1. 海がきこえる<TVM>
《ネタバレ》 拓と里伽子の意識の外で、恋愛が行われているところが良い。二人とも、高校時代の最後までお互いの気持ちに無自覚なんですね。 この映画のように、好意というものは、青春の真っ只中や諍いの中では、無意識の中に閉じ込められていて、自分では気づきもしないものなのかもしれない。しかし、一旦井の外にでたり、違う角度から眺めたりすると、抑えられていた感情が意識となって心の中に立ち現れてくる。失って初めて分かるという感覚や、視点を変えることで分かる感覚ですね。それを、ハワイや東京などというように場所を行き来することで表現しているのだと思います。 井の中の蛙という言葉があるが、大人になるということは、井の外に一歩踏み出すということであり、そしてその出てった先の周りには、それより大きな井が存在している。小さな世界からの脱出を、子供の頃から延々と繰り返すことで、人は大人になっていくということを、この映画は雄弁に物語っている。当たり前のことだけど、これに気づけたのは、けっこう大きな収穫でした。 ジブリの中では、キャラクターの動きが少ないから、キャラクターの生命力が感じられないはずなんだけど、不思議とひとつの世界が成立しているのは、土佐弁という強力な武器を携えることと、写実的なアニメーション、キャラの心情を丁寧に描出しているからこそだと思う。ここで書くのもあれですが、コクリコではこの部分を感じれなかったですね。作品にとって生命力というのは欠かせないものなんじゃないかな。 この作品で残念だったのは、ラストにかけて説明的になっていったこと。ラストの拓の心情吐露でずっこけました。電車に乗らずに、逆のホームに駆けていく描写だけで良かったと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2011-09-15 05:13:24) |
2. あの子を探して
《ネタバレ》 子供ならではの「もどかしさ」をこれでもかと見せ付けられる映画ですね。そこが上手いのですが、辛い人にはストレスのたまる映画なのかもしれない。なんせ主人公は途中まで魅力薄ですし。自分はホエクーのクシャクシャの泣き顔にやられました。カメラが背後から回って正面を撮ったときの泣き顔がいいんだよな。主人公の少女には、心揺さぶられるというほどではなかったので少々物足りなかったです。後半まで丁寧に自然さを意識して描かれていたのに、TV関係者が絡んできてからハリボテ感が出てきたので、素直な再会シーンを見たかった気もします。受付の憎たらしいオバチャンは大好きなのですが(笑) 好きなシーンは、女の子が黒板に数字を書く際に背伸びしてまで上のほうに書こうとする所と、ホエクーが駅で逃げ出したときに言った言葉が「トイレに行ってくる」(2度目)だった所です。子供らしくて頬がゆるんでしまいます。 [DVD(字幕)] 7点(2010-01-16 01:24:08) |
3. シュート!
中居って最近の方が、演技が断然上手いんですね(汗) 色々なアイドルの若かりし頃を見るという点では興味深く見れました。そういう点から見れば、ジャニーズならではの抱き合わせ商法が功を奏しているのかもしれません。が、そういうものに価値を見出せない人にとっては辛いと思います。水野美紀は拾い物でしたが。 [地上波(邦画)] 2点(2010-01-04 22:26:55) |
4. Kids Return キッズ・リターン
《ネタバレ》 北野武映画に出てくる登場人物の発する澱みが自分とは妙に相性が良い。そして彼は、男の孤独というものを描くのがうまい。しかも孤独の色を、黒じゃなくてブルーに染める。それが心地よい。この映画の主人公二人の少年は、多くの時間を供に行動し、心から打ち解けているようにも見えるが、どこかしら緊張がみなぎりお互いに踏み越えない一線がある。それは陳腐な言葉でいえば「男は黙して語らず」というものなんだけど、決して心を許さない訳ではなく、ただ寡黙なだけだ。青春映画でありがちな、家庭環境や生い立ちは全く描かれないし、昨今のTVドラマで語られる「俺達仲間じゃねーのかよ。仲間だろ」的な、過度のベタツキも全くない。全編にかけてこんなにも胸がヒリヒリするのは、青春時代に誰もが経験する成長と堕落、そして慢心と羞恥心を、これでもかというくらいに丹念に見せ付けられるからだ。しかしそれだけじゃなく、孤独を癒す手段を、悩みを打ち明けたり語ったりしないからだと思う。それどころか、いつも強がって誤魔化してみせる。それがたまらなく切ない。この映画は、少年の中にも潜む、男は心のすみっこでいつも孤独であるということを突きつけてくる。そういう意味で、まさに男の映画なんだと思う。というよりも、北野武自身の映画なのかもしれない。ところで、印象に残ったシーンは、冒頭に出てくる校庭での自転車の二人乗り。二人は互いに向き合っていて、ふらふらとハンドルが揺れる。青春を謳歌する二人の少年に相応しく、危うく、そして心許ない円の軌道を描く。一転してラストシーンでは、校庭に帰ってきて、しっかりと前を見据え自転車に跨っている。しっかりとした円を描く。青春映画のシャレードとして素晴らしい表現だと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2009-12-30 06:33:18)(良:2票) |
5. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
《ネタバレ》 多少、説明不足かと思われる箇所もあるので、ワンショットも見落とせない映画ですな。コーエン兄弟お得意の観客の心理をもてあそぶ、ストーリーテラーとしての上手さは、処女作から一級品でした。非常に面白かった。サブタイにスリラーと銘打つ本作ですが、サスペンスやホラーの要素もあり、それらが渾然一体となって醸し出している雰囲気が堪りません。ただ、サブタイにスリラーという語を入れたことで、「二人は果たして生き存えることができるか」というベクトルが与えられているので、見やすくはなってます。内容については、脚本の上手さも勿論ですが、立体的空間をカメラで二次元に切り取って見せる、カメラの枠の使い方が上手い。TV画面を越えて、どこに狂気が潜んでいるか分からない怖さがある。カメラの枠の外もそうだが、その他、"見えないもの"というのが非常にこの作品の鍵になっていると思う。核となる誤解は勿論、人間の内心や思い込み、壁やドア越しに存在する見えない相手、無言電話の相手、魚の下のライター、ベッドで横になった瞬間に外に怪しい車が見える箇所など…etc 上げ出したらきりないほどです。見えないものは勝手に想像してしまう。だからこそ、そういうものが坦々と恐怖心を煽るんですなあ。ところで、フォトショがないこの時代に、どうやって探偵のおっさんは写真の加工処理をしたのだろう。加工技術、高すぎ(笑)それに、初見時におっさんが現場に戻る動機付けが弱すぎないかと、ちょっと納得できかねていたのですが、なるほど、名前の?刻印が施されていたのですね。しかし、流麗な筆記体。"読めねえよ!"と見直したときにツッコンでおきました。特に印象に残ったのは、最後探偵のおっさんが闇雲に拳銃で打ち抜いた穴から、直線的な光が漏れている箇所。多重人格というワードで観客心理を揺さぶってくる箇所。それに、所々にひっそりと描写されるシーリングファンのプロペラが、まるでリボルバーのシリンダーのように回って見える箇所も秀逸。まさにロシアンルーレット。コーエン兄弟の作品はキャラ立ちや脚本の良さもありますが、こういった所も隠れた良さだと思う。ちょっと咀嚼できてないところがあるので、今のところ10点に近い9点献上です。 [DVD(吹替)] 9点(2009-10-24 23:11:12) |
6. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 ラブコメ映画のオススメを聞かれたら、いつもこれを薦めます。見る人をあまり選ばない娯楽作だと思います。途中、「君が毎日同じような人生だったらどうする?」「俺はそんな人生だよ」という掛け合いがあります。この登場人物のように、毎日をデジャブして暮らしてるような人は多いのではないでしょうか。たいして変わりばえのない日々。刺激の無い暮らし。そういう不満を持ってる人には、ほのぼのとしてて、元気の出る作品だと思います。自分にとっては、見る度に「人生において、同じ日は一日だってないんだよなあ」と再認識させてくれる素晴らしい映画。半分のビールを、まだ半分"も"あると思える、そんな風に日々を積み重ねたいものです。 [DVD(字幕)] 9点(2009-10-19 00:30:17) |
7. うなぎ
《ネタバレ》 まさに「うなぎ」のようにヌルヌルとつかみ所の無い作品。素晴らしい演出、シーン、脚本と感じさせる箇所もあれば、所々に現実に引き戻されるほど興ざめする箇所もあって、良い映画なのか悪い映画なのか自分でも点数に迷います。総じて演出と編集などが…微妙でした。テンポの良いコメディというよりは、ブツブツ切れてて違和感があった。2時間以内に収めたかったのかな・・・。冒頭の殺しのシーンで血しぶきがレンズに付着するシーンとかも、第四の壁を意図的に破る必要性があったのか疑問。中身の方は、一種の桃源郷を表現したらこんな映画になるのだろうし、ファンタジー的な映画だと思うので、シナリオの整合性はツッコムだけ野暮なのかもしれません。しかし、この監督の作品が持つ、土臭さ、人間のにおいがする所はとても好きです。そして、随所に描写される水面の美しさが際立ってました。個人的には、役所さんの演技はこの役にはあってないと思ったので感情移入しにくかった。頭に包帯巻いてパイナップルぽくなった箇所は笑えました。清水美砂が柄本明にジャイアントスイングされて、あられもない姿をさらしているところも大笑いしてしまいました。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-14 00:08:20)(笑:1票) |
8. 風の丘を越えて~西便制
《ネタバレ》 この映画の魅力は、生き別れた二人が再会するシーンに凝縮されていると言っても過言ではない。意味のある会話をするでもなく、パンソリを二人で演奏するだけという、一見地味でありながら、二人の積年の感情の迸りを見事に描出しきったシーン。動きは静かでありつつも、画面から溢れんばかりの激情が伝わってくる。パンソリというものはこの作品を見る以前から知っていて、観賞したことがあった。先日、オ・ジョンヘのパンソリも生で聞かせてもらったが、どちらも、この作品のラストシーンほど心には届かなかった。この作品では、それほどまでに映画の総合的な力をまざまざと見せ付けられた。役者の力、歌詞の力、演出の力、監督の力、音楽の力、そして物語の力、そのどれもが見事なまでの相乗効果を持って最後の再会シーンで迫ってくるから凄い。舞台芸術の"生"の迫力も嫌いではないが、物語の力や歌詞の意味、演じ手の思いが理解できるというのは、感動に至らしめるのにはすごく重要な要素だと思った。序盤は物語の軌道に乗るまでが随分とスローペースで退屈だったが、ラストに逆転満塁ホームランを打たれたという感じ。マウンドでぐったりなって立ち上がれなくなったピッチャーの気分。最後、ナレーションで説明して終わったと思うが、正直あれは蛇足だったと思う。静かな別れで〆ても良かったんじゃなかろうか。娯楽映画ではないが、今までに見た韓国映画の中では一番心に残った作品である。 [映画館(字幕)] 9点(2009-10-05 20:43:33)(良:1票) |
9. シックス・センス
高校時代、映画の日の午前中に学校サボって一人で見に行った思い出の映画。(良い子はマネしてはいけません) その後学校に行って、その面白さを友人Aに熱く語っていたら、「俺も見に行きたい!」ということで、もう一回その日の放課後に、今度は2人で鑑賞。後日、2人でこの映画について熱く語っていたら、C君が参加してきて、「俺も行きたい!」と。そんなこんなで、自分としてはその当時前代未聞の、劇場での計3回の鑑賞。B君、C君ともに劇場から出てくる瞬間の興奮っぷりがたまりませんでした。映画の最中もネタばらしのシーンの二人の表情を盗み見して、自分だけ、ほくそ笑んで鑑賞しておりました。何とも思い出深い映画です。 で、何が言いたいかといいますと、当時の高校生が3500円も払って見た価値はあったということです。 [映画館(邦画)] 8点(2009-08-31 12:25:16)(笑:2票) (良:1票) |
10. マグノリア
《ネタバレ》 たまに街中の雑踏のベンチに座って通り過ぎる人達を見ていると、ふと、この映画のことを思い出します。当たり前のことだけど、通り過ぎていく一人一人がそれぞれの人生を生きていて、そして何の因果か、偶然この時間帯に、この場所を通り過ぎる。そんな日常のささやかな一場面が、とんでもない奇跡に思え、たったそれだけで感動するんです。それぞれに人生のシナリオがあって、幸福や不幸を抱えていて、その結末は誰も書ききっていない。中には死を考えながら歩いている人もいるかもしれないし、これから恋人に会いに行く人もいるかもしれない。陳腐な空想で誰もが思ったことがあるかもしれませんが、すごいことだと思います。数学的に確率で計算すると、とんでもないことになりそうです。高校時代に、この映画で初めて群像劇というものを知って、それ以来群像劇が大好きになりました。この物語の主要人物達は、それぞれが人生に於けるターニングポイントにもなりかねない事件を経験します。それは、その後の人生に大きく影響を及ぼすようなトラウマにもなりかねない事件です。昔、降り止まない雨などない~と歌った歌手がいました。どんなに土砂降りが続こうが、カエルが降って来ようが、この映画は降り止まない雨などないということを教えてくれます。最近、おたまじゃくしが降ってくるような珍現象が日本でも、相次いで報告されています。そのうちカエルも降ってくるかもしれません。ところで、この映画はAimee Mannがかなり評価をあげてますな。ほんと、ハマってます。サントラええです。出来としてはクラッシュ(2004)の方が上だと思いますが、好きな映画なので8点献上です。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-31 12:10:29) |
11. ルディ/涙のウイニング・ラン
《ネタバレ》 数年前バスケでアメリカを沸かせたJ Macという自閉症の少年の話とすごく似てますね。野球などでは思い出代打というような言葉もあるし、学生の最後の試合では結構この手の記念出場は良くあることで、そこまで気にならなかった。チームメイトがその機会を作り、ルディが全力で走り出したことに意味があると思うので。途中までは主人公のルディは、ウザキャラだなと辟易していた。が、段々とその思いの強さに心打たれた。それほどルディの感情が突進してくる。夢を持ち、自分の無能を知ったとき、人間が起こす行動には二種類あると思う。自ら限界を作って何もしないで諦めてしまうか、逆に、少しの可能性でもあるのならば、それに賭けてあらゆる努力をするか。スポーツをやっていた人なら分かると思うが、自分の限界をどこまでも乗り越えようとするルディのような努力を見せられると、選手はその人に対し、反感を持つか、それに触発されるかに分かれると思う。反感を持つ者は己の限界を自分で築き上げている人間。そういう人間は愚痴を言うことに終始する。自分が最初ルディをウザいと思った理由はこれだったんだと思う。要するに嫉妬と自己嫌悪ですね。触発される者は切磋琢磨し合い、そしてその努力に敵わないと気づけば「オレにはあいつ程の努力はできない」と負けを認める。そこで尊敬の念が生れる。このラストシーンは同情よりも尊敬に溢れていたと思う。彼のアメフトとノートルダムへの愛情に、自分達は絶対に勝てないと心を動かされたからだろう。それほどチームメートを鼓舞してきた功績は評価に値するのだろう。そして他人の目線など気にも留めずに、全力で駆け出すルディ。たった27秒間の為に…。この世界、いくら努力しても無理なことはいくらでもある。しかし、ルディは自分の限界を作らないで、自分ができる最大限の努力をしている。凡人にはできませんよ。ここまでの努力…。全く自分を客観視できないルディだが、自分は素直に心打たれたし、拍手を送りたい。何もしないで諦めるか、全力で頑張って諦めるか。両者には途轍もなくも無く大きな差があることを教えてくれた。ただ、脚本の荒さ、死んだ友人忘れてるとか、チームを思う気持ちも描いた方が良いとか、動機面に関してとか色々とマイナスもあったので8点(実話物なので忠実に作ったのだろう)青春時代を思い出させてくれるスポ根映画の佳作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-16 18:11:29)(良:1票) |
12. ラヂオの時間
《ネタバレ》 三谷作品はあまり肌に合わないのだが、これは良作。群像劇でありながら、キャラの一人一人を大切に描いています。コンパクトなまとまり具合も◎。無理やりな展開も多々ありますが、各キャラがその時々で、自分の状況と性格を踏まえ、必死に考えて行動しているので展開が読めない。近藤芳正がラヂオに参戦してくるところが特にツボ。どなたかが書かれておりましたが、生ラジオドラマの土壇場での大幅手直しというありえない(だろう)設定なので、ファンタジーとして楽しむのが良いかと。ラストの運ちゃんの登場のさせ方を工夫して欲しかった。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-16 13:09:36) |
13. ファイト・クラブ
《ネタバレ》 "生"の実感がわかないというのは、現代日本人にとっては結構深刻なもので、至るところで噴出している問題だと思う。情報化社会によって人間関係が希薄になり、平和ボケした日本だと尚更。とかく日本は死を隠しすぎ、性を隠しすぎ、痛みを隠しすぎ、快楽を隠しすぎだと思う。そういうことを隠すことが先進国であるという社会になってしまっているから仕方ないが。それらを隠す傾向が続くと"生"の実感がわかない人間が増えるのは至極当然のことなのかもしれない。自分が存在しているという実感がわかないと魂と肉体が分離をはじめて上辷りし、あらゆることに鈍感になる。頭ばかりで考え悩みばかりが増える。そして精神を病む。リスカ症候群、セックス依存、ブランド依存、自殺、いじめ、猟奇的殺人事件、先進国で起こるこれらの問題って、突き詰めていけばこの辺りに辿りつくんじゃないかと思ってしまう。ところで、この映画は、どうにもラストが消化不良。あのシーンの後まで見たかった。自分がいるビルの爆破くらいまでやってくれれば、個人的評価が上がったに違いない。もちろんその為には、マーラをどうするかという問題が残るが。いっそのことマーラを幻覚としてはっきり描いてたのなら、傑作と思ったのかもしれない。自分の心を自分で攻撃する暴力性が、段々と外に向かっていき破壊衝動に繋がる。しかし破壊衝動は外に向かいだすと忽ち自己を破壊してしまう。タイラーと"ノートン"とマーラというキャラは、自己の理想、死への欲動、生への欲動を、それぞれ象徴的に分配したのだと思う。その絡み具合が巧みで、自分の肉体と精神を繋ぎとめていく過程を、斬新な形で纏め上げた手腕は見事。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-07-22 21:35:43)(良:2票) |
14. 天使にラブ・ソングを2
自分の友人は高校時代にこの映画と出会い、心を揺さぶられるような感銘を受け、長い努力の結果、R&Bシンガーになるという夢を叶えた。自分は音楽よりも映画が好きだったからか、それほどまでは感動はしなかったが、音楽の持つ素晴らしさ、歌うことの素晴らしさは充分に伝わってくる。映画には人の人生を根底から覆すような力があるということを教えてくれた貴重な作品。幼い頃のローリンの歌が聞けるということだけでも充分に見る価値がある。 [地上波(吹替)] 8点(2009-07-12 20:46:38) |
15. 耳をすませば(1995)
《ネタバレ》 高校時代の個人的経験によるのですが、この映画、意外と男子の隠れファンが多いと思う。胸を張って好きと言えない雰囲気の映画(笑) ジブリアニメの話題でこの映画のことをふると、隠れファンが「お前もか、お前もか」って感じだったのを覚えています。女子はこういう少女漫画の世界観は経験豊富なのか、陳腐なものを眺めるように、あざ笑うかのように見ていた印象…。男子は免疫なさ過ぎてノックアウトされてる輩がチラホラ。自分的には、図書館と読書にはまるきっかけとなった思い出深い作品。ええ、思いっきり影響されました(汗) 問題は、ラストのとんでも展開ですな。ラストだけは「なんじゃこりゃ」って一気に現実に引き戻されました。あれがなかったら、危うくファンタジーの中の住人になっていたかもしれない。 [地上波(邦画)] 7点(2009-07-12 14:14:41) |
16. 水の中の八月
博多の街を愛する人間が、その才能を遺憾なく発揮して撮った作品。水の描写が瑞々しく美しい。映像でこんな美しい博多の街は、見たことありません。これは博多を愛している人にしか撮れないでしょう。博多っ子なら是非見てください!できるなら山笠が始まる前のこの季節に。あ、でもストーリーは期待しないほうが無難です。アニメやサブカルで一時期流行したセカイ系を先取りしたような話。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-06-26 09:40:21) |
17. ナイト・オン・ザ・プラネット
群像劇や同時進行型の話は大好きなのだが、やはりオムニバス映画は性にあわないな。各話ごとにリセットされるので疲労困憊。嫌いな話がひとつでもあると、その間、まるまる数十分無駄にした気分になる。話や伏線が絡んでいけば面白いんだけどね。世にも奇妙な~みたいなドラマだと許せるが、映画だと辛い。センスも、エピソードのひとつひとつも自分にはあまりしっくりこず。 しかし、このころのウィノナは可愛いなあ。 [DVD(字幕)] 5点(2009-06-26 09:30:27) |
18. 遠い空の向こうに
名作すぎて、今更投稿する内容も語りたいことも特にありませんが、素晴らしい映像と脚本ですね。官能が高まってるシーンで、蒸気機関車のフラッシュはベタすぎて笑いましたが。日本ではヤカンですよねw October Skyという原題が美しいなと思っていた所に、アルファベットの並べ替えだと知った日には鳥肌が立ちました。あと、ライリー先生が只の良い教師じゃないところもいいんだよなあ。音楽も地味に良い。ロケットが真っ直ぐに青空を裂いていくシーンは爽快。 [DVD(字幕)] 9点(2009-06-24 14:53:03) |
19. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
《ネタバレ》 台詞は抜群に良いが、その他の面で失敗している。チャーリーの成長が物足りなく感じるのが一番の敗因。それにより、クライマックスの演説も白けるばかり。役者とダンスシーンは良い。 [DVD(字幕)] 5点(2009-02-17 01:59:57) |
20. 恋愛小説家
《ネタバレ》 思春期の頃、「中年の恋愛」が存在するということを知らなかった。身近にいる大人は、両親や先生など、恋というものをしていない人間ばかりだった。(正確にはそう勘違いしていたのだけれど) 大人のことを、「結婚した瞬間に恋愛を止め、仕事だけに生きているかわいそうな人達」と漠然と思っていた。何故そう思っていたのかは不思議だけど、自分も大人になったら、そうなってしまうんだろうなと不安だった。この映画は、そういうものを良い意味で打ち破ってくれた作品。この作品の大人達は、すごく生き生きと輝いて見える。大人も捨てたもんじゃないなと思わせてくれる。やはり、恋をしていると人間は輝いて見えるなあ。内容としては、キャラクター、台詞、構成、小道具(犬)など、すごく脚本が良い。特にユドール氏の台詞は小説家らしく、粋だ。二人の演技もすばらしい。名作だと思う。 [DVD(字幕)] 10点(2009-02-03 10:16:29)(良:2票) |