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1.  墨攻
この作品は中国の戦国時代を実写化した点、諸子百家の墨子の思想とそこから生まれた軍事指導者の側面を映像化した点で、歴史映画史上画期的だったと思います。この作品の前半の戦闘の華々しさを好む人もいますが、僕は後半部分、戦闘後の政治的な混沌と墨子思想の限界を示す部分が好きです。これが黒澤監督なら、革離は原作どおり殺されて終わったと思います。最後の戦闘が活劇的過ぎるのが残念です。空想とリアリティの両立、娯楽と芸術性の両立は難しいものだと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2011-09-05 00:55:34)
2.  転々 《ネタバレ》 
70年代のATG映画のような感じがあるものの、70年代では技術的に撮れない 映像なんだろうな。だってスタディカムで撮ってるし、ハイビジョン 撮影だから高画質。安っぽくなりそうな東京の秋の景色がみな美しいのです。 三木監督の作品だから、奇妙さだけ期待すべきかと見る前思ってたのですが、 一本スジの通ったちょっとしんみりするいい話。嬉しい誤算でした。 これを観た後散歩に出てみると、町が意外と小ネタばかりに思え、些細な面白さに 気づきます。三木さんの小ネタ理論は俳句の視点と似ているみたい。
[DVD(邦画)] 7点(2010-05-01 02:33:59)
3.  涼宮ハルヒの消失 《ネタバレ》 
この作品は、原作が「ハルヒ」シリーズ中飛びぬけた人気を誇り、ファンが長らく映像化を待ち望んでいたものです。それだけに、ファンも制作スタッフも期待と不安がずっしりと蓄積されていました。完全秘密裏に制作が開始され、1年以上の工程を経てこの2月、ついに日の目を見たわけです。完成した『消失』は、驚くべき作品でした。小説の映像化をここまで律儀に忠実に作った映画が今まであったでしょうか。個性の強い監督なら原作は自分色に染めるための焚き木くらいにしか考えていません。160分という上映時間も破格。興行的にいうなら長尺の作品はマイナスです。それを結果的に無視しここまで主人公たるキョンの語り口に惚れこんだスタッフの姿勢に感服します。 キョンと一緒に泣いて笑って苦しんで、傍観者であることをやめる彼を応援したくなる素敵な映画になりました。シリーズを知るものとして9点をつけさせてもらいます。 
[映画館(邦画)] 9点(2010-02-13 18:35:24)(良:2票)
4.  ヤッターマン(2008) 《ネタバレ》 
まず良いところ。CG・衣装・美術これはとても良い。スタッフの技術力・センスはすばらしく、今後の日本映画の希望と思いました。また、実写化する決断力も好感できます。 しかし・・・悪いところも書かねばなりません。あそこまで作りこんで制作されたからには綿密な計算をとことんしたものと思います。絵コンテがなければCGアニメは絶対ムリですから。それなのに、なんという間の悪さでしょう。テンポのなさでしょう。ここまで作りこんで、なんという下品なギャグセンスでしょう。監督の素の感性なのが明白なので救いようがありません。 役者さんに素人が多いので、演技は甘くしたほうがいいのかもしれませんが、ちゃんと演技指導したの?と監督に訊きたいです。監督の力量を疑います。
[DVD(邦画)] 4点(2009-12-20 21:44:49)
5.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
美術・デザイン・音響・アクションは別の人たちがしているので省略しましょう。「三百六十五歩のマーチ」が似合う作品でした。「序」でも思いましたが、幸せに生きたいと望むたくさんの人々が新劇場版では描写されています。前回のシリーズでは社会は冷徹で無慈悲で、閑散とした市街は孤独や疎外感を感じさせました。さまざまな群集シーンが付加された今回の作品は、(自然に対する視点が付加されたこともあって)それとは別な、前向きな暖かさを感じます。主要キャラクターのほほえましい日常は、全員を抱きしめたくなるほどでした。やられました。しかもそのすべての(幸福な)伏線が惨劇へとして収束されてゆく展開もまた見事。練りこまれた脚本を堪能いたしました。次回も楽しみです。
[映画館(邦画)] 7点(2009-08-13 22:00:58)
6.  ダークナイト(2008)
バットマンの設定が、ここまで暗く・重くなり、しかも全米の観客に 受け入れられたという事実に、隔世の感を感じます。米国も変わりました。 昔、バートン監督がバットマンを映画化したとき、僕はこの作品がピカレスクロマンになるという発想がなく、暗い暗い物語に出会って興奮したのですが、この作品は さらに上を行きました。 貧乏のどん底でどうしようもなくなって犯罪を犯した人もいるでしょう。そんな犯罪者を、ありあまる財産を湯水のように使っていじめまくるバットマン。好きです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-11 19:40:19)(良:2票)
7.  亀は意外と速く泳ぐ 《ネタバレ》 
「人生これ小ネタの集積」という視点がしっかりしています。 コメディではあるけれど、監督の「どう生きるか」という、ちょっと深刻に なりそうな思いも、ほんの少しだけ伺えます。 エンディングの、飛び立つ飛行機の前でポーズする上野樹里が素敵です。 「南風」も名曲でした。 こういう題材が、映画のネタになることは驚きです。 また、映画として成立したことを喜びたいと思います。 
[DVD(邦画)] 7点(2008-12-23 23:42:21)
8.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 
昔、合唱団などに入って大人数でハモった経験がある男としては、この作品 愛情なしに観ることはできません。 後で思えば、上野樹里、本仮家ユイカ、貫地谷しほり他ビッグになってゆく人たち総動員の映画となりましたね。 ロケ地も魅力的で、自然の美しさ・季節の移ろいが良いアクセントです。 
[DVD(邦画)] 8点(2008-12-23 08:56:58)
9.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
言うまでもなく、この作品はフィクションです。事実ではありません。 米国の歴史がめんどくさいので、日本の映画監督が架空の人物で米国建国史を描いたら 失笑ものです。 しかし・・・私達が日ごろ読み、感動してる歴史小説は「事実」でしょうか。古来私達が慣れ親しんだ数々の歴史物語も決して「事実」ではない。では、私達は何に感動しているのでしょう。私達は「事実」を自らの脳内で再構成し、そうして醸した幻影に酔っているのです。私達は原料には酔えません。歴史は「平家物語」「太平記」等など、優れた文学作品となることによって我らの血肉となったのです。 その点を理解した上で、この作品を観ると、これは決して悪い酒ではありません。 また、この作品。米国人にとってはセンス・オブ・ワンダーです。近代合理性の非情さに憤り、自滅の美学に感動する自分に気づいたとき、彼らは自分の内にある衝動に驚き愕然とするわけです。 
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-20 22:18:21)
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