐるみがダメになって秘書と主人公が生身で怪獣を演じるなんて唖然です。特に主人公演じる怪獣はイイですね~。正直なところ芸人としてのぐんぴぃさんは全く知りませんでした。が、本作のキャラにはピシッとハマって実にいい味出してますね。 クライマックスあたりでは不覚にも感動さえしてしまった作品。かなり贔屓目の評価です。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-10 13:38:37)(良:1票) |
19. スイート・マイホーム
《ネタバレ》 原作未読。原作は名のある賞を受賞した作品。映画化にあたっては、かなりの味付けを施したのでしょう。 そう、言い方を変えればかなりの部分で粗が目立つと言うかツッコミし放題と言うかの作品ですね。ホラーだホラーだとミスリードしておいて、結局はホラーじゃなくて人間の狂気をベースにしたサスペンス。敢えてベースとしたのはテーマ性は弱いかな?と感じたからです。 少なくとも本作を観る限り、主人公のトラウマになっている実家における過去の出来事と、おそらくはそれに起因する兄の現状は、主人公のマイホームに纏わるストーカー的事件とは関係なく思えるから。兄が何かに怯えているからといって、主人公の家にまで類が及んでいる訳じゃ全然ないでしょう。あるとすれば、あくまでも主人公の内なる世界のお話じゃないかと。でも、だったら一連の犯人は主人公でした、みたいな展開があっても良さそうだし。 子どもの頃、弟を庇い父親に虐待を受け続けていた兄。見かねて父を殺してしまった弟。同じく夫に苦しんでいた母親は、子どもたち(自分自身も?)を守るべく遺体を処理して犯行を隠してしまった。弟の凶行と母親の隠蔽行為は兄にとってあまりに重過ぎた。だから、得体の知れない脅威を想像し引き籠ってしまった。 主人公はあまりの心理的ショックに自らの行った行為の記憶を封印してしまう。閉所で錯乱するのは封じた記憶が解き放たれるのを妨げるためでは?百歩譲れば不倫行為もその延長上にあるのかも。十分に幸せなのに更なる幸せを欲張ってしまったとか? いずれにせよ、幸せの絶頂から奈落へと突き落とされたことで狂気に陥ってしまった設計士(原作では更に別エピソードもあるようですね)の犯行は、部分的・間接的には主人公の不貞行為に起因するものかも知れませんが、あくまでも彼女の世界を守らんがための凶行に思えてならないです。同僚殺しも主人公の元愛人の自殺も主人公の兄殺しも。とりわけ兄はある意味純粋な被害者。とばっちりに近いのでは? 全編を覆う不穏な空気感。登場人物の謎めいた雰囲気。途中でそこそこ見えてしまうにしても、適度に意外性を伴う真犯人とその人物像等々、惹き付けられる部分は少なからずあります。しかし、総じて見れば今一つ纏まりに欠けるように思えてしまうところ。数多ある「?」とか「んな訳ないだろ!」的ツッコミどころをもう少し丁寧に描きつつ、実家の事件と現在の事件の整合性を見せていただければ、もっともっと楽しめたかも知れません。エンディングも残酷さ・理不尽さに走ってしまった感があり、かなり残念な作品。赤ちゃん受難エピソードが胸糞だったことはかなりの減点要素です。甘めの4点を献上します。 [インターネット(邦画)] 4点(2025-05-05 00:09:21) |
20. 架空OL日記
《ネタバレ》 何とも居心地の良い作品。連作コントを観ているような小気味良さ。大笑いする場面はそれほど多くはないのだけれど、気付けばニヤニヤ笑い顔で観てしまっている。納得させられている自分がそこに居る感じ。流石のセンスです。 この手のホンワカした雰囲気で纏め上げた作品でも、大抵の場合(特に劇場版製作にあたって)は何かしら大きなアクシデント的なものが盛り込まれていてそこがクライマックスになっているものですが、本作の場合はそれがない。強いてあげればラストのウェディングシーンがクライマックスですが、それさえもサラリとしていて二人の「私」の出逢いのためのキッカケに過ぎないといった感じですね。エンドロールの使い方も好感。 果たして、クライマックスにおける偶発的な?出逢いは夢オチと理解するべきなのでしょうか?それともマルチバース的概念として理解すべきでしょうか?個人的には後者かなぁ。「私」が夢を見ていたとするには、イマイチ物語上の必然性に欠けているような気がしたりもします。 と言っても、まぁそんなことはあまり気にしない方が良さそうですね。散りばめられた一つひとつのエピソード。そこに込められた人間味のある空気間がたまらなく心地良い。コントを始めとする他のバカリズム作品とも共通する面白さ(興味深さ)をじっくり楽しむのが正解だと思います。あぁ面白かった。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-05-01 23:57:08)(良:1票) |