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1.  モンガに散る
 父を知らずに育ったモスキートが、極道仲間の父であるゲタ親分に親しみを感じていく様子が、カラオケのシーンと腿焼き2本で、よく表現されていた。親分の葬式で、とっさの判断で喪主を務め、悲しみの中から強さが生まれてくる。そのこだわりが彼を死なせるが、その変身ぶりは見事だった。 ラストシーンは、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」を思い出しながら見ていた。モスキートがあの「施設」へ行って選ぶ「一番大切な思い出」は、生まれて初めて友を得て、モンクの手を握って堤防へよじ登った時だろう。青空に吸い込まれていった青春。   しかし、モンクはいつを持って行くだろうか? ドラゴンを抱きながら父を殺したことを思って大泣きした時間は、やっぱ、選べないだろうな。モスキートほどには簡単にいかないところに、モンクの複雑さと苦しさがある。
[DVD(字幕)] 8点(2012-02-26 20:01:29)
2.  のだめカンタービレ最終楽章 後編 《ネタバレ》 
 まあ、これでよかったんだ。見終わって席を立つ時に思った。連ドラは楽しかった! SPはその楽しさをもう一度味わった! そして前編は圧倒された!!! 人間を描いたというには物足りなさも覚えながら、玉木宏の圧倒的に美しい指揮姿にしびれて、後編を待つ気になった。後編と揃えばドラマが見えてくるだろうと…。  で、何があったか? “楽しく音楽をやって何が悪いか”というその“楽しさ”に一段高いものがあることを、千秋はのだめに体験させた。のだめがどんなにマイペースの演奏をしても「俺様が合わせてみせる」ことで。今回、もう一人の合わせてくれた人シュトレーゼマンと最高の協奏曲をしてしまったのだめは、いまさら千秋と共演してもこれ以上のことはできないと思い、千秋を避ける。のだめの居場所を知った千秋は直ちに走る。“この世界に連れてきたことが彼女を苦しめるだけだったか”と迷う独白が入るけど、子どもたちへの演奏を聴くと有無を言わせず連れ出し、二台のピアノの前に座らせ、目指した“楽しさ”を思い出させる。音楽を通してふれあった二人は、二人を結びつけた音楽を忘れず、その後も研鑽に励みましたとさ、メデタシ、メデタシ。   に、文句はないのだけど、後編の公開を待つ間に、「のだめが燃え尽きるストーリー(オクレール先生の慎重な育成プログラムを破って、持てる力の全てでショパンを演奏して、のだめは燃え尽きる…)」のあれこれを想像していた観客はどうすればいいのか。あの90秒の予告は、「明日のジョー」のラストに心を揺さぶられた人間に、「のだめカンタービレ」が「真っ白で何もない」所で終わらず、そこからどんな風にして音楽に戻るのかを見せてくれるだろう、という期待を持たせた…。しかし、燃え尽き方も戻り方も、物足りない。安直なファンサービスで終わった気がする。  まあ、うえたまファンとしては、二人が幸せそうでうれしいんだけど…。あり得たかも知れないすごいドラマが消えちまった…。 
[映画館(邦画)] 7点(2010-04-22 23:48:17)
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