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プロフィール
コメント数 173
性別 女性
ホームページ http://stern-sanchi2.cocolog-nifty.com/
自己紹介 レビュワーになって丸15年が経ちました。

14年目の去年のレビューは0件、コロナ禍とはいえ映画館にも行かなかった1年でした。

「もうここにレビュワーとして参加するのも卒業かな…」なんて思っていたところ、過去に投稿した拙レビューに「良」と投票してくださる方々がいまだにいらしたことを知り、無性にうれしく思ったものでした。
こんな想いを抱えたままではまだまだやめられないな、と…

そんなわけで相も変わらずのぼちぼち参加ですが、
今年もどうぞよろしくお願いします・・・

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 
パラサイト-寄生。なんかこの言葉から連想する厭らしい「したたかさ」や「ジメっとした感覚」そんなちょっとした「怖いもの見たさ」を満足させてくれる映画を期待していった訳ですよ。「庇を貸して母屋を取られる」的なジワジワした怖さをね… でもごめんなさい、全然違っていましたね。 前半の金持ち一家への侵入は、多分コメディーパートなのでしょうか、正直あまり面白くなかったです。金持ち一家に入り込んで寄生する過程がもっと綿密で絶妙なものを期待していたのに、胸をすくような詐欺手口とは全く別物。あの社長一家はみんなしてチョロすぎでしょう。家庭教師はともかく、自分の命を預ける運転手や食事を任せる家政婦の選定にこの杜撰さはちょっと…。そんな有り得無さがのほうが気になってしまい、ほとんど笑えませんでした。 でも後半の計画が破綻し始めるあたりから怒涛のスプラッターな展開、こうなってようやく持ち直してきた感はありました。「匂い」の使い方なんかはとても印象的で良かった。でも前半のがっかり感を挽回できるような、うならせる展開には残念ながら至らなかったようです。  全体をとおして思い返してみれば、格差社会批判としても詐欺モノとしてもコメディーとしても微妙な感じの仕上がりだと思うのですが、なぜこんなに話題作とされているのか…2019年は映画不作の年だったってことですか? ひょっとしたら、「初のアジア発作品賞」とか「定説を覆した四冠達成」っていう話題性を作り上げないといけないほど、アカデミー賞自体が行き詰まっているってことなのかもしれませんね……
[映画館(字幕)] 4点(2020-02-12 12:10:01)(良:1票)
2.  アド・アストラ 《ネタバレ》 
いや、びっくりしました。 (以下、激しくネタバレです。) えらく深刻ぶったスタンスで終始ストーリーは進むのですが、もうどんどん内容がガバガバになっていく感じです。 その辺りは最初の方が既に指摘されているので敢えて書き出しませんが、一番驚かされたのは、この主人公の父親に対して抱えてるトラウマ(?)は3人の乗組員を死に至らしめても解決しなければならぬ案件だったのか?ということです。(それともなんでしょう、サージを抑えて人類を救うのは彼以外の人間には不可能ってことだったんでしたっけ?私がその辺の設定を見過ごしてしまったってことなんでしょうか?) まあとにかく、命令違反を犯してでもそれだけの覚悟を持って行動に出たのだから、私ゃてっきり、サージをおさめた上で彼はたった一人で宇宙に残り父の使命を受け継ぐのかと思ってしまいましたよ。 それが父との別れの後、 「えっ、まさかこのまま地球に帰って来ちゃうの?」 「えっ、戻った後も命令違反とか全部不問なの?」 「えっ、奥さんともひょっとして和解できちゃうわけ?」ってびっくりの連続です。それでいいんですか?なんか色々大甘過ぎやしませんか? いや、アメリカ映画だしハッピーエンドが当然でしょ!ってんならそれでもいいんですが、えらく辛気臭いこの雰囲気はどう解釈したらいいものか、と… ああ、なんか変なもやもやが残るなあ。なんともバランスの悪い作品でしたね…
[映画館(字幕)] 3点(2019-09-22 22:59:41)
3.  グリーンブック 《ネタバレ》 
よかったです。正直観終わったときは「うーん、作品賞っていってもそれほどでもないかな。普通に良いってくらい…?」だったんですよ。けど、鑑賞後72時間過ぎた今、じわじわ感じるものがあることにちょっとうれしい気分なのです。  多分ね、こういう社会問題をテーマにしたロードムービー、加えてちょいちょいニヤリとさせながらも最後は感動にもっていくって映画は今までにもいっぱいあったように気がします。だから既視感は、前のほうでもおっしゃっているように、結構あります。 それでもこの映画、野卑な運転手のトニーが、鑑賞後どんどん魅力的に思い出されてくるのですよね。あんな何処にでもいるおっさんが、ですよ。 なんてったって腕っぷしは強いし肝も据わっている。知性や教養はてんでお粗末ながら、それを持っている人へのコンプレックスや僻みに心が歪んだりなんてしていない。まさにパンのように素朴で単純なこの俗っぽいイタリア男がすごくいいんです。 普通なら、この困難なツアー実施を英断したドクターのほうをより魅力的に描くんじゃないかなって思いがちだけど、そうではない。ドクターは天才だけど、孤独で傷つきやすくいっぱいいっぱいで生きている人。この旅でより恵みを受けたのはむしろ彼のほうでしょう。  映画終盤、演奏旅行は終わり2人はそれぞれの元の生活に戻っていきます。トニーは愛する家族に囲まれながらもまた金の工面に四苦八苦する生活に、ドクターは著名なピアニストとして豊かで優雅で安全な、だけど孤独な生活に… だから彼が勇気を出して自分の殻を破り、二人の友情がその後末永く続いたというエンドクレジットに、ほっとした観客も多かったのではないかと思います。(エンドロールになってもほとんど席を立つ人がいませんでした。)  地味ながらなかなかの佳作。 今は、作品賞をとってくれてありがとうと言いたいですね。とらなかったら多分観過ごしてしまったことでしょうから。  追記(2019.3.6) さきほどこの映画の受賞は本国で賛否両論だという記事を偶然目にしました。それによると「『白人が黒人を救う姿を描く“white savior(白人の救世主)”』の映画だ」という批判的な意見はそもそも受賞前からあったのだとか… うーん、そうなのかなぁ…「白人が黒人を救う」っていうよりは「凡人が天才を救う」っていう映画に私には見えたんですけどね… しかしそういう意見も出るということに、アメリカという国の人種差別問題の根深さを感じます。 確かに「サレタほうはシタほうにずっとずっと厳しい目を向ける」もんなのです。それもいつまでもね…(まあこれは人種問題に限らず世界中どこでもいっしょなんですが)
[映画館(字幕)] 8点(2019-03-05 17:38:21)(良:2票)
4.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
音楽系伝記映画って、そんな好きじゃないと思ってたんですよ。基本なんか同じようなストーリーっぽいじゃないですか。下積みで苦労ののち成功、でもそれゆえの孤独を噛みしめることになり、最後はそれを友情で乗り越えて大団円って感じ。だから「ドリームガールズ」も「ジャージー・ボーイズ」も「ああ、いつものやつか」って感じで感動するほどじゃなかった…  この映画予告を初めてみたとき、正直思ったものでした。 「そんなものに私の大好きなクイーンをフレディを巻き込まないで欲しい! クイーンはあの素晴らしいライブ映像で十分なんだ! あれが彼らが伝えたかった全てなんだ! だからその背後になる人間ドラマとか苦悩とか、そういうのをそっくりさん使っていかにもな風体で作り上げた所詮ニセモノなんぞを見せつけられたって、シラケるだけに決まってんじゃん…」  でも、ツレアイに付き合って渋々この映画を見る羽目になった私は、なんのことはない、普通に感動しておりました。 そしてラストにはウルウルとさえしてしまった自分に、今若干の気恥ずかしさを感じています。  結局、こういう伝記映画を楽しめるか否かは、描かれている人たちへの思い入れがあるかないかだけなのか?  それを確かめるためにも近々彼らのライブ映像をもう一度見直してみたい、そんな風に思っています。  あ、点数ですか?このレビューじゃご託並べてゴネていますが、文句なく「率直に面白かったぁ…って言える」映画だと思うので8点です。 ブレイク前の日本でのエピがカットされたのはやや残念ですが、まあこの長さじゃ仕方がないのかも…
[映画館(字幕)] 8点(2018-11-15 17:26:23)(良:1票)
5.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
スターウォーズはね、そりゃ素晴らしいシリーズですよ。でもね、私はそんなライトセーバーが欲しくてたまらないほどのめり込んだクチじゃない。結局「ソロとレイアのツンデレ」こそが命と思っている、けしからん(しかし実は大多数の)観客なのです。 ですんで、フォースやジェダイの行く末にも心燃え立たない。ep4のレイアよりずっと美形のパドメにも心動かされなかった私が、なんでポッと出の新シリーズのカワイ子ちゃん主人公に肩入れできるでしょうか。また、ソロの1/10の魅力もない中二病のその息子に深く共鳴できるというのでしょう。前作のキャラたちを凌げるような魅力的キャラを生んでこその新シリーズであり続編なんじゃないんですか?(まあこのシリーズに限らず、このハードルを越えられる続編映画が極わずかであることも否めませんが。) 「それなのになんで観に行くんだよ!」と問われれば、やっぱり諦めきれない未練みたいなもんですかね。いわば、あんな楽しませてくれたんだから「夢よ、もう一度…!」って気分。ep7では新キャラたちは今一つだったが今度はよくなったかもしれないし…… でも、今回はっきりわかりました。ダメだよ、コレ。この新メンバーたちがどうなろうと、もう絶対ソロとレイアに代表されるep4から6までのドキドキワクワク感なんか生まれっこない。だって、今回の映画で「画面に出てきて一番うれしくなったキャラクター」がチューバッカなんだもん。着ぐるみってホント便利なもんだわ(苦笑)。  時系列における前3作のコアなファンの懐古主義的支持によりそれなりの興行成績は修めるだろうが、そういうものにすがるより全く別の新しいワクワクドキドキを生み出すほうがよっぽど映画業界のためになることは、製作者の側だってもう分かりきっているはずだ。それについてはここ10年以上ずっと言われ続けているのに、全く変わる気配がない。その絶望感を私は今回改めて強く感じてしまった。 ハリウッドは、人種別にまんべんなく配役を苦心するのもいいが、それより先にやることがあることに早く気づいて欲しいですワ、ホント。
[映画館(字幕)] 3点(2017-12-21 12:32:37)(良:4票)
6.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
確かに主題歌は素晴らしいです。つい口ずさみたくなるような軽妙なメロディー、これは頭の中をぐるぐると心地よく駆け回る。そして「ミュージカルは苦手って人も是非見てみて、すごい素敵です!」というマスコミのコメンテーターの熱弁、アカデミー賞最多部門ノミネート!っていうのも「おお、じゃあ私みたいな『ミュージカルはちょっと』ってタイプも楽しめるのかも…」なんて思ってしまったわけだったのでした。  ……しかし、実際は違っていました。この映画は一言で言うと、観る人を選ぶ映画だと思います。下のレビュワーの方たちのような古き良きハリウッドミュージカル映画を愛してやまない方たちにはたまらない映画なのでしょう。でも、フレッド・アステアとか「シェルブールの雨傘」とか「理由なき反抗」とか、そういうものにさして思い入れのない私のような人間にとっては、申し訳ないが、さほどの映画とは思えませんでした。 まず恋物語として、なんでこの二人が惹かれ合っているのかよくわかりません。お互いに違う夢を持つふたり、趣味も違う、でも惹かれずにはいられないって感じが伝わってこない。なんか薄いんですよね。 夢に叶える努力の物語としても、ヒロインに対しては「才能がぎりぎりのタイミングで認められてヨカッタネ」、ヒーローに対しては「一時我慢してもお金を貯めて念願の店が持ててヨカッタネ」って、今一つ他人事で感情移入しきれないんです。それは彼らの個性というものにほとんど魅力を感じられないから。 ミュージカルとしても、そう…。さすがに最初の渋滞の高速道路のダンスとラストの二人の別の未来(?)は「おっ」と思いましたけど、それ以外そんな胸躍るような踊りも音楽もなかった気がします。丘の上で景色を眺めならのダンスもあれも元になる映画への愛があるからこそ響くのでは?プラネタリウムのシーンも同様です。そういうの抜きにしてみればそんなに感動的な美しいシーンでしょうか?ワクワクさせる音楽でしょうか?私にはどうも置いてけぼり感ばかりが心に残ってしまいます。 結局ミュージカルってやはり舞台の上での切磋琢磨を経てこそ傑作として育っていくものなのだなと、逆に痛感させられましたね。本作のような舞台発ではない作品は所詮オマージュ映画としての良作だとしても、歌とダンスで魅せる本当のミュージカルの傑作とは違うのでは?  ああ、こういうがっかり感、昔「フォレスト・ガンプ」で感じたことが思い起こされます。あれはアメリカの世相の変遷を熟知していてこそ楽しめる映画だったのに、見事にしてやられました。音楽にやられたという意味では「崖の上のポニョ」もありましたが、何より「配給会社の広告手腕の巧妙さに恐れ入った」という意味では「ダ・ヴィンチ・コード」以来ですかね。 というわけで、観る映画を選ぶ際はもっと慎重に…という自戒の意味も込めて4点献上させていただきます。 まあ、こういう感想もあるということで勘弁してください。
[映画館(字幕)] 4点(2017-02-27 13:16:12)(良:1票)
7.  箱入り息子の恋 《ネタバレ》 
終盤の赤裸々な(?)シーン、そこに批判的なご意見も多いみたいですね。でも、ワタシ的にはそこにそこの映画のミソがあるんじゃないかと思うのです。 だってそれ以外は、 「無気力なオタクの青年が初めての恋により、自分の内なる壁を乗り越えて成長する」とか、 「お相手は視覚に障害のあるはかなげな美女」とか、 「彼女の父親は金持ちで見栄っ張りで分からず屋」とかとか、 みーんなある意味手垢のついたような設定じゃないですか。  「美男美女でない者たちの不器用な恋愛」は確かに数々の映画でポピュラーなテーマとして取り上げられています。 しかしそれらは、あくまで清純な恋愛の枠を出ていなかったのではないでしょうか。「ピュアでプラトニックで爽やかに」と一本調子で描かれる恋愛です。 そこにはとどまらない「大人の男女なら当然持つであろうパッション」を非モテ系の不器用な恋愛にも大胆に持ち込んだところ。それこそがこの映画がほかの類似映画に埋もれさせない要因なのです。観た人の心にざらついた違和感としてひっかかるのです。  正直、そういうとこまで見たい人がいるのか?という疑念もないわけではありません。実際不快感を表す人もいらっしゃるみたいですし…でも私には少なくとも不快ではなかったなぁ。鑑賞後時間を置くにつれてむしろこのざらつきが心地よくすら感じられてきました。  そういう意味では観る人を選ぶ映画なのかもしれません。でも凡作ではないことは確かです。 というわけで、よかったらお試しあれ…
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-15 18:08:25)
8.  ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 《ネタバレ》 
実は、ハリーポッターシリーズははっきり言ってあまり好きではないのです。 しかし今度のこの作品については、可愛らしいかつての子役たちが(大人の役者としては微妙ながら)行きがかり上そのまま演じ続けていた前シリーズと違い定評ある大人の俳優たるレッドメインが主演であることだし、20世紀初頭という時代背景もいい感じなのでそれなりに期待していたのですが、いやはやとんだ期待倒れの作品でした。 まず、先のレビュワーのお二人が仰っているように、主役にほとんど魅力が感じられません。そんなに腕のある魔法使いにも思えない。さりとて不器用ながら愛すべきキャラクターってわけでもない。思わず笑ってしまうような気の利いたユーモアもない。 ワキを固めるのも、いかにもありがちな権威的なお偉いさん、その中にいかにも「ひそかに潜んでいる」のだかすぐに「こいつがラスボスだな」と気が付いてしまうような悪役、不器用ゆえ上に評価されないいかにも生真面目なヒロイン(?)と、なんだかどれもこれもどっかで見たことあるものばかり。 つまりこの映画は登場人物たちのキャラではなく、タイトル通り「ファンタスティック・ビースト」たちが売りなのか?とも思うのですが、それも……うーんどれもこれも微妙…。最初のほうの動物たち捕獲ための追いかけっこなんて、なんだか長すぎて「ワクワクする」というより「イライラさせられ」てしまいました。  なにが駄目だったんだろう? 結局「ハリポタ」人気の遺産をあてこんで安易に作っちゃった結果ってこと?やっぱり脚本とテンポかな?もっとスピーディーに気の利いた笑いをちりばめてグイグイ観客を巻き込んでいかないと、なかなか感情移入できないです。 そういう意味では、今回満を持して脚本を手掛けた感のある原作者ですが、脚本は専門家に任せたほうがいいのかもしれませんね(そのそもこの方の紡ぎ出す「思わせぶりな謎をちりばめて引っ張っていく手法」自体がどうも私には合わないようです)。つまり役者は関係なかったってこと、今作ではっきりわかりました。
[映画館(吹替)] 3点(2016-11-24 18:16:22)
9.  スター・トレック/BEYOND 《ネタバレ》 
トレッキーのツレアイに付き合っての鑑賞。というわけでワタシにとっては、最初から期待度はあまり高いものではなかったのですが、あのヨーク・タウン(だっけ?)にエンタープライズが入港してくるカメラワークはかなり楽しめました。(2D上映なのにちょっと乗り物酔いしちゃうかと思うぐらいの臨場感でしたね。) でも「それだけ」でしたね。それ以外は、別に取り立ててコメントするものはないと思います。 正直、敵味方含めて登場人物の思い悩む様子とかは、「ああまたやってんのか」って感じで、その迷いを克服するのも「ハイハイそうなりますよね、やっぱり」って感想しかおこらない。 うーん…このシリーズって、やっぱりファン限定作品なんだろうか?それならそうと、なんかこうもっと突き抜ける何かが欲しいんですけど、ねぇ…
[映画館(字幕)] 4点(2016-10-24 18:59:36)
10.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
なんですか、この高評価、そしてこの熱く語る長文レビューのオンパレードは!……いいねぇ、あふれるゴジラ映画愛がなんかものすごく伝わってきます。  それに対し、いやね、申し訳ない……自分としては全然期待していなかったんですよ。ツレアイが「ゴジラ観よう」って言ったとき正直まいったなぁと思ったぐらいにまったくね。 でもまあ文句なく面白かった、今年一番の映画じゃないかと思うぐらいです。特に前半のグダグダ、ダメダメの政府対応なんてサイコーでしたね。逆に後半の解決に向かっていくくだりは予定調和的で「まあこんなもんかな」ってテンションはややさがりましたけど。でもゴジラ映画なんだしそうするよりほかないしね。 それにしても首都圏の城南地区に住んでいる人にはえらいサービス満点の映画でしたな。川崎の109シネマズで鑑賞したんですが、観客のほとんどがゴジラがぶっ壊す町並をにやにやしながら観てるんじゃないかと思うと、こっちも頬が緩んでしまいました。無人電車攻撃に至ってはもうサービスてんこ盛りで、いい意味の失笑感が湧き起こっていたと思うし。 原発のメタファーだの危機管理問題の提起だとかいろいろあるんでしょうか、ぶっちゃけこの映画のツボってそういうサービス感にあるような気がします。我々の知っている街並、お馴染みの極めて日本的な事なかれ体質、そういうものを目の当たりに繰り広げられて感じる、「知ってる知ってる感」……(微妙な石原さとみちゃんの起用もそういう意味での狙った感じが漂ってきたのでワタシ的にはギリギリOKでした。)  しかし、今後世界にも配信されるそうだけど、そういうところって海外の人にも伝わるんだろうか? と、若干の危惧を抱きつつ……8点の献上です。
[映画館(邦画)] 8点(2016-08-10 12:10:04)(良:2票)
11.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
うーん、何が足りないのだろう…… ものすごく丁寧に作っているし、俳優たちもがんばっている。(予告見たときは「無駄に綺麗なキーラが鼻についてしまうかも」と危惧した彼女だって決して悪くなかった。)交差する過去と現在だっていい感じ混ざり合い、決して混乱させるようなヘマはやっていない。暗号解読後の冷徹な判断も常人ならざる主人公らしさをよく表していると私には感じられた……。 しいて言えば、やっぱ「数学の足りなさ」なのかなぁ。暗号を解く仕組みやクロスワードパスルと確率の関係、その気が遠くなるような作業をどうやってコンピュータにさせるのかなど、そんなところがただ会話で説明されるだけではなく、もう少し突っ込んで表現してほしかった。 でもウィキペディアでちょっと調べたぐらいじゃなかなか理解できないようなしくみをド素人相手に映画でさらっと匂わせるなんて考えてみればかなり無理な話なわけ。それを求めた私が悪かったんだろう。うんうん、きっとそうだ……そう反省しつつも、何とかして天才数学者の頭の中のちょっとでも覗きたかった私には、本作は結局「秀作だろうとは思うが取り立てて印象に残らないまあ普通の映画」、といったところです。平均点下げてすみません。 
[映画館(字幕)] 5点(2015-03-25 12:16:56)
12.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
割とあっさりだったんですね。ちょっとドキュメンタリーっぽかったです。 実はもっとコテコテの展開を予想していたのですよ。 番犬として生まれついた自分の適性と、例え女子供でもその時が来たら撃たざるを得ないことへの逡巡とかが、父や弟との思い出なんかに絡まってぐっちゃぐっちゃ出てくるようなそんな感じ。 まあ、そうしたくなかったんでしょうね、イーストウッドとしては。もしくは、そうせざるを得ないほどまだアメリカにとってはこの映画は生々しい現実だったからなのかもしれません。 いずれにせよそんなコテコテ展開を期待した自分自身になんだか、「他人事感」を意識させられたような気が…… これって、いい意味での「後味の悪さ」なんでしょうか。その答えは今ではなくもっと後にならないとわからないのでしょうけどね。 
[映画館(字幕)] 6点(2015-03-25 12:06:00)
13.  ルートヴィヒ(2012) 《ネタバレ》 
ルートヴィヒ2世という悲劇の美しい王の人生についてはさほど興味はなく、遠い昔に見たヴィスコンティの「ルートヴィヒ」は「美しくゴージャスだけど、なんかダラダラと長かったよな~」ぐらいの感想しかなかった私。 その私が年末の忙しいさなか何故わざわざ新橋まで観に行ったのは、それはただただ大好きなオペラ「ローエングリン」が聴きたかったから!!なのです。 そりゃもうどれぐらい好きかっていうと「もし王様だったら自分もやっぱ建てちゃうだろうなぁ、ノイシュバンシュタイン…」ってくらい。だからところどころにオペラのセリフがちりばめられているところなんてもう嬉しくって嬉しくってねぇ…ああルートヴィヒくん、君もこんなにこのオペラを愛していたんだねぇって。 ……  でもまあ、それ以外は普通の映画だと思います。普通に美しいし、周囲に理解されない王の苦悩の描き方もまあ普通。 あと主人公を「平和を愛した王」みたいにに書いてた映画パンフレットなんかも、ヴィスコンティの映画に慣れたいわゆるルートヴィヒファンにはちょいシラけるかもしれませんね。積極的に「平和を愛する」っていう前向きキャラを彼に求めてる人あんまりいないと思うし。  つまり、ローエングリン好きの人なら楽しめるけどそれ以外の人は微妙って感じかな。 私は楽しめたからいいけど他人にはおいそれと薦められないということで、やっぱ点数は6点ですな。
[映画館(字幕)] 6点(2014-01-24 13:07:57)
14.  42~世界を変えた男~ 《ネタバレ》 
観終わって素直に面白いと思ったし感動もしました。 でもそれは、ジャッキー・ロビンソンという人の人生に対する感動であって、この映画に対するものとはちょっと違うかな。 確かに【ふじも】さんの仰る通り、この人の伝記映画なんですからどうしたって感動的な作品に仕上がるんですよね。 映画としては、もうひと工夫欲しかったというのが私の印象。  (以下激しくネタばれです) 『チームの中も外も敵がうようよいて、偏見と才能への嫉妬が渦巻いている。 だがそれでも良いプレーを続けていれば、無垢な心にはその姿は英雄として映りそれは徐々に多くの人に浸透していき最後には全ての偏見をも打ち崩すことにつながる……』 それを端的にあらわす「ジャッキーの真似をする白人の少年」のエピソードが、ハリソン・フォードにさらっと語られちゃうあたりちょっともったいない気が……(それでもここに一番感動しちゃったのだからいいのかもしれないのですが) 
[映画館(字幕)] 7点(2013-11-05 12:14:20)(良:1票)
15.  許されざる者(2013) 《ネタバレ》 
うーん、かなり辛口です。残念ながら私にはダメだった。  「許されざる者―全ての者は許されざる者である」…… この極めて重くかつ普遍のテーマを映画という「娯楽」として、観客を気の利いたセリフでクスッとさせたり登場人物の渋さや凄みに魅了させたりしながらズシンと突き付ける、これがオリジナルが名作である所以じゃないのですか? なのにこのリメイク版では「(誰もが)許されざる者」というテーマはあいまいにされ、その娯楽性も辛気臭くあらかた潰してくれている。 佐藤浩市の署長はジーン・ハックマンの保安官の茶目っけをほとんど持たない悪党以外の何者でもないし、アイヌや女郎のシーンなんてまさに「許されざる者」ではなく「虐げられし者」。 もしオリジナルのような人間の多面性を描きたいのであれば、最下層の人々だからこそむしろしたたかな強さも描くべきでなないのでしょうか。 それが歴史の事実にそぐわないのだとしたら、もっと自由に描ける時代や舞台を探してもいいわけだし。  一見「オリジナルに敬意を表しながら丁寧に作りました」という格好なんだけど、全く別物を撮りたかったってことですよね、この製作者たちは。 その姿勢はクリエイターとしてアッパレです。「たとえいびつでもオリジナルを一点でも突き抜けよう!」そんな気概もなく製作されている、まず話題性(興業性)ありきのリメイク映画たちよりずっといい。 …… 結局のところ、出来上がった作品が今回はただ自分のツボにははまらなかっただけってことなんだろうけど、  それでも私はやっぱり言いたい… 重いテーマを重く描いたところで何の芸があるというのでしょう?と。  このリメイクは上質なエンターテイメントを、美しく情感に溢れているけどありきたりな悲劇にしてしまったと、 やはりそう思わずにはいられません。
[映画館(邦画)] 4点(2013-09-17 17:11:19)(良:2票)
16.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
これは……! とてもいい映画です!  私は原作も読んだしそれに感動もしたのですが、正直その映画化である本作がここまで秀作であることを期待していませんでした。  …原作を愛する読者がその映画化作品に満足すること、これは本当に難しいことで滅多にあることではありません。当たり前です、原作好きの人間にとってはその原作によって頭の中に築き上げられた世界こそが完璧であり、全ての愛読者の脳内世界を超える映画などどんな巨匠にも不可能なことなのだから。 だた稀に原作を超える映画も確かにあるのは事実です。でもそれは、断じて「原作に忠実に丁寧に作られただけのもの」であるはずがない…その映画には「原作とは違った魅力」という要素が含まれなければならず、それにより「同じでありながら全く別の作品」としての存在感が求められるのです。 この作品はそういう意味でほぼ完璧といっていいぐらいアレンジ上手い…そしてその結果この映画単品としての「味わい」を生み出すことに成功しています。…映画中にところどころ現れる原作と違う点(映画部の撮っている映画のジャンル、彼氏彼女関係、片思いの相手、新たに追加されたクライマックスのローエングリン)、全て不愉快な違和感を感じることがなく、納得して鑑賞できました。…いやむしろ原作よりいいわ、こっちのほうが…  そんなわけでの9点献上(-1点は実果のストーリーは原作読まないとわかんないのじゃないかという老婆心から。もうちょっとうまくオリジナルな展開で映画に溶け込ませられそうなものだという気がしたものですから…)。 いずれにせよこんな映画が今の(TVドラマ、アイドル偏重の)邦画界に誕生したことに少なからず、感謝です! 
[DVD(邦画)] 9点(2013-08-02 17:06:20)
17.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 
うーむ、純粋に賞金稼ぎしている前半は面白いと思ったんだけど、後半の奥さん救出劇になると微妙な感じになってしまった。  …ヴァルツ扮するドイツ人賞金稼ぎはちょっといい人過ぎ。もっとクールでしたたかなほうがいい。奥さん救出も、ベタだけど、ヴァルツのボランティアではなく賞金稼ぎの仕事繋がりのほうが自然じゃない? …ディカプリオも極悪人っぽく描いていたにしちゃ、騙されちゃいそうになりながら「お金を払ってくれればいいよ」的な締め方しようとしてるし、意外といい人じゃんって思いそうになった。(まあ、あのあと皆殺しするつもりだったのかもしれないけど) …主役の魅力は青い服着て馬にまたがっていたあたりが最高潮って感じ。悪徳な黒人奴隷商人の必死の演技はなんだかワケわからず結局あまり必要性を感じないものだった。 …ヒロインは愛しい人に再会した時は嬉しさで気絶するほど可憐でありがら、エンドの大殺戮を背に満面の笑みでラブシーンを披露する気丈な女に成長…  いやいや、こういう些細な違和感が問題ではないのだ。 惜しくらむべきは、こういうのを吹き飛ばすようなぶっとんだ爽快感が、この映画にないこと。  「いろいろ考えている」「手が込んでいる」ていうのはわかるけどそれがなんだかカラ回りしているような感じ… 映画が進むにつれて「もっと単純にドカーンと楽しませてよ!」っていうストレスを感じちゃった。だってそういうジャンルじゃないの?マカロニ・ウエスタンってさ!
[映画館(字幕)] 6点(2013-03-04 13:03:04)(良:1票)
18.  テルマエ・ロマエ
当代きっての「濃い日本人俳優」たちがいかに古代ローマに馴染んでいるか!この一点に尽きると思います。ズバリこのことを確かめたい人のための作品。前半のギャク(ことごとく予告編で使われているヤツ)以外ストーリーとかどうでもいいレベルだったし。 しかしこれが昨年の上半期興業収入第1位とは…配給の予想すらはるかに超えるヒットに一抹の不安すら感じます。 とりあえず100円レンタルになるのを待っていて正解、ということでの5点献上。
[DVD(邦画)] 5点(2013-02-19 12:50:31)
19.  アナザー プラネット 《ネタバレ》 
アイディアはなかなか面白いのです。 昔からよく言われている 「太陽の陰にもう一つの地球がありそこもうひとりの自分いる」 っていう伝説(?)にうまくからめていると思う。 ただ、例の星が「第2の地球」であることの発見やそれが今やシンクロしなくなっているっていう説については、もう少し丁寧に視覚的にも表現して欲しかったです。 望遠鏡での観察を入れるとかして… なんかセリフで説明されているだけだからちょっと薄っぺらくなった印象で残念でした。そうするには予算が足りなかったのかな。 …全体に流れる手作り感や不思議な雰囲気は好きですね。 あと、あんまり思想的なことを考えずに見ちゃいましたけれど、それでも楽しめるレベルには達しているかな、と。  
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-30 18:03:27)
20.  ツーリスト 《ネタバレ》 
えー、全然期待してなかったけど、意外に面白かったです。 アクションっていうよりは小洒落たロマンティック・コメディって感じかな。 ラスト、主人公の切れ者振りにはスカッとさせられるし、スコットランド・ヤードたちの微妙な間抜け振りも笑えました。 一番感心したのは元007のティモシー・ダルトンの使い方。 あれっこんなつまんない役やるようなになっちまったのかよ、とマジで思わせるには絶妙のポジションにいる俳優に思えたので…(失礼、でも最後にはナイスフォローされてたんで安心しました)。 ただアンジェリーナは痩せすぎ(浅丘ルリ子を思い出しちゃいました)で設定のゴージャスな美女としてはちょっと痛々しかったかも。 
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-30 17:54:53)
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