1. 駅馬車(1939)
《ネタバレ》 全編を貫く器の大きさとやさしさで、人生経験の浅い自分にも面白いとかんじさせてくれる映画でした。 器にまけない丹念な人物描写と、洗練された展開。登場人物の余計な一言や正直さが出来事を転がしていく軽快なリズム感が、無駄の無い音楽とあいまって快かったです。 水をかきわけていく馬→荒野の轍、運転手の負傷→手綱の緩みと車輪の加速、 と、場面のスィッチによるスピード感も抜群。 ただ、昂揚感を助けるためなのか登場人物、特に主人公、ヒロイン、お医者さんが超越的過ぎて、 最近の映画と比較して嘘寒い部分も幾つか感じられました。折角なら賭博師も仲間に加えて 欲しかった。あの目のゆとり。あれでは随分金にゆとりが出来てから暇潰しで生きてる様で、 あまりにも浮いている気がしました。勿論誰に感情移入しようが一様に楽しめるのでしょうが 、最後弾一発となって初めて勝負師の眼を取り戻して、なんかスタイルを守る矜持は普段は 持ち合わせてないみたいな、除け者感がありました。インディアンや銀行員、婦人連の人達 のそらぞらしさに比べて、馬車に乗り合わせているにも関わらず、この人だけ描写に偏りがある様に感じられました。 つけ加えて、重厚な人物描写の為何れの人物も精神年齢が高くみえてしまい、 粋な要素が勝ちすぎた気もします。最後のリンゴキッドのイケズに卒倒しそうになりました。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-29 02:05:05) |