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1.  H.G.ウェルズのS.F.月世界探険 《ネタバレ》 
時代的にそこそこまともに作ってるにもかかわらずチープな感じなんだろうな~、と思っていたら、結構コメディーとドタバタが混じってて、狙ったチープに見えてくる。 B級映画ファンにとっては掘り出し物かも。 主人公の短絡的な考えの浅さ、ゲスっぽさ、身勝手さにはいらっときたが、博士の真面目なマッドぶりがいい味を出してて、それを引き立たせるためには仕方ない設定なのかな。 欲を言えば、もうちょっと尺のばして、博士の月でのその後から、廃墟となる過程を、少しくらいストーリーに組み込んで欲しかった。 その後、博士が支配者となって、地球を救うために自ら滅亡の道を選んだとか、そういうストーリーもありかな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-06 20:03:09)
2.  黒い十人の女 《ネタバレ》 
女優陣の演技は、皆さんの感想と同感で、それぞれすごい存在感。 それにもまして、しっかりとした個性的なキャラの女性を、飄々とした男が一人で受けて立つ、こんなすごい役回りをこなす船越英二って、すごい役者だったんだなと脱帽。 できれば、結局、何もしない生活を受け入れた途端に、岸恵子からも他の女からも完全に見放されてしまって、それでも飄々と職場に戻ってしまうってシナリオにしたほうが、更に船越英二の良さが活かせたかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-06-01 22:55:10)
3.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
重厚で緻密な描写はいいのだが、妙に間を持たせた冗長で長いシーンも散見され、もっと尺を短くしたほうが、スリリングで緊迫感も増したのにと感じた。 あと、ラストが納得いかない(原作は未読)。 見終わって考えると、北海道に行きたいと懇願したのが、船上から身を投じるための演技と解釈できないわけではないが、元刑事のお経で発作的に身を投げた感じもし、突然打ち切られてしまったような未消化感。 まあ、これから更に北海道紀行をやってたら、さらに尺が長くなるんだろうが、、  高倉健は刑事というよりやっぱりヤクザのほうが合ってるな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-11 19:11:11)
4.  人斬り 《ネタバレ》 
勝新太郎の演技、表情は申し分ない。しかし、メタボな体型が最後まで以蔵のキャラにしっくりこないという違和感が拭いきれなかった。 特に走るシーンは滑稽ささえ感じてしまった。 この映画の中で出てきた人物で勝新太郎の体型、迫力を活かせるイメージの人物はほとんど居なかったのではないだろうか。 勝プロダクション制作ということで主演にするしかないとすれば、この物語は選択ミス。 折角のいい演技がもったいない。 幕末を描きたかったのであれば、西郷隆盛あたりをチョイスべきだった。 その他の配役も演技は申し分ないんだが、年齢層を高く設定し過ぎ。 幕末の志士たちは、もっと若々しく、荒々しかったはずである。 展開、画面構成は監督、スタッフともいい仕事をしているだけに、違う配役で、もっと若さを全面に出した脚本、演技にして欲しかったと思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-01-02 03:10:57)
5.  宇宙大怪獣ドゴラ 《ネタバレ》 
 カラーの東宝スコープに続いて、そこそこまともな宇宙シーン、期待して見始めたものの、すぐその期待が消えてこれはとんでもない映画を見ているという失望感とB級の醍醐味であるツッコミどころ探しのワクワク感に変わる。 存在感のない怪獣に現実感のない強盗団。どんな被害を想定してどこに逃げるのかわからない緊迫感のない避難シーンや何発撃っても当たらない銃撃戦。初めの方に人が浮いてたのがなぜなのか、ドゴラって名前の由来は何なのか最後までわからずに終わり。幼稚なシナリオ、設定のくせに、場面展開や台詞回しは子供には理解できそうもないややこしさ。「映画」としての価値はかなり低いと言わざるを得ないが、これはまさB級映画である。  一番突っ込めたシーンが、強盗団のボスのデスクのシーンで突然昼休みのチャイムみたいなのんきな音がしたと思ったら本部への連絡時間の合図だったところ(笑  ただし、ゴジラシリーズのような派手さや親しみがない分、もっともっと突っ込める要素が欲しかったことも事実。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-10 02:18:02)
6.  十一人の侍 《ネタバレ》 
 「七人の侍」を意識して最後の雨の中の切り込みシーンを見せたかったのだろうが、そこに持っていくための、遊郭での失敗、森の襲撃の中止とも、ストーリー的に不自然すぎる。遊郭では警備が来る前に誰か突撃すれば簡単に殺れたでしょう。森の中では皆止めてもらうのを待っているような臭い演技迫力は全然負けてます。で、無理やり持っていった最後のシーンも「七人の侍」には到底及ばない。  とまあ、比較対象のレベルが高すぎて酷評するしかないのだが、最後まで飽きずに緊張感を持って見られたから、客観的にはそんなにひどい映画ではないかも。 
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-08-20 17:58:43)
7.  天地創造 《ネタバレ》 
 同じ旧約聖書の物語の映画化ということで、どうしても「十戒」と比べてしまうが、こっちは、ただ単に旧約聖書を映像化しました、という印象で何も感情移入できない映画。「十戒」はモーゼの人間ドラマとしても非常に重厚だが、こっちはドラマ性が殆どなくダラダラと旧約聖書通りに進んでいくだけ。旧約聖書の最初の部分は宗教的にあまり脚色しちゃいけないのかもしれないけど、あまりにも脚本家が楽しすぎてる感が否めない。 セットや特撮も当時としてはお金をかけた凄いものだったんだろうけど、作った年代を頭に入れての話で今となっては大したものではない。映画を娯楽として捉えると脚本や演出は全く納得出来ない映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-08-06 01:55:25)
8.  おとうと(1960) 《ネタバレ》 
文芸作品らししい色彩、映像は見事だし、岸恵子の気丈で弟思いの姉の演技も素晴らしい。 姉弟の心理描写と父親との関係性はすんなり入ってきた。 しかし、継母との関係性の背景、心理描写が今ひとつ。 継母が体が悪いにしても家事を何もせず娘がやって当然ですって態度で、父親もそれで当然と思っているところで、姉弟の境遇を憐れむ気持ちよりも継母に対する腹立たしさのほうが先に立ってしまう。 前半は継母が姉弟を憎んでいる思っていたので、終盤で心配して優しくなって悲しむべき背景を自分で想像して納得するしかなく、このあたりののエピソードやプロセスをもう少し描写して欲しかった。 田中絹代という配役だけで、芯は悪い人ではないだろう納得させてしまったかにも思える。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-23 18:54:01)
9.  乱れる 《ネタバレ》 
「乱れる」感情を、画面構成、カット割り、演技でこれほど見事に表現できるのは見事としか言いようがない。しかも、乱れ方が現在の価値観では、何もそこまで深刻にならなくても、とも思えるレベルなのに、その心理を、目で、仕草で、後ろ姿できっちり表現してしまう高峰秀子の演技力には脱帽。しかし、衝撃的なラストは、もっといろんな展開が有りうるのに、突然天災のように寸断された感じで消化不良である。当時の価値観では、禁断の愛はこの程度の乱れ方でも死で締めくくるしかなかったのだろうか? それとも、敢えて意図的に消化不良感を与えようとしたのだろうか? このラストを外してもう少し尺を伸ばしても、いい映画になりそうだ。ただ、なんだかんだ言っても、高峰秀子の魅力、演技力、それを活かしきる成瀬監督の力はハンパないと感じたことは確か。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-15 17:22:39)
10.  女が階段を上る時 《ネタバレ》 
実際の銀座の女性たちが本当にこの映画のようだったのか、主人公のような女性が実在したのか確かめようもないが、少なくとも最初から最後まで人物描写、感情描写は秀逸であり、リアリティを感じた。それにしても、このところ高峰秀子主演作をたてつづけに見たが、彼女の演技力、表現力には感服。どちらかと言えば淡々として起伏が小さく練られた脚本とは言えない物語なのに、高峰秀子の演技力と脇役陣のドンピシャの配役と成瀬監督の映像構成力とが相まって、見るものを最後まで引き込み心に染み入る映画になっている。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-15 00:34:43)
11.  母(1963) 《ネタバレ》 
芸術的な画面展開、カット、セリフ回しで、すごく感性に訴えかける映画である。動物的な本能である母性が、恵まれない境遇という設定の中で泥臭く、ギラギラと表現されており、オープニングの岡本太郎の「母」という題字からすでに見るものを感性の世界に引きずり込んでいく。「娯楽」の要素は殆ど排除されており、笑いがないのはもちろん、ホッとさせたり強引に涙を誘う演出も一切無く、全編映像で感性に訴える構成となっている。好き嫌いが極端に別れると思われ、他人に安易に勧めるわけにはいかない。でも、こんな映画をたまに見るのもいいものだと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-14 21:59:44)
12.  女の歴史 《ネタバレ》 
大きな感動やイベントもなく、淡々と進んでいくストーリーで、物語としてそれほど面白くないはずなのだが、高峰秀子の表情、動きですべての感情を表現する名演技と、賀原夏子の脳天気なキャラクター設定のお陰で、ずーっと引きこまれて見ることができた。人に面白いよと勧めるのは若干気が引けるが、個人的には非常に心に染みた。今と過去を行ったり来たりする展開も当時としては斬新だったのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-14 21:40:09)
13.  黄金の七人 《ネタバレ》 
軽妙でコミカルで尺も適度に短く、細かいツメの甘さとかセットや道具のチャチさとかを突っ込みつつも、ノリで楽しく最後まで見てしまえる。それにしてもあの金塊の軽量感は何だろうね。素材はプラスチック? 時代を考えると木?紙? この疑問が映画の最中ずーっと頭から離れませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-01-07 22:54:20)
14.  妻として女として 《ネタバレ》 
見せ所の壮絶な女のバトルのあとでラストに爽やかさを残せるのは、甲斐性のある男なら妾を持つことは悪ではないという社会的価値観からまだ脱していない時代背景でのみ成立する映画。今の時代に同じシチュエーションで脚本を書けば、殺人事件、ストーカー行為、子供の非行とかの方向にしかならないだろう。核心の妻、女の本音を頭では理解できても、ベースとなる社会的価値観が今とは違うから、異文化の映画の感覚で完全に感情移入することはできなかった。1961年ならちょっと古い現代劇かなって感覚で見たのが間違いで、時代劇や外国映画のように見始める時にベースが違う話と思って見ていたら、もう少し感情移入できたかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-07 22:41:35)
15.  砲艦サンパブロ 《ネタバレ》 
 さすがに当時のアメリカの映画文化の高さと、ロバートワイズ監督の手腕を凄さを感じさせる。   セットやロケにお金を掛け、社会背景と登場人物の人間関係がふんだんなエピソードで非常にうまく織り込まれており、3時間の長さが苦にならなかった。   ハリウッド映画特有の、主人公の周辺ばかりクローズアップされるシナリオではあるが、その土台として1920年代の時代背景をしっかり描写することで、違和感なくドラマチックに仕上がっている。   画面もカラーシネマスサイズを意識した非常にうまい絵作りで、風景の美しさ雄大さをしっかりと表現している。   もともと娯楽作品として意図されていなかったのか、ストーリー全体のトーンが暗く、派手なアクションシーンもなく、結末も社会性、メッセージ性が重視された重いものとなっており、だれにでも勧められる映画とは言いがたいが、名作であることは間違いない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-04 20:52:09)
16.  日本列島
 戦後の日本の闇の部分を描いた小説を映画化したものであるが、真実味を増そうとするあまり、ドラマの部分との違和感がありまくり。役者が頑張るほどせっかくの素材が嘘っぽくなってしまう。   主人公の宇野重吉はそのひょうひょうとしたキャラと抑えた演技で、まあ我慢できるが、他の役者を絡めたドラマ的なシーン、映像表現がシナリオと全然マッチしていない。   計画性も組織性もく、数人の憤りあるいは興味だけで、警察や米軍にまで圧力をかけられる巨悪に対して立ち向かうという点で、真実味に欠け、結局巨悪に何の痛手も負わせておらず、謎解きの過程だけ見せて緊迫した駆け引きもない点で、ドラマ性も欠けている。   ドラマチックにするなら、個人個人の動機をしっかり描き出したり、理屈抜きに感情移入できる描写をすべきだし、ドキュメントタッチを狙うなら、中途半端な心理描写や映像描写は不要で、もっと淡々と第三者的に調べていく様子を描写すればいい。とにかく、どっちつかずの印象。   おそらく監督は、巨悪に対するどうしようもない憤りを訴えたかったのだろうが、ドラマ的な表現の方向が、その訴えをスポイルしている。   ドラマ的表現をとことん追求してもしっかりとメッセージを訴えられる映画、あるいは、淡々とドキュメントタッチで描写してもドラマ性のある映画というものを作ってこそ、真の名作になるんじゃないかと思う。   「謀殺下山事件」でも、同じような印象だった。俺、熊井啓監督とは相性悪いみたいだ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2011-05-21 20:46:50)
17.  他人の顔 《ネタバレ》 
 人間の最も代表的なレッテルである「顔」の持つ意味を問いかけるセンセーショナルな作品。   顔を失って狂気的な懐疑心に苛まれている患者と他人の顔を与える実験をする狂気的な精神科医との間でかわされる会話によって、現実離れした視察室の造形や映像表現を駆使して、見事にレッテルで人を判断し個々を識別する社会の不条理を問題提起している。   そして、その後行われる実験、その顛末によって、一つの答えを導き出している。   兄妹のサイドストーリーも、観るものに色々な意味を投げかけている。   自分にはレッテルと本質があると思い込んでも、他人から見ればそれがどちらであるかわかるはずもなく、レッテルが人間関係の全てである。すなわち、自分の本質というものは社会の中では意味がなく、レッテルこそが社会の中で認識される自分である。レッテルを張り替えることによって、様々な自分を作ることができるが、自分の本質に固執すれば帰着するところは孤独でしかない。   娯楽の部分は皆無であるが、人間の本質に迫る深層心理を見事に表現しており、非常に見ごたえのある作品となっている。   ただし、精神的に疲れてる時に見ると相当落ち込むかも。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-05-01 00:29:53)
18.  電送人間 《ネタバレ》 
 東宝特撮もの。題名がいかにもB級で笑い飛ばそうと思って観たがストーリーはなかなかシリアスで、「電送」の部分以外はそこそこ硬派で真面目なシナリオで作られている。しかし、あまりにも非現実的な「電送」という突飛な発想を、単なる真面目なシナリオで受け止めるのは無理がある。   「電送」が推理ドラマの種明かしの一つにしかなっておらず、生かしきれていない。しかも、この非現実的な種明かしでは、推理ものとしては完全に反則。   娯楽映画であれば、「電送」と戦う姿をもっと組み込んでアクションものにするとか、ドタバタにするとか、いっそのことコメディーにするとかしないと、成立しないと思う。   いっそ、もっと手抜きの子供騙しのシナリオにしてくれれば、笑い飛ばしながら見るという、B級ならではの楽しみもあるのだが、そこそこ真面目なシナリオだけに、笑い飛ばすことも出来ず困ったB級映画である。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-04-29 22:52:40)
19.  釈迦 《ネタバレ》 
 ウィキペディアによれば当時の大映のスターを集めて映画化した日本初の70ミリ超大作映画ということだ。   たしかに、当時の日本映画の中では群を抜いて頑張って、お金もかけてることはわかる。70ミリカラーの画面の緻密さとワイド画面を意識した映像作りもよく頑張っている。セットやスペクタクルシーンの現実感、スケール感は、その後の日本の怪獣特撮物より充分上回っている。   しかし、日本初ということで仕方ないことかもしれないが、ハリウッドのお金のかけ方やその技術力には、追いついていない。チャレンジ精神は充分感じられるのだが、ストーリー的にも、ベン・ハー(1958)や十戒(1956)の劣化コピー感が拭えない。   で、そのストーリー、シナリオだが、「釈迦」を題材にした時点で失敗だったかなあと感じてしまう。   日本では、普段から「釈迦」との接点は気づかないくらい多く、多かれ少なかれ「釈迦」に対するイメージを持ってるはずだから、単純にフィクションとして見ることもできず、しかし、信心深い人も少数なので宗教的に感銘を受けることもできず、中途半端になってしまったのではないだろうか。   もっとベン・ハーみたいに人間ドラマを中心に持ってくればもう少し良かったのではないだろうか。   日本初の超大作なのに、これまでテレビ放送もリバイバル上映もあまりなく、私自身、今回CSで放送されるまで全く知らなかったのも、一般的な日本人の感性としてストーリーが受け入れ難いのが原因かもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-04-29 20:02:46)
20.  御用金 《ネタバレ》 
 映像に凝ろうとするのはよくわかるのだが、映像美だけを追っかけた無駄なシーンが多いと感じてしまった。もっと尺を短くするとか、人間をもっと深く掘り下げたシナリオにするとか、映像美を追いながらもテンポを崩さないやり方もあったのではないかと思う。   仲代達矢があまりにもシリアスなのに対し、萬屋錦之助が軽薄な役どころで、この対比の妙がもっと引き出せればいいのだが、全体を暗く叙情的に仕上げているため、萬屋錦之介の魅力がかなりスポイルされている。   叙情的な映像美を追求するなら、もう少しシナリオを練り込むべきだし、このシナリオで行くなら、もっと娯楽に徹してテンポよくして欲しかった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-04-24 17:23:19)
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