1. 激突!<TVM>
単純に面白いです。ただの追いかけっこだけでここまで引っ張れるとは…監督の手腕に驚嘆しました。喫茶店のシーンが長いのは気になりましたが,徐々に危機感を募らせるドライバーと殺気を増していくトラックが終盤まで盛り上げていると思います。現実にも起こりそうな非現実を恐怖という形でうまく昇華させた作品ではないでしょうか。お見事。 [DVD(字幕)] 8点(2007-07-07 23:57:58) |
2. タクシードライバー(1976)
夜の街を中心にした映像が非常にかっこよかったですが、主人公の行動には全く理解できる部分がありませんでした。狂気に駆られる経緯もしっかり描かれてはいましたが、このくらいのことで社会に対する厭世観に呑まれていてはこれからの時代は生きていけないでしょう。ただその狂気もフィクションの人物のものと割り切れば、どこか世界を変えたくて、それでも変えられないでいるような、この世界に生きている誰もが一度は感じたことのあるもどかしさを、見事に描き切ってくれた映画であることは間違いありません。 [地上波(吹替)] 4点(2007-04-21 01:53:12) |
3. ある愛の詩(1970)
個人的には全く好きじゃないですね。。まずジェニー役の女優さんが全く美しくないこと。まぁそれは映画の本筋とは別にして、何だかベタベタな恋愛劇を真っ向勝負で見せつけらた感じで正直受け付けませんでした。ともあれここから現代の「オータム・イン・ニューヨーク」や「ウォーク・トゥ・リメンバー」といった映画へと続く布石的な作品になったのだとすればやはり映画としての価値は認めるべきでしょう。原題がまた「Love Story」という平易さにも驚きです。 [DVD(字幕)] 2点(2007-04-21 01:29:17) |
4. バリー・リンドン
《ネタバレ》 個人的に自然物の映像美は下手な映画監督の手にかかると安易になりがちなので、人工物による手作りな感じの映像美の方が好みなのですが、さすがはキューブリック、この映画のフィルムは美しいですね。大自然と対比させ、レドモンドが所詮世界の中ではただの一人の人間でしかないことを再三印象づけた後の、最後のダメ押しのようなあの一言はさすが心に響きました。模範的でない人物が登りつめ、結局は失墜してしまうストーリーを決して道徳的だったり説教じみた演出ではなく、人生の無常観をして鮮烈に観る者に与えてくれる作品です。長さを感じさせない演出も見事ですが、最初にレドモンドが恋した従姉が、ある時期を境に一度として風の噂にもならなかった辺りがレドモンドの変わっていった現実さを象徴している気もしました。まぁ終盤でまた例の従姉が登場したら随分と陳腐な映画になってしまっていたでしょうが。 [DVD(字幕)] 7点(2007-04-10 01:40:47) |
5. 時計じかけのオレンジ
とにかくお見事の一言に尽きますね。この映画で初めてキューブリック作品に触れましたが、今にも溢れ出しそうなほど画面の隅々に満ちた天才的な感性、人の視覚に強く訴えかけてくるようなビジュアルなどに、ただただ驚かされるばかりでした。CGに頼らない未来像の描写や、圧倒的な映像センスは全編を通して一貫としています。しかし暴力や性犯罪に対する描写が少々私には過激だったようで…しかもそういったシーンが多いですね。そこらへんも逆説的・婉曲的に描けなかったもんなんでしょうか、ってとこです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-03-13 03:07:30) |
6. リトル・ロマンス
《ネタバレ》 前半は妙にかっこつけていて嫉妬深くてイヤらしい目つきをしたダニエルが生理的に受けつけず、かなり白けた目で見てしまいました。。もう少し子供らしい純粋なラブストーリーを期待していたので、やけに能書きを垂れたような二人や競馬でお金を稼ごうとするあたりがどうかと思っていたのですが、自転車レースの後らへんからの二人の一生懸命さや、その二人を庇おうとするジュリアスの姿勢にすっかり魅了されてしまいました。離れる運命の二人にとっては、伝説が嘘か本当かということが大事なのではなく、二人で何かをやり遂げるということが大事なんでしょうね。でたらめの伝説に縋ろうとした二人に純粋さを感じました。全編に亘り後半の感じが出ていたら完璧だったと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2007-02-06 22:01:46) |
7. 小さな恋のメロディ
作りが古いせいか、序盤はやけに無駄なシーンが多かったりしましたが、音楽がとにかく素晴らしかったです。特にビージーズの「若葉のころ」が流れたときはすっかりその世界に心を奪われてしまいました。子供の頃はこんなんだったなーと懐かしくなる部分も多かった反面、ダニーとメロディの恋はずいぶん都合よく発展していくもんだなぁと、少し展開についていけなくなりそうになりました。。エンディングは嫌いではないのですが、ちょっと悪戯にも度が過ぎるだろーと思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-20 17:08:03) |
8. JAWS/ジョーズ
《ネタバレ》 何から何まで完璧な作品だと思います。世界中をパニックに陥れるだけの影響力を充分に備えた傑作です。スピルバーグ作品の中では初期ながら未だにこの作品が一番好きです。最初から最後まで息をつかせない展開と、美しい海を舞台にした映像、そして聞くだけで恐怖を煽られる音楽がすべて素晴らしくマッチしていると思います。ただ一頭倒してそれで一件落着でいいの?という感はありましたが。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-01-14 00:04:00) |
9. カッコーの巣の上で
随分古い作品ですが、統制社会が一企業単位や一家族単位にこれからも存在し続けるであろう時代に、いい警鐘になりえる佳作だと思います。マクマーフィが勝手すぎたりと少々極端な描写も目につきますが、譲歩を知らない相反する者同士の共存がこういった悲劇を招くというのはそこまで大袈裟な話でもないような気がしました。あと主演の二人見事です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-28 01:16:41) |