1. きっと、うまくいく
《ネタバレ》 最初から最後まで濃い内容の映画。学生たちの楽しそうな姿のシーンに組み込まれる深刻な現実に度肝を抜かれた。卒業式のあと、人知れず去って行くランチョーの心中を思うとちょっとしんみりしてしまう。私自身の鈍感さに最後は感謝!?普通分かるだろと言われるが、分からなかったから感動と驚きが大きかった。音楽がどれも素晴らしかった。冒頭のランチョーを讃える曲・軽快で心地よいテーマ曲・ジョイロボの歌う素朴なフォーク風味の曲など、どれも素晴らしかった。 [映画館(字幕)] 10点(2019-02-21 00:52:08) |
2. 縞模様のパジャマの少年
《ネタバレ》 主人公の少年の母親がまだ人間の心を残していて救われたが、映画自体には救いがなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2019-02-21 00:37:19) |
3. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 今みました。皆さんと同じ、最初は『おかしな映画だな、ふざけてるのか』と思っていましたが、麗子の『河崎君はもういない』辺りからのめりこむことができました。一番悲しかったのはやはり琴美の最期・・・。犬の無事を(やつらから救えたのはたった一匹だったけれど)見届けて、琴美は安心して逝ったと思います。またこの映画では、瑛太の魅力を初めて知ることができました。ドルジがあれほど流ちょうな日本語を話せるようになったのは、それだけの理由があったんだな、一人ぼっちになってしまった彼の心情も悲しかった。映画の最後に出てきた柴犬は、琴美の救った柴犬に似ていたな、かわいかったな。ドルジがどうなるのか観る人にゆだねたところ、苦しいけどそれでよかったと思います。 [DVD(邦画)] 10点(2014-03-20 14:42:29) |
4. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 久しぶりに良い映画を見た。 上質のブランデーのごとく、心地よい余韻があった。 そして、一度見ただけでは拾えなかった細かい個所をもう一度見ながら 詳さに検証した。 私にとって良い映画というのは、そういう映画であり 終わってすぐでも、続けて観賞に耐えられる映画なのだ。 ドライマンの部屋を覆うにぎやかさがあっても、全体を漂う静謐さ。 その静かさを補ってやまない、ヴィースラー大尉の瞳の雄弁さ。 澄み切った瞳を持つ大尉とは対照的な俗物たち。 主役だっただけではなく、ウルリッヒ・ミューエの存在がこの映画の肝だった。 最後のせりふと大尉の表情を私は一生忘れないだろう。 [DVD(字幕)] 10点(2012-08-28 13:44:08) |
5. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 私にとってピアノは、趣味以上≦特技以下。毎日2時間はひくようにしている。 この映画を見て一番思ったことは、『主人公はピアノがある部屋にいながらピアノがひけない(音を出すわけにはいかないから)。それがどんなに辛かっただろう。』 ピアノがなければよかったものを、隠れていた部屋にはピアノがあったという事実。 苦しかっただろうな、よく誘惑に負けなかったな。 それが印象的でした。 [DVD(字幕)] 9点(2012-02-29 19:29:48) |
6. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
《ネタバレ》 原作未読。いろんな意見があるようですが私は面白かった。’不思議ちゃん’がとても魅力的で心に残った。『アズカバン』で、保護者の許可を得られない(いないから)為に外出できないハリーが、ルーピン先生と渡り廊下で話をする場面がすごく好き(孤独を抱えた者同士で)なんだけど、この’不思議ちゃん’も深いところでハリーの心をくみ取ってわかり合う感じがよかった。そんな二人なのに、べたべた恋愛感情を持たない設定もGOOD。スネイプ先生の過去や双子の暴れっぷり・PINKオバハンのいやらしさ・H・B・カーターの狂気(『眺めの良い部屋』でデビューした時はこんななる思わへんかった!)等々エピソードも満載。双子のカッコよさと不思議ちゃんのかわいさで点も2点ほど上げます。 [地上波(吹替)] 9点(2010-11-20 17:50:40) |
7. 春の雪
まず三島由紀夫を敬愛してやまない私にとって、このキャスティングにがっかりしたものだ。でもそこは三島ファンとしてみずにはおれない性・・・。 観終わっての感想は『ツマブキ君、予想外によかったやん!』というものだった。 彼は声がいいですね、顔はお目目ぱっちりのアイドル顔そのものなのですが 声が低めで渋い。そこでかなり救われたと思います。 惜しむらくは高岡君の’本多’です。『豊饒の海』全4篇の傍観者として 存在感をもっと出さないと。 ここでの本多は、飽くまで<主人公の親友>の域を出ていません。 監督の指示だとすれば、監督は『豊穣の海・全篇』を撮る気はないと見た。 清顕・聡子ともに、そんなに好きなら素直にくっつけばええやんか・・・というわけに行かないのが三島作品の三島作品たる所以であり、この辺の機微は原作も読んで鑑賞した方がわかりやすいと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2009-05-06 17:02:13) |
8. 隠し剣 鬼の爪
《ネタバレ》 お馬鹿な私はこれがテレビ放映されるのを知らず、レンタルで借りてきました。 一日目DVDで観、次の日テレビで観ました。 でも「損した!」という気にならなかったので、私の中ではいい映画だったな、という印象です。 真田広之と比べると永瀬正敏はずいぶんうだつがあがらないように見える。 その気さくさ・泥くささが、女中にすらからかわれる原因だ(正直、この時代いくらいい人だとは言え、あるじであるオサムライさんにこんな言い方するか?と違和感があったのは確か)。 でも実直さは見えてよかった。野茂英雄さんに似ているからそのイメージもあると思う。 あの高島礼子を退ける所からもそれが窺える。 個人的には、田舎ざむらい役の『赤塚真人』さんがとてもよい役者さんだと思うが 名前が載っていないんですが・・・「たそがれ」でもそうだったけど。 [DVD(邦画)] 8点(2009-02-10 06:55:50) |
9. たそがれ清兵衛
《ネタバレ》 主人公が垢染みた侍なのですが、美しい瞳と清潔感あふれる真田広之だからこそもったのではないでしょうか。下手なキャスティングでは真にうだつの上がらない役になってしまいます。 そんな彼に惹かれる朋江さんも美しくまた聡明で魅力たっぷり。 そんな主人公二人の美形振りだけでなく、脇役陣も立派。 吹越さんよし、故深浦さんもよし、お父様と声のそっくりな梅雀さんよし、と安心してみていられます。 特筆すべきは田中泯さん。狂暴なだけの野蛮人ではない証拠に、まずは相手の技量を認めて和やかに話が進みます。それが一変する時のあの迫力にはびっくりしました。 あの、眼が光る一瞬だけでも、この映画を見る価値はあると思います。 [DVD(邦画)] 9点(2009-02-05 23:23:28)(良:1票) |
10. 山桜
《ネタバレ》 数ある藤沢作品の中で最も好きな『山桜』が映画化された。 野江の雰囲気がどうも田中麗奈ではないような気もする (彼女なら、ちゃきちゃきのおきゃんな町娘のイメージ)。 手塚弥一郎はというと、原作には「男にしては優しすぎる目元」とあるので 若い時の中村雅俊などぴたりだったんじゃないかと思う。 とはいえ、予想外に東山紀之はよかった。 寡黙で正義に篤く侠気のある役どころがはまっていた。 今後が非常に楽しみだ。 食事時の礼儀作法・季節感を楽しむ気持ちのゆとりの有無で、 家格あるいは人格の違いを表していたり、 大目付に出頭する手塚と米倉(この人も正義の人であった)の視線だけのやり取り、 静かに逼塞していた手塚の母堂が、野江が来るようになり扉を開け放したり、と そこかしこに隠してある旨み、みたいな物を探すのも楽しかった。 冨司純子はさすが。画面に登場するだけで暗がりに明るい光が差すかのようだった。 それも、野江が訪ねてきた時はちょっとやつれている感じであったが、 次にはふっくらしたと母性が表れていた。 全体としてよかったが、一青ようの歌は私にはちょっと合わなかった。 [DVD(吹替)] 8点(2009-01-14 17:53:52)(良:2票) |
11. 模倣犯
宮部さんが描きたかった、犯罪周辺の人たちの悲しみを 面白おかしくあげつらい果てには泥を塗ってどぶに捨てた、 いえ、そんな表現ではとても足りません。 もとの小説を読むのを躊躇されているならぜひ読んでください! この怒りが解っていただけるかと思います。 宮部さん本当にお気の毒です。 [映画館(邦画)] 0点(2008-06-27 23:32:51)(良:1票) |
12. アマデウス ディレクターズカット
世界でもっとも有名なオーストリア人=モーツァルト。 名作とされるこれを今までなぜみていなかったんだろう、 今となってはこれを劇場で観たかったという後悔でいっぱい。 ピアノ歴は長いのに不思議にモーツァルトって敬遠してたんです。 あの独特の、葉っぱの上をころころ転がる水滴のような音の連続が どうしても私のヘタクソなテクでは再現できず。 でもこれを初めて観て、いっぺんにアマデウスのとりこになってしまいました。 好きこそ物の上手なり、彼の生み出した音を再現したいと今思います。 今は深夜ですが明日練習しよう。 神様に愛されるって残酷なことなんですね。 神はモーツァルトをして、自分の言葉を人間界に通訳させる任を負わせた、と思えました。 トム・ハルスいいですね。母性本能をくすぐりまくられます。 笑い声は悪魔のささやきのように耳に染み付き離れません。 他にたくさんの作曲家がいるにもかかわらず、エンターテイメント映画として 成功するのは後にも先にも’アマデウス’ただ一人でしょう。 ベートーベンやバッハでは教訓映画のようになってしまうでしょう。 バッハ、好きなんですけれど。 [DVD(字幕)] 10点(2008-04-20 00:00:22) |