1. ゴッドファーザー
《ネタバレ》 音楽・映像美・演技・脚本どれもがすばらしい。映画と言う媒体で物語を語るときの、1つの到達点とも言える作品だと思います。 現在風のテンポの良いカット割ではなく、俳優の演技の「間」を最大限に活かした作りで、その上質な演技ゆえに長さを感じさせません。殺人や粛清シーンの前後にある、光と影を活かした印象的なカット・音楽・効果(環境)音など、ひとつとして無駄が無く、まさに演出者の意図通りに観る者を映画の世界に引き込んでくれます。 あたりまえですが私自身、現実のマフィア・暴力は大嫌いで、この映画の中の「ファミリー」も身内に甘く独善的で、けっして憧れの対象にはなりませんでした。むしろ「自分なら絶対嫌だ」とも思いました。しかし物語として、ある種ファンタジーとしての人間模様には強く惹かれました。 アクションやホラー映画の好きな自分に、俳優の凄まじいまでの演技を見る楽しみや、ゆったりと丁寧に作りこまれた画面を鑑賞する楽しみを教えてくれた映画です。 [DVD(字幕)] 9点(2009-02-16 18:19:41) |
2. エクソシスト
《ネタバレ》 とにかく上質な、怖い映画です。子どもの頃見た印象は、悪魔にのりうつられた少女の表情やしわがれ声など、モンスター映画のような記憶がありました。 近年再見し、ドキュメンタリー映画のような冷静で丁寧な作りに驚きました。 よく並び評されるオーメンもそうですが、この映画も「悪魔が存在するかどうか」はあまり問題ではありません。「悪魔憑き」の状態に陥ってしまった少女と、その周囲の人々、さらに悪魔祓いの神父それぞれが、様々な家庭問題や苦悩を抱え葛藤する姿を生々しく描くことに成功しています。 また音響・効果音も素晴らしく(怖く)、パンフレットなどの画像を見ただけで、そのときの「音」が蘇ってきます。 万人が「好き」になれる映画ではないと思いますが、多くの人に見てもらいたい傑作です。 [映画館(字幕)] 9点(2008-08-06 16:55:28) |
3. オーメン(1976)
《ネタバレ》 この映画は、ホラーとして紹介されることが多いですが、実際はサスペンス映画だと思います。「人の死」を印象深い映像として表現しているので、ホラー的要素が多いのも事実ですが...。 悪魔の子・ダミアンが、様々な恐怖や事件・事故を生み出すのではありません。 反対に、事件や事故による恐怖体験が、悪魔という妄想を生み出してしまう、つまり結果から原因を作り出してしまう人間の弱さや矛盾を突き、それから生じる悲劇を描きたかったのだと思います。 このオーメン第1作の優れたところは、ダミアンが原因なのか結果なのか、どちらにでもとることができるように演出されている点ではないでしょうか。 いずれにしても、美しい映像と実力派の名キャスト、素晴らしい音楽の揃った名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2008-08-06 16:37:01) |
4. TATARI タタリ
《ネタバレ》 あまり深く考えず、ホラーを楽しむにはなかなか面白い作品だと思います。 印象深いシーンや、実験的な映像も多くあり、楽しめました。 が、やはり普通に見ていても違和感を感じるところが多々あります。 他のレビュワーさんも指摘していますが、特に気になるのが ・舞台である病院の外観と中が一致していない所 ・推理サスペンスと幽霊ものの両立に無理がある ところでしょうか? 回想シーンに出てくる「昔の病院」の感じが凄く良いだけに、近代的な外観が 浮いています。内部の構造説明も無いので、どこからどこに向かっているのか わかりません。もっと緊迫感が出せたのではと思います。 「幽霊のしわざに見せかけた犯罪」なのか「本当に幽霊がいる」のか、どちら ともとれるあたりまでは良かったと思います。ただし、真相がわかってからは ホラーではなくモンスターアクションのようになり、怖さが半減しています。 この素材と映像技術があれば、もっともっと心理的に怖い映画に出来たはずで、 個人的に少しがっかりしました。 ただ、怖いシーンはありますが全体的にアクション性・モンスター性の強い、軽 くてスピード感のある映画ですので、ホラー初心者には良いのではないでしょう か? [DVD(字幕)] 6点(2008-05-08 10:18:21) |
5. JAWS/ジョーズ
《ネタバレ》 無限の予算とスケジュールで、思い通りに作られた映画も壮大で楽しい、けれどもこの作品はそれと対極にあるのではないでしょうか? 低予算映画というわけではありませんが、制約の多い中、監督を初めとする映画にかかわった人の才能が凝縮された作品だと思います。 リアルな鮫のモデルが使えないのなら、とことん「見せない恐怖」を演出すること等、脚本・映像・音楽その他が徹底してプロのエンターテイメントに徹しています。「苦労の跡」が作品中から微塵も感じられないのも素晴らしい。 なんだか舞台裏ばかりの評価になってしまいましたが、難しいことを考えず、わかりやすい怖さと爽快感を併せ持った名作です。 [DVD(字幕)] 9点(2008-01-23 11:38:24) |
6. 犬神家の一族(1976)
《ネタバレ》 良く練られたアングルと絶妙な編集。 当たり前かもしれませんが映画として、とても美しい作品だと思います。 またキャストも良く、他の出演映画以上の魅力を引き出していると感じます。 原作ファンとしても、上映時間を考慮した納得のいく脚本でした。 「スケキヨ」「ヨキケス」の謎解きが無く、有名な逆立ちシーンが単なるインパクトイメージとなっていたのが少々残念でしたが..。 推理サスペンスということで、怖い映画が苦手な方もいるとは思いますが、ぜひ多くの人に見ていただきたい名作です。 [DVD(邦画)] 8点(2008-01-23 11:17:58) |