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1.  さらば冬のかもめ
世の中にはいろんな人間がいますが、それをたった一つの規律しか持たない集団の中に押し込めるといろんな不都合が生じてきます。軍隊などその見本のような場所です。馬鹿野郎は馬鹿野郎なりにそれと折り合いをつけ、彼らなりに仲間を助けようとするのですが、結局はどうにもなりません。寒々とした冬の景色を背景に、馬鹿騒ぎでしか生きることを表現できない男の悲しみが、観る者の心に染み込んでいきます。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-04 05:46:49)
2.  木靴の樹
華麗な貴族や王侯を主人公とする大げさな物語ではなく、かといって美しいアルプスの風景が出てくるわけでもなく、まばらな樹木の散らばる寒々とした風景の中、石と土を耕して生きる人々を忠実に描き、バッハの曲と共に見る者に忘れがたい印象を残す映画です。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2009-02-09 06:07:28)
3.  アギーレ/神の怒り
強大な力にまかせて他者を屈服させようとするときに迎える典型的な結末を、高温多湿のジャングルを舞台にねちっこく描き出していきます。規模や形こそ違えこれは私たちの生活の中でも日々繰り返されている出来事です。ODAの現場でもよく見られますね。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-24 06:52:21)
4.  イレイザーヘッド
間違って夜中にかみさんと二人で見てしまいました。アイタタタタ・・・。なんかもう無防備な心のままで買い物に出かけ、取り返しのつかない不幸な事故に巻き込まれたような感じです。クリスマスの夜に見た人は何人? 日教組や政治家や江原啓之や日野原重明先生のご感想は? 映画史に残る作品ではありますが、恐ろしくてもう二度と見れません・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-19 06:09:00)
5.  エル・トポ 《ネタバレ》 
オープニングを見て「しまった・・・」と思う人も多いでしょうが、そのあとも日本人の感覚を逆撫でするような映像が延々と続きます。外国の田舎町をたった一人でさまようときに感じる生理的寂寥感を、映画の画面を見るだけで体験できる希有な作品です。中でも大佐の最後の場面はあまりにも切なく、そして美しく、胸が押しつぶされるような感動に襲われます。映画史上永遠に語り継がれる傑作です。 
[DVD(字幕)] 10点(2009-01-13 06:34:10)
6.  デルス・ウザーラ
デルスを「自然と共生する心の美しい人」と簡単にまとめあげて賛美することはたやすいことです。けれどもいま都会に暮らす人々でさえ、あの森の中で育てば誰もがデルスのようになれるに違いありません。この映画の主題はあくまでも友情ではないでしょうか。人口密度の低さはかえって人々の間に強い結びつきを生みだし、相互の価値観の違いをも尊敬させ、そこに強い友情が生まれることができたのかもしれません。デルスの「カピタン(隊長)!」という声がいまも遠くから聞こえてくるようです。ラストのアルセーニエフの悄然とした姿に、彼の失ったもののいかに大きかったかを思わずにはいられません。 
[DVD(字幕)] 10点(2008-12-30 15:15:09)
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