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 > かたゆき さん
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プロフィール
コメント数 1922
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  デ・ヴィル家への招待状 《ネタバレ》 
芸術家を目指しニューヨークで孤独に生きる若い女性イヴィー。唯一の肉親であった母親を病気で亡くしてから、彼女は天涯孤独の身となってしまった。そんな中、DNA鑑定を実施しあなたの知らない親戚を探し出してくれるというサイトを見つけたイヴィー。興味を惹かれた彼女は、自分のDNAを提出し調べてもらうことに。結果は、海を越えたイギリスに遠い親戚がいるというものだった。思わず連絡を取ってみると、なんといきなり明日行われるという結婚式に招待されてしまう。怪しいものを感じながらもイヴィーはさっそくイギリスへと向かうのだった――。辿り着いた先は、森の奥深くに幽玄と佇む豪邸だった。百年以上も前に建てられたというこの歴史ある建物に住むのは、何代も続く由緒ある貴族デ・ヴィル家。自分は高貴な血を受け継ぐ上流階級の一員だったのだ。何十人もの親戚たちに歓待され、執事や使用人にまるでお姫様のように扱われ、すっかり有頂天になるイヴィー。だが、肝心の新郎新婦だけは何処にも見当たらない。いつしか彼女は、親戚のみなが自分を物欲しそうな目で見つめてくることに気づく……。都会で鬱屈した日々を送っていた平凡な女性がある日招かれた上流社会、そこで体験する恐怖の一夜を濃厚に描いたゴシックホラー。とにかくこの細部にまで拘ったであろう、創り込まれた世界観は大変グッド。メインホールや廊下、階段に置かれたいかにも歴史を感じさせる家具調度品、手摺や窓枠に施された精巧な彫刻、各部屋に繋がる電気のない時代に作られたであろう呼び鈴……。まぁ新味はないですけど、このおどろおどろしい雰囲気はなかなか好みでした。そこに集うデ・ヴィル家の面々もみな、怪しさ爆発でちゃんとそれぞれにキャラ立ちしてるのも良かったですね。ただ、肝心のお話の方は恐ろしく普通。ぶっちゃけて言うと『トワイライト』シリーズ系のいわゆる女性向けヴァンパイアもの。とにかく最初から最後まで何処かで見たようなシーンのてんこ盛りで驚きというものが一切ない。いつも胸元はだけた白いワイシャツを着こなし、ジゴロのように主人公を口説いてくる当主の男も笑っちゃうくらいベタだし。生成AIに「吸血鬼もの映画の脚本を書いて」とお願いしたら5分で完成しそうな超ベタベタな内容でございました。さすがにもうちょっと一捻りというか、この作品ならではという新しい部分が欲しかったですね。あと、全体的に画面が暗くて見辛い点も大いにマイナス。せっかくここまで美術を頑張ってるのにすごく勿体ないです。とは言え、最後までそこそこ楽しんで観られたのは確か。暇潰しで観る分には充分及第点だったんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2024-11-15 09:34:31)
2.  シック・オブ・マイセルフ 《ネタバレ》 
芸術家を目指し、都会で長い下積み生活を送る若い女性シグマ。だが思うような結果が残せず、いまだカフェでバイトしながらただぼんやりと毎日をやり過ごしていた。周りを見れば友達誰もがみんな楽しそうで、SNSでは充実した毎日を送る人がそんな自分を見せびらかしている。同棲している同じく芸術家である彼氏も、近々個展を開くことが決定している。自分だけ、どうしてこんなにも上手くいかないんだろう――。そんな思いに捉われた彼女はある日ネットで、副作用から皮膚に強い疾患が起こるという違法薬物を目にするのだった。原因不明の皮膚病を発症したもののそれでも困難に負けず活動する若手アーティスト。そんな自分をSNSで発信すれば、自分はもっと注目を集めるかもしれない。そう直感したシグマは、誰にも内緒でその違法薬物を手に入れ、密かに服用し始めるのだった……。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いやはや、なんとも人をイヤ~~~な気持ちにさせる映画でしたね、これ。映像はすごくキレイで洗練されていてクラシカルな音楽も品が良いのに、語られるエピソードはどれも不快感マックスなものばかり。そのギャップが人をなんとも言えない気持ちにさせる。なんなんですか、この感じ(笑)。色んなとこからモノを盗んできてそれを勝手に作品にして芸術だと言い張る彼氏も意味不明だし、犬に噛まれた人を助けた時の返り血を浴びたままバスに乗って帰る主人公も訳わかんない。人から注目集めるためだけに顔中できものだらけになった主人公が嬉々としてネットに画像をアップしまくり、後で反応を確かめてうっとりするとかシュール過ぎて…。この監督、そうやって人を不快にさせながらも何故か人を惹き付ける絶妙なラインの画作り、お話作りがすごく上手い。彼女と専属契約する障碍者専門のモデル事務所の社長が、あえて雇った目の見えない秘書をこき使うシーンなんて、そーゆーことに最近やたらうるさいポリコレ信者を爽快にぶっ飛ばしてます(笑)。んで後半、いよいよ顔面が崩壊し、もはや周りがドン引きしてるのにそれでもまだ認めてもらいたいと嘘を重ねる主人公。アホやなと思いながらも、どこかちょっと気持ちが分かるように描いてるのも良いセンスしてる。そんな中、主人公が夢見る理想の自分をときどき妄想で描くのも、このイヤ~~な感じをますます増幅してますね。この監督、性格悪すぎだわ。でも、このキレイな映像と胸糞なお話のギャップがクセになって、最後はもはや心地良くなってる自分がいました。監督はこの後、同じく胸糞映画界の俊英アリ・アスターに見出され、ニコラス・ケイジ主演でハリウッドデビューを果たしたとのこと。今度はどこまで嫌な気持ちにさせてくれるやら。胸糞映画界の新たなる才能の出現を素直に喜びたいと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2024-11-12 11:12:16)
3.  レンフィールド 《ネタバレ》 
彼の名は、ロバート・モンタギュー・レンフィールド。パワハラ・モラハラ当たり前のとんでもないモンスター上司に苦しめられる今どきの若者だ。上司からくだされる無理難題に日々心をすり減らしながら、それでも辞めることが出来ないでいる。何故なら、彼の上司は、かの有名な吸血鬼ドラキュラだからだ――。百年近く前、ドラキュラに半ば強制的に悪魔の血を飲まされ、永遠の命と引き換えに絶対服従の誓いを立てさせられたレンフィールド。以来彼は、食料となる善良な人間たちをさらってきてはドラキュラのために献上してきた。今夜も彼は、更なる獲物を求めて夜の街をを駆けずり回っている。「こんな生活もう嫌だ!」。我慢の限界に達したレンフィールドは、一大決心して召使を辞める決意をするのだった。当然、ドラキュラはそんな彼を容易に解放するわけもなく……。今も様々な分野に影響を与え続けている怪奇小説の古典『吸血鬼ドラキュラ』、その中に登場する召使レンフィールドを主人公にしたホラー・コメディ。今回ドラキュラを演じるのは、もはやB級映画界の帝王の名をほしいままにする名優(怪優?)ニコラス・ケイジ。ちゅーわけで完全なるB級なんですけど、良い感じに力の抜けた感がけっこう面白かった。なんといっても、横柄で自己チューで部下に無理難題を押し付けるとんでもないパワハラ上司なのに、何処か憎めないドラキュラを演じたニコケイがまさに嵌まり役!吸血鬼ハンターとの闘いで痛手を負った彼が、「力を取り戻すためにもっと善良な者の血を!バスいっぱいのチアガールの血があればすぐに私は復活できる!」とか言い出した時は思わず笑っちゃったよ。「出来るか!」とふて腐れながら飲み屋にやって来たレンフィールドの前に、何故かチアガールたちがバスいっぱい乗り込んできた時は、バカバカしすぎてもう爆笑。そんなご主人様に振り回されるニコラス・ホルトのヘタレ具合も負けず劣らず嵌まり役でナイスでした。切られたお腹からはらわた振り乱しながら街のチンピラたちとバトルするシーンは、適度なグロさとキレのいいアクションで終始テンション上がりまくり。特に中盤、アパートでの血みどろグチャグチャバトルは、これぞB級って感じのはちゃめちゃっぷりで思わず拍手!敵の両手を引き抜いて振り回して武器にするとか、どんな発想やねん(笑)。いやー、良いですね~、このくだらなさ。唯一の難点は、ヒロインを演じた小太りのアジア系女優が若干ミスキャストなとこかな。最後のオチもベタながら爽快感抜群!いや~~、大変楽しい90分を過ごさせていただきました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2024-11-12 10:12:32)
4.  インスペクション ここで生きる 《ネタバレ》 
ゲイであることを理由に、狂信的なまでに保守的な母親に捨てられ、以来何年もホームレスとして暮らしてきた黒人青年フレンチ。そんなどん底を這い回るような惨めな生活を変えようと、彼はアメリカ海兵隊に入隊することを決意する。必要な書類を貰うために数年ぶりに会った母親からは相変わらず邪険に扱われながらもフレンチは無事、海兵隊に採用されるのだった。早速始まる数週間にも及ぶ新兵訓練プログラム。厳しいしごきに耐え、日夜罵倒をくりかえす上官たちにも我慢しながら、フレンチはただ人並な人生を取り戻そうと努力していた。だがある日、彼がゲイであることがバレると上官や同僚たちの彼の見る目が途端にかわってしまい……。本作がデビュー作となる監督の実体験をもとに、ただゲイであるというだけで様々な困難に直面する一人の青年の自立と再生を描いたヒューマン・ドラマ。確かに描きたいテーマも分かるし、淡々としながらも最後まで観客を惹き付けるこの監督のセンスの良さも充分に認めるところなのですが、正直、自分はいまいち嵌まれませんでした。この映画、とにかく暗いんですよね。画も暗ければ音楽も暗いし、登場人物も暗い人たちばかりだし、主人公なんて最後までほとんど笑わない根暗の極みみたいな人で自分はまったく感情移入できませんでした。もう少し遊びの部分と言うか、人間臭いとこが欲しかった。なんだか戦争映画の快作『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹のパートをひたすら真面目にリライトしたら物凄く暗くなっちゃいましたって感じかな。それにしてもベトナム戦争の時代から、アメリカ海兵隊の新兵訓練のやり方ってまったく変わってないんですね。下ネタがマイルドになったくらいで、あのランニング中の歌とかまんまじゃん。そんなわけで、アメリカ軍の内部事情――と言うかアメリカ社会のマイノリティに対する根強い偏見は未だ変わっていないという事実を告発するという点において充分価値は高いのでしょうが、自分の好みとは全く合わない作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2024-11-02 10:33:02)
5.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
ゴジラが特段好きというわけでもないんですけど、アカデミー視覚効果賞受賞ということで今回鑑賞。世界を制しただけあって、ハリウッド映画と比べてもなんら遜色ない迫力の映像は凄かった!日本映画にありがちな生活感を必要以上に感じさせる暗くて所帯染みたところもなく、青を基調とした映像はなかなかスタイリッシュ。特にゴジラがいよいよ東京に乗り込んできて放射能をぶちかますシーンは、鳥肌立つくらいカッコよかったです!対してお話の方は……、日本映画にありがちな生活感を必要以上に感じさせる暗くて所帯染みたところがてんこ盛り(笑)。役者陣が悪いのか、監督の演出が悪いのか――恐らく後者だろうけど、なんかみんなすんごく芝居がクサいと感じたのは僕だけなのかな。ここまで全員クサいとちょっとコント感が出ちゃって、自分はいまいち物語に入り込めませんでした。最後の無理やりなハッピーエンドもなんだかなぁ~。とはいえ前述のとおり、映像はすんごく迫力があってそこは充分楽しめましたです、はい。
[地上波(邦画)] 6点(2024-11-02 08:41:20)
6.  デスパレート・ラン 《ネタバレ》 
彼女の名は、エイミー・カー。何処にでもいるような平凡な主婦だ。高校生の長男とまだ小学生になったばかりの娘と郊外の静かな田舎町で暮らしてる。ただ、その生活は決して順風満帆とは言えなかった。何故なら一家の大黒柱である夫が一年前、急な交通事故でこの世を去ってしまったから――。父親っ子だった長男ノアはそれ以来精神的に不安定となり、塞ぎこむ日々が増えてしまった。母として何とか生活を立て直そうと努力しているのだが、それでも難しい年頃であるノアとはいつも擦れ違ってばかり。その朝もノアは自室に引きこもり、学校には行かないと言って寝込んでしまった。心配しながらも日課であるジョギングに出かけるエイミー。誰もいない森の散歩道をただひたすら走り続けていたそんな時、彼女のスマホに信じられないような連絡が届く。なんと息子の通う高校で銃乱射事件が起こり、今も犯人は人質をとり教室に立てこもっているというのだ。息子に連絡を取ろうとするも何故かまったく繋がらない。すると刑事を名乗る男から電話があり、「あなたの息子さんが学校にいる」と告げられるのだった……。舞台となるのは閑散とした森の中、登場人物もほぼナオミ・ワッツ演じるこの母親一人のみ、あとはただたすらスマホで色んな人とやり取りするだけでストーリーを進行させるこの作品。思い出させるのは、『オン・ザ・ハイウェイ』や『ギルティ』などのワンシチュエーションスリラーでしょう。こーゆーほぼ一人芝居となる映画って、やはり主役となる役者の演技力がポイントとなるものですが、そこはさすが百戦錬磨の名優ナオミ・ワッツ。愛する息子を救うために奔走する母親を熱演していて大変見応えありました。最初はただ息子の安否を知るために奔走していたのに、刑事からもしかしたら犯人はあなたの息子さんかもと告げられた時の茫然自失となる姿なんか見てらんない。それでも息子の留守電に「もちろん信じてないけど、もしそうなら終わらせて……」と悲痛なメッセージを残すシーンなんて思わずウルっときちゃいました。その後、とにかく愛する息子の為にもはや暴走してしまう彼女には痛々しいと思いながらもいたく共感。ともすれば退屈になりがちお話なのに、最後までずっとハラハラドキドキしながら観られたのは、このナオミ・ワッツの熱演と監督のツボを押さえた演出力の賜物。まぁ突っ込みどころは満載ながら(朝のジョギングに8キロも離れたこんな森の奥深くまでくる?とか、容疑者の母親かもとなったらさすがに警察がすぐ迎えをよこすだろ!とか)、エンタメ映画としては充分及第点。自分は面白く観ることが出来ました。
[DVD(字幕)] 7点(2024-10-30 11:02:21)
7.  カード・カウンター 《ネタバレ》 
罪を犯し、長年刑務所に収監されていた孤独な男、ウィリアム。刑期を勤めあげ、ようやく娑婆に戻ってきた彼は誰に会うこともなく、街のカジノへと足を運ぶ。時間だけはほぼ無限にあった刑務所の中でウィリアムはひたすらカードテクニックを磨き、出所後はギャンブラーとして生きていくことを決意していたのだ。人並外れた記憶力を駆使し、ブラックジャックやポーカーで着実に儲けを出してゆくウィリアム。そんな中、カークと名乗る謎の青年が彼に接触してくる。カークは、ウィリアムが刑務所に入ることになった過去の出来事――アブグレイブ捕虜収容所での虐待事件のことを話し始めるのだった。なんとカークの父も同じ刑務所での罪を責められ、以来家庭がむちゃくちゃになったという。「あんたや僕の父に罪を着せ、一人だけのうのうとのさばっているあの元上官に一緒に復讐しよう」。過去は捨てたつもりでいたウィリアムだったが、そんなカークの提案に心搔き乱されてゆく……。ノワール映画の名作『タクシー・ドライバー』の脚本を書いたポール・シュレイダー、彼が監督を務めたという本作はいかにも彼らしい重厚な作品でありました。多くは語らず、都会の夜の空気を濃厚に漂わせる映像とジャジーな音楽とで構築されたこのハードボイルドな世界観、自分はけっこう嫌いじゃない。カジノと言う華やかでありながら何処か闇を感じさせる世界で刹那的に生きる男たち……。いやー、渋い。主人公を演じたオスカー・アイザックのダンディな魅力も相俟って、なかなか見応えのある作品に仕上がっていたと思います。社会に恨みを抱き、ただ復讐のためだけに生きる青年を演じたタイ・シェリダンも負けず劣らず渋い。そんな男臭い世界の中で、主人公に思いをよせるパトロン的な役を演じたティファニー・ハディッシュの存在が良いアクセントとなっておりました。ただ問題は、肝心のギャンブラーとしてのし上がってゆく主人公の物語と復讐に命を燃やす青年の物語が有機的にうまく絡まっていないところ。特に最後、優勝を掛けたポーカーの試合を投げ打って、青年の復讐のために会場を去る主人公の感情がうまく受け取れませんでした。え、どうして今?んでウィレム・デフォー演じる元上官はなんであんな簡単に拷問を受け入れたの?ここらへんをもっと丁寧に描いてほしかった。ダークでスタイリッシュな世界観は好きだっただけに、なんとも勿体ない。
[DVD(字幕)] 6点(2024-10-30 10:43:28)
8.  ダンサー イン Paris 《ネタバレ》 
怪我が原因で引退を余儀なくされたバレエダンサーが、療養で訪れた田舎町で様々な人々と接してゆくうちに次第に立ち直ってゆく姿を瑞々しく描いたヒューマン・ドラマ。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、いやー、いかにもフランスって感じのオッシャレーな映画でしたね、これ。湿っぽい部分なんて一切なし、知的でエレガントな人々が繰り広げるお洒落で洗練された生活を終始キレイな映像とお上品な音楽で彩った内容。確かに、ここまで洗練された世界観を構築できるのは凄いことだと思います。この監督のセンスの良さが随所に光っていて、自分は最後まで心地よく観ることが出来ました。まぁ、誰も彼もがそれなりに幸せになって終わる最後は若干腹立つくらいでしたけど(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2024-10-26 11:22:39)
9.  MEMORY メモリー 《ネタバレ》 
若年性アルツハイマーを患う殺し屋とメキシコの人身売買組織、そしてそんな彼らを追うFBI捜査官の三つ巴の戦いを濃厚に描いたクライム・アクション。正直、さっぱり面白くありませんでした、これ。なんかお話のテンポが恐ろしく悪いし、やたらと登場人物が多いからか話が分かりづらいし、肝心のアルツハイマーを患う主人公という設定もうまく活かされてないし……。子供だから殺さなかったターゲットが次の日、やはり殺されていたとニュースで知った主人公が、朦朧とする記憶のせいで「もしかして俺が殺したのか」と煩悶するシーン。「おぉ、なんか面白くなりそうじゃん」と思ったのに、次の瞬間、殺したのは別の殺し屋だってすぐ種明かしするとか、なんでこんな勿体ないことしちゃうんだろうって思いました。そんなわけで自分は最後までいまいち嵌まれなかったです。ただ、お歳を召してますます渋さを増すリーアム・ニーソンは相変わらずかっこ良かった。あと、『メメント』で記憶を失ってゆく男を演じたガイ・ピアーズが今回記憶を失う男を追う刑事役というのは、なんか感慨深いものがあります。ま、そんなとこかな、はい。
[DVD(字幕)] 4点(2024-10-26 11:06:16)
10.  オンマ/呪縛 《ネタバレ》 
電気アレルギーを患う母親と二人で暮らす17歳の少女が、ある日体験する恐怖の日々を濃厚に描いたホラー。ぶっちゃけて言うとさっっっぱり面白くありませんでした、これ。タイトルからも分かる通り、韓国系アメリカ人である母子がもはや悪霊となってしまった祖母の呪いに苦しめられるという、何の捻りもない凡庸なお話。驚愕のどんでん返しもないし、エッジの効いた新しい演出があるわけでもないし、一度見たら忘れられないくらい強烈なキャラクターが出てくるわけでもない。唯一新しいかもと思える電気アレルギーを患う母という設定もほとんど活かされてないし、クライマックスなんて画面が暗すぎて何やってるのかすら分からない。ひたすら地味で退屈なお話がダラダラと最後まで続いて、自分はもう眠気と戦いながらなんとか最後まで観終えました。もはや苦行のような80分でした。
[DVD(字幕)] 3点(2024-10-22 09:46:09)
11.  バズ・ライトイヤー 《ネタバレ》 
もはや説明のしようのないディズニーの大ヒットアニメシリーズ『トイストーリー』。その中に登場する、「さぁ無限の彼方へ」のセリフで有名なおもちゃ、バズ・ライトイヤーを主人公としたスピンオフ作品。トイストーリーはあの1から3までの3部作が最高に好きだったので、余計な蛇足でしかなかった4があまりに酷かったこともあり、本作もずっと観る気はありませんでした。それが今回地上波でノーカット放送されるということで、まぁタダならいいかと今回鑑賞。そんな期待値ゼロで観始めたのが功を奏したのか、意外と悪くないじゃん、これ。冒頭から、超高速で移動したら時間の経過が遅くなるという『インターステラー』ばりのハードSF設定にハート鷲掴まれでした。他にも、「これ、子供ついてこれんのか?」ってくらい、過去の名作SF映画への愛が随所にちりばめられていて自分はけっこうアリ。『エイリアン』や『エイリアン2』、『スターウォーズ』シリーズの名場面を髣髴とさせるシーンがてんこ盛りだし、あの大量の虫型エイリアンに襲われるシーンなんて完全に『スターシップ・トゥルーパーズ』だったしね。そんな女子供そっちのけの内容の中で、あのモフモフ猫型ロボットの可愛さがナイス!!中盤、顔が半分潰れた彼が登場した時はその健気なグロ可愛い姿に胸キュンでした。まぁ最後のマルチバースな展開はちょっとどうかと思うけど。あと、最近のディズニーではお馴染み、ポリコレへの過剰な配慮が鼻につくのも相変わらず。とは言え、エンタメに全振りした内容は単純に良く出来ていたし、トイストーリーシリーズとか考えずに観たら自分はボチボチ楽しました。まぁタダだったし(笑)。
[地上波(吹替)] 6点(2024-10-13 10:20:07)
12.  スラムドッグス 《ネタバレ》 
あのサイテー野郎のチ〇コに噛みついてやる――。彼の名前はレジー。ミックステリアという種類のちょっと小さめのワンコだ。生まれたばかりの自分を拾ってくれた飼い主ダグがレジーは大好き。でも、ずっと一緒に暮らしていた女の人が出ていってから、ダグはあまりレジーの相手をしてくれなくなった。そればかりか自分のことを、「このクソ犬が!」って呼ぶことも増えてしまう。それでもレジーは、ダグが最近お気に入りの遊び、遠くに投げたボールを持って帰ってくるゲームに夢中だった。でもその日、レジーが連れてこられたのは、初めて見るものばかりの遠く離れた街だった。「きっと僕はダグに捨てられたんた」。あまりのことに呆然となるレジー。復讐の炎がメラメラと湧きあがった彼は、この街で知り合った仲間の犬たちとダグの家を目指して旅に出るのだった。そう、アイツが一番大事にしているものを噛みちぎってやるために……。パッケージだけ見ると、犬が喋るほのぼの系の動物ファンタジーかと思いきや、これが下ネタ・お下劣ネタ満載のブラックコメディでした。だって、主人公と仲間になるフレンチブルドックがいきなり「野良犬ってサイコーだぜ。いつでも何処でもファック出来るからな」と言い出して、近所のゴミ捨て場に捨てられたソファと〝ヘコヘコ〟し始めるんですもん。他にもアソコがデカいのに気が小さくて警察犬になれなかったグレートデンやヒステリー気質で若干メンヘラなメスシェパードとか、のちに仲間となる犬もだいぶ個性的。こいつらが元飼い主のチ〇コに咬みつくために旅に出るってどんなストーリーやねん(笑)。対する元飼い主もネットのエロ動画見ながらヘコヘコしてたりマリファナやりまくってたり浮気してたりと、だいぶクズ。いや、これ何も知らず「カワイイ犬映画だ」だと家族で観始めたらだいぶ気まずいやろ!でも、そんなお下品100%の内容なのに、これがもう振り切ってて自分はかなり笑っちゃいました。森の中で怪しいキノコを食べてラリちゃった4匹が現実に覚めた時のネタとか、ブラック過ぎてもう爆笑(モフモフのカワイイウサギたちが!笑)。全体的に、青春映画の名作『スタンドバイミー』のパロディになってるのが良いですね。とにかくこの4匹が皆、ちゃんとキャラ立ちして魅力的なのが大変グッド。最後、とうとうクズ飼い主の元へと帰ってきた4匹がみなで協力してアソコに咬みつこうとするシーンなんて、かなりやり過ぎ感半端ないけどサイコーだったし!まぁ、さすがにちょっと下ネタがしつこいのとうんこだらけの監獄脱出シーンがばっち過ぎたので、そこがちょとマイナスかな。とは言え、可愛いワンコたちとお下劣下ネタワールドとのギャップにだいぶ萌えました。続編できたら絶対観るぞ!
[DVD(字幕)] 8点(2024-10-01 11:04:50)
13.  CLOSE/クロース(2022) 《ネタバレ》 
13歳になったばかりのレオと近所に住む同い年の少年レミは、子供のころからいつでも一緒にいる大の親友同士。ヒマさえあれば互いの家に行き来し、食事や寝る時も遊ぶ時も親の仕事を手伝う時もいつも一緒、お互いの親同士ももはや家族同然と言ってもいいくらい仲の良い2人だった。レオはアイスホッケー、レミはクラリネット演奏と趣味はまったく違うもののそれでも2人はお互いに応援し合い満たされた日々を過ごしている。きっと僕たちの友情は永遠に続くんだろう。そう信じきっていた。あの日を迎えるまでは――。中学校に入ってクラスメイトから掛けられた何気ない一言、「君たち、実は付き合ってるの?」。その言葉がレオの心を酷く動揺させる。休み時間に素っ気ない態度を取ったり、何も言わずわざと先に帰ったり、レオは何気なくレミと距離を取ろうとするのだった。途端にギクシャクしてゆく2人。納得いかないレミはある日、レオと大喧嘩してしまう。そして、2人の関係はその後、取り返しのつかない事態に陥ってしまうのだった……。とにかく文句なしに映像が美しい作品でした。色とりどりの花が咲き乱れるキレイな花畑をキラキラとした陽光を浴びながら駆けてゆく美しい少年たち……。イエローを基調とした映像のその吸い込まれそうな美しさに、僕は終始目が釘付けでした。主演を務めた2人の少年のもう本当の親友同士なのではとも思える等身大の魅力も素晴らしい。監督の豊かな色彩感覚と詩情溢れる映像センス、繊細で気品に満ちた音楽も相俟って、この世界に永遠に浸っていたいとさえ思えてくる。ただ、物語はそれとは真逆のとても哀しい顛末を辿ります。思春期特有の誰もが体験したであろう些細な行き違いと喧嘩。結果、それが最悪の悲劇を招いてしまう。誰が悪いわけでもない。でも、レオはまだ経験しなくてもいいような心の負荷を負わされ、互いの家族を巻き込んでどんどんと追い詰められてゆく。正直、観ればみるほど気分が沈んでゆくお話なのですが、主人公をはじめとするこの家族たちのひたむきさに心打たれます。特に、圧倒的な悲劇を体験しながらそれでも前向きに生きようとするレミのお母さんの凛とした佇まいに、僕は思わず涙してしまいました。誰の気持ちも痛いほど分かる丁寧で繊細な心理描写、そんな中でこの監督の人に対する暖かな視線が光ります。映画としてもう少しドラマティックな展開があればなお良かったとも思いますが、それは好みの問題なのでしょう。思春期に誰もが経験する切ない思いを瑞々しく切り取った、まるで宝石のように美しい物語でした。
[DVD(字幕)] 7点(2024-09-27 09:08:03)
14.  エスター ファースト・キル 《ネタバレ》 
あの超凶悪ロリっ娘エスターが帰ってきた!!可愛い笑顔の裏に冷酷なナイフを忍ばせて周りの大人たちを恐怖のどん底に陥れた、あの史上最恐の9歳児にまさかの続編登場。でも、前作はそもそもあの巧みなミスリードの見せ方と驚異の大どんでん返しが見事な作品だっただけに、完全ネタバレ状態でどう続編を作るのだろうと思ったらまさかの前日譚でした。これがねぇ……、エスターの正体を分かったうえで見ると始まりの惨劇&脱出シーンからちっともハラハラしないんですよね~~。だって前作はこんな普通の子供がどうしてこんな恐ろしいことを?というのがじわじわと恐怖を掻き立てたのに、これじゃ普通の殺人鬼がただただ人を殺しまくってるだけじゃん。まぁ前作のラストを考えるとこーゆー前日譚でしか作れなかっただろうし、そもそも続編を作ること自体失敗だったのでは。それにここまでネタバレ状態ではストーリーを最後まで引っ張れないと思ったのか、途中からまさかの家族の方もサイコパスでしたと言う無理やりなどんでん返し!殺人鬼vs殺人鬼って……。こんなのもう、ジェイソンvsフレディとか貞子vs伽椰子みたいなもんでちっともサスペンスが盛り上がらないですよ。前作が良かっただけになんとも残念な続編でございました。もし前作未見で本作からエスターを観ようとしてる方がいたら、一映画ファンとして絶対やめた方がいいと進言しておきます。
[DVD(字幕)] 4点(2024-09-27 08:45:40)(良:1票)
15.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 《ネタバレ》 
確かに子供が観たらおしっこちびりそうになるほど楽しい作品なのは分かるけど、いい歳こいたおっさんが一人で観るとさすがに内容がなさすぎじゃないですか、これ。マリオは初代ファミコンで3にドハマりしたのが最後の自分にとっては、マリオカートもスマッシュブラザーズ?ネタもいまいちピンとこず。もう少しマリオ兄弟の仲を掘り下げてほしかったし、ピーチ姫とクッパとマリオの三角関係ももっとままならない大人の男女視点で描いても良かったのでは?例えば、ただ好きな人と一緒になりたかっただけなのにその全ての努力が空回りするモテない男クッパの悲哀とかさ。とは言え、息をもつかせぬスピーディな展開や超ハイクオリティなCG、何より初代マリオの2D横スクロール画面を3Dで描いたトコなんかは素直に面白かったです。要は、「そもそもおっさんが夜中に一人で観て楽しむような映画ちゃうし」ということなんでしょうね(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2024-09-17 10:54:12)
16.  マルセル 靴をはいた小さな貝 《ネタバレ》 
「皆さん、はじめまして。僕の名前はマルセル。君たち人間からしたらとっても小さな存在だと思うけど、ちゃんとここに居るよ。見ての通り、僕の身体は貝殻。でも、ちゃんと靴は履いてる。僕が住んでるこの家には、僕の仲間の貝殻たちが20匹もいたんだ。でも、色々あって今はもう2匹しかいない。僕とお祖母ちゃんのコニー。もちろん寂しいけど、何とか暮らしてる。でもね、やっぱり僕は家族のことが心配なんだ」――。短期滞在型のゲストハウスに越してきたアマチュア映画作家のディーンは、そんな小さな貝殻であるマルセルと出会う。こいつはなんてユニークなんだと彼の映像を動画に撮り、ネットにアップしてみると案の定、彼の存在は瞬く間に評判を呼び、再生回数はうなぎ上り。マルセルは一躍人気者となるのだった。テレビや雑誌から取材依頼が殺到、彼を一目見ようと遠くからたくさんの人たちがやってくることに。でも、マルセルはやっぱり居なくなった仲間のことが心配で仕方ない。彼は、前住人の荷物に紛れて連れ去られてしまった仲間たちを捜しに行こうとディーンに提案する。そんな折、お祖母ちゃんが棚から落ちて大怪我をしてしまい……。靴を履いた小さな貝殻であるマルセルの日常と冒険を、実写とストップモーションを組み合わせて描いたアニメーション。とにかくこのユニークな発想となんとも言えないほのぼのとした雰囲気が終始心地良い作品でしたね、これ。まぁNHKのEテレなんかでよくある5分程度のパペットアニメを引き延ばして映画にしただけという気がしなくもないですが、自分はこーゆー独自の世界観、嫌いじゃない。なにより主人公であるマルセルの声が良いんですよね~。声変わり間近の男の子って感じのこのたどたどしい喋り方がなんとも愛らしくて、思わずぎゅっとしたくなってしまいます(実際にしたらぶちゅっと潰れるだろうけど!笑)。また、終始ほのぼのしてるだけじゃなくて、この貝殻から見た人間世界がどこか歪んでるのもシニカルで大変グッド。マルセルが家族を捜したいって訴えてるのに動画を見た視聴者はただ面白がって家に押しかけて不法侵入するだけだったり、人間カップルが常に怒鳴り合いの大喧嘩してたり離婚調停中だったりと現実的なのがこのふわふわとした物語に深みを与えている。そして、怪我が原因で体調を崩してしまったお祖母ちゃん貝殻。彼女が孫のマルセルの為に必死に元気な姿を装おうとするとこなんかジーンときちゃいますね(多少あざとさは感じるけども!笑)。そして最後は見つかった20匹の様々な貝殻たちとパーティーして大団円。さすがにこんなに動く貝殻が居ると気持ち悪……、いや感動的でした。うん、なかなか個性的で面白かった!
[DVD(字幕)] 7点(2024-09-11 13:41:41)
17.  M3GAN ミーガン 《ネタバレ》 
彼女の名は、ミーガン。最新の学習型AIを搭載したアンドロイド型玩具だ。9歳の少女の姿をした彼女は、自ら思考しほぼ自立して行動できるもはや人間とほとんど変わらない存在だった――。交通事故で両親を亡くし哀しみの底に沈んでいた少女ケイティ。一人ぼっちになってしまった彼女は、玩具メーカーに勤める伯母ジェマに引き取られることに。だが、両親を亡くしてしまったショックから、ケイティは誰にも心を開かずいつも一人で過ごしていた。どう接していいのか分からないジェマは、まだ試作段階であったミーガンを家に持ち帰り、ケイティに与えるのだった。自分の傷ついた心に寄り添ってくれるかのようなミーガンの優しい言葉や気遣いに、瞬く間に心を開くケイティ。ご飯を食べる時も遊ぶ時も常に一緒のもはや大の親友同士と言ってもいい関係を築いてゆく2人。だが、まだ誰も知らない。ミーガンは自ら学習し思考する機能により、徐々にその一途な愛情を暴走させてしまうことを……。巷で何かと話題になっていた本作、これが期待通りの面白さで自分は大満足でした!何が良いかって、もちろんミーガンのあまりにキャラ立ちしまくった唯一無二の造形美。おめめぱっちりのふさふさ金髪美少女なのに、どこか人をいや~~~な気持ちにさせるとこなんかもうサイコー!彼女が喋ったり微笑んだりするだけで、なんか物凄く不安になってくる。本物の人形が動いてるかのようなこのぎこちない動きは全部CGなのかなと思ってメイキングを見てみたら、なんと何十体もの様々なミーガンを用意して何人もの人形師が動かしていたとのこと。いやー、この絶妙な気持ち悪さはやはりこんなアナログな手法から来てるんですね。ミーガンが意地悪な男の子の耳を引きちぎったり、隣の嫌がらせおばさんを高圧洗浄機でむちゃくちゃにするシーンは斬新過ぎて「ひえぇぇ」と変な声が出ちゃったし。そしてミーガンの全身が映るシーンは、実際の少女が人形のお面を被って演じていたそうで。ネットで話題となったあのクネクネダンスはこのプロ級のテクを持った子役が実際に踊ったらしいですね。あのシーンはしばらく脳裏に焼きつくくらい強烈なインパクト!いやー、あそこだけでご飯何杯でもいけます。ただ惜しいのは、全体的に演出が大人しめで優等生にすぎること。エンタメなんだからクライマックスはもっとやり過ぎってくらいぶっ飛んだ展開にして欲しかった気がしなくもない。そこいらへんが少々物足りなくもありましたが、それでも充分面白かったです!とにかくミーガンのキャラが強烈過ぎてこれはもう続編決定ですね!以下、本作を観て思い出したどーでいい余談。以前とあるアダルトショップに行ってみたら、奥の方の暗がりのショーケースに一体ウン十万もする超リアルな少女型ラブドールが置いてあって、心底ビックリしました。人形も怖かったけど、これを買う人の方がよっぽど怖いわって後で思った記憶が…(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2024-09-11 13:02:11)
18.  コンパートメントNo.6 《ネタバレ》 
1990年代のロシア。フィンランドからの留学生である中年女性ラウラは、世界最北端の駅ムルマンスクへの旅行を計画する。目的は、その地にある有名なペトログリフを見に行くこと。それは1万年前、この地に暮らしていた人類が岩肌に描いたという壁画だった。考古学者であるラウラはそんな人類最古と言ってもいい貴重な壁画を見ることが長年の夢だったのだ。ところが出発直前になって、一緒に行く予定だった同性の恋人からキャンセルを告げられる。それでも見に行きたい――。ラウラは一人、寝台列車に乗り込こむとそんな世界最北端の駅を目指して数日間の旅に出るのだった。だが、予約した寝台列車6号室で同室となったのは、粗野で下品な言動を繰り返し、夜になると常に強いウォッカを煽るような炭鉱労働者リョーハだった。最悪だと思いながらも長年の夢を叶えるために彼とともに出発するラウラ。当初こそ衝突を繰り返していた彼女だったが、旅を進めるうちに次第に彼の隠れた優しさに気づいてゆき……。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、この淡々とした物語展開といまいち魅力を感じない主人公2人に特に感情移入することもなく、最初はけっこう退屈でした。でも、中盤辺りから次第にこの不器用な2人の隠された魅力に気づいて、途中からはけっこう微笑ましく観ることが出来ました。普通、こーゆー一期一会の出会いを描いたロードムービーって、どちらかが魅力的な若い人だったりあるいはのっぴきならない過去を引き摺っていたりするものだけど、この2人にそんなものはありません。普通に何処にでもいるような、くたびれた冴えないおっさんとおばさん。この2人の等身大にも程があるほどの等身大の魅力が良いですね~~。倦怠期を迎えている恋人と別れが近いことを自覚しながら何度も電話する主人公や、そんな彼女を最初はバカにしながらも他の男と仲良くしているとこを見てやきもち焼いて機嫌悪くなっちゃう男とか、ホント面倒臭い(笑)。でも、そんな近所の飲み屋でよく見かけるような男女のやり取りが妙に心地良いんですよね~。終盤、今は閉鎖されているペトログリフに向かうシーンは、こいつらアホやと思いつつも普通に応援している自分がいました。んで、最後に主人公が男から受け取る似顔絵と裏側のメッセージ。前半のエピソードを見事に回収してて、こんなにバッチリ決まっているオチは久しぶりかも。ただ、前半がかなり退屈だったのと全体的に画がいまいちキレイじゃなかったのが自分としてはそこまでって感じだったかな。ま、そこまで心に残るものはないけど愛すべき小品であったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2024-09-11 12:32:20)
19.  イビルアイ 《ネタバレ》 
難病に侵された妹とともに祖母の家に預けられた少女が体験する恐怖の日々を濃厚に描いたオカルトスリラー。監督は、『パラドクス』『パラレル/多次元宇宙』を撮ったイサーク・エスバン。ぶっちゃけて言うと、さっぱり面白くありませんでした、これ。とにかく脚本がゴミ。大まかなストーリーは何となく理解できるものの、細部の詰めが荒く、最後まで観てもいまいちよー分かりませんでした。このお祖母ちゃんが魔女で孫の血を吸って若返っていたらしいのだけど、お母さんがそんな祖母に娘たちを預けてどっか行っちゃう理由が恐ろしく弱い。娘の難病を治すために夫婦そろって危険な旅に出るってなんじゃそりゃ。しかもその様子をいっさい描かないという、もうこの祖母に娘を預けるというストーリーにしたいがためにテキトーに考えたアイデアなんが丸わかりでもはや怒りすらわいてきそうでした。また、劇中に差し挟まれる昔話の「魔女と三つ子」の物語も詰め込み過ぎでよく分からんし。んで、なんなんですか、あの唐突に出てくるサバトみたいな謎の集会は。伏線も状況説明も全ておざなり、基本である起承転結すら組み立てられていない。ホント、酒でも飲みながらテキトーに書いた脚本なんじゃないの、これ。映像もばっちいし、音楽の使い方もまるでなっちゃいないし、最近観た中では恐ろしくレベルの低い作品でありました。監督、デビュー当時は良かったんですけど、最近はどんどん右肩下がりになっちゃってますね。次こそ再起を願いたいものです。頑張って!
[DVD(字幕)] 3点(2024-09-11 12:12:15)
20.  Pearl パール 《ネタバレ》 
彼女の名は、パール。1910年代のアメリカ南部の寂れた田舎町で、貧しい生活を送る農家の一人娘だ。激しい恋愛の末に結婚した夫は現在、ヨーロッパの戦線に従軍中でもう長いこと顔も見ていない。数年前に発作を起こし全身麻痺の後遺症が残った父親を献身的に介護しながら、保守的で気難しい母親と鬱屈した毎日を送っている。そんな彼女のささやかな楽しみは、たまに町でミュージカル映画を観ること。夢のようなそんな世界に憧れるパールは、いつか自分も華やかな表舞台に立つことを夢見ている。だが、ヒステリックで厳格な母親はそんなパールに厳しく当たるばかり。息がつまるような現実に次第に爆発しそうな感情を募らせてゆくパール。そんな中、次代のミュージカルスターを発掘するためのオーディションが町の教会で開かれることを知った彼女は……。謎の老夫婦にひたすら殺されまくる若者たちを描いたスプラッターホラーの怪作『X』。そこに登場するシリアルキラー老婆の約60年前の若かりし日を描いたという本作、さして観る気はなかったのだけど、自分の一推しそばかす美少女ミア・ゴスちゃんが再び主演を務めているということで今回鑑賞。前作は、とにかく全編これでもかってくらいの悪趣味エログロ描写の連続とあまりの内容のなさに自分はまったく嵌まれませんでした。でも、続編となる本作は、確かに悪趣味は悪趣味なのだけど、その悪趣味具合が今回は自分の好みにバッチリ嵌まっていて普通に面白かった!いやぁ良いですね~、この悪趣味さ。まず、主人公パールの理想と現実とのギャップが悪趣味。全身まひで喋れない父親とヒステリー爆発な母親と薄暗ーい部屋の中でトウモロコシメインの晩御飯を食べるシーンなんてもうやんなっちゃいますわ。んで、パールが何かやらかしそうな周りの設定が悪趣味。前作に引き続き登場の裏の池に住むワニちゃんがもうヤダ。久々に男に口説かれたパールが畑の案山子に跨って悶々解消するとこなんか見てらんない。何の根拠もなくオーディションに合格すると信じたパールが、いざ本番で披露するタコ踊りなんてもはや監督の悪意しか感じません(笑)。そして、満を持して暴走するパールのイカレっぷりが悪趣味。大火傷を負った母親のゾンビ顔も悪趣味だし、一部始終を見ている全身麻痺の父親が何も出来ずただ見てるだけというのをただ観客に見せるだけというとこも悪趣味。極めつけは最後の〝ディナー〟。メインディッシュがまさかのあのウジ虫だらけの腐った豚の肉とか、もはや悪趣味の極み!!!!!でも、この悪趣味さが終盤心地良くなってる自分がいました。それはやはり、ミア・ゴス演じるこの主人公が存外に魅力的だったからでしょうね。女と言うだけで家庭に縛られることを余儀なくされたこの時代、精一杯自分らしく生きようともがいたある女性の生き様を極めて悪趣味に描いた逸品。脚本も担当したミア・ゴスの熱演も相俟って、なかなか見応えのある悪趣味映画の秀作でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2024-08-13 10:08:00)
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