1. トレマーズ
《ネタバレ》 荒野の地中を驀進する巨大生物「グラボイズ」。軽妙な掛け合いの心地よさ。舞台はアメリカ西部の小さな田舎町。そこでは最近小規模な地震が多発していた。何でも屋のバルとアールは、調査に来た地質学者のロンダと謎を探ることに。そして体長10メートルのワーム型モンスターが、次々と住人たちを餌食にしていることを突き止める。予想外に知能の発達したモンスターに通信手段を断たれ、孤立した町の住人と未知のモンスターとの生き残りを掛けた戦いが始まる...。まず、主役モンスター「グラボイズ」の存在感が凄い。「太いミミズ型の体」「硬い体表」「鉤状の口」「口中から生える触手」が合理的に機能し、醜悪ながらも現実に存在するかのようだ。加えて銃や手製爆弾程度の攻撃でも倒せるという弱点が設定されることで、よりリアル感が増している。地表のすぐ下を驀進する巨大生物がが、モグラのようにボコボコと地面を盛上げながら迫って来る映像は圧巻。また、地中に生息する「グラボイズ」は振動を感じる能力が発達しており、「音を立てずに地面を歩く」ことが重要になってくる設定が秀逸。家の屋根などに避難した住人たちが、「どうやって別の場所に移動するか」が重要になり、知恵を絞って窮地を乗り越える展開が緊張感を高め、面白さを増幅させる。また、暗くなりがちなモンスターパニックものにしてはコメディ感が強く、住人たちの掛け合いが楽しい。町の住人たちはヘンな人ばかりで、特にバルとアールのコンビの掛け合いとアクションが予想外に面白い。更に住人の中でも銃オタクのガンマー夫妻が大量の重火器をコレクションしており、非常に良いアクセントになっている。夫妻の活躍は凄まじく、コレクションの銃や手製爆弾を駆使して大型モンスターを駆逐するシーンが燃える。最後の最後まで彼らが知恵を絞ってグラボイズに対抗する展開が非常に好みだ。続編は未見だが、観たくなってきた。ハナマル! [DVD(吹替)] 8点(2017-02-11 14:58:55) |
2. フィフス・エレメント
四元素の石柱と五番目の要素。「愛は地球を救う」数年に1回は観たくなる作品。過去の映画で観たことあるようなシーンばかりのいいとこ取り感はある。...だが面白い。物語は単純明快。未来世界で地球存亡の危機に立ち向かう男女の活躍を描く冒険活劇だ。カッコいいヒーローとヒロインが、カラフルな世界を縦横無尽に冒険するさまはドキドキ・ワクワクする。リュック・ベッソン監督のオタク気質がいい方向に向いており、楽しませ方がうまい。お約束の「マッチ箱に残った1本のマッチ」が大好き。それと、健康なお色気を振りまく、若きミラ・ジョヴォヴィッチ演じるリールーの一挙手一投足が、ホントに可愛らしく美しい。また、ゲイリー・オールドマンが間抜けな悪役を楽しんで演技しているのも良い。ハナマル! [DVD(吹替)] 7点(2017-02-04 16:52:55) |
3. テルマ&ルイーズ
《ネタバレ》 メキシコへの道のりは遠く、行きつく先は断崖絶壁。不条理な現実。不運の積み重ねで運命が一変してしまうことは、誰にでも起こりうる。冒頭の会話シーンだけで彼女たちの性格や親密さ、置かれた状況が自然に理解でき、これからの展開を期待させる導入部は見事。思わぬ殺人から逃亡劇は始まり、だんだんと引き返せなくなっていく展開も、人物描写が深く掘り下げてあるお蔭で、なぜ2人が犯罪を犯すことになったのか、なぜお互いがお互いに付き合うのか理解できる。当時の女性の立場や差別を適度に盛り込み、追われる身となって初めてテルマの心が解放されていく様子や、そんな彼女を手放しで喜ぶルイーズの優しさには感銘させられる。観客もこの時点は、2人の逃亡劇にすっかり魅了されているのだ。2人を追うこととなるハル警部は、最後まで本気で2人を救いたいと願い続けていた。彼女たちは本来は普通の女性だと彼には分かっていたのだろう。彼は観客の代表であるかのようだ。ラスト間際、2人の車を追いかける彼の後ろ姿は痛々しい。結末は衝撃的であるが、同時に心地よい開放感も感じさせるものであった。ハナマル! [DVD(吹替)] 7点(2016-11-15 22:01:35) |
4. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 喜怒哀楽、人生の機微がすべて盛り込まれている作品。許されない罪を犯した受刑者たちの話ではあるが、人間の尊厳を維持することの大切さと大変さを考えさせられた。希望を持つことがいかに重要か、そして、希望を待つだけでなく自ら道を切り開こうとする意思の大切さも考えさせられる。アンディは穴を掘ることで、レッドはアンディとの口約束を信じることで、辛うじて人間たることを保てたのだろう。主題は我々の目の前にある社会生活、人生においても当てはまり、学ぶことが多いと思う。ラストシーンは美しく感動的だが、その直前のレッドの言葉「国境を越えられるだろうか...、友に会えるだろうか...、海は青いだろうか...、それが俺の希望だ」で終わった方が好みかな。非常に優良な作品であり、十分に及第点ってことで。 [DVD(吹替)] 9点(2013-04-29 17:39:22) |
5. ガタカ
《ネタバレ》 遺伝子によってのみ個人が評価される未来。遺伝的に弱者な不適格者は夢を見ることすら許されない。ある若者は甚大な努力によって遺伝子の烙印を消し去ろうと試み成功する。最高の適格者として生まれ、不適格の烙印を押された若者の助けを借りて。友情と反目の中、本当の友人として強く結びつく二人。遺伝的に不適格者の烙印を押されたヴィンセントが主人公ではあるが、後天的に不適格者となったジェロームの境遇に、より惹かれた。最高に優秀な遺伝子を持っていても必ずしも思い通りの人生が遅れるとは限らない。彼は生まれながらにして不適格者として烙印を押された若者の夢に自分の夢を重ねるようになる。優秀な遺伝子さえあれば個人の存在を偽れるというこの世界において、最後の最後に「燃えてなくなる」ことで「自分の存在に自分で決着をつけられた」ジェローム。いずれにしても悲しく重い物語のラストは、不透明ながらも若者の光に満ちた(同時に暗く閉ざされた)未来を予感させ、非常に心を打つ物語として心に残った。 [DVD(吹替)] 7点(2011-05-30 22:48:07)(良:1票) |
6. バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
《ネタバレ》 主人公がビフからドクにシフトして俄然面白さが増した。主な舞台が西部に固定されたため、より単純なストーリーになったが、絶妙なオーバーテクノロジーの混ぜ加減もあり、1作目のようなジェットコースター感も復活した。ドクの恋バナも適度に散りばめ、2作目で回収し切れなかった伏線もざっっとさらって、感動のラストに突き進む。機関車と未来カーのハイブリッドタイムマシンは、この3部作の真髄を体現しているかのようである。今観ても十分観るに耐えうる内容の高級品だと思う。 [DVD(吹替)] 8点(2010-03-18 00:02:34) |
7. CUBE
《ネタバレ》 DVD版に収録されている短編映画「Elevated」もそうであるが、極限状態に置かれた人間たちの深層心理を巧みに描写し、じわじわとした恐怖を味わえる内容となっている。最初に登場したスキンヘッドの死により「部屋には死の罠が仕掛けられ、慎重に行動しないと危険」という設定を、ものの数十秒で観ている人に印象付けることに成功している。突然捕らわれ、目的も意味も分からずに立方体の部屋に放り込まれた登場人物たちに課せられた不条理なゲームは、現代社会の象徴とも思える。限られた空間を巧く利用すれば、低予算でも面白い映画を創れるという、いい例だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-03 13:48:58) |