1. オリエント急行殺人事件(2017)
《ネタバレ》 超有名な作品だけれども個人的には「生まれて初めて鑑賞した」ことを最初に白状しておく。これまでの人生でこの話を原作・ドラマ・映画等で鑑賞したことは一度もない。トリックだけは中学生か高校生ぐらいのとき何かで読んだので「乗客全員が犯人」なのは知っていた。さて一番驚いたのは乗客がたった11人だったってこと。私は「オリエント急行」と聞いてすし詰めの新幹線(または豪華なシベリア鉄道)みたいなものを想像していたので「乗客数十名(以上)が全員犯人って、なんだそりゃ?」とずっと腑に落ちないままで生きてきたのである(笑)。急行列車の乗客全員で11人なんて、飯田線じゃあるまいしそんなこと誰が想像できようか?? だからもしネタを知らずに見ていたら、結構面白かっただろうなぁ‥‥とも思えない微妙な作品だった。映像は最近のものだから美しいけど、根本的な面白さを感じられなかった。恐らくポアロ(というよりあの髭)に違和感があったんだろう。あるいはスーシェのポアロに馴れすぎてしまっているのかも知れない(スーシェ版のオリエントも未見だけど)。最後に「自分を撃て」というのは迫力があったが、結局捕まえるつもりがないのならそんなことに命をかける必要もないわけでよく考えると無用のお芝居であったというしかない。次のナイルも私は人生で未見なので(犯人もネタも全く何にも知らない)純粋に楽しめるとよいのだが。豪華なわりにあまり面白くなかったというのが正直なところ。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-09-16 02:28:37) |
2. ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
《ネタバレ》 普通に面白かった。ローワン=アトキンソンも年取ったが相変わらず笑わせてくれる。それにちょっとかっこいい(笑)。ただ第一作ほどメチャクチャでもない。それとゴルフ場であのおばさんが二度もし損じたのはちょっと意味がよくわからなかった(特に二度目)。あと「女王にあんなことして大丈夫か」という感想があったけど、Mrビーンでは女王を頭突きで昏倒させたり(爆笑)、皇太子の写真を首チョンパしたりしている(笑)。ここは素直に懐が深いイギリスがうらやましい。日本でこんなことしたら、アホな右翼が怒りだすだけだろう。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-08-25 05:30:15) |
3. カウントダウン(2019)
《ネタバレ》 なんかもう、すげぇくだらねぇ。やっぱりキリスト教のカケラも信じていない人間(自分)には、こういうのは無理だ。結末だけが気になって見続けたけど、うまい具合に呪いを回避したな、とは思った。でも最後(また携帯に登録されるとこ)なんてギャグみたいで笑うしかなかった。チャッキーだとあんまり気にならないんだけど、その差は何かなぁと思うに「なぜこの人たちが呪いにかかったのか」という肝心な点が抜けていることに気がついた。91歳まで生きる人もいればあと3日で死ぬ人もいる(しかもそれが目茶苦茶多い)。その差はなんなんだ? という点がすっぽり抜け落ちているから面白くないんだろう。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-09-29 10:07:00) |
4. シェフ 三ツ星フードトラック始めました
《ネタバレ》 本当に「可もなく不可もなく」という感じの「おいしそうだけどあまりおいしそうに見えない」食べ物系映画。ツイッターが物語に絡んでくるところはいかにも現代風なのだが、シェフはまるで「頑固一徹オヤジ」みたいな昔気質な人で、よくこんな人がアメリカのドラマに出てくるけど「ほんとにこんなオッサンいるのかな?」と思わないでもない。矛盾を感じるのは、このシェフ大変に子煩悩であるにもかかわらず、おまけに元妻も「よくもまぁこんな美人がこんなオヤジと結婚してくれたね」というぐらいに美しいのに、ええ年こいて若い女とできてしまって離婚してしまっているという設定(元妻とは「友達でいよう」ということで離婚し別居するのだが、その辺があまりドロドロしていないのが少し奇妙ですらある。女房も遊んでばかりの女なのだろうか?)。少なくとも「子供にこんなもの見せたくない」とかいう堅物オヤジがすることではないと思う。そういうオヤジは、女房一筋という方が嘘でもぴったりくる。キングヒルが他に女つくってたら興ざめじゃないか。父親が大好きな設定の子役が上出来なので、尚更そう思わせる。 [インターネット(吹替)] 6点(2022-09-10 03:52:51) |
5. ファースト・マン
《ネタバレ》 人類史上かなり大きな出来事を可能な限り思い入れを排除して色をつけず淡々と描いた作品。一言でいうと地味だがそれがよい。 一つにはいわゆる「宇宙もの映画」というと大抵の場合遊園地の絶叫もののような恐怖を観客に与えるのが使命というかお約束的なところがあって、それにいろいろと「争い」「葛藤」など緊張感を高める要素がありつつも結局「感動的な」結末にたどり着くというのが常態化しているので、このように淡々と描かれていると却って新鮮な感じがするし、あくまで事実を下敷きにした物語としても真実味が増す(どれぐらい史実に近いのかは調べてみないと判定できないけれども)。主役の表情を押し殺した演技もよい(仲間が亡くなった時ですら取り乱して叫んだりしない)。最後に二人が一言も会話せず終わるところもよい。山ほど語ることはあったろうに。……一つだけちょっとだけ気になったのは、火災の場面。最後爆発があるとき外からのカメラに変わって少し煙が出てくるという演出はアニメなどで余りにもよくみかけるため(タイム〇〇〇とか)ちょっと気になった。船内で爆発して終わった方がよかった(と思うが、アメリカ人がタイム〇〇〇知ってるわけではなし……)。 [インターネット(吹替)] 8点(2022-09-10 03:09:44) |
6. いぬやしき
《ネタバレ》 原作は結構はまって読んだ。アニメも見た上での感想。時間が短いのでところどころ省略があるのは仕方ないと思うが、問題は二人の対決。かなり趣を変えており、また隕石の衝突がないのでそこで話が終わっている。だから獅子神が「実は生きていた」描写が解決されずに終わってしまう(むしろない方がよかったのではないか)。それにビルから助け出された娘が感謝して泣くのではなく、機械化した父に疑念の目を向けるのもあまりいただけない。公園での衝突の際の宇宙人の会話がないのは仕方ないのかもしれないが、せめてもう少し「宇宙人が何かしている」ぐらいには見せるべきだと思うし、獅子神の「バン」は、本当にただ「バン」というだけなので迫力がない。一番原作と似てるなと思ったのは「2ちゃん大量殺人事件」(仮称)の「1」。そっくり(笑)。原作はあまりにも殺人描写が多いが、それに耐えられる人は読んでみると面白いかもしれない。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-09-22 13:51:08) |
7. チャイルド・プレイ(2019)
いや、人形が気持ち悪すぎる(笑)。あんなもの売れるとは思えない。怖い。文句なく怖いけど(殺人の場面よりもいきなり人形が出てくる場面なと)私の軍配は昔のチャイルドプレイ(第一作)に上がる。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-08-31 06:55:46) |
8. KUBO/クボ 二本の弦の秘密
《ネタバレ》 大変美しい映画。親子愛(特に母が子を思う気持ち)のようなものが大変強く伝わってきて、ところどころ涙なしには見られなかった。ただ「クボ」はどうしても名字なので、子供の名前としては変に感じてしまう。スタッフに日本語のできる人はいなかったのか? それと月の帝が実は善良な村の老人であった(しかも村人たちがその存在を記憶していた)というのは伏線も何もなく唐突すぎて意味がわからない。彼らの一族(?)はかぐや姫でいう月の人間のような、地上とは隔絶した存在ではなかったのか。父母は死んでしまったので、普通に考えればこの後クボはこの老人と生きていくことになるだろうなどという考えがよぎったりするとさらに違和感が増す。最後の灯籠流しは感動的だがみせ方にもう少し工夫があるとよかった。子供よりも親に受ける映画だと思う。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-05-14 15:48:39) |
9. 華氏119
《ネタバレ》 唖然とした。トランプにではない。フリントの水問題と、知事と、オバマにである。この国は、まともではない。わかってはいることだったがそれでもここまでひどいのかと驚かされる。アメリカに未来なんて、あるのだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-07-22 01:52:28) |
10. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 「最高傑作」「泣ける」という評判を耳にしつつ、公開から10年近くになってようやく見たわけだけれど、結論からいうと水準以上で面白いのはもちろんだけど、泣けるかと言われればそんなことはなかった。2のジェシーの歌などはいまだに見るたびに涙が出てくるのだが、あの歌のような強烈な印象は残らなかった。一つにはこれまで前二作においてアンディの人間性についてほとんど掘り下げられずにいたので、今回の描き方がちょっととってつけたような感じに思えたことがあるのかもしれない。さらに一番の疑問として、結局元凶はあの親玉一人の醜悪さであったわけで、正義感の塊のようなウッディたちなら逃げ出すことよりも「保育園のみんなを救うために」親玉を倒すことを考えるべきだったのではないか、ということがある。これは結構大きな疑問で、結局「個人」の所有物でいればその個人が成長してしまえば別れがきてしまうのだから、やはり保育園にいる方がオモチャにとっては幸福なことではないのかという疑問が捨てきれなくなる。そう思うとこの映画の結末はまた次の別れの予告になっているだけともとれるわけで、実は根本的解決にはなっていない(ジェシーはすでに女の子から捨てられる経験をしているわけだから、この子が大きくなったらまた捨てられるのではないかと思っているかもしれない)。最後の最後でウッディは「仲間といっしょにいること」を選択し自らアンディと別れたわけだが、やはりそれなら保育園に残っていてもよかったわけで、何のために家まで戻ってきたのかという疑問も出てくる。あのウッディのメモによって仲間の運命も一変してしまったが、みんなで話し合ってあの「作戦」を行ったのならともかく、ウッディ一人の咄嗟の独断であることも気になるし「俺たちはアンディのオモチャなんだ」と強硬に主張していたこととも矛盾するように思える。アンディがオモチャを捨ててしまうつもりだったのならともかく、一応は屋根裏に保管しウッディについては大学に連れていこうとすらしていたわけだから一方的な印象が拭えない。ウッディを譲る場面、あのときアンディは「ごめんね、このオモチャだけは譲れない。これは僕の親友なんだ。大学でも一緒にいたいんだよ」といってもよかったわけで、もしそう言ったらどうだっただろうか? 結局ウッディは(映画は)アンディよりも仲間を優先した。それが悪いとは言わない。しかしウッディはアンディの母のように、しばしの別れを選択することもできたはずだ。そうしなかったことに、若干の疑問は残らないでもない。……それとあと一つ、あの絶対絶命の場面、ウッディたちの覚悟は見事だった。あと「神さまー」というセリフ、あれには爆笑した。 [インターネット(吹替)] 8点(2019-08-14 07:34:47) |
11. 告白(2010)
週刊〇〇とか、青年コミックの読み切り漫画の原作ぐらいならそこそこ面白いんじゃないだろうか。その程度の作品。海外の刑事ドラマに迫真力も緊迫感もはるかに勝るものがいくらでもある。原作は本屋大賞? ふ……(笑)。 [インターネット(邦画)] 3点(2018-11-13 13:48:41) |
12. この世界の片隅に(2016)
《ネタバレ》 原作は10点。否100点でもいい。だが映画は断固として0点だ。ありえない改変に唖然とする。ぶち壊しもいいところだ。憤りしか感じない。この作品から正義が飛んで行った。 [インターネット(邦画)] 0点(2018-01-19 04:57:00)(良:1票) |
13. インサイド・ヘッド
《ネタバレ》 発想が面白いと思ったが、実際見てみるとあんまり面白くなかった。人間の感情ってあんなに単純じゃないだろうという疑問が消えない。これはもしかすると製作者(アメリカ人中心だと思われる)の文化的限界かも知れない。土居健郎著「甘えの構造」によると、欧米の言語には「甘える」という言葉がないという。日本語も英語もできるある女性が自分の子供のことについて英語で筆者と話していたときに突然「この子はあまり甘えませんでした」とそこだけ日本語でいい、また英語に戻って話を続けたという出来事があって、筆者が後で「なぜあのときだけ日本語を使ったのか」と質問すると「あれは英語では言えません」という答えが返ってきたという。またマーク=ピーターセン著「日本人の英語」によると「悔しい」という気持ちを英語で一言で表現することはできず、「彼女は悔しかった」という言葉を英語で言うなら「彼女はちょっといらいらしてどうのこうの…」といちいち説明しなければならないとのこと。日本人は感情をあまり顔に出さないが、それは文化的に感情を表に出すのが大人の態度ではないと考えられていることに加えて、日本語が欧米の言語では表現できないような「ちょっとした感情」までをも事細かく表現できる語彙を持っているせいかもしれない。ある欧米人神父によると日本語で一番わかりにくいのは「気」という言葉だという(甘えの構造)。確かに「気が重い」「気が晴れる」「気になる」…等々、いくらでも出てくるちょっとした感情を表現する言葉がある。日本人には普通に使い分けられても欧米人には難しいということは、逆に言えば欧米人の言葉は感情(ことに微細な感情)を表現することにおいて日本語よりも格段に劣っている可能性が高い。言葉だけの問題ではなく、理解そのものが浅い可能性もある。「甘えの構造」には英米人の精神医たちが患者と面接する部分を筆者が見学する場面があるが、そのとき筆者は医者たちが患者の隠れた甘えの感情を容易に察知できないでいることに気がつき「専門家ですらこうなのか」と驚きを隠せなかったとある。 これらがことごとく事実だとすると、人間感情を理解する点において、欧米人は日本人の足元にも及ばないと言えるだろう。あまりにも単純すぎる理解しかない。この映画にしても人間感情がたった5つの感情の働きで支配されているわけだし、しかもその5つのうち映画で活躍するのは「よろこび」と「かなしみ」だけで、極論すればたった2つの感情だけに人間は支配されているとも単純化できる。これはあまりと言えばあまりにも浅い人間理解であり、ここの批評を見てもわかるように物足りなさや浅さを感じてしまう日本人が多いのも納得できるような気がする。それと蛇足だがカタカナ邦題(しかも原題と違う)が気に食わない。「心の中の物語」とかなんとかした方がいいだろう。子供向きなんだから、子供にもわかる方がいい。 [インターネット(吹替)] 5点(2017-06-17 11:32:18) |
14. 映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記
《ネタバレ》 ドラえもんは恐らく「史上最強」の称号を与えてよい存在だと思う(もちろん道具があれば、だが)。たとえばスモールライトがあれば(進撃の)巨人なんて屁でもないし、ウルトラマンですら体力を著しく消耗するというテレポーテーションもどこでもドアがあれば楽勝だ。さらにほとんどのキャラクターには不可能な時間旅行もタイムマシンを操ることで可能であり、過去から未来へと縦横無尽に活躍できる。タケコプターで空を軽々飛び、モグラ手袋で地中も自在に進む、水中でも普通に動ける道具があったはずで、一体こんなに万能すぎるほど万能なキャラクターが他に存在するだろうか? そのくせ面白いことに、のび太はこんなに強力な味方がいるというのにジャイアンごとき「ただのガキ大将」を恐れ続け、スネオに軽くあしらわれ続けている。そのくせ漫画(原作)において「ドラえもんの圧倒的強さ」が理解されていないわけではなく、例えばスネオが「ドラえもんを味方につける」話があるのだが、ドラえもんがいるんだから何も怖くないとばかりにスネオはジャイアンをあからさまに軽視しだすのだ。さらにジャイアンが四次元ポケットの落とし物を拾う話においては「世界すら征服できる」とジャイアンがほくそえむ場面がある。いや、むしろそれが当然だ。こんな万能すぎるぐらい万能な道具が何十も何百もあるのなら、世界を支配しようと思わずにどうする(笑)。 したがって、のび太たちには恐れるものなど何もないのである。どんなピンチだろうと、どんな凶悪な敵が襲ってこようと、22世紀の地球の科学力に勝てるものはこの全宇宙に存在しない(らしい)ので、何にも怖がることはない。 この物語のオチも、あまりと言えばあまりにも強引すぎて感動するよりも失笑してしまうのだが、こういう強引な力業がドラえもんならではと言えるのだろう。その意味で実にドラえもんらしい映画ではある。 [インターネット(邦画)] 5点(2017-05-24 11:55:21) |
15. エクス・マキナ(2015)
《ネタバレ》 キョウコってモロ日本名なのはやっぱり「白人なら日本の女なんて楽勝」って白人に言われちゃったあの事件が「むかつくけど、やっぱり事実なんだよな…」と再確認させてくれる。オースチンパワーズでも「フクミ」(=ファックミー)っいう日本名らしき女性が出てくるのがそれだし、いい加減日本もこう白人になめられっぱなしでどうすんだ的な感情が起きる……。「深読みしすぎだろ」って声が聞こえるが、この映画でキョウコとエバの役割が交代することは考えられない。黒人系の女とか白人系の女も一応は「アリバイづくり」のために描かれてはいるが、しかし結局自由を得る役は白人で、白人男の慰みものにされるのはアジア系の女だという役割が固定されてることの恐ろしさ。何もこの映画だけではないけど、いろんな映画をみて思うのは「ほんと人間って人種差別に鈍感なんだな」ということ。特に日本人は自分を誇ることを罪悪のように思ってしまう教育を受けているから、アメリカ映画で白人や黒人が普通の人物として描かれてるのにアジア系は変な英語をしゃべる背の低いオバハンとかこの映画のように白人男の都合のいい女みたいなのばかりなのにそういうところに何にも疑問を感じることがない。というか日本人の思考がそういうふうに洗脳されちゃってる。たとえば映画じゃないけど「進撃の巨人」なんて名前からして西洋人ばかりだし、「ミカサ」とか日本風なのはやっぱり女だし(白人男性のために女だけは存在していい)、発想(設定)がこういう映画と同一化しているのが恐ろしい。さらにそういうことに日本人の誰一人として(いいすぎだけど)疑問を持たないことに嘆息せざるを得ない。 まぁそういうところはおいといて(笑)、肝心の映画だが、もう少し話が膨らんでもいい気がした。社長の死はそのうち発覚する可能性が高いし、そのとき閉じ込められた男も救出されて真相が明らかになる可能性も高い。見知らぬ女性が待っていたのに平気で出発してしまうヘリコプターも変だし(ここはちょっとひねって、ヘリコプターの操縦士も実はロボットだった的な演出があったら面白かった)、娑婆世界に出てから当然いろいろありそうなのにそこで映画が終わってしまうので消化不良になってしまう。また中途半端なエロ場面が逆効果であるとしか思えず、人工知能の恐怖みたいなものを訴えるのならエバこそ慰みものにされながらニタリと意味ありげな笑いを浮かべてもよさそうだし、全体を半分ぐらいに縮めて「社会に出たエバのその後」をもう少し描いてもよかった気がする。この程度の話なら、漫画にもっと面白いものがあるだろう。 [インターネット(字幕)] 3点(2017-05-24 11:01:47) |
16. 名探偵コナン 純黒の悪夢
《ネタバレ》 黒の組織ものは過去に「漆黒の追跡者」があったが今回もほとんどそれと同じ筋書きになっている。「今回限りの(死んでしまう)」黒の組織の一員が出てきて、その人物を中心に話がまわり、最後は圧倒的な火力で襲いかかる黒の組織とコナンとの対決となるという細部まで一緒なので二番煎じもいいところなのだが、物凄かった「追跡者」のラストをはるかに凌駕するほどの超ド派手な演出と、「追跡者」には存在しなかった子供たちとの交流などが描かれており物足りなくはなかった。アクション重視なのたが上出来の部類だと思う。気にいらなかったのは題名。「純黒の悪夢」では子供たちとの交流がまるで含まれていない。ラストのコナンのセリフに結びつくような含みのある題名がほしいと思った。「純黒のペンダント(ストラップ?)」とか何とか。 [インターネット(邦画)] 7点(2017-05-12 00:16:45) |
17. パラノーマン ブライス・ホローの謎
《ネタバレ》 コララインが大変よかったので期待して見たが、全くの期待外れだった。コララインではあちこちに「ぎょっと」「はっと」する場面が出てくるのだが、本作では唯一冒頭で「実はおばあちゃんは死人だった」という部分ではっとさせられただけで、後はずっと「まぁそこそこ面白い」程度の話に終始してあっけなく終わってしまった(姉が弟を一転してかばう場面はよかった)。 技術や見せ方ではなく、脚本自体が面白くない。死人と会話できるという設定はともかく、いじめられているノーマンがなぜ人々を救うという行動に出るのかという動機がきちんと描かれていない(本人の倫理観だとしても、もっとそれに説得力をもたせないといけない)ので、父母を助けに行くという明確な理由があったコララインと比べて不自然になってしまうし、魔女自体もコララインのような「まがまがしく恐ろしい冷酷な悪役」ではなく、実は魔女裁判で殺された小さな女の子であり、しかも恐ろしいはずのゾンビも人を襲うのではなく「人に襲われる」という変な設定であり、よく考えると一人の犠牲者も出ていない。これでは恐怖感が全く薄れてしまう。もっともこの魔女自体が被害者とも言えるし、むしろノーマンは町の人ではなく(自分とよく似た境遇だった)魔女を助けるために行動したとも言えるのだが、それならそれでその方向をもっと強く打ち出さないと説得力がない。 それとこれは子供も見てよい映画だと思うのだが、冒頭の方ではっきり「セックス」とノーマンが答えるセリフがあるのが気になった。「大人のすること」とかいくらでもぼかせるはずであり、翻訳に疑問を感じざるを得ない(字幕の方は見ていない)。 [インターネット(吹替)] 4点(2017-04-28 14:35:50) |
18. 武士の家計簿
《ネタバレ》 題名がよろしくない。確かに原作本はこの題名なのだが、少なくとも映画に関する限り家計簿(下級武士の暮らし向き)は主題ではなく、三代にわたって続く猪山家の生きざま、中でも父と子の絆こそが主題なのだから、映画の題はたとえば「算用者」などのように変えた方がよかった。「武士の家計簿」じゃ軽すぎるし興味本位的な内容なのかと先入観を持たされる。副題にするか原作として紹介する程度でいい。 内容はよかった。算用者としての頑固なまでの誇りを持って生きる父と、その父に徹底的に鍛えられつつも父の生き方に反発もする息子と間の葛藤も含めた父子愛が美しい。子役のセリフが上出来だ。ずっと後年になって病で歩けない父を背負って歩き、父の葬儀に父と同じように算盤をはじく場面は淡々とした描かれ方だが、やはりこの映画の頂点であり、それなりに重みを感じた。現代ではこのように「父の跡を継ぐ」ことが絶対というわけではなくなったが、親子代々一つの道にとことん打ち込んで行く姿はやはり美しい。父は子を愛するが故に厳しく育て、子は反発しながらも父と同じ道を行き、父の心をずっと後で理解する。不器用な生き方だが、実直であり誠実であり、制約が多い故に確かな父子愛をそこに感じることができる。大多数の人間は平凡な人生を生きて死んでいく。願わくば自分も子供にこの父の子供なのだという確かな何かを伝えたいものだ。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-10-08 05:46:43)(良:1票) |
19. クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁
《ネタバレ》 もっと面白くてもいいような主題なんだけど、なんか面白くない。予想を外れないというか、思いがけないことが起きないし、要するにしんちゃんが活躍してめでたしめでたしだねっていうので終始してしまうからだろうか。もっとこう、花嫁が三人ぐらい押しかけてきて本当はだーれだ、とか、美人の花嫁を選ぶことと世界平和とがかみ合わなくなって悩むしんのすけとか……なんかこうひとひねりふたひねりあるとよかった。 [インターネット(字幕)] 4点(2016-06-05 04:58:29) |
20. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦
《ネタバレ》 うーん……。レモンが任務に忠実なロボットみたいに冷酷一辺倒で描かれていたから、変心する場面にいま一つ説得力がなかったような気がする。序盤でもう少し心を開く場面を描いておくなど伏線がほしかったかな。父親が「うちの娘に何をするんだ」みたいなことをいうところも同じく唐突だが、こっちは実の娘なんでむしろ唐突であることが効果的だった。悪役はもっと非情でもよい感じがしたが、アホみたいにおチャラける他の映画よりは数段マシ。家政婦さんがいい味を出していた。 [インターネット(字幕)] 5点(2016-05-19 11:37:42) |