1. 新・男はつらいよ
《ネタバレ》 事情によりハワイに行けなかったから、旅行の期間中、とらやで身を潜める。カッコ悪いのを隠そうとするのが、一番カッコ悪いんだよ。これが、旅行社の営業である登をかばってのことでもあれば、まだしも。昔はこれで笑ってたんだろうけど、いろんな身の上の人を見てきた今の私にはホントに親戚は大変だなと思ったり、「お兄ちゃん、かわいそう」なんて甘やかすサクラが悪いと思ったり。寅さんの観客にふさわしくないワタシなんだと思います。 [DVD(邦画)] 3点(2024-06-12 11:48:13) |
2. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 これはすばらしい。□寅がみっともなくないのがいいんだ。□湯の山温泉の宿を去るとき、いないお志津さんに別れを告げたりなんかしちゃって、相当カッコ悪く、だいぶつらいはずなんだけど、ひょうひょうと歩く幹線道路のシーンがカッコいいんだ。□染奴の父・清太郎に切った仁義の美しさ。□旅先のシーンが多い本作を見て、寅さんの調子がおかしくなるのは葛飾柴又の疑似家族と過ごしているときであり、本当に寅さんは旅の空にこそいる人なんだと思いました。□前作の甘ったれたクズから一転。本作では、カッコ悪いけど、かっこいい。ワタシの好きな寅さんの原点は、この森崎東監督の寅さんだったのね。渥美清が楽しそうなんだよ。 [DVD(邦画)] 9点(2024-05-29 03:08:43) |
3. 悪魔の追跡
《ネタバレ》 リバイバル上映がされているようですが、しかしコレは、つまらない。怖いというより、イヤだという感情しか起こらない。人間関係にも緩急がない。つまり、2組の夫婦はあくまで仲良しだし、敵役はとにかく悪くて、手加減しなくていいヤツ。その辺の屈託がなくって、ただ車がボロボロになったり、ひっくり返ったりするのを見せられても。新車のキャンピングカーが傷ついて、メソメソするロジャーのために全体の空気が悪くなったり、旅の途中で出会う人たちに、ケリーがとても感じ悪い対応をすればよかったのにと思っているオレは、今あんまりよくないかもしれない。 [DVD(字幕)] 2点(2024-04-21 17:36:43) |
4. ジャッカルの日
《ネタバレ》 いしいひさいち版の「ジャッカルの日々」読了済(とはいえ、8コマですけど)。だから、本作が失敗する物語ということだけは知っていました。そして、周到なジャッカルがどう失敗するかがキモだと思ってました。しかしどうでしょう。なんというあっけない失敗。ちゃんと普通の失敗。■でも、そこがいい。■決して、ジャッカルの計画が杜撰だなんて思わないし、組立ライフルの造形の美しさにはほれぼれするのだけれど。一方、接触する必要のないモンペリレ夫人に寄ってっちゃったり、パニクって交通事故を起こしたりもするわけです。■伝説の殺し屋かと思いきや、人間くさくもある。■タイトルから「決行の日」の比重が大きいのかと思いましたが、殺しの右往左往の物語なら、いしいひさいちの「ジャッカルの日々」というのもいいタイトルだなと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2024-04-15 08:56:33) |
5. チャンス(1979)
《ネタバレ》 いい映画だったのかなあ。ちょっと頭抱えちゃう。チャンスのことをどのようにとらえたらいいのか。□物語前半は、決して感情を高ぶらせない穏やかな人物が、「Thank you」と「I understand」。触れあった人々に対する感謝と受容で、みんなを良い気持ちにさせていくような物語と思っていました。無垢な「フォレスト・ガンプ」的な。■ただ、話が進むにつれて、チャンスのことが怖くなる。世間知らずの中身のない男が、なんか意味ありげな話をすると、周囲が勝手に感心したり、振り回されていく。チャンシーって、岸田首相っぽくないですか?ベン、ご乱心。このあとのアメリカ社会の混乱を想像してしまう。◇原題「Being there」は「そこにある」ということ。また、原作本(原題に同じ)の邦題は「戸籍のない男」。「チャンス」って題名は、まるで大統領候補にまで上り詰めるのがサクセスストーリーみたいで、ミスリード誘いますよね。また、得体の知れないチャンスがよかったので、エンドロール中のNGシーンはつや消しです。 [DVD(字幕)] 7点(2024-03-26 19:43:38) |
6. アニー・ホール
《ネタバレ》 メタな演出が時々あり、そこは作り物然とするのだけれど、一方、例えば恋愛のはじめの探り探り(テニスから一緒に帰るシーン)など、頭抱えたくなるほど(?)リアルですよね。悲惨またはみじめな、めんどくさい中年男がフラれる話なんだけど、けっこうズシンときました。実は、トラウマ級。本作がつまらない人のことが、うらやましい。1回目見終わったあと、今見たのはいったい何だったんだと、すぐさま2回目を見たのは初めて。あれ、これまさか、Based on a true story?と思って.本作のラストのようなアレンの作品があるかと探してしまいました(勘違いでした)。ヒロインの歌がちゃんとステキなのも、ポイントです。 [DVD(字幕)] 9点(2024-02-24 19:17:31) |
7. 大陸横断超特急
《ネタバレ》 んー。昨日、ミッション・インポッシブルの最新作を見たものとしては、さすがにヌルい。特急列車の屋根での攻防のおっかなビックリは、もしかしたらあれがリアルなのかもしれないが物足りない。ヒッピーやら、香水の調合が趣味の女性やら、ユニークな乗客もいたような気がするが全く本筋に絡んでこないのもなんだかなあ。主人公はおそらくモテ設定だったのだと思うが、承服できない。きっちりシカゴの駅舎の中に、特急列車を突っ込ませたところは良かったです。皆さんのレビューを見てなるほど。広川太一郎氏の吹き替えで見れば、面白かったかも。駅舎に電車が突っ込んじゃったりなんかしてぇ~。 [DVD(字幕)] 4点(2024-01-03 21:14:57) |
8. 八甲田山
《ネタバレ》 「無能な大将 敵より怖い」とか「服従と責任放棄」とか、人間側のドラマを見て考えたりはするけれど、まあ、なんと言っても本作の主役は「八甲田山」なわけで。とにかく、冬の八甲田山が人間を容赦なく飲み込んでいく姿を見せつけられる。徳島隊は最善を尽くしたのだと思うが、それでも冬山に見逃してもらえたのはとても運がよかっただけ。ぎりぎり。40年前に小学生のワタシがまちの公民館で見て以来の、トラウマ映画。大竹まこと氏のベストアクト。北大路欣也が舌を噛んで死んだとか、三國連太郎が銃で自殺したとかはさっぱり忘れてたけど。大竹氏が雪洞を出てすぐ発狂して(最初に)死ぬシーンは恐怖と共に覚えてました。なお、3日かけてようやく再見しました。怖すぎて。 [DVD(邦画)] 7点(2023-10-12 20:51:02) |
9. ソイレント・グリーン
《ネタバレ》 もちろん古さはあるのだけれど、「あのとき見ていた未来」感がたまらない。「時計じかけのオレンジ」、「未来世紀ブラジル」などと並ぶ傑作だと思う。ソイレント・グリーン、かき餅みたいでしたな。あんまり美味しそうじゃない。 [DVD(字幕)] 9点(2023-05-21 16:28:17) |
10. フェイズIV/戦慄!昆虫パニック
《ネタバレ》 うーむ。何かの偶然でアリの中で発生した凶悪な遺伝子が、ストレス(黄色い薬)などを受け変異し、とうとう人間に寄生した。その状態がフェイズⅣ、これから本当のパニックが始まる。という解釈でいいんでしょうか。もう、まるで自信がない。コロナ禍を経験した現在ではシリアスな作品のような気もするが、どうしても滑稽にみえてしまう。小さな生物の活動にライフラインを止められたりすると、ヤツらは頭が良いと誤解してしまいそう。COVID-19が、感染しても発症しない人もいると知った時に、なんて巧妙な繁殖戦略、と思ったみたいに(本作のとはちょっと違うけど)。 [DVD(字幕)] 5点(2023-05-14 16:15:34) |
11. 刑事コロンボ/自縛の紐<TVM>
《ネタバレ》 自分で編み込んだトリックに縛られた犯人と、決め手にもなった犯人により縛られた靴紐のことがかかって、(原題とは似てもにつかぬ)邦題「自縛の紐」が生まれたのだと思います。もしかするとタイトルでネタバレ?とも思いますが、コロンボシリーズの邦題は、すべからく原題とは似てもにつかぬものであり、邦題をつけた人が愛着を持ってつけたんだろうなあと思えるものばかりです。そんな中でも、本作の「自爆の紐」は味わい深いものだと思っています。 [DVD(吹替)] 8点(2023-03-27 19:27:03) |
12. イルカの日
《ネタバレ》 静かなサスペンス。得体の知れない組織の気配など好きでした。しかし、物足りないところもある。イルカの描かれ方が、無垢でかわいい一辺倒でもったいない。イルカには凶暴な獣の側面もあるわけで。また、冒頭の講義でも紹介されていたように「数マイル四方の情報をキャッチできる」「人間で言えば超能力」を持っているのであれば、それを生かしたシーンがあればなあ。大統領の船に爆弾を仕掛けに行くビーを止めるのに、ファーはあんなに懸命に泳がずとも、声を届けられたのでは、【蛇足】念の為、吹き替えでも少し見てみたら、ファーにも日本語吹き替えが付いていました。 [DVD(字幕)] 5点(2023-02-24 16:53:48) |
13. 狂った野獣(1976)
《ネタバレ》 「暴走野獣・速水伸」とかいうテレビドラマがあり、そのスペシャル版として映画の「狂った野獣」が制作されたとしたなら、まあ理解できるのですが、そういうわけでもないのですね。犯人側サイド(またはバスの乗客)のキャラが立ってたと思いますが、敵役の警察があまりにも行き当たりばったりなんですよね。作戦らしきものを立てるんだけれど、ことごとく裏を書かれるような筋だったら(コヨーテとロードランナーのような)と思っています。コメディなんだし。後半、ただバスがパトカーを壊すだけの映画になってしまってました。オチは、こう落とすのかと少し感心しましたが(というほどのものでもない)。 [インターネット(邦画)] 4点(2023-02-05 21:15:11) |
14. 金環蝕(1975)
《ネタバレ》 悪い自民党と提灯持ちのマスコミ。■コロナ禍+東京オリンピック2020があぶりだしたように、そのなれの果ての世界に生きる我々のワケでして。一部の団体や組織のための政治であることを隠すことさえしなくなった自民党と、あの総務大臣政務官や政務会長や衆議院議長を糾弾できないマスコミ。■本作で、脈々と続くそのフォーマットを観て、怒りではなくて、ワタシはもう「あきらめ」の感情しかない。イヤな映画だと思う。■ワタシが疑心暗鬼になるのは、自民党議員の中には、好ましいこととはいわないけど、俺たちって所詮こんな感じだよねって、あたかも本作の登場人物のように振る舞っている人物もいるんじゃないか?、ということ。自己模倣。ある種の政治家の参考書みたいになってるんじゃないか?■ようするに本作や本作的なものが、このフォーマットを許すための逆・プロパガンダになっちゃったのではないか?(考えすぎ)。□それでも、悪い点がつけられないのは、気持ち悪い総理の女房役・星野官房長官を演じた仲代達矢と、彼の「最後のチャンス」とはなんだったんだろうと心にのこる石原金融王を演じた宇野重吉。役者は、確かにすごい。 [DVD(邦画)] 6点(2022-12-10 04:43:53) |
15. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
《ネタバレ》 再見。めちゃくちゃ面白い。一番好きなシーンは、ベル夫人の潜水のシーン。胸のペンダントに触り出した時には、ああ、またビビり出していると思ったのですが、静かに覚悟を決めていたのですね。かっこいい。胸が熱くなりました。【追記】これで、ギリとはいえ2時間切っているのか、という驚きもあるな。もっと長い映画観たようだ。 [DVD(字幕)] 9点(2022-10-07 18:59:10)(良:2票) |
16. サブウェイ・パニック
《ネタバレ》 ウォルター・マッソーの役を田村正和がやれば、古畑任三郎の特別編みたいだと思いましたが、3rdシーズンの最終話(最も危険なゲーム・犯人江口洋介)がまさにそんな感じでしたもんね。体調のすぐれない犯人というのも、味があっていいなあと思っていたら、それがキーになるのですね。三谷幸喜テイストの好きなパニック映画です。【追記】皆さんのレビューをみてから、もう一度ラストシーンを見返しました。「なんだ、オマエかよ」って顔の代表みたいな表情です。なんか絵画的、とすら思います。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-26 21:14:07) |
17. 突破口!
《ネタバレ》 気になるところはあるけれど(①大事にしてた奥さんの止血を何故しないのか、②ラストシーン。周到なヴァリックが、なぜ自分の名前のついたつなぎを残していくのだ、足がつくだろ、③敵役のモリーががさつで魅力がない)、それを上回る良さがあります。ヴァリックに大きなオチはないんだけれど、追っ手が最速で迫ってくるところが好き。渋めのクライムアクションと思わせて、農薬散布用の飛行機対自動車なんてのもやるのね。トレーラーハウスのとなりに住んでるおばちゃんが良かった。乳製品を取りに家を出たら…のシーンがいいです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-16 11:31:51) |
18. 原子力戦争 Lost Love
《ネタバレ》 うーん。俺たち、スキャンダラスなのを撮っているんだからねって、盛り上がっているだけの映画。原田芳雄の原発の守衛所突入がそのピーク。原田芳雄にしろ山口小夜子にしろ、なんでこんなにかっこつけているんだろう。Lost Loveってなんだよ。どういう理由でつけなきゃならなかったのか。あえて映画の内容を分かりにくくしてる?変な映画。 [DVD(邦画)] 2点(2022-03-16 20:47:10) |
19. わらの犬(1971)
《ネタバレ》 ああ。オラは弱虫だから、こんな暴力映画好きじゃないなあ。同様に弱虫の主人公が暴力のことあまり知らないから、キレるともう手加減を知らないから、あんな自宅での攻防なんて、ああ。見せ場だったのかも知れないが、ラストシーンのとおり、なにも解決していない。むしろ、手のつけられない修羅場の始まりだったかのようだ。イヤだ。だいたい、何か意味ありげなタイトルの「わらの犬」。Wikipediaによれば、「天地にとって万物は芻狗(祭儀に用いるわらの犬)のようなものでしかない」という意味の老子の言葉からきたものとのこと。はぁ?そりゃ、天から見れば、人間のやってることなんて、無力で取るに足らないことですよ。そんなこというんであれば、どんな映画(万物)もそうじゃないですか。であるならば、「わらの犬~ターミネーター編」、「わらの犬~天空の城ラピュタ編」になるんじゃないですか、どうですか。…ウソです。そんなことは、全然思っていません。あんまりイヤなので、ケチつけたくて言ってみました。 [DVD(字幕)] 4点(2021-09-28 20:50:23) |
20. ダラスの熱い日
《ネタバレ》 まるでケネディは暗殺されるために、ダラスに赴いたかのよう。キリストの処刑を彷彿とさせるようなところも(そんなのワタシだけ?)。死ぬためにパレードしているような気がするんだ。他のケネディ大統領暗殺をモチーフにした映画も見て考えてみたい。 [DVD(字幕)] 6点(2021-07-21 14:17:28) |