1. サロゲート
《ネタバレ》 近未来ものに見受けられる「全世界に○○が広まる」という設定は、おおむね極端すぎることが多く、この点だけでもリアリティを欠いている。 たとえば、現在でも携帯電話は世界的に普及しているが、携帯依存症の人はごく一部だし、自分の周囲にも携帯を使っていない人は何人かいる。 本作でも、「サロゲートを全員が常に使い、街には生身の人間がいない」という状況は、単純に「ありえないだろ」と一蹴されるレベルの設定だと思う。 また、「子供のサロゲートは?」とか、「犯罪率はむしろ増えるだろ?」「食事はどうしてるのか?」などといった疑問が湧き出し、ストーリーよりも気になってしまう。アクションシーンでは、ターミネーター化してるし(笑) テーマは悪くないはずだが、どういう理由で「サロゲートは人類に良くない」のか明確でなく、ただ話の構成上アンチを掲げているだけのように見える。 ラストの「サロゲートを全滅させる」といった極端過ぎる展開も、リアリティ無視の失笑に近い出来と感じる。相変わらず、攻撃も防御策もキーボード叩くだけで、ウンザリするし…。 [DVD(吹替)] 3点(2010-12-10 21:20:15)(良:2票) |
2. 第9地区
《ネタバレ》 まず、話の軸となる「人間がエイリアン化する液体」について、説明も伏線も無く、全く説得力を持たせようとしていない点に驚く。これは、脚本として成立していないレベルだ。 しかも、同じ液体を同時に「宇宙船の燃料」とも設定しているから、さらに混乱を招く。 自分は、こんなずさんな作りの映画で盛り上がることは出来ないので、退屈な時間だった。 また、「ドキュメンタリー手法によって、フィクションのドラマにリアリティが出る」と思って製作しているように感じられるが、実際は全く逆ということが良く分かる。ドキュメンタリー調の演出と、ドラマ部分のチグハグさが映画に没入することを妨げている。 [DVD(字幕)] 0点(2010-10-21 15:26:39) |
3. ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
《ネタバレ》 う~む、アンバランスな印象。SFX部分は凝っており、意欲的に感じる出来だが、ドラマやテーマ部分の稚拙さがあまりにも致命的。 特に、ゴジラを「大東亜戦争の残留思念」という設定にしながら、それを生かそうともしない脚本には驚き。少なくとも、登場人物に当時の戦争経験者を出すべきで、靖国神社や在留米軍に全く触れていないのも、おかしく感じる。結局、ただの味付けに終わってしまい、残念。 また、「護国聖獣」という設定は正統派だと思うが、平成ガメラの焼き直しといった感は否めない。本一冊とセリフで処理される説明も、子供だましな印象を受ける。 主人公親子や周りのキャラクターにも、魅力を感じることはなかった。 「残留思念」「護国聖獣」「親子のドラマ」といった要素が、全部バラバラで全く生かされていない脚本といえるだろう。 気になった、細かい点…○ゴジラが吐く放射火炎は、最初だけ核爆発を起こしていたが、なぜ? ○浅かったり、深かったり…横浜湾って、深さ何メートルだよ?(笑) ○ラストの「放射能汚染の心配があるから近寄るな」…ていうか、みなとみらい全域が汚染されてますけど。 [DVD(邦画)] 3点(2010-10-15 00:54:10) |
4. 容疑者(2002)
《ネタバレ》 デニーロが、いつものデニーロだったりするのは気にならないが、息子のキャラクターに共感しづらいのが難点と感じる。ヤク中で空き巣のろくでなしだが、一点だけでも「こいつは立ち直れるかも」と思わせる人間性を見せて欲しかった。これが全く描かれないため、デニーロがいかに奔走しようが、他人事に感じてしまう。脚本の致命的欠点と思える。 また、デニーロの父も「営利誘拐はしたが、子供は殺していない」という中途半端な冤罪で、観客を戸惑わせる。 子供と父親、この二人の人物像が、見る側のスタンス、そしてデニーロの立ち位置をぼんやりしたものにしていると感じる。 また、『容疑者』という邦題に始まり、予告編やDVDパッケージのあらすじ等、意図的に内容を誤解させる作りになっている点に、悪質さを感じる。配給側の姿勢に問題あり。 [DVD(吹替)] 4点(2010-07-22 00:42:12) |
5. ペイチェック 消された記憶
「ディック原作」・「ベン・アフレック」・「ジョン・ウーのSF」…そりゃ期待値は低いでしょう(笑)でも、期待しない分だいぶ面白く感じてしまった。意外に、原作の持ち味を損ねていない出来でもある。 本作では、記憶消去や未来透視などのリアリティを構築するためのテクノロジーの説明が省かれているので、SFとしてはかなり弱い印象を受ける。しかし、その分娯楽作品の方へ振り切っているので、B級SFアクション作品としては充分楽しめる出来となっていると思う。バイクのアクションシーンは、見せ場としては良かった。 やはりディック原作『マイノリティ・リポート』の中途半端な出来に比べると、潔い印象を受ける。鳩は余計だけど。 [DVD(吹替)] 4点(2010-05-30 13:05:54) |
6. 消されたヘッドライン
《ネタバレ》 自分が思ったのは、いくつかの点をもっと煮詰めれば、かなり面白くなった作品だということ。やはり、先のレビュワーの方たちが指摘されている通り、 ①主人公が社会正義と友情の、どちらのために戦っているのか、あるいは両方で揺れ動いているのかがはっきりしない。見ている間、今ひとつ乗り切れないのは明らかにこのせいで、これを明確に描けばだいぶ感情移入しやすくなったと思う。 ②ラストの展開だが、社会悪→個人への帰結で拍子抜けする展開でも、議員が「なぜそこまでして軍事企業を倒そうとするのか」あるいは「自分の人間性を捨ててまで軍事企業を阻止しようとする意義」といった人間の執念や狂気性などを描くことも出来たはず。そこまで踏み込めば、決してショボイ印象はなかったはず。強大な社会悪の前に人間性を歪められていく人間の姿を描けたかもしれない。 終盤までは、スリリングに見られたので、惜しい気がする。 [DVD(字幕)] 4点(2010-02-06 13:22:55)(良:1票) |
7. アバター(2009)
自分としては、評価は低いです。 映像面では、最先端技術をもってしても、パンドラの先住民や動物たち、ラストのバトルは、CGアニメにしか見えなかった。TVなどで見る実写の動物の映像を思い浮かべれば、その違いは明らかだと思う。ゲームのデモ映像と同じ印象を受けてしまう。グルグル動くカメラも、作り物映像に拍車をかけているのだろう。 そして、本作独自の映像イメージが特に無いのは、最も残念なところ。「マトリックスっぽい」とか、「ブレードランナーっぽい」イメージは思い浮かぶが、「アバターっぽい」イメージというものが思い浮かばない。 ストーリーの題材は王道で悪くないが、演出や脚本の出来が低レベルなのは、かなり期待外れである。特に、主人公が兄の代役だったり、車椅子だったりする設定がほとんど生かされていないのは致命的。 観客は、「主人公が人類と先住民のどちらに味方するのか?」という、葛藤の果ての結末を期待して見るわけだが、これがあっさりしていて肩透かしを食らう。 他にも、先住民や大佐や研究者たちのキャラクターが、パターン化し過ぎていたり、彼らとの人間関係が浅すぎるなど、欠点がやたらと目に付く。162分の映画としては、かなりずさんな作りの脚本だと思う。 また、キャメロン本人が、本作で描きたかったものが全然伝わってこず、脚本やテーマ自体が借り物的な印象を受ける。 簡単に言うと、「CGと3Dに頼りすぎの映画」。逆に、「CGで何でも出来る」という罠が見えた気がする。例えば、本作では先住民と人間の身長差を使った演出などが、全く無いが、20年前なら先住民をぬいぐるみで作り、人間と演技させる中で身長の差を生かした演出を現場で考え出したであろう。 本作のヒットで、ハリウッド映画界において脚本軽視のCG大作路線が強化されるのが、非常に残念。 [映画館(字幕)] 3点(2010-01-19 22:49:41)(笑:1票) (良:7票) |
8. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
この作品のすごい点は、マイケルジャクソンという男のアイデンティティを、再び確立したことだと思う。 彼のファンではない多くの人々は、いわゆるゴシップ的情報によって彼を「変人」「奇人」というレッテルでしか見ていなかった。むろん、自分もそうであった。 しかし、フィルムの中に映し出された男は、まぎれもない歌手でありエンターテイナーであった。そしてそれこそが最も大切な事実だったということに気づかされた。この作品を鑑賞することで、「マイケル・ジャクソン」が本当は何者であったのかを、我々は知ったのだ。 一方、熱心なファンには、「マイケルの本当のライブはこんなレベルじゃない」「中途半端な状態のものを見たくなかった」という感想を持つ人もいるようだ。それはおそらく正しいであろう。 しかし、誤ったマイケル像を抱いていたファン以外の人々が、彼の本当の姿に目を向けたことを喜んでほしいと思う。 一本の映画が、一人の男のアイデンティティを取り戻した。しかもそれは、さまざまな演出を加えたものではなく、彼の歌う姿=彼の本質をひたすら提示したフィルムであった。舞台を共にしていた、ケニー・オルテガの製作姿勢も素晴らしいと思う。 [映画館(字幕)] 10点(2010-01-09 12:23:12)(良:1票) |
9. ターミネーター4
《ネタバレ》 もはやCGの戦闘シーンを延々見せられても、盛り上がらない時代になったと思う。巨大ターミネーターとの戦いも特に目新しいものを感じなかったし、中盤あたりから退屈になる。 結局、ビジュアルよりも心に残るのはドラマであると思うのだが、最近のハリウッド映画同様、本作も薄味。特に登場人物のキャラクターでは、マーカスの人間性やジョン・コナーのリーダーの資質といった、核となる要素が全く描かれていない。あるのは「子供は助ける」「説得すれば皆味方になる」といった陳腐な図式のみ。 マックGの素質は、結局「パロディスト」ということで全て語れると思う。ラストの工場やシュワ、溶鉱炉などの「ターミーネーター」へのオマージュが一番印象に残り、本筋は特に語るべきものはない出来。 [DVD(字幕)] 2点(2009-11-26 00:25:12)(良:2票) |
10. アルティメット
売りのアクションは確かに爽快感はあるが、冒頭がピークで、徐々に退屈になり最後は余計に感じる始末。また、残忍なバイオレンス描写が、所々嫌悪感を感じる。 設定の古臭さや、話の幼稚さには辟易とさせられる。見る年代を選ぶ作品でしょうね。 [DVD(字幕)] 2点(2009-09-23 22:17:49) |
11. イーグル・アイ
敵の正体が判明してからは、その後の展開に興味が無くなる点はまだしも、テーマが全く見えてこないのが、決定的に物足りない。 コンピューター社会の恐怖や、機械への依存心への警鐘など、製作者側が訴えるテーマを感じたかった。その上で、コンピューターVS人間の構図ならば、「人間ならではの知恵で勝つ」という痛快な展開が娯楽作には絶対必要だと思う。 ドキドキハラハラの展開が2時間続けば、面白い映画になると考えるのは、それこそコンピュータ的発想ではないのだろうか? [DVD(吹替)] 3点(2009-07-27 21:18:01)(良:1票) |
12. ブラックサイト
《ネタバレ》 前半は盛り上がったが、後半はグダグダで結局肩透かしの印象が強い。マイナス点は、先の方々のコメント通りです。 自分が気になった点は、「サイバー捜査官の必要性がない展開」だという事です。冒頭、主人公が違法サイトを摘発するも、以降は技術を使う展開が全くなく、拍子抜け。観客は当然「犯人とのハイテクサイバー対決」を期待するのだが、完全に裏切られる。しかも最後は、あまりにもご都合主義的。 また、「ソウ」的なグロテスク路線をメジャー映画に取り入れたのも、成功しているとは言い難い。メジャー作にグロを期待している観客は多くないと思うし、俳優やスケール感で魅せて欲しかった。 あと、自分としてはD・レインがあまり魅力的ではなかったのが残念な点。 [DVD(吹替)] 2点(2009-07-10 07:26:32) |
13. フィクサー(2007)
この映画の致命的な欠点は、「主人公が有能なもみ消し屋である」事を描くシーンが全く無いことだ。また、被害者側の苦しみも具体的には描かれない。そのため、主人公の悩みや行動など、全ての展開に実感が湧かず、盛り上がることが無い。 企画自体に、血が通ってない印象を強く受けた。 ジョージ・クルーニーではなく、無名の俳優だったら30分も見られなかったであろう。 [DVD(吹替)] 2点(2009-06-29 23:06:15)(良:1票) |
14. デス・レース(2008)
ほぼ予想通りの面白さ具合で、意外性は無し。『デス・レース2000年』よりも『ニューヨーク1997』に近い気が…(笑)支持層はカブってるから問題なさそうですが。 現代版リメイクということもあり、設定や話は毒を抜かれてやたらソフトになっている。ここが物足りないのはオールドB級映画マニアだが、一般層には丁度いい出来かも。舞台が固定されて、スケールが極端に縮小してしまったのは残念な点だが。 [DVD(吹替)] 4点(2009-06-29 22:44:14) |
15. 大決戦!超ウルトラ8兄弟
一言で言うと、前作「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」の劣化再生産。旧作ファンには、お遊び満載の前作で充分昇華されているので、今回は全体が蛇足に感じる。 今回登場の平成シリーズのファンなら楽しめるかもしれないが、脚本が低レベルすぎて、何も残らない内容。「こうしときゃ盛り上がるだろ」的な作りが前面に出ており、ドラマが全く重視されていない。だいたい、リアルタイムで初代を見てた主役たちって、何歳の設定なんだ?(笑) 一応「夢を持つこと」がテーマになっているのに、街のミニチュアでバンダイ系の看板がやたらと目立つように配置されているのは、夢を砕く行為だと思うのだが… [DVD(邦画)] 2点(2009-06-18 12:49:26) |
16. チョコレート・ファイター
《ネタバレ》 映画としての作りが甘いので、序盤は退屈。陰惨な展開や、暴力描写も気になる。 中盤からはアクションのボルテージが上がるが、カット割りが多く若干の不満を感じる。しかし、ラストの外壁バトルは凄まじい迫力で、マイナス点を帳消しにするだけの見所にはなっている。 人が死にすぎるのと、エンドに流れるNG集が痛すぎるので、後味は苦い。 [映画館(字幕)] 5点(2009-06-08 02:02:13) |
17. スターシップ・トゥルーパーズ3
全体的に「安い」印象がぬぐえない。特に序盤の要塞での攻防戦。TVドラマかと思うぐらいのセットのショボさにこちらの期待も砕け散る。漂着した惑星も、海岸線に砂漠とB級SF映画の定番ロケーション。 作りも「1」をあざとくしただけで、宗教を持ち出しても上滑りの感は否めない。 きっとバーホーベンは、この映画全体で「ハリウッドの続編乱発」姿勢への皮肉を描いたに違いない!…と思うことで無理矢理納得しました(笑) [DVD(吹替)] 3点(2009-06-02 20:46:03) |
18. ノーカントリー
《ネタバレ》 コーエン兄弟の作品は、いつも「面白そうなんだけど、見るとつまらない。」「一風変わった感じだけど、面白い方向に働いてない」というのが自分の感想です。 本作は序盤・中盤はかなり緊張感を保っていたけれども、やはり残念な結果であった。タイトルに見られるテーマ性も読み取れない作りで、観客不在の姿勢を感じた。 あと気になったのは、発信機を外した後も、居所を問題なく突き止めている点。映画のルールとして説明は必要。 [DVD(吹替)] 3点(2009-05-27 21:26:15) |
19. 大いなる陰謀
《ネタバレ》 問題意識の無い人達に、いかに意識を持ってもらうか?…これは最も難しいことの一つでしょう。簡単に言うと、この映画はそれに失敗している。社会問題に興味をもつ人達には楽しめる作りではあっても、自己満足の域を出ていない印象だ。テーマ性を前面に打ち出し過ぎて、映画としての見所や心に残る演出が少ないと感じる。 「軍を指揮する政治家たちに問題がある」などといったテーマなら、『ランボー 怒りの脱出』の方がよっぽど心に残る気がする。教授との対話を終え、学生が精神的に脱皮を始める、といった演出も全く説得力が感じられず、むしろ失笑もの。 3分の2を会話シーンで見せつつも、ダレさせない俳優陣の演技に3点。 [DVD(吹替)] 3点(2009-04-21 20:15:58) |
20. 落下の王国
プロモーション・フィルムではなく「映画」である以上、映像・ストーリー・音響と音楽・俳優、それぞれの魅力が引き出された作品であることが自分としては理想です。 本作においては、映像は見事な出来栄えにもかかわらず、ストーリーの部分で大きく興味をそがれてしまった。特に、「面白い物語で子供を引き付ける」展開なのに、肝心の語られる物語はあまりにも幼稚で馬鹿馬鹿しく、全く先が気にならない出来。子供の「続きを聞かせて」というセリフが虚しく響いて聞こえました。 映画自体のストーリーの枠組みは面白いだけに残念。 [DVD(吹替)] 4点(2009-04-19 01:49:57) |