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1.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
さすが暗めの切ないファンタジーを作らせたら天下一品のティム・バートンと、奇抜な役をやらせたら天下一品のジョニーデップの組み合わせは、足し算じゃなく掛け算でいい作品にしてくれる。映像美を意識した構図、色彩は見事。カラフルな家や車をパステルカラーを使うことによって現実と非現実の中間の曖昧な街並みを演出している。また、ジョニーデップの演技も圧巻。素朴さ、悲しみ、怒りをすべて少ないセリフで表情、動きで表現しきっている。共演陣のややオーバーな演技も監督の計算どおりと思われ、現実と非現実の中間を見事に表現し、さらに特異な存在であるジョニーデップの心理を見るものに強く印象つけている。ティム・バートン×ジョニーデップが大好きです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-05 22:53:45)
2.  推定無罪 《ネタバレ》 
何の予備知識もなく見たので、結末にはあっと驚いた。しかし、もっと主人公が犯人ではと思わせるような伏線や、他の登場人物が犯人ではないかと思わせるような伏線を、もっといっぱい散りばめていたらさらにラストが生きてきたかもしれない。それと、最後に真犯人に色々語らせる必要はなく、表情だけで終わらせたほうが良かったのではないかと思う。しかし、最初から最後までダレることなく見られる佳作であることも確かである。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2012-01-16 01:47:03)
3.  梟の城 《ネタバレ》 
んーー、微妙だ。映像にはこだわっていて、1枚1枚を切り出せば美しい構図は多いのだが、シナリオ、演技、編集が悪い。   映像に凝るならもっと静かで寡黙な脚本にしたほうがいいし、ストーリーで見せたいなら、もっとダイナミックな画面展開にすべき。日本情緒豊かな風景と、血しぶき飛び散るシーンとがちゃんと同居できるれば名作になるんだろうけど、それは相当ハードルが高いと思われる。痛いシナリオ、演技、編集のおかげで違和感ありまくり。逆に映像の違和感がシナリオ、演技、編集をより痛く感じさせている。   一応、日本映画界のでは巨匠と言われる監督なのだから、周りに気を使わずもっと完成度を高めて欲しかった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-10-23 02:20:41)
4.  モスラ3 キングギドラ来襲 《ネタバレ》 
  シナリオがぐだぐだすぎる。子供向けとは言え練りこみが足りなすぎる。子供だけ集めてどうするわけ? 食べるんならその場で食べなさい、溶かすんならすぐに溶かしなさい。おまけに、唐突なタイムトラベルは、あまりにも安易で論理性は一切なし。    特撮も手を抜きすぎ。金と時間がないというのは言い訳にならない。当時の技術であればもっと何とか出来るはずで、監督やスタッフの力量の無さ、あるいは、やる気無さしか感じられない。特に、過去シーンの恐竜の動きのぎこちなさ、スケール感の無さは、素人のクレイアニメよりもひどい。昭和40年代でも、もっとましだった。   東宝お得意のミニチュア特撮、光学合成、新たに取り入れたアニメやCG、どれを取っても劣化させて継ぎ接ぎした感じで、最悪の組み合わせにしてしまったとしか言いようがない。   1は特撮だけは東宝の当時の技術レベルだったのに、2、3でそれすらもぐちゃぐちゃにしてしまった感じである。   2が、子供向けを舐めてかかったひどい映画だったのに、もしかして、そこそこ興行収入があったのだろうか? 2と比べて何も進化していないのが腹立たしい。
[試写会(邦画)] 3点(2011-07-18 22:42:44)
5.  モスラ(1996) 《ネタバレ》 
 モスラ2を先に見てしまったからか、そこそこ良く出来ていると感じた。   ゴジラでもお得意だった爆発と光学合成の迫力はしっかり生かされてるし、なにより、モスラの形態の制約で怪獣プロレスができないため、爆発と光学合成の迫力を連続的に繰り出さざるをえないのが、功を奏している。   また、ドラマシーンは一応映画風の画面になってるし、テレビの特撮ではなく「映画」を意識した絵作りはされている。シナリオも一応、破綻なく最後まで繋がっている   しかし、小美人3姉妹を中心に据えたシナリオは子供ターゲットの安直なものと言わざるをえない。   小美人と子供を出さなければ、平成ガメラのようなシナリオにもなり得たかもしれないのに、子供をターゲットに、自然破壊への警告風のメッセージを含ませたりして、いかにも子供だましのシナリオが、鼻につく。   完全に娯楽映画で、商業主義で、あれだけ火薬使って、自然を大事にって、自己否定でしかないんじゃないの?   モスラの2の感想で、「モスラのぬいぐるみ感は、羽以外が動いていないことが一番大きな要因」と書いたが、この映画ではある程度足が動いていた。でも、やっぱり、リアル感は全然増えておらず、ぬいぐるみ感バリバリ。もっとリアルな動きってできないものかなあ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2011-07-18 16:44:14)
6.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 《ネタバレ》 
 シリーズ3作目であるにもかかわらず、単独作品としてみても娯楽映画としての質は非常に高く、さらに前2作の内容を見事に伏線として利用して誰しもが納得するシリーズの完結となっているところが素晴しい。   また、アメリカ映画になくてはならない開拓時代という背景が前2作にない非常にいい雰囲気をかもし出しており、その中に、じゃまにならず、かといってしっかりと本筋を外さずにSFを混ぜ込んでいるところが絶妙である。   単独作品としての映画全体の雰囲気は、シリーズ3作で最も好ほんとに見事としか言いようがない。   そして、単独作品としては言うに及ばず、シリーズ物としても、これほど完成度の高い娯楽作品は、もう2度と現れないんじゃなかろうか。   とにかく、見たことのない人(映画ファンではかなり少ないだろうが)がいたら、首に縄をつけて無理やり見せても、絶対文句を言われない映画だと思う。そしてその人は、必ずシリーズ3作全部見るだろう。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-07-17 02:36:10)(良:1票)
7.  モスラ2 海底の大決戦 《ネタバレ》 
 このぐだぐだな設定とシナリオはなんなんだ。多分小学校低学年以下を対象としたのだろうが、だからといって、ここまで幼稚なシナリオや舞台設定は、かえって子供を馬鹿にしているとしか思えない。   極めて少ない登場人物だけで地球規模の危機の話が進むのは、子供に分かりやすくするためとして何とか許そう。しかし、その登場人物の行動、心理描写、ストーリーなどの論理性は子供向けだからといって手を抜くのは完全に間違っている。子供に解りやすくするということは、こういうことではないだろう。   例えば、悪人が最後に改心するのであれば、前半は完全に悪人に描くだけではなく、前半からその伏線を張るくらいのことはして欲しい。   ピラミッドの中のセットも、壁の装飾が木目調で、床がカーペット張りで、照明まであるなんて、いくらフィクションでもまずいだろう。石を基調に古代科学の粋が詰まったセット作りはできたはずで、これも手抜きとしか言いようがない。   特撮の技術的にも、同時期の平成ガメラのクオリティーの高さを見る限り、もっともっと頑張れたはずで、手を抜いたとしか思えない。  モスラのぬいぐるみ感は、羽以外が動いていないことが一番大きな要因であることぐらい誰でもわかるだろうに、何も工夫がない。   とにかく、せっかく「モスラ」という往年のビッグネームを使っているのに、この手抜きは許しがたい。   1996年のモスラ、1998年のモスラ3は未だ見ていないが、絶対見て酷評しよう、、、って、やっぱり日本の特撮映画自体は駄作も含めて嫌いじゃないので見てしまう(^^;
[CS・衛星(邦画)] 3点(2011-07-17 00:37:26)
8.  もののけ姫
 世界に誇る宮崎アニメを十分堪能させてくれる作品。アニメであることをここまで活かした映像で世界観を表現できるのは、ジブリの右に出るものなしと言う感じ。   映像、展開、カット割り、キャラクターの演技?は、アニメであっても実写映画と同様に論じることができる質の高さを持っている。そして、アニメでしか表現できない部分で、実写映画を完全に超えており、さすがとしか言いようがない。   実写映画では表現に限界があり、特撮、光学合成、CG等でこれを補っているが、アニメでは自由に表現できる。その自由さが、幼稚であったり、ご都合主義過ぎたりすることが多く、かえって「映画」としての質をスポイルして、実写映画より一段低い、どちらかと言えば子供向けの娯楽作品と評価されてしまう。   このため、例えば古いディズニーのアニメは、キャラクターの動きを現実に近づけることで、むしろアニメの自由さをやや抑えて「映画」の質を高めてきた。   しかし、この映画では、アニメの表現の自由さを最大限利用して、なお高い完成度で「映画」の質を高めることに成功している。   シナリオへの賛否両論はあるだろうが、そのメッセージ、世界観は充分に伝わってくる。充分伝わってくるがゆえに好き嫌いで評価しやすく、嫌いの部類の人は極端に低い評価になるかもしれないが、名作であることは間違いない。
[地上波(邦画)] 8点(2011-07-03 18:00:47)
9.  まあだだよ 《ネタバレ》 
 黒澤明監督の最後の作品。   淡々と進むストーリー、映像で、それなりに佳作であるとは思うが、ワクワクしたり大きく心打たれたりすることもなく、斬新なカメラワークや構図によるダイナミックさもさほど発揮できず、黒澤監督作品という目で見ると、ガッカリ感が否めない。   主人公の先生がすごく慕われているという前提で、すっとストーリーが進むのだが、なぜこれほどまでに慕われているのかの説明が不足している。   無邪気で純粋でユーモアがある事はわかるが、教師あるいは老人特有の上から目線の口調が殆どで、慕われる背景がよく分からない。   劇中の先生の話の内容は面白いが、老人特有の話し方が、私の感性には合わなかったため、感情移入もしにくく、感動も薄くなってしまった。   映画の中で表現される人となりに魅力を感じることを否定するものではないが、これだけ多くの学生達に慕われるということが、どこか白々しく感じる。   さすがの黒澤監督も、晩年は感性が鈍ってしまったのかと残念に思う。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2011-05-15 20:15:06)
10.  大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 
 原作の良さを2時間に詰め込んだ脚本はさすがで、役者陣もいい演技で、最後まで一気に引っ張り込むだけの秀作ではある。   しかし、犯人3人組や、警察、被害者家族を、もっとデフォルメした演技をさせても良かったのかもしれないし、全盛期の岡本監督ならやってたかもしれないという残念感が残る。   脚本も、理屈の部分が勝ってしまって、岡本喜八監督独特のブッ飛んだ演出や、シュールな設定が見られなかったのが残念。中盤から終盤へのテンポの良さとか、ヘリコプターの操縦士の描写あたりが岡本監督らしさといえばらしさか。   岡本監督も、制作スポンサー側の意向に対して、自分色を全面に出すのが難しいという事情でもあったのだろうか?   でも、「娯楽映画」という観点で見ると、昨今のTV局で派手に宣伝する映画以上のレベルで、十分に楽しめ、昨今の日本映画の中ではなかなかの傑作です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-12-19 17:21:39)
11.  マルコヴィッチの穴 《ネタバレ》 
 脚本のアイデアは奇抜で映像もそれなりに凝っていて、悪くはないが、惜しいかな、練りこみが足りない。   人形遣いであることだけが、大きな伏線で生きてるだけで、それ以外の天井の低いフロアや動物を飼っていることなどが、シナリオとうまく絡んでこない。   全体のトーンも暗めでサイコ風なのだが、もっとホラー風にしてもよさそうだし、逆にコメディーにもできそうだし、とにかく中途半端。   ストーリーは非常に斬新でよい素材であるだけに、細かい脚本と演出が残念である。かといって、同じストーリーで作り直そうにも、アイデアが光りすぎていて、もういいやって感じ。   決して駄作ではないのだが、もったいない作品である。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-07-21 01:39:51)
12.  パルプ・フィクション 《ネタバレ》 
 ブッ飛んだ無茶苦茶な設定と意味ありそうで無い会話とバイオレンスの組み合わせに着いて行けるかどうかが分かれ目で、風邪気味でだるい時に見る映画じゃなかった(^^;    英語が判らないから吹き替えで見たけど、日本人の感覚じゃないからなんとなく違和感、でもあの情報量は字幕じゃ出せないだろうし、そのへんも消化不良な感じ。    ジョン・トラヴォルタが軽妙で凄くいいなあと思ったのは、ちょっと前にサタディナイトフィーバーを見たせいかな。エピソードとしてはブルース・ウィリスのエピソードが、ちょっと他から浮いていたけど一番良かった。彼女への気遣いやボスを助けるとこなんか浪花節っぽくてオマケに日本刀を選ぶところなんかが気に入ったのは日本人だからか(^^;    ストーリ展開も見せ方もうまく作ってあるとは思うのだが、体調よくないと乗り切れずに疲れる映画に感じてしまうことは確かで もっと気分がハイなときに見るべきだった。 
[DVD(吹替)] 5点(2010-07-01 01:59:49)
13.  トータル・リコール(1990) 《ネタバレ》 
シュワちゃん初期のB級大作。昔見たけどもう一度見てみた。   B級と割り切って見てるから、何度見てもメチャクチャ面白い。   ありえない設定、ご都合主義のシナリオも、このようにテンポ良く見せられると、最後まで一気に楽しめる。ご都合主義のシナリオは、もともと夢オチにするためのものだった、という話も聞くが、B級なら夢オチでなくてももっとご都合主義な作品は山ほどあるからぜんぜん気にならない。   セットも特撮も良く見るとチープなのだが、映画全体の統一感が素晴らしく、過激な映像とスピード感に非常に良くマッチしている。   血がいっぱい飛び散って痛そうで正視できないシーンが多いのが少し趣味とは会わないが、そのシーンを抜いてしまうと映画全体のテイストが変わって駄作になってしまう恐れがあるから、この映画に限り許可。 
[DVD(吹替)] 6点(2010-07-01 01:43:20)
14.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
リアル路線のハイレベルの作品である。   怪獣に対して人間がどう対処すべきかをかなり真面目に扱っている。   設定や人間の行動に無理がある部分がやや多い感じはするが、恐怖感をあおる場面、ほっと緩む場面、人の性格付けと感情に関する描写はしっかり映画として楽しめる。   いずれにしても、いろんな方向に紆余曲折していたゴジラシリーズの良いところを集めて、リアル路線で仕上げましたという感じで、劇中でタクシーの運転手に「怪獣を見たければ映画館へ行け」というセリフを言わせるなど、以前のガメラシリーズ、ゴジラシリーズを越えて新しい物を作ってやるという、監督、脚本以下スタッフの熱意が見えて、非常に好感が持てる。   まず、敵怪獣に対する恐怖感を見る者に植え付け、味方怪獣の登場へとつなげていくというストーリーは、ゴジラシリーズの「ゴジラ対ヘドラ」に近いテイストであるが、決定的に違うのが、ゴジラは既に知られた味方怪獣であり、この作品でのガメラも最初は人間の敵という位置付けで登場して徐々に味方であることが判明し、その展開に人間のリアルな対応があるという点。   最初に主人公ありきという過去のシリーズのシガラミを振り切った上で、ストーリーと共に人類の味方であるという性格付けを新たに構築したことで、説得力のある優れた脚本となったと思う。   ゴジラシリーズは、ゴジラの性格付けは1984に一度リセットしたが、初代ゴジラがあまりに名作でゴジラの出自までは変更することができず、以降の作品ではどの作品でも最初は明らかに敵でかなり無理な論理で人類の敵をやっつけてなんとなく味方になり、でもやっぱり敵のまま去っていく位置付けになっているが、ガメラでは出自を含めて完全にリセットできており、作品中で論理的に行動から判断して未確認の敵から味方に変化していることがこの出来上がりの差につながっていると思う。   毎年シリーズで作り、固定ファンが見る分にはゴジラの方向にならざるを得ないのだろうが、後になって1作ずつ評価した時には、このガメラの脚本に軍配が上がる。   人間の行動のリアルさでは多少の難はあるが、民衆の恐怖感の描写や展開の緩急のつけ方でそれを感じさせない優れた脚本だと思う。 
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-01 01:34:56)(良:2票)
15.  ガメラ2 レギオン襲来 《ネタバレ》 
「怪獣映画」の中では、かなりハイレベルであるのは間違いない。「ゴジラ」のしがらみがないと、これだけのものが作れるのかと感心してしまった。   レギオンが宇宙からの未知の生物、ガメラは地球を守る神格化した生物とすることで、その存在は論理からは切り離し、レギオン対策をする人間の行動は映画的な脚色を加えながらも現実的で説得力があり、パニック映画としても一級品。   架空の組織、架空の兵器、架空の科学力は一切なく、無駄な攻撃や有り得ない英雄的活躍もなく、あくまでリアルにこだわった感があり、それが全編途切れることのない緊迫感を生み出している。   ゴジラシリーズでは「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」よりも「ゴジラ対ビオランテ」が一番近いテイストだが、「ゴジラ対ビオランテ」では架空兵器や科学的に突飛な仮定をおいている部分があり、ここまで硬派に徹し切れていなかった。   ただし、全体的に極めて真面目に作られている分、緩むシーンが極めて少なく爽快感に欠けており、冒険活劇というより戦争映画を見たような印象も拭いきれない。   さらに民衆の恐怖感、登場人物の感情のドラマ(恋愛とか友情とか)をうまく織り込めば、ハリウッド並みのA級の娯楽大作になったかもしれない。(ゴジラシリーズを見ていると中途半端に織り込んで失敗する可能性もあるが。)   あと、最後はもう少し尺を長くしてもいいから、自衛隊が論理的に2匹の怪獣の攻撃パターンを解析し、ガメラの攻撃を助ける有効な攻撃をしてレギオンを倒すシナリオにしてほしかった。 
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-01 01:29:30)(良:1票)
16.  ゴジラ2000 ミレニアム 《ネタバレ》 
23作目。前作から5年後ということでCGも使って特撮レベルはさらにアップしたが、完全にリアルになったわけではなく、前作までの平成シリーズのリアルを捨てた光と爆発の大迫力が少なくなった分、特撮としては消化不良。   最初から最後までそこそこ緊張感があり、ストーリー展開も複雑な人間関係は無いわりに人間ドラマが良く描かれており、自衛隊の無駄な行動もあまり無く、かなり真面目に作られており映画としての完成度はこれまでのシリーズより上がったとは思う。   ただし、怪獣の対決シーンで無意味なプロレスが入ったのはまずい。ゴジラは飛び道具を持っているし、接近戦に持ち込む必要ないのだから、間合いを詰めたら殴ったり噛み付いたりせず、熱戦を出せばいいじゃないかと思ってしまう。   全編を通してこれまでのゴジラ作品より突っ込む場面が少ないのに、クライマックスの戦いのシーンで突っ込みを入れる隙を与えたのは興ざめ。   前作までの平成シリーズは、飛び方が変だとか、戦法がむちゃくちゃだとか突っ込むべき矛盾はいっぱいあったが、クライマックスの戦いでは、これでもかというほどの光と爆発の大迫力で押し切って突っ込む暇が無く、それが心地よかっただけに、その路線を捨てたのが惜しまれる。   これまでのゴジラ作品以上にSF大作となり得る片鱗は見えているのだが、まだまだ脚本や見せ方が練りきれておらず、それでいてB級の楽しみどころもポイントを外しており、どっち方向から評価しても今ひとつという感が否めない。惜しい作品である。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-01 01:18:39)
17.  ゴジラVSデストロイア 《ネタバレ》 
22作目。いきなりゴジラ香港に出現、迫力の特撮の連続と、初代ゴジラと絡ませてなんとなく納得させるストーリーで随所に矛盾をはらみながらも最後まで一気に見せてくれた。自衛隊の意味も無い反撃がほとんど無く、歴代ゴジラシリーズで最強の自衛隊だったのも、途中でだれない重要な点だと思う。   特撮の技術、迫力はこれまでのゴジラシリーズでは最高で、ゴジラの赤く光る造形と迫力もすさまじく、迫力重視の「特撮映画」としてはかなり高レベル。   これ映画館で見たら疲れるだろうなーと思うくらい光と音の連続で、もう少しゆっくり見られる緩い展開のシーンをうまく配分して欲しかった。でも、グダグダな脚本の中途半端に真面目な緩んだシーンが入るよりは、今回のように迫力で押しまくったほうがましかもしれない。   リトルゴジラと超能力少女の扱いはやはりちょっと違和感があり、別のストーリーで辻褄を合わせて緩めの展開を考えた方がよかったかも。   あと、一番気になったのが終わり方。デストロイアの最後は自衛隊にやられちゃったじゃん。それじゃゴジラを東京に呼んだ意味無いじゃん。放射能が消えていくのはなぜ?最後なんでゴジラが煙の中で吼えてるの?イメージ映像?それともゴジラかリトルゴジラが生き返った?自作もあるかもしれないというスケベ心?最後くらいご都合主義でいいから納得させてよ。超能力少女のリアクションだけだと、すぐには理解できません。   それまで緊張の連続で一気に見てきた最後の最後だっただけに、見終わった後の消化不良感が残る。   クールな自衛隊エリート幹部がビオランテのときは高島弟で、メカゴジラの時には高島兄が軽いキャラをやっていたが、今回は高島兄がクールな自衛隊エリート幹部で、見た目といいこっちの方がしっくりく来てた。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-01 01:17:21)
18.  ゴジラVSスペースゴジラ 《ネタバレ》 
21作目。とんでもない設定と展開に突っ込みどころ満載で、B級ファンとして楽しく、ゴジラ、スペースゴジラ、モゲラの戦い以降は、光と花火の大迫力特撮に、チープながらも人間ドラマが絡まって緊張感を持続しながら楽しく見ることができた。   モゲラのダサさ、特撮の大迫力、役者の大げさな演技と気の抜けた演技と大根演技の混沌さ等々、突っ込んだり引き込まれたり心地よい違和感が刺激されて最後までダレることなく見れてしまった。   最初からダメダメ脚本が露呈していて完全に駄作かと思わせつつ、役者の個性でなんとなく引き込まれて、ミニゴジラやモゲラとかの完全に子供向けの設定に「そりゃ無いよ」と突っ込みを入れながらも白けるまでには至らず、ラストの迫力のクライマックスに向けて緊張感が高まったところで人間ドラマも絡んで一気に畳み掛けて、最後にほっとさせて終わり。   個々の突っ込みどころはこれまで見た平成シリーズの中で一番多く、脚本は一番ひどいかもしれないが、役者起用とテンポの良い展開と編集の妙で、娯楽作品としてはなかなかいい線行ってると思う。   人間ドラマも安直でチープなのだが、浜辺の夕陽をバックにした小高恵美と橋爪淳のシーンとか、柄本明と吉川十和子の美女と野獣の恋心とかの、違和感をものともしないチャレンジャーな表現ぶりが、ひどい脚本で根本的に現実離れした怪獣の設定の違和感とは全く逆の方向で妙に融合して、ピンポイントで波長が合ってしまった感じ。   これまでの平成シリーズのように中途半端にリアルや真面目を混ぜようとせず、明らかにおかしい事を自覚して開き直ったかのようで、これまでのような消化不良感は無い。   この監督、ゴジラ映画の監督はこの1作だけのようでちょっと残念である。B級ファンには心地よいテンポだが、特撮ファンや子供が喜ぶテンポではなかったのかもしれない。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-01 01:16:06)
19.  ゴジラVSメカゴジラ 《ネタバレ》 
20作目。やっぱり人間対ゴジラがメインの方が緊張感があっていいと思わせてくれた作品。   意味の無い戦車や戦闘機の出動は多少あったが、間抜けなゴジラ対策を延々と見せ付けられた後に怪獣プロレスという最悪のパターンが避けられただけでも、かなり緊張感が持続する。   メカゴジラとの戦いも、プロレスではなく飛び道具合戦でミニチュア特撮と光学合成ならではの迫力があった。   しかし、脚本の練りが全く足りない。特にラドンの役どころがいまいち判らない。ラドンなしでいくらでもストーリーは作れるはずなのになぜ出してきたのか。お子様受けを狙ってるとしても、ただ怪獣を出せば子供が喜ぶというものでもないだろう。   あと、合体メカも、テレビで流行ってたのを取り入れたのだろうが、映画でやっちゃうと突っ込みどころ満載過ぎる。緊張感で張り詰めた場面でまったりとした合体シーンを見せ付けられると、そんな暇あるのか?なぜ最初から合体したまま出撃しない?と、疑問だらけになって迫力あるシーンも台無し。   子供向けだからといって、こういう脚本、編集では、昭和シリーズと同じ道をたどることが判っているはずなのだが、「映画」としての出来よりも興行収入という姿勢が、映画ファンとして惜しいし、B級ファンとしてもやるならもっと開き直って徹底的に外してくれと思ってしまう。   なんか消化不良な感じが残った。   余談だが、京都に現れたゴジラが寺を壊さなかったのは、作ってる人やっぱり日本人と妙に納得してしまった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-07-01 01:15:04)
20.  ゴジラVSモスラ 《ネタバレ》 
19作目。いきなりインディージョーンズのパクリ展開でセットがチープでB級感満点に大喜び。   昭和シリーズのモスラ対ゴジラと似た設定がB級感をさらに盛り上げてくれて、最初は突っ込みまくりで楽しく見ていた。   が、バトラが登場したところから破壊シーンと怪獣プロレスのオンパレードで人間ドラマも別れた夫婦の物語と実直社員だけでグダグダ。   環境破壊というでかいテーマも、ただの問題提起だけで解決策もドラマも何もなし。子役の演技も何とかしてくれ。モスラもただの可愛いぬいぐるみにしか見えないじゃん。   最初のB級感を最後まで続けてほしかった。   平成シリーズもどんどん昭和シリーズと同じ道をたどっていくと思える作品。   横浜のセットだけは神奈川県民としてよくできていたと褒めておく。  
[CS・衛星(邦画)] 4点(2010-07-01 01:14:00)
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