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1.  普通の人々 《ネタバレ》 
まだ、若い時に一度見ましたが再度観賞。普通の人々の心理をさりげない演出で見事に映し出していた良作であると気づきました。かなり繊細な映画ですので、その繊細さを理解できるかどうかでこの映画の評価が決まると思います。現在、職場でこの映画の母親そっくりの人がいるので、次男のイライラがとてもよく理解出来ました。特に退部のシーンで母親と言い合いになる場面。「母さんが怒るのは人が自分より先に知っていたから」どうして退部したのか次男に理由を聞きもしない。フレンチトーストを捨てる場面といい、この母親は他人の気持ちなど考えたことがないのではないでしょうか?「人から私が幸せに見えるか」ばかり気にしている。だから溺愛していた長男が亡くなった悲しみも表せない。父親曰く「君は弱い人」だと言いましたが、私は「哀れな人」と思いました。次男が母親を抱擁するシーンですが、ラストやセラピストとも抱擁との違いを比べずにはいられません。この母親はわが子を抱きしめてやることも出来ないのです。そして、彼女自身もそんな自分に気づいたのでしょう。だから、何も言わずに去っていった。去っていくだけの理性があったのがせめてもの救い。離れて暮らすほうがお互いの為、なんて家族としては悲しいですね。
[地上波(字幕)] 8点(2017-12-03 15:12:10)
2.  ミシシッピー・バーニング
大人になって人種差別問題を勉強するようになってから見たので、かなり感情移入できました。 差別主義者にNoという事がどれだけ勇気がいるか今なら分かります。 勘違いしてはいけないのは「白人を殺すのは白人である」という事。 私は日本人だから日本の社会に対して責任がある。日本の差別にNoと言った時、攻撃してくるのは日本人です(だから勇気がいるのです) 差別主義者を増長させているのは「大勢の普通の白人」。「私達は公平です(黒人は)彼らにふさわしい扱いです」となんの疑いもなく言う人々。 「日本はいつも正しい」と盲目的に信じている大勢の「普通の日本人」の姿にそれがダブります(私もかつてそうだったから分かります) イギリス人の女性が日本人留学生と話した時「自国の歴史に対して無知すぎる」事に呆れたそうです。「ドイツ人でナチスの蛮行を知らない者などいないのに」。 そう、この映画に描かれている白人は東アジアにおける今の日本人の姿と同じなのです(ロバを毒殺した父親のように、他のアジア国が日本の上をいくのが許せない)それを理解して観なければ、この映画の真のメッセージは汲み取れないでしょう。 ジーン・ハックマンの存在感に負けないデフォーはすごい、と思いました。…顔のせいだけではないよね…(←失礼;)
[地上波(字幕)] 8点(2014-06-07 19:47:23)
3.  吉原炎上
「私はこの監督が嫌いだ」と、はっきり分かった作品。この監督は女の生き様を描く映画を撮っている印象があるが、その「女」というのはしょせん「男性が考える女」なんだなよ~エロにしても狂気にしてもイメージの域をでていない感じがして白けるんである(この監督父権主義じゃないだろうな~?)イメージで描くならはっきりとその路線で貫いてくれればいいものを、無理に「私は内面を描いてます」的な言い分が画面からにじみ出ているから始末が悪い。「男」を描くとイメージ先行なのがばれるから、あえて「女性」を描いているんだろうか?
[地上波(邦画)] 2点(2011-12-31 15:43:00)(良:1票)
4.  魔界転生(1981) 《ネタバレ》 
初観賞は●十年前のテレビ放送。子供だったので、父親が魔性に堕ちて親子対決になるのにびっくりしたのを覚えている(単純に仇討ちかと思ってた)改めて観るとみんな若い!深作節も健在。やたら女性の腿や乳が出るとか(笑)もちろん、それだけじゃない(暴力による暴力の否定など)天草のラストの台詞 「人間ある限り私は戻ってくる」の通り、これは徳川への復讐ではなく「人間の闇」を描いたもの。十兵衛の死の間際にも天草は来るかも?その時、魔の誘惑に勝てるか?初めは霧丸の存在が疑問だったけど、十兵衛って徳川家を守るとか世界を救う、等考えて無いんだよね。父親との事も含め、無頼の彼が戦う理由が必要だった訳だ。SFXはお粗末だが、全く気にならない。俳優がその役として「立って生きている」から世界観が成立している。役者オーラがもたらす強力な説得力に屈服です。「エロイム~」の呪文がすんなり入ったり「是非もなし」の台詞が浮かないなんて…瞬き一つしない役者魂が熱い。監督も各役者の魅せ方を分かっている。殺陣の達人はその見せ場を。アクションスターはアクション性の高い勝負を。妖人にはエロシーンを(笑)それに応える役者達の力量が並でない。今「狂乱シーン」を演じられる女優が何人いるだろうか?砂浜を駆けるだけで緊迫感が出せる俳優は?現在、演出や設定に頼る役者がいかに多いか思いしらされる。最後の炎上シーンは本物しか出せない迫力に満ち溢れている。炎の迫力に俳優が負けてないのもすごい。多くの要素が渾然一体となって昇華しており、この時代にしか生まれなかっただろう怪作(カルト人気があるのも頷ける)レンタルしてから観まくっております。多分、明日も観るんでしょう。誰か私を止めてくれ~駄目よやっぱり止めないで~(チョイ役に福ちゃん見つけて嬉しかったv)
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-20 23:14:22)
5.  スペースバンパイア 《ネタバレ》 
この映画が公開される前、やたらテレビで宣伝してました。特別番組まで組まれて「最新のSFX」なんか紹介されてました。当時、子供だった私は「こんなに宣伝するなら、すごい映画なんだろうな~」と思いました。数年後にテレビで放送された時は期待に胸を弾ませて観賞。が、「…え…こ、こんな薄い内容なの…?;」しばし呆然…深いメッセージを感じ取れない私が悪いのか?なんて考えたりもしました;思えば、この頃からではないでしょうか?『つまらない映画でも、前宣伝を豪快にやっておけば、話題性である程度の動員数は確保出来る』という戦略に映画業界が染まり初めたのは…;(今はネット情報があるけど;)それにしても、いくら美女だからって「宇宙からの物体」に対して欲望もちますかね?人間じゃないし、どんなウィルスもっているか分からないんだよ?(エイズどころじゃないだろう!)気持ち悪くないの?;フェロモンでフラフラ~となっちゃうのかな?;「性欲ありき」という観点であると考えれば、エロよりポルノ要素が強いのかもしれません;
[地上波(吹替)] 4点(2010-07-28 10:45:52)
6.  ナインハーフ 《ネタバレ》 
官能的な映画の紹介になると高確率で名前があがる映画。未観でしたがやっと鑑賞。ミッキーがセクシーだという事が昔も今も分からない私;が、「蘭の女」とこの映画を観て気づきました。彼には場所が重要なのですね。湿気を含んだ熱気のリオや、NYの都会というバックがあると彼は非常に映える。大阪ミナミのひっかけ橋に立ったらチンピラに見えると思う;洗練された衣装にスタイリッシュな舞台は「危険な男と彼に溺れていく女」に説得力がありました。小道具を使って「触感」を感じさせるのはエロティックですね。過激ですが猥褻にならないから「恋愛映画」と受け止められる。冷蔵庫の光がセクシーに見えたのは初めてですが「冷気が逃げる~」と心のどこかで気にする自分が嫌;過激な内容に隠れがちだけど、キムが人つき合いの苦手な画家の個展の準備したり、元夫と友人がつき合い始めたり(夫は女性と上手くやっていけないのではなく、彼女と上手くやっていけなかっただけ)カウセリングを促す留守電が入っていたり、と心情的に結構考えさせられる部分もありました。もしかしたら、ミッキーの方にも「カウセリングの先生からお電話がありました」なんて秘書からしょっちゅう言われている男かも。やっぱり二人は似ていたのだと思う。男の方は先にそれに気づいた。しかし、不器用で倒錯して退廃的な部分だから、いっしょにいても破滅していくだけ。今度は女が先にそれに気づいて別れる。気づくまでに9.1/2必要だったという意味にもとれるかな?でも、この二人、違う相手と同じ事繰り替えすんじゃないだろうか?そして、またナインハーフで終わっちゃう。満たされなくて苦しいけど、満たされると魅力を感じない。なんてところが二人とも変われないような気がするのです。私にとっては哀しい男女の恋愛映画でした。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-10-02 11:50:22)
7.  サイコ2 《ネタバレ》 
「サイコ」の続編、と聞いてあまり期待せずに観賞しましたが、どうして、どうして。見事な正統派続編で良作だったと思います。ノーマンは本当に治っているのか?女性は助かるのか?殺しているのは誰か?謎が不気味さに覆われた形で物語は進み、その緊迫感が怖いのなんの;幼い頃の話をするノーマンが哀れで可哀想でした。精神に異常をきたしたものは、それだけの理由がある。前作で真相を暴いた妹が、ノーマンばりの異常者に見えてゾッとしました。彼女も過去の傷からこうなったのでしょうか?「闇を見つめる時、闇もこちらを見つめている」の言葉を思いだしました。心理学的に言えば、精神不安定な犯罪者は、犯罪を犯した場所から離れなければならないそうです。ノーマンが最後にああなったのも、彼が「犯罪者」になった場所に戻ってきたからでしょう。あの呪われた「母のいる家」に。正気だった時のノーマンは孤独で自分の過去を自覚して辛そうでしたが、最後は解放されたかのようでした。「人間って他人を犠牲にしても、自分が楽になる方を選ぶんだな…」と痛切に思いました。それが一番恐ろしかったです。 正気を失った殺人鬼でいる間は自分の犯した罪と向き合わずにすむのだから。
[地上波(吹替)] 7点(2009-08-20 11:34:13)(良:1票)
8.  恋におちて 《ネタバレ》 
二回目の観賞ですがやっぱり素敵な映画。今回の方が深く観れました。冒頭の電話の会話のシンクロ度から、二人が同じ感性を持っているのが分かります。モリーは失った子供や病気の父親の心配など、気を使って夫に話せない。我慢しているが夫は気づかない。父親の御葬式で泣きそうになるモリーを人前から連れ出すのを見て「この旦那、妻の気持ちを分かってない」と思いました。ああいう時は泣きたいだけ泣かせあげて支えてやるべき。最後のお別れの場から連れ出すなんて駄目。フランクは妻が一番愛しているのが自分ではなく、子供になったのが淋しい。が、自分も子供を愛しているし、と我慢している。自分に似ている長男の性格を話す時に口籠るシーンでそれが分かります。同じ感性と心の隙間を抱えた二人が出会って恋に落ちるのはまさに運命。ラストの本屋で再会した二人が「私は愛しているけど、この人はどうなんだろう?」とお互いときめきながらも不安がっているのを感じる。フランクはモリーが本屋にいたのは自分と同じ気持ちだったからだ、と気づき追い掛ける。二人は「魂が共鳴」して惹かれ合っている。そんな相手に出会える人が世界に何人いるだろう?遅い出会いで周りも自分も傷ついたが、恋に落ちるのは必然だった。だから二人には幸せになってほしいです。「魂の共鳴」をこうも自然に演じるメリルとデニーロの演技力は見事としか言い様がない。無駄のない会話(だからリアル)自然な演出、大物になる前の瑞々しい名優の演技(脇役含む)地味かもしれないけど、職人技のような傑作だと思います。今のハリウッドでは「おしゃれな映画」は作れるけど、このような「品の良い映画」は作れないかも?
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-05-29 09:23:40)(良:3票)
9.  危険な情事 《ネタバレ》 
何年か前にテレビで観た時はアレックスの狂気が怖くてたまりませんでした;バスルームで包丁振り降ろしてタイルにガン!など背筋が凍りました;「襲うなら悪い旦那襲ってくれ!」と思った覚えが;でも今みると「アレックスが痛々しくて可哀想」という印象です。グレン・ローズは「アレックスは過去に性的虐待を受けた可能性がある」という考えをもって演じていたようです。父親を失ってから母が再婚し、義父から性的虐待を受けていた、のはありえそう(母親は助けてくれなかった) ダンを死んだ父親(自分を守ってくれる人)とダブらせ、彼の妻は邪魔する人、と彼女の心は感じていたかも。ダンも「君は素晴らしい人だが私には妻がいる」なんて言ってますし;(妻を言い訳に使うなよ…;)しかし、彼女の行動は間違っていたと思います。車までは、責任のあるダンに攻撃が向かっていたので分かりますが、罪のない子供(うさぎ)や妻にいくのは駄目だろう、と。妊娠初期で精神不安定だったと思うけれど…(過去に流産してるし、不安な時に側にいてくれる親や友人はいないようだし) 変更前のラストの方が話としては納得出来るものでした。伏線も活かされてました。「アレックスが送ったテープの意味は?」と疑問だったのですが解けました。映画としては竜頭蛇尾?けれど、変更後のラストもやっぱり頂けません;ベスに罪を背負わせるのもどうかな~と。あの場合彼女は二人殺してます。最期は夫婦円満になったかに見えますが、これからあの夫婦を結びつけるのは「愛」ではなく「同じ罪を背負う共犯者」としてではないだろうか?と思いました。 『アレックスは無理心中をはかってダンを包丁で刺し、自らも首をかき切って死ぬ。が、ダンは奇跡的に助かり、病院のベッドで目覚めると心配そうに自分を見つめる妻と子供の姿が…』ってラストだったら… 「納得するラストってなんだろう?」と考えてみたのですが、こんなのしか思い浮かびませんでした;それに、ふと思ったのですが、バスルームの出来事は目撃者もいないから「夫婦で共謀して邪魔な愛人を殺して正当防衛にみせかけた」って出来るのでは?証拠もないし…なんて、トンデモ予想してみました;
[DVD(字幕)] 6点(2009-03-19 11:58:20)
10.  トップガン
私的には最低・最悪の映画の一つ。嫌悪感を覚える映画です。この映画のヒットは「ゲーム感覚で人を殺す映画を創ってもいい」(人を殺しておいて「ビンゴ」ですからね…)という許可をもたらし、類似する映画がどんどん創られるようになりました。この映画にみられる「人を殺す事をためらったり、死ぬ事を怖がったりするのは弱虫」という人間感情の批判は「大儀名聞さえあれば、人を殺しても許される」という意味と解釈しました。「戦争推奨映画」といっても過言ではないと思っています。さすが空軍全面協力映画です(この映画の少し前になると、ジョン・ウエインあたりの映画がこの位置にあった気がします)自分が撃墜して死んだパイロットの家族を見た後でも「ビンゴ」って言えそうだな…;
[地上波(吹替)] 0点(2009-02-20 12:02:26)(良:3票)
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