1. カメレオンマン
《ネタバレ》 初見以来、エンドロールでも流れていた”カメレオンマンの唄”が耳から離れない。■だから原題も、唄のとおりの"Chameleon man"だったとかと思いきや、主人公の名前。■また、一人の男の病状の物語だとすれば、いくら何でも狂騒的。■周囲に受け入れられたいがために、異常な体質を獲得してしまった男がメインテーマであるとともに、裏テーマとしては、世界恐慌前の「狂騒の20年代」と呼ばれたアメリカの世相があったのではないかと思っています。■ 作中の登場人物にも「1920年代はそういう時代でした」と言わせていますしね。 [DVD(字幕)] 8点(2024-04-07 16:45:37) |
2. カイロの紫のバラ
《ネタバレ》 二十歳のころに見てからの再見です。ミア・ファローがかわいい映画という記憶でしたが、見直してみて、けっこうシシリアも悪いな、なんて。年取ったものです。しかし、この8点は、だからこそミア・ファローに投じる8点なワケで、そういった意味では全然成長していないワタシです。ミア・ファローがすべて仕切っていた映画とも言える。 [DVD(字幕)] 8点(2024-03-14 19:14:32) |
3. タンポポ
《ネタバレ》 再見。面白い。もっと手取り足取りのラーメン指導だと思ってましたが、最後の決め手は自力で獲得させていたのですね。見直しました(2つの意味で)。チャーハンのエピソードはいいなあ。ご臨終の後も食べてたんですね。「あったかいうちに食え」。ご飯の作り手になった今、ものすごいいい言葉です。なお「これはラーメン・ウエスタンだ!」という惹句について。当時からピンときませんでしたが、あらためて本作の見方を狭めてしまっているように思います。それだけではない、もっと変てこな映画ですし、また見た後の感想として、ああメインのストーリーはそうだったんだなと観客が気づけばいいことを、あらかじめ教えるなよということですな。 [DVD(邦画)] 8点(2023-10-09 20:52:35) |
4. ジェノサイド ナチスの虐殺 ホロコーストの真実
《ネタバレ》 ■当時の写真や動画を編集した、ナチスによるホロコーストのドキュメンタリー。本作を観たら、グイドが愛息ジョズエのためにつらぬいた嘘が白々しくなってしまいます。もう「ライフ・イズ・ビューティフル(1997)」を観られなくなったかも。■とにかく人格を無視した悪辣な連続殺人事件が600万人も組織的に起きている様を観るわけです。戦争が怖いというより人間が怖い。■よその国の昔のこととは思わない方がいいのだ。一人一人は善良でも、集まるととんでもないことを始めてしまう集団を大なり小なり見てきたからね。■組織を笠に着てヒトを踏みつけにするような人間に、自分がならないことをまず考えたい。 [DVD(字幕)] 6点(2023-02-17 17:11:15)(良:1票) |
5. プライベート・ベンジャミン
《ネタバレ》 子供のころ、映画雑誌でよく目にしていた本作をやっと見たという感慨はあります。しかし。頼りないけど可愛らしい女性が、軍隊で酷い目に遭いつつも、望外のラッキーに恵まれて、成功を収めるみたいな話だと思ってたのですが、大金持ちとの結婚を夢見ていた女性が、自分の力で生きていくことを決めるまでの物語だったのですね。予想していたのよりもコクのある話だったと思いますが、だからといって、面白かったかと言うとそうでもないなあ。実戦演習のグダグダっぷりはなあ。当時売れっ子だったゴールディ・ホーンが、制作総指揮までやって作った彼女のプロモーションビデオだったのではないでしょうか?ワタシが軍隊に入ったら面白いんじゃね、みたいな。◆ただ、映画のポスター(DVDのジャケット)はすごく好きという厄介な映画。 [DVD(字幕)] 3点(2023-02-11 15:09:45) |
6. デフ-コン4
80年代で世紀末を描いた作品といえば、邦画では「狂い咲きサンダーロード」があります。それとはまったく異なるモチーフなんだけど、でも乱暴でタブーなんか無視した物語展開という点では似ているような気がします。本作が好きかといえば、彼の作同様、好きではないワタシですが、たぶんこれ好きな人がいるよという熱気は感じるやっかいな映画です。なお、デフコン(アメリカ英語: DEFCON)とは、「Defense Readiness Condition」の略で、通常は戦争への準備態勢を5段階に分けたアメリカ国防総省の規定を指す、とのこと(コピペ:Wikipediiaより)。5は平時で、1が戦争状態とのこと。「4」って、本作のような状態なの?だいぶ、仕上がった状態じゃん。納得いかない。 [DVD(字幕)] 3点(2022-12-17 20:13:39) |
7. 真夜中の処刑ゲーム
《ネタバレ》 これはいいなあ。■なし崩し的にアパートを舞台にした攻城戦(Siege)になるのだけど、敵役の副リーダー格(グース)の、怒りに任せて奥さんの陶芸の作品を壊すクズっぷりや、味方の副リーダー格(チェスター)の、防犯のために吊り上げたバイクと一緒に自分も釣り上がる間抜けっぷりを、物語最初に見ているものだから。■見たこともない俳優さんであることも相まって、なんとなく一軍同士の戦いではなく、垢抜けないもの同士の戦いという風情があり。■でも、そこがたまらなくいいです。物語はどんどん凄惨になるんだけど、なんか人間臭い。■そんなことも計算済みなんじゃないかと思えるくらいしっかりしたシナリオ。■カッコ悪い邦題だとも思いますが、もしかしたらこれが正解なのかもしれないとも思ってしまいます。■作中のニュース番組に挿入されるインターブロック社の床石のCM、伏線でもなんでもないのがスゴイ。ていうか、ちょくちょく何となく変なんですよ。それが妙な味がある。 [DVD(字幕)] 9点(2022-12-01 21:54:55)(良:1票) |
8. 楢山節考(1983)
《ネタバレ》 こんなプリミティヴな社会はイヤだなあと思ってみてましたが、だんだんと今の世の中と本質的には大差ないような気もしてくる。族長の悲哀というか、忍耐一本槍じゃないですか。辰平が背負っていたのは、母親だけじゃなくて、「根っこ」の一族郎党でしたもんね。対比されるのは、そこから逃げ出した父親。■「楢山まいり」の途中、一度母を見失うくだりでシビれた。まるで、いままで悪夢を見ていたとでもいいたいかのよう。■ルールが共有され、きちんと適用されるという意味では、今よりもマシな部分もあるんじゃないか。緊急時対応(馬の背から帰ってきても可)もあるのだしね。 [DVD(邦画)] 8点(2022-09-26 20:52:48) |
9. デッドゾーン
《ネタバレ》 ラストシーン。サラと抱き合ったとき、サラについての知るべきではなかった未来、または過去を、瀕死の状態で見てしまうという後味の悪い終幕はどうでしょうか?あっさり終わっちゃったときに、「なんでだ!」と声をだしてしまったオレは今、くたびれているかも知れない。でも、作中、サラに対して一度理解できない感じがありましたよね。それが、伏線かとも思ったもので。クリストファー・ウォーケンのナイーブな感じはよかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-31 13:30:40) |
10. その男、凶暴につき
《ネタバレ》 「孤狼の血」を経由して、どうしても見たくなって再見して気づいたことがある。こんなにも、主人公・我妻が歩いている映画だったのですね。我妻が歩くのが下手くそというか、ものすごく窮屈そうに歩くのが魅力的であり、有り様(適応できてない)を表しているかのように見えます。(何の仕事かと聞かれて)「鉄砲の通信販売」、(我妻さん早いですねといわれて)「俺がやったんだ」の、洒脱な感じが、ストーリーが進むにつれて少なくなるのが残念なんです(最後まであの感じなら、もっとかっこよかったのに)。しかし、ヒョウタンからコマもあったにせよ(途中で時間がなくて端折った演出が功を奏している)、唯一無二の作品だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2022-04-02 19:53:39) |
11. のるかそるか
《ネタバレ》 ある男がラッキーとひらめきのおかげで、1日中競馬に当たり続ける映画。いろいろ苦難もあったけどハッピーエンド系でもなく、最後にしっぺ返しを食う系でもなく。とにかく、穏やかな天気の中、1日中競馬に勝ち続けるだけの映画(大負けをラッキーで回避するおまけもあり)。ある意味、こんなに予想外な映画はありませんでした。ポジティブに捉えようとするならば、なんかこう、むかし話のようなノンビリしたストーリーだったなとは言えるかもしれませんが、やっぱり面白くないよなあ。余談ですが、こんなに登場人物たちがマズそうにビールを飲む映画も珍しいよなあ。ジルジル飲むんだもん。ビールは、ガッといけよ。 [DVD(字幕)] 2点(2022-01-23 20:40:11) |
12. サボテン・ブラザース
《ネタバレ》 「ギャラクシー・クエスト」を経由して、たどりつきました。誤解からはじまった助太刀だったが、いろいろあってウマくいくという、ある意味シンプルな話なのですが、ワタシは終始翻弄されていたという感想。例えば、①衣装を盗みに入るシーンのふざけ、②初めての野宿のシーンの書割りっぽさ、③世界観を壊しかねない歌う木と透明な剣士(何かの比喩かと思ったら。しかもあれっきり出てこない)、④敵役主観の、拳銃を空に撃ち駆け回るシーンもそうだな。なんかとてつもなく無駄な味付けがしてあって、それが妙に好きという困った映画。⑤跳び箱を飛び損ねるみたいに馬に乗るシーンとかも好きだなあ。映画のヒーローをそのまま本気にするという設定も、本当はそんなに真面目に考えてないんじゃないか。ヘンテコすぎるだろ。でも、好きだ。なんでだろう。【追記】ああ、この変な感じは、誰も共感してくれないと思いながら、「森田芳光作品」に似ているような気がする。 [DVD(字幕)] 9点(2021-09-16 21:53:36)(良:2票) |
13. 俗物図鑑
《ネタバレ》 第一感は、「なんでこの人たちはこんなことをしてしまったのだろう」。当時サブカル業界で、ある程度名の売れた人たちが、なんでこんな高校の学園祭で映すような映画を作ったのだろうと。その実(じつ)、サブカル業界なんてものに寄宿する、我らこそ真の俗物という韜晦だったのかもしれませんが。でも、やっぱり芸があったのはプロ役者の山城新伍ですもんね。結論としては、まあまあ面白くなかったです。 [DVD(邦画)] 2点(2021-02-22 19:00:58) |
14. AKIRA(1988)
《ネタバレ》 原作は30数年前に第1巻を読んだのみ。以降、この物語については、ああもあったろうこうもあったろうと想像していました。今回、意を決して視聴。んーん。何か違う。金田も鉄雄も大佐もケイも金田のバイクも、もっとカッコよかったんじゃないのか。物語を追うのは中断していましたが、いろんなところで「アキラ」のイラストは目にしていたわけで。だから、今回のアニメの本作は、ワタシにはまるでバッタモンの「アキラ」。よその国に行ったら、よく似たのがあったけど「アキウ」だった、みたいな。もうなんか単純に「カッコよくないんだ」(声を大に)。思い出しましたよ。漫画連載が終わる前に、映画化されたんですよね。オレの「AKIRA」はこんなモンじゃない。原作をちゃんと読むことにします。【追記】まさかの「月曜から夜ふかし」。 [DVD(邦画)] 5点(2021-02-09 21:26:09) |
15. 文学賞殺人事件 大いなる助走
《ネタバレ》 本作のタイトルをどうするかで、ひと悶着あったのではないでしょうか?あくまで原作通りの「大いなる助走」にしたい鈴木監督と、それじゃお客をとれないから、クソダサいけど理解されやすい「文学賞殺人事件」とする配給会社の間で。作品中オープニングタイトル(大きい赤い文字で「大いなる助走」、小さく「文学賞殺人事件」)はもちろん、エンディングに何故かでるタイトルまで「大いなる助走」(のみ)推しなのに、DVDのパッケージ、映画のポスターやパンフレットは「文学賞殺人事件~」になってます。このなんかギクシャクした感じに原作者ツツイも絡んでいたら、なおさら趣深いと思うのですが、あなた、どう思われますか? そんなことは別として、本作について。ただただ面白いです。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-02-07 08:11:56)(良:1票) |
16. SF核戦争後の未来・スレッズ<TVM>
《ネタバレ》 うーん。当時の世相もあったのだと思いますが、とにかく全面核戦争が起こってしまったら超悲惨ですという方向一辺倒すぎて、気持ちが揺り動かされない。核戦争後の人類は、とにかく無力で状況に翻弄されるだけって、それホント?って思ってしまう。弱いけれども、利他的な行動をする。弱さから、とても狡猾な行動をとる。そんなこんなで、社会を作り上げて行くのが人類なんじゃないですか。13年経った世界で、全く文化的な復興がないのもおかしい。教育が昔のビデオを流すだけなんて(もしかすると制作したBBCらしいアイロニーかもしれないが)。「言葉」がものすごく後退してしまっているのがおかしい。なんだか「文字」の気配がない。何もかも壊されたとしても、人類をそれたらしめている「言葉」は、だからこそ大事なツールになるのではないでしょうか。というわけで、人類なめんなよ、と言わせていただきます(なんだそれ)。 [DVD(字幕)] 6点(2020-11-02 18:30:58) |
17. ウィークエンド・シャッフル
《ネタバレ》 これはたしかに、「ウイークエンド・シャッフル」ではあるのだが、面白いのか、面白くないのかよく分からないという困った代物です。そこで、原作を読み直してみました。するとやっぱり、筒井康隆の原作の方が天才的に面白いわけで、本作では要らないこと(追いかけられるヤクザ、逃走するぶたとか)をたくさんやっているのだなあと思うのです。ただ、原作にはない「斑猫家は土足可」、「子どもが誘拐を教唆」、「強盗は兼業でセールスマン」、「強盗の死に際」という部分については、筒井ファンであろう監督か脚本家はこういう風にあの原作を読み砕いたのね、と(いい悪いはともかく)興味深かったりもするのです。特に、「土足可」にするとこんなにいっぺんにヘンテコになるのかと感心しました。そんなこんなで、どうかと思いますが、結論としてはまあまあ面白かったです。 [DVD(邦画)] 6点(2020-10-24 12:29:28) |
18. アングスト/不安
《ネタバレ》 うーん。基地外の行き当たりばったりの成り行きを、同じ基地外が後付けで手前勝手にナレーションをつけたような映画。ホラーでも、サスペンスでもない実録事件ものです。司法に対する批判もあったのかなあ。うんざりする悪夢のような映像が続く中、「黄色いカッパ着た子供たち」が現れますが、めちゃくちゃハッとします。一瞬にして正気にかえるというか。子供ってすごいな(なんのこっちゃ)。タイトルの「不安」は主人公の不安なんでしょう。その視点がないと、さっぱりなんだこれって映画です。だからタイトルだけが仕事をしているような気がします。予告編の「世界各国で上映中止」「37年を経て日本劇場初公開」なんてのに釣られてみちゃいましたが、封印したままで良かったんじゃないの。せっかく映画の日(1日)なのに、なんで、「TENET テネット」観に行かなかったんだろう(後悔)。 [映画館(字幕)] 2点(2020-10-01 19:50:31) |
19. シャッフル(1981)
《ネタバレ》 演技する森達也氏が観たいというマニアック?な動機で視聴しました。若い森氏を観て、特に感慨もありません。あああ、若いなあ、ってとこ。そんなには、森氏に見所はない。本作について。ストーリーは、原作の大友克洋氏の「RUN」を知らない人が見たら、わかるんだろうか?セリフは、小声でモソモソ、聞こえづらい。あまりそこの住民への配慮もなく、公道を追いかけっこするシーンを撮るとか、80年代っぽいのは嫌いではないが。しかし、まあ面白くはなかったよね。ワタシ、狂い咲きサンダーロードもダメだったもんね。なんか、熱量だけを見せられているような気がしちゃうんだよね。とにかく、ガーッといったら、なんかいいのができる、みたいな。 [DVD(邦画)] 5点(2020-04-13 19:52:01) |
20. ブルース・ブラザース
《ネタバレ》 ちょうど古臭いという感じです。この感じを例えていうなら、TVのバラエティーとしては、「ゲバゲバ90分」よりも「オレたちひょうきん族」の方が古臭い。刑事ドラマで言うと「太陽にほえろ(マカロニ、ジーパンのころ)」よりも「西部警察」の方が古臭いといった感じです。ワタシも、アレサ・フランクリンのシーンはカッコいいと思いましたので、きっといつかこの味わいがわかる日が来るような気もします。が、来ないような気もしています。 [インターネット(字幕)] 5点(2019-10-24 22:57:38) |