1. レッド・サン
《ネタバレ》 (以下激しくネタバレです。) 子供の頃(30年ぐらい前)に見て、日曜に久しぶりに再鑑賞! 「ロバはしゃべらない」なんて三船のセリフ、いいねぇ。 「寡黙ゆえに一見間抜けと思われがちだが、実は誰よりも誇り高く、物事の本質を理解する能力にもあふれている」 という日本人にはたまらない美化された日本人=サムライ像! それだけにラストのドロンに切りかかるあたりが非常に唐突で不思議。 ブロンソンの「殺せ!」も一瞬、え、今なんて言った?誰にむかって言っている?ってこちらも混乱してしまう。 <三船は夢中でブロンソンの加勢をするために切りかかる。だが、一瞬ブロンソンと目が合い(?)彼との約束を思い出し躊躇。その躊躇がドロンに撃たれるスキを与えることを知っているブロンソンが、三船に「(躊躇するな、)殺せ!」と叫ぶ。結局三船はその一瞬の躊躇が仇となって死ぬことになり、三船を殺したドロンをブロンソンは大金在り処を引き換えにしても、赦すことができなかった…> てなかんじなのだろうが、でも三船さん、武士に二言はないはずなのに何で約束破っちゃったんだろう。 それまではとことん武士道やサムライを崇めておいてのこの落差。 このあたりがどうにも納得いかん。 が、それを除いてはこんなキワモノのくせに良質の佳作だと思う。コマンチとかの無意味で時代遅れな後半の展開は確かに失笑モノだが、それを差し引いたとしても少なくとも「ラストサムライ」なんかよりずっといい。こちらのほうがずっと楽しませてくれる。 どなたかも書いているけど、私の中でも本作は洋画サムライモノで最高作品だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-02 12:21:28) |
2. ジュリア
《ネタバレ》 完全に主人公リリアンの目からのみ描かれるタイトルロールのジュリア。彼女が実際何を為そうとしどんな危険と隣り合わせていたのかは、私たち観客もリリアン同様最後まで知ることはない。その謎だらけの描き方がかえってジュリアを究極の理想の彼方へ高めてくれる。私たちもリリアンと同化しジュリアの身を案じその魅力の夢中になっていくのだ・・・こうしたリリアンの「尋常ではないジュリアへの憧れと美化」にフィクションの匂いを感じながらも、それでもこの映画を好きにならずにはいられない、そんな女性はいっぱいいるだろう。 「心から尊敬し心酔する友の不在」 「やりがいのある社会的任務の遂行の難しさ」 「苦悩の中からも自分の才能を開花させる根気強さの欠落」 そんな現実を生きる私たちに浮世の辛さを忘れさせ明日への活力を与えてくれるこの映画は現代の女性のためのファンタジーだ。 もっとも実際、もしこんなすごい友達がいたら、私だったら劣等感ゆえきっと疎遠にならざるをえないだろうがなぁ。リリアンという人がそうならなかったのは彼女の偉大さや才能・自信の証ということなのだろう・・・もちろん全ては「この話が実話だとして」の話であるが・・・ [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-02-27 12:53:34) |
3. カッコーの巣の上で
《ネタバレ》 不思議な爽快感・・・この映画のラストを観て感じたのはそういうものでした。正直それにいたるまでのマクマーフィの反抗だの婦長の圧制だの患者たちの悲哀やそれを跳ね返すらんちきパーティーだのはそれほど心に来るものではなかったし。(うーん、というかこの映画がオリジナルなんでしょうが、精神病院を舞台にしたその後の映画でもこういうものは散々描かれてしまっているがゆえに斬新さが失われてしまっただけなのかもしれませんが。) でもねえ。あのラスト、ありゃこの映画を名作たらしめるのに少なからぬ貢献をしていると思います。ほんの数分前には「もぉのすごぉぉく後味悪い幕切れ」にしかなりようもなかったのに、起死回生の逆転ホームランをかっ飛ばしたかのごとく大空にスコーンとぬけるチーフの脱走シーン。ああ、これを観るために私はいままで2時間ここで座り続けていたのだな、そしてこの2時間は決して無意味なものではなかったのだな、と実感した瞬間でした。すみません、人間の尊厳とか体制を維持する必要性とかその間のバランスの取り方とか多分いろんな要素が含まれている素晴らしい作品であることは数々のレビューからも知ったのですが、私はそういう思想的なものよりもより具体的なこの映画の手法に一番舌を巻いてしまいました。 そういう意味では昨夜のような日曜の夜でも鑑賞に堪えうる作品だったかな・・・と。よかった、です。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-21 15:05:22) |
4. ロバと王女
《ネタバレ》 とても美しく夢のある映画ですが、あくまでこの映画のミソは、亡くなった奥さん以上に美しいからって実の娘を後添いにしたいなどと言い出すちょっと異常な父王様にあると思います (それに少しフラっとしちゃう王女様のいい加減さも笑えるけど)。だからお城を抜け出してからの「ロバの皮」になってからのストーリーは正直やや退屈でした。恋の相手の王子様もいまひとつインパクトないしね。そりゃきれいな昔話絵巻やシュールな演出(ヘリコプターでの登場など)がスクリーンに展開されていきますが、それだけだったら絵本で読んでおのおのが頭の中で想像する世界のほうが上なわけで、わざわざ映画として作り上げるならもう一味工夫が欲しいところ。もちろん1970年という公開年を考慮に入れるなら、このぐらいでも十分冒険はしているとは思うんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-10-15 17:17:50) |
5. 日本沈没(1973)
昨日衛星でやっているのを、ついついみちゃいました。うーむ、♪チャラララーみたいな音楽に時代を感じますねぇ。ファッションや世相もちょっと前ならものすごくこっぱずかしいんでしょうが、ここまで時代が遠くなると登場人物たちの垢抜けなさもまた味わいに思えるから不思議です(笑)。 さて、本題の映画の内容に入りますが、丁寧に努力を重ねて作っているという製作側の姿勢が伺え、好感をもちました。特にこの感じ(音楽や配役)ならラストは絶対、「主人公たちの涙の再会そして抱擁」で終わるもんだとおもっていたのに、ちょっとやられましたね(すみません、当方原作は未読なので結構甘々なエンディングだろうとタカをくくっていました)。こんなラストの描き方なんかにも「今までと違う映画を撮ってやるぞ!」みたいな意気込みが感じられます。 そんなわけで、今回の採点は甘めでこんなかんじになりました。また見たい映画かと聞かれると、やっぱ一度で十分って気はしますが・・・ [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-07-04 12:25:13) |
6. ルパン三世 カリオストロの城
《ネタバレ》 この映画を観るたびに、頭を過ぎるストーリーがある。それはテレビアニメ、ルパン三世のファーストシリーズ、第11話「7番目の橋の落ちるとき」。 別に特に似ているストーリーと言うわけではない。が、共に宮崎作品特有の可憐な乙女を救うために活躍するルパンの姿た描かれているという点に通じるものがあるこの2作品なのだが、私にとってはこの「見ず知らずのカワイコちゃんを助けるために鮮やかな手並みで仕事を為し遂げる『7番目・・・』のルパン」がこういう騎士的設定で認められるギリギリの姿なのである。だから、それよりコテコテと飾り付けられてしまった感のある本作は、どうしても引いちゃうんだよね。例えばヨーロッパの姫君とか、昔助けてもらったというエピソードとか、「おじさま」という呼び方とか、銭形のあのラストのセリフとか・・・ うーん、つまりさぁ、私の愛するルパンの女性守備範囲はやはりオトナの女が基本で、16歳のウブなお嬢ちゃんはちょっとした気の迷いっつーか、ほんのつまみ食い損ねぐらいに描いて欲しかったワケ・・・まあ、「7番目・・・」が30分足らずなのに対しこちらは劇場公開の長編なわけだから内容をクドくしなくちゃならないのもわかるんだけど、やっぱロリコンのルパンなんてのは観ているとおしりがムズムズしちゃう。・・・そんなもんなので、点数もこんなんです。ごめん、勘弁しといてください。 [地上波(邦画)] 3点(2007-06-27 14:15:12)(良:1票) |
7. ゲッタウェイ(1972)
《ネタバレ》 最初に観たのは小学生のときでした。ラストが印象的で、あのまま逃げおおせられたのかが心配で心配で夢にまでみてしまいそうでした。・・・10歳やそこらのオンナノコにそこまで感情移入させられるってのは、やっぱ名作の証なんじゃないでしょうか。 [地上波(吹替)] 7点(2007-01-25 15:48:35) |
8. あんなに愛しあったのに
《ネタバレ》 今を去ること20年近く昔に友達と映画館で観ました。 友達は「ニューシネマパラダイス」が観たいと言ってたんだけど結局彼と観ちゃったから、最初私が観たがっていたこっちに急遽行くことになったっていう、あまり最初から期待度の薄い観賞。・・・・ しかし、いやー観て良かった!!オープニングからしばらくモノクロで話を進み、「ヤバっ!!これハズしたかな」って隣の友達の様子が妙に気になったのも事実ですが(だって観たがったの私だったし・・・)、でも進んでいくうちにだんだん引き込まれていく力にこのスコラ監督の凄さを感じましたよー!!・・・ ストーリーはレジスタンスで友達になった3人の男たちのその後の戦後の人生を淡々と描いている、ただそれだけの映画です。多分彼らの人生のクライマックスはそのレジスタンスが勝利した終戦、まさにそれであってその後の人生はまさにオマケみたいなもの。特に映画として描くようなものではない。 でもクライマックスが過ぎたからといってそこで人生が終わるわけではない、つまらなくともカッコ悪くとも生きていかねばならないのです。それが切ないほど伝わってくるんですよね・・・(くー!!あたしゃこういう話が大好きなんだワ)。・・・ DVDになってるかわかんないんですが、多分なってないんだろなー。レビュワーも私の前に一人しかいないし・・・残念! で、このレビューを目にしてくれたアナタ!もしその後BSなんかで地味に放映の宣伝をしているのを見掛けたら、騙されたと思って是非観賞してみてくださいね。「あんなに愛しあったのに」なんて邦題名覚えやすいでしょ! ただし万人にウケルとはなかなか断言できませんのであしからず。アナタがこの映画の感性に共鳴できるひとであることを望みつつ・・・というわけの「7点」献上です。 [映画館(字幕)] 7点(2007-01-12 17:06:33)(良:2票) |