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1.  おくりびと 《ネタバレ》 
わかり易過ぎる伏線、ここで泣けといわんばかりのベタベタな演出・・・・・でも 『それでも泣けてしまうんだよなあ・・・困ったことに!』      生者が死者を門の向こうへおくるとき、 死者も生者に何かをおくりかえしているのかもしれない      劇中、それは”石文”という形で、子へ、そして孫へとおくられた そしてこの映画自体も、これからも多くの人の心に大切な何かをおくりとどけつづけるのだろう
[映画館(邦画)] 9点(2009-03-05 03:00:54)
2.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
原作小説「容疑者Xの献身」・ドラマ「ガリレオ」 どちらも未読・未視聴ですが問題なく楽しめました  隣で生活している親子のなにげない談笑や生活音から ”家族”というものの暖かさや活力というものを 一方的ながらも汲み取り、それを人生のささやかな喜びと感じながら しかしそれ以上のものは望まずに、日々を淡々と生きていく… という石神(堤真一)のキャラクターの魅力がかなり大きかった映画でした  カッコよくて天才でスポーツマンという完全無欠なキャラである 主役の湯川(福山雅治)の露出をあえて抑え気味にしてるのも功を奏していると思います  しかし途中の工藤(ダンカン)に石神が手紙を送る辺りのエピソードは「やられた!」と思いました 一瞬「石神がこのまま安っぽいストーカー的キャラに堕ちて、映画の流れも安っぽくなってしまうの!?」と見事にミスリードされてしまいました(笑)
[映画館(邦画)] 9点(2009-02-15 16:16:09)
3.  20世紀少年 《ネタバレ》 
全3部作の第一章。 漫画の実写化としては、まあまあ成功の部類に入る出来だと思います。  少年時代に作った「よげんの書」と、現実に起きた「細菌テロ」、 謎の教祖「ともだち」と、よげんの内容を知る「かつての旧友(の誰か)」、 それらが本作のクライマックスである「血のおおみそか」に向けて 急激にリンクし収束していき、そして新たな主人公カンナへと 希望のバトンが渡された所で「つづく」…と、 物語が勢いづいた、いい場面で作品は一旦の終わりを迎え、よい読後感?を味わえました。 チョイ役も含め、出演陣が豪華なのも良(竹中直人氏の顔芸が無駄に?発揮されています(笑))。  問題点としては、映画が原作のあらすじを駆け足で追っていくので手一杯なため 登場人物たちのディテール表現が浅くなってしまった点でしょうか。 人物像を掘り下げるためのエピソードや回想シーンが可能な限り削られてしまい シナリオを進めるためのコマのひとつとしての役割の方が、皆に強く出てしまっています。  また、ともだちの正体を推理するための材料も原作と比べかなり不足しており 加えて多くの登場人物が次々と現れては消えていくので、原作未読の方は混乱必至だと思います。  自分は原作となった漫画は、雑誌連載時に立ち読みで (飛び飛びながらも)さらっと目を通してはいるので、 大まかなストーリーは覚えてはいますが、細かい部分は覚えていません。  「ある程度の前提となる基礎知識を得ており、かつ、細かいアラ探しができる程覚えてはいない」 …という、自分と同じような「原作うろ覚え状態」の人が もっともこの映画を楽しめるのだろうと思うのですが、いかがでしょうか。  ところで、今作は漫画5巻分を2時間超という長い時間をかけて再現しましたが それでもまだまだ原作を忠実に再現するには説明不足・表現不足な所がありました。 あと2作で漫画19巻分をまとめなければならない訳ですが、大丈夫なのでしょうか? 自分は漫画の中盤~後半が少し冗長に感じたので 映画として不要だと判断されたパートは大胆にバッサリとカットしてもらいたいと思います。 もしかすると、ともだちの正体や後半のシナリオは原作と変えてくるかもしれませんね。
[映画館(邦画)] 7点(2008-09-27 01:04:18)
4.  ハプニング 《ネタバレ》 
基本的には「ツイスター」「デイ・アフター・トゥモロー」のような ディザスター・パニック・ムービー。 ただしシャマラン監督という事で普通の災害映画とはやや毛色が違います。  とにかく、冒頭から目をそむけたくなるほどのショッキングな自殺シーンのオンパレード。 群衆が一様に立ち止まり、後ろ歩きを始め、次々に命を絶っていく様は さながらレミングの集団自殺のよう(←都市伝説ですが)。 その狂気と絶望と悲壮感に満ちた光景は 見る者に一種の破滅的カタルシスを感じさせてしまう程です。  もちろん衝撃的な映像だけが見所ではなく 主人公達の心の葛藤や人間ドラマなどもちゃんと描いており 最後まで飽きることなく見ることができます。 「連絡管を使って話すシーン」 「人工の観葉植物に話しかけるシーン」 「数学教師らしい方法で女性を鎮めようとするシーン」 などは、好きなタイプの演出です。  不満もあり「見えない物の恐怖」と「自然の人間への逆襲」を同時に描こうとして 結果として映画としての鋭さを失ってしまったように感じられました。  特に気になった部分は  ●「攻撃」自体が見えなくても「敵」の正体がおぼろげながら 分かってしまった=未知でなくなった時点で、以降の恐怖が大幅に緩和されてしまった点 ●物語中盤でただの農場主が行った推理が、結局そのまま真相だったという点 ●全てを「自然の事は完全には分からない」=「”ハプニング”だから」で丸投げしている点  …などです。  極めつけはあの「ミセス・ジョーンズ」の存在であり、あまりに強烈な彼女のサイコっぷりは 「真に恐ろしく理不尽なるは、幽霊でも災害でもなく、人間そのもの」という 監督が表現したいものとはまったく違う印象を我々に与えてしまっている所でしょう。  さらに言うなら、ラストシーンのあまりに「優等生」的な作り方は、らしくない。 ホラーやスプラッターによくある定番の”オチ”を付けるのではなく 「シックスセンス」や「ヴィレッジ」のような”大どんでん返し”をして欲しかったです。  ま、自分は「作品の意味」「説得力ある筋書き」等はあまり気にしないタチなので 事前に見たレビューサイトの酷評に反して、結構楽しめちゃったんですけどね。  「宇宙戦争」とよく比べられる本作ですが 家族愛がしつこすぎない点と、ズーイー・ デシャネルがエロカワイイのでこっちに軍配!
[映画館(吹替)] 7点(2008-08-12 03:28:01)
5.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
「ストーリー」ではなく「世界観」を楽しむ作品です。  リサは言います。 「不思議な事がたくさん起こるけど、今は何も考えなくてもいいの」と。 その通りに細かい事を考えずに見て、楽しめたもん勝ちの作品だと思います。  ナウシカ・ラピュタ・もののけ姫のような、メッセージ性を含み 壮大かつ重厚で疾走感のある、世界の存亡をかけた冒険活劇を望む人には『×』で トトロ・魔女宅・千尋のような、主人公の等身大サイズの ミニマムな世界で広げられる、良い意味で”ヘン”な世界観に没入できる人なら『○』でしょう。  千尋~ポニョまでの作品の特徴として 各キャラクターの魅力と、そこから広げられる世界観を楽しむのが第一意義になっていて ストーリーは、それを彩るための演出の一つになっている点があり、そこが物語性を重視する人には不快なのだと思います。  (((物語として完成度の高い物(バックトゥザフューチャーのような)を求めるなら 「カリオストロ」や「ラピュタ」を繰り返し視聴して満足するくらいしかないのかも? これらを超える壮大なストーリーは宮崎氏にももう作れないだろうと思われますし 作れたとしても、本人ももう同じ方向性のものは作らないし、作りたくもないのではないかと)))  あいかわらず映像も曲も美しく、テーマ曲もキャッチーな割には飽きにくいです。 恒例のおいしそうな食事シーン、浮遊感のある演出などもニヤリとできます。 出目金のようで下ぶくれしてるポニョも、見るにつれてかわいく見えてくるから不思議。 所さんのフジモトもいい味を出してまた。「BAKA BAKA BAKA…」では場内大爆笑でした。  不満としては、これはポニョだけではなくハウルと千尋にも言えることですが ハッピーエンドへ向けての終盤の流れが、予定調和的で御都合主義すぎるとは思いました。  ---「ポニョ、そうすけ、すき!」「ポニョは、僕が守ってあげるからね」--- これは宗介が不思議な友達ポニョと出会って、永遠の友情(愛情?)で結ばれるまでの、小さな小さな物語です。 宮崎監督の初期作品の幻影を取り払い、ぜひとも頭をカラッポにして見てみてください。  小さい頃、机の引き出しを開けて毎日ドラえもんが来るのを待っていた無邪気な記憶がよみがえりました。 今日は緑のバケツを持って水辺でポニョが来るのを待ってみようと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2008-07-21 15:45:34)(良:6票)
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