1. 素晴らしき哉、人生!(1946)
《ネタバレ》 泣きました。映画館で号泣です。昔の映画はエンドクレジットが短いので恥ずかしいの何の! でも、最後に到達するまでの過程はそこまで面白くは無かったですね。ストレートにストーリーで勝負する作品としてかなり期待していただけに、コメディ色やファンタジー色が強めの演出にはちょっとがっかりでした。この映画は「ここ笑うとこ!」みたいな笑いの押し売り感がちょっと強すぎる印象です。前半はややしんどく感じました。 また、良い奴は良い、悪い奴は悪いという単純なキャラクター設定が、昔の映画の醍醐味でもあるし限界でもあるような気がしました。ジョージの徹底的な良い人ぶりが、現代の映画に慣れた目で見るとちょっと嘘っぽいですよね。ジョージが「自分がいない世界」をクラレンスに見せられる部分でも、あまりジョージに感情移入できないんです。だってジョージは仏様のように超良い人で多くの人を救っているわけで、その人が「自分の人生捨てたもんじゃない!」って思うのは当たり前な感じがするんです。むしろ見せられる前に気づけ!と言いたい。もっと悪いこともしてる普通の人が主人公じゃないと、この映画の無条件に生を肯定するというメッセージが伝わりにくいような気がしました。例えば、「クリスマス・キャロル」のスクルージはこの映画のポッターみたいな超悪い奴です。そんな彼が更生を誓うから感動できるんです。でも、この映画はジョージの人生を全面的に肯定していますから、その人が自殺を思いとどまるのは、当たり前とも言えると思うんですよね。そのあたりが観ていて気になりました。 それにしてもポッターは可愛かった!本当は絶対悪い人じゃないんだろうなあ。人間味があって、この映画の中で一番愛せたキャラかもしれません。 [映画館(字幕)] 7点(2011-07-04 23:24:24)(良:1票) |
2. 生きるべきか死ぬべきか
キビキビとした展開の小気味のよい傑作コメディ。ルビッチという監督のことは知らなかったが、これからもできるだけ観ていきたい監督だ。 一昔前のコメディというと、展開が鈍かったり、パンチが弱かったりといったところが気になるものだが、この作品は十分現代でも通用すると思う。昔の作品なので、もちろん下ネタなどはないが、シチュエーションや絶妙な言葉のキャッチボールによる笑いのレベルはかなり高く、抜群の安定感を感じた。敵方であるナチスに対する風刺も下品にならない程度で心地がよい。誰が相手であれ、相手を貶めすぎるコメディはオシャレではないが、この程度なら笑えるレベルだ。一方で、笑いの中にも、愛やヒューマニズムといったホロリとさせられる要素もあり、コメディの秀作の王道を行っている。 ただし、amazonでも話題になっているが、字幕は今まで観たDVDの中で最低だった。男が女言葉になっていたり、「中尉」が「中佐」になったり「大尉」になったり。それ以外にもたくさん間違いがあるのだろうが、僕の英語力では聞き取れないので悔しい。字幕を信用しないように努力しながら観たが、最終的にはやはり字幕に頼らざるを得ない悲しさである。それにもかかわらずこの作品は面白いから、皮肉にも拙い字幕がこの作品の偉大さを証明しているとも言えるのかどうか。 [DVD(字幕)] 8点(2010-10-09 09:27:30)(良:1票) |
3. 天井桟敷の人々
《ネタバレ》 映画館で再映された際に鑑賞。 期待が大きかっただけに、少しがっかりした。まずは、やはりガランス役のアルレッティがそれほど美しくないこと。いや、美しいのだが、少なくとも若くはない。情熱と自由奔放さを表現しきれていない。また、恋とはそういうものかもしれないけれど、彼女の生き方にもあまり共感できない。「自由を貴ぶ」と言いながらも、第一部の終わりでは、誇らしげに伯爵の名刺をちらつかせ、案の定囲われ者になってしまっている。裁判で争ってでも身の潔白を証明すべきで、結局、彼女の主義主張もその程度かと思っちゃった。 また、どうしても尺が長すぎる。役者陣の熱演で、あまり長くは感じなかったけど、もっと登場人物を削って、言いたいことをまとめられそうな感じもした。ただし、演劇に対する役者の思いを撮りたかったのだろうから、ある程度長くなるのは仕方ないのかもしれないが。 一方で、役者陣の演技にかけるエネルギーとセットやエキストラの大がかりさにはびっくりした。特にルメートル役の俳優の演技はすごかったし、バティストのパントマイムも情感たっぷりで胸を打たれた。また、ラストシーンも忘れられない。最初のシーンと呼応しているんだろうけど、僕は漱石の小説「それから」のラストと印象がかぶった。あてもなくガランスを探しに行くという行為が、バティストのこれからの人生の不確かさを暗示していて、何ともいえない気持ちになった。そもそもナタリーと結婚したのが間違いだったわけで、個人的に「自分も妥協してはいけない。本当の愛を貫くことを追求しなければ」と思った。 [映画館(字幕)] 6点(2010-08-29 20:07:54) |
4. らせん階段(1945)
《ネタバレ》 昔のスリラーってあんまり怖くなくて苦手なんですが、この映画の見せ方は本当にうまいと思った。わずか一日の話なんだけど、この密度の濃さはタダモノじゃない。一癖ありげな登場人物たち、不気味な屋敷、嵐の夜と舞台設定は完璧。犯行時の犯人目線も秀逸だ。「見ろよ。口が映ってない」とのところなんか凄すぎてゾクゾクした。実際、序盤に犯人目線でヒロインが鏡を見るシーンでは口が映ってないんですよね。とても1945年とは思えない先進性で、いわゆる古典スリラーの表現レベルを超えている。ヒッチコックも真っ青だろう。時間が限られているため、家族の愛憎劇が描ききれてはいないが、映画としては許容範囲内だ。 カールトンが活躍しなかったのだけが残念!何かやってくれると思っていたんだが。 [DVD(字幕)] 9点(2008-07-03 23:01:31)(良:1票) |
5. 酔いどれ天使
《ネタバレ》 何だか出てくるキャラクターが漫画みたいに表層的でイマイチな感じもするが、主役二人に救われている。他のレビュワーさんがおっしゃるとおり、荒削りな演技なんだけどエネルギーがスクリーンからあふれてきて、気持ちがいい。眞田が死んだ松永の遺骨に触ろうとしてやめてしまうシーンが非常に印象的だった。松永のことを一番理解しながらも救えなかった眞田。あそこで遺骨に触れば、そのやるせない思いが噴出してしまいそうだったんだろう。そこのところがすごく泣けた。 [DVD(邦画)] 6点(2007-09-04 00:08:33) |
6. 晩春
まだ、結婚もしていないのに号泣してしまった。自分の娘が生まれてから観たら、どうなっちゃうのか今から心配です。ラストシーン。あれは反則でしょう。 [DVD(邦画)] 10点(2007-08-15 22:40:03) |