1. 戦慄の絆
うーん、この変態!こんな妙なテーマの映画、よく映画会社からOKを取りつけるもんだ。そこがクローネンバーグの凄いところ。陰のある物憂げなハンサムを主役に、シャープな映像に物悲しい音楽、それでもって内容は変態という、つまり、いつも通りのクローネンバーグ作品です。私は最初、このテーマに乗るまで少し時間がかかりましたが、いつの間にやら洗脳されており、ラストを迎える頃にはもうズブズブにハマっておりました。一旦ハマってしまえば、オープニングを見返しただけで、あの音楽と手術器具やら解剖イラストにゾクゾクするという、変態のお仲間入りを果たします。私もシンクロできたということでしょうか。ジェレミーアイアンズが完璧に二人を演じ分けており、クローネンバーグの演出も手伝って一人二役に全く違和感がありません。変なくせに実は相当テクニカルな映画です。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-18 17:36:28) |
2. ベスト・キッド(1984)
面白いくらい、ストーリーは予想通りの展開を見せてくれる。水戸黄門みたいなもんで、むしろそれが良い。問題は格闘シーンがいい加減なこと。ジジイかと思いきやメチャ強かったとか、ダニエル君がこんなに強くなった、というカタルシスが欲しいのに、この二人の動きはキレも無ければパワーも無い、素人丸出しで全然強くないのがバレバレ。釈然としないままスタッフロール。話が良いだけにもったいない。 [インターネット(吹替)] 7点(2022-06-25 15:28:09) |
3. マッドマックス2
世の中には、テレビで一体何回観たか分からない、でも何回観ても面白い、そういう類の中毒映画が存在する。カリオストロの城然り、少林寺三十六坊然り。そしてこの作品も、そうした中毒映画の最右翼と言って良いだろう。この映画の功績は何といっても、フィクションの世界観に「ヒャッハー系」というジャンルを確立したことである。我々の世代は、荒野、バギー、モヒカンとくれば「ああ、そういう世界なのね」と問答無用で納得してしまう。まるでヨダレを垂らす犬である。これこそテレビによる刷り込みの賜物である。まさに暴力、そして狂気。例え我々はヨボヨボの年寄りになろうとも、テレビでこれが始まれば吸い寄せられるように視聴し、ブーメランが指を落とすシーンを見て喜ぶに違いない。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-02-28 07:49:01) |
4. 2010年
2001年は傑作だけど、良くも悪くも物凄く尖がった映画だった。2010年は前作のテイストを踏襲しているものの、内容は全く尖がってない。とても大衆的なSFエンターテイメントに切り替わっている。ロイシャイダーとかボブバラバンとか出てくるから、初期のスピルバーグ映画でも見てるような気分になる。インパクトには欠けるけど、安心して見られる映画だった。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-12-04 09:21:31) |
5. ペット・セメタリー(1989)
《ネタバレ》 メインストーリーはシンプルだが、娘にスーパーナチュラルな能力があったり、土地の邪悪さが様々な出来事に影響していたり、妻の親の人格が、ちょっとヤバかったり、さすがキング先生。背景の設定が上手い。それから監督の演出はいたって素直。序盤から疾走するトラックと幸せそうな家族を隣り合わせで映して、しっかり不穏な空気を醸し出し、想像通りの悲劇を描いていく。特殊メイクも頑張っているし、安心して見られる内容です。あえて言えばラストは蛇足か。妻を抱えて墓へ向かうシーンで終えて良かったのでは。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-10-09 08:49:16) |
6. ウォール街
《ネタバレ》 賞をとってるだけあってマイケルダグラスの演技がいい。テンポ良く無駄のない話し方だけで、ゲッコーの超合理的な性格が伝わってくる。魅力的だけど常に緊張感を伴うこういう人って確かにいる。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-10-01 23:58:55) |
7. となりのトトロ
子供の頃に見て以来、テレビでやってて久々に見ました。日常のすぐ隣りに潜むフンタジーのまあ魅力的なこと。1シーン1シーンがとにかくきれい。自宅のデザイン、田舎の風景、お社とご神木、陰の濃い昼の夏、雨の降る暗い夜、メイを探す不安な夕暮れ。話らしい話はほとんど無いのにこの世界観にグイグイ引き込まれます。この映画がなぜか涙が出てしまうのは、おそらく音楽の使い方が抜群に上手いせいだと思います。感情が揺さぶられたところにドンピシャで効果的な音楽が入ります。冒険ファンタジーでヒットを飛ばしてきた監督にとって、この作品がウケるかどうかは多分博打だったんじゃないでしょうか。しかし結果的には大ヒットで、個人的には宮崎監督作品のNo.1だと思います。まさにコンセプトの勝利。奇跡の1本だと思います。 [地上波(邦画)] 9点(2016-11-04 23:29:22) |
8. その男、凶暴につき
これは面白い。まず武と白竜の演技。二人とも大したことは喋ってないんだけど、表情と動作と声色で凶暴で勘の鋭い人物像がよく伝わってくる。特に武のせかせかした歩き方だけでなんとなくその人間性が伝わってくるあたりは本当に見事だと思った。それから二人のボス(佐野史郎と岸部一徳)が両方冷たそうなインテリっていうのも面白い組み合わせだと思う。初監督作品ってことでどれだけ下手かと思ってみたらとんでもなく面白い。北野武って監督でも演技でもお笑いでもできるって、いったいどんだけの才能なんだと思った。 [DVD(字幕)] 9点(2009-11-18 01:23:38)(良:1票) |
9. フルメタル・ジャケット
所見は小学生の時でしたが、当時の私にとってはほとんどホラー映画でした。ずっと淡々と話らしい話もなく進行していくのですが、要所でえらく不気味なBGMを入れたり、もの凄い表情をした人をスローモーションで映したりするのでもうコワいのなんの。インパクトという点では数あるベトナム戦争映画の中でも随一でしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-21 22:18:55) |
10. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
劇場版を見ないでいきなり完全版を見てしまったんですが、どうも作品世界に入れなかった。長いし淡々としてるし、とにかくあのシチリアの人々のあけっぴろげで粗野で人間味溢れる暖かい感じが…どうも気に入らない(笑)この映画で感動できないということはオレってヒネた感性の持ち主なのかなと心配になってきて、そっちの意味で泣きそうでしたよ。いや、これはきっと完全版の出来がイマイチなのが悪いわけで感性の問題ではない、劇場版を先に見ていればきっとオレだって感動してたはずだ。…ということにしといて下さい。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-16 02:12:33) |
11. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 この映画の出来にキング先生は怒ったらしいですが、私の中では「エクソシスト」「ゾンビ」と並ぶホラー映画の最高傑作です。直接的な恐怖映像は少ないのですが、キューブリック監督独特の無機質な感じや幾何学的な感じを与える映像がなんともいえない恐ろしさや嫌な感じを植えつけてくれます。実際は幾何学模様なんか全く出てこないのに幾何学模様の印象を与えるこの映像はなんなんでしょう。キューブリックの映像作りの天才性をまざまざと見せつけられる映画でした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-15 03:16:55) |