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1.  一人息子 《ネタバレ》 
明らかな失敗作です。小津は日本にトーキーが持ち込まれた31年以降、トーキー移行に向けた実験を繰り返してきました。フェードイン・アウトによる安易な場面転換や移動撮影など、小津が嫌ったと「される」演出を徐々に減らしていき、満を持してのトーキーデビューが本作でした。しかし、本作には捨て去りつつあった演出が総動員されています。小津がトーキーの編集に手こずったことは確実。そんな中でトーキーに対する風刺をかます惨めなシーンもありました。小津の心境はお母ちゃんの悔し涙と奮起を誓う息子の意志にシンクロしています。その後、本作での反省を活かして小津は黄金期を迎えます。本作は避けられるものなら避けたかったが、成功のためには必要だった失敗作です。
[DVD(邦画)] 3点(2016-12-13 00:14:53)
2.  淑女は何を忘れたか 《ネタバレ》 
小津安二郎の演出法が確立した金字塔。ルビッチの影響を強く受けたたのしい作品です。前作「一人息子」にはなかった台詞のリズム感と面白さが際立ち、風刺も効いています。ビンタ一発で仲直りってそりゃないよ、とは思いますが、小津には珍しいエロチックなエンディングは小津流ソフィスティケイテッドコメディと呼ぶにふさわしい。サイレント期の小津はスラップスティック風、トーキー期の小津はソフィスティケイテッドコメディ風、ルビッチ風なのです。
[DVD(邦画)] 8点(2016-12-13 00:10:12)
3.  大人の見る絵本 生れてはみたけれど
喜八3部作と比べるとそれほど面白いわけじゃないけど、可愛らしい1作だと思います。戦前の小津らしい風刺が効いていて、飽きることなく見ることができます。
[DVD(邦画)] 7点(2016-12-13 00:07:17)
4.  出来ごころ
小津の人情の芽生え。黄金期の礎となった記念すべき1作だと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2016-12-13 00:05:30)
5.  牝犬(1930) 《ネタバレ》 
ラングのリメイクと比べると描写に暖かみがある。しょぼくれ中年と姉ちゃんにしっかり感情移入できるように作られているし、コメディとしても笑えるシーンがあって良い。終盤の展開は人間ってそんなもんだよな、という諦念さえも感じさせる。嫁の元カレが登場するシーンは笑えます。嫁さんも良いキャラしてて好き。
[DVD(字幕)] 7点(2016-12-12 23:46:09)
6.  M(1931)
冒頭から演出が冴えまくる。ドイツ期の最高傑作であることは疑いの予知がない。
[DVD(字幕)] 9点(2016-12-11 03:23:28)
7.  暗黒街の弾痕(1937)
初のボニーとクライドを題材にした作品、(ラングにとって)初のフィルム・ノワールが強いアメリカ期の作品と、初づくしの本作。一度定められた運命を前にどうすることもできない2人の姿を、メディアや民衆を批判しながら描いている。新聞屋はあらかじめ3つの一面記事を用意していて、いずれも大衆を煽ることだけを目的としている。ヘンリー・フォンダの死刑が決まると、ニヤけ顔で死刑の紙面を指差す下品さ!2人に退去を命じる宿主や、ちっぽけな理由でヘンリー・フォンダをクビにする社長、冤罪をなすりつけるガソリンスタンドの店員など、2人と敵対関係にある人物は総じて下品に描かれている。米国に渡ったラングは終戦までプロパガンダ映画を作り続けるのだけど、本作と『激怒』は少し毛の色が違う。標的はナチスではなく、メディアと大衆である。話はそんなに面白くないけど、本当に暗闇と霧の使いかたが上手い監督だ。ヘンリー・フォンダが脱獄するシーンの緊張感はラングならでは。
[DVD(字幕)] 5点(2016-12-11 03:22:04)
8.  三十九夜
イギリス時代の傑作ということで期待していたのだけど、終盤がつまらない
[DVD(字幕)] 3点(2016-11-05 03:11:53)
9.  有りがたうさん
ロードムービーというジャンルがそもそもあまり好きではなく、元々サイレントで撮影され、セリフがすべてアフレコによるもの(!)ということに違和感を抱き続けて終わった。環境音がないというのは不自然の極み。
[DVD(邦画)] 5点(2016-05-31 00:44:01)
10.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺
日本映画屈指の娯楽作。
[DVD(邦画)] 7点(2016-05-24 08:32:40)
11.  河内山宗俊
原節子の魅力の片鱗が見えるというだけでも価値ある映画だけど、物語も面白ければ演出も良し、役者の演技はいわずもがな。キャラクターの設定も魅力的で、さすが山中貞雄だな、といった感じ。ハラハラする場面をあえて見せない演出にはやきもきさせられて、妄想がはかどります。
[DVD(邦画)] 7点(2016-05-24 08:28:16)
12.  ジキル博士とハイド氏(1931)
演出はなかなか面白かった。ジキル博士がハイドに変身してしまうショットはふしぎだねー。
[DVD(字幕)] 7点(2016-05-24 08:25:11)
13.  怪物團 《ネタバレ》 
身体障害者のビジュアルにばかり注目してしまいがちですが、二人の小人が運命に苦しめられる姿は美しく、とても悲劇的です。一方でクレオパトラが無礼な振る舞いでサーカス団員たちに復讐される描写はおどろおどろしいホラー。彼らは無言でクレオパトラに襲いかかり、観客は彼女の悲鳴と変わり果てた姿に驚愕するばかりです。見世物小屋には行ったことがありませんが、おそらく本物の身体障害者が出演していた見世物小屋を見た時に生じる感情は、本作を鑑賞後に生じたそれに非常に近いのではないでしょうか。とても良くできた映画なのに、本作のせいで映画界から追放されてしまったトッド・ブラウニングには同情してしまいます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-11-02 20:57:19)
14.  オズの魔法使
いつ観るかがとても重要な作品だと思いました。ずーーっと「なめとんか!」と思ってしまった。お伽話だからさ、憤りながら観るのはちゃんちゃらおかしいわけなんだけど、それはわかっているんだけど。もっと純粋な心を持っていた時に観れば絶対に楽しめたんだろうな。基本的には褒められない映画だけど、「Over The Rainbow」の美しさは忘れられない。いつ観ても良いと思える部分はあります。
[DVD(字幕)] 4点(2015-07-18 13:38:00)
15.  我輩はカモである 《ネタバレ》 
度肝を抜かれてしまいました。面白すぎる!この面白さをどう言葉で表現したらいいかわかりません。コメディ映画のベスト1に決定です。ちなみに2位は『キートンのセブンチャンス』、3位は『独裁者』。これらの作品を抑えての1位というのがわたしにとって最大の賛辞です。
[レーザーディスク(字幕)] 9点(2015-07-01 19:41:31)
16.  東京の女 《ネタバレ》 
ちか子のもう一つの秘密が明かされないので、こいつ本当にヤバいやつなのか?と思ってしまう。打たれ弱そうで太宰治みたいな見た目とはいえ、弟を自殺させてしまうほどの衝撃があったわけでしょ?一連の耳打ちには。警察が職場にやってくるというのも…。共産党員が云々は置いておくとしても、底知れぬ恐ろしさを感じます。演出もまた良い。田中絹代が良一の部屋にやってきてからの照明の使い方はサスペンスホラー。江川宇礼雄の顔のせいなんだけど、ちょっと『カリガリ博士』っぽかったですね。影響があるんでしょうか?良一の葛藤が後半に生きていて、ちか子やべえ感に拍車をかけてますねー。素晴らしい。そしてラストシーンなんですが、あの号外はなんだったんでしょうか?たくさん伏せ字があって、未定稿みたいな感じでしたけど、これが共産党員という設定が抜け落ちた跡なんでしょうかね。こんな号外ではダメだよ…というセリフも、検閲のせいで思い通りの脚本を完成できなかったことを暗示しているのかも。…まあ、9日間で作った映画らしいので、その辺がどうなのかわかりませんけどね。小津安二郎のサイレント映画は退屈な作品が多いなぁと思っていたんだけど、これは面白かったです。おすすめです。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-11 17:03:45)
17.  フランケンシュタイン(1931) 《ネタバレ》 
見たことはなくても名前とカーロフの顔くらいならだれでも知っているフランケンシュタイン。かなり期待して見たのですが、あんまり怖くなくてガッカリ。怪物よりもせむし男のほうが怖かったような気もします。湖畔で女の子と戯れる怪物…少し萌えた。「あ、こいつ優しい怪物なんだな」と思ったら湖にドーン!で死体ドーン!俺の気持ちはドローン。  鑑賞後に思い浮かんだのはやはり『キング・コング』でした。お前よお、勝手に生み出しといて怖くなって退治して、すっかり何もなかったかのような顔で結婚式なんてやりやがって。そりゃ怒るよ!ごもっともだよ!高層ビル登っちゃうよ!まあ、風車しかなかったから風車で済ませたけど。
[映画館(字幕)] 5点(2015-05-06 19:48:43)
18.  四十二番街 《ネタバレ》 
おいおい、本番のミュージカルだけで満足するなよ!裏側見せてくれよ!本番には出てこないようなダンスシーンの練習ばっかり見せるんじゃねえよ!心底ガッカリしました。『雨に唄えば』とは雲泥の差ね!2組のカップルも特徴なさすぎ!途中まで男は男、女は女で同一人物なのかと思ったじゃねえか!混乱させんじゃねえよ!脇役ばっかり個性的じゃねーかふざけんな。顔や声まで同じじゃねーかせめて違うタイプの美男美女にしてくれよ!練習はつまらん軸になる登場人物もつまらん、これじゃあミュージカルの素晴らしさが台無しなんだよなあ!ギャングの話どうなったんだよ!しばらく会わないほうがいいとか言っておいて3分後に再開しちゃうってどういう演出だよ!意味深なラストシーンだけが印象に残ったじゃないか。…まあ、誰も「『蒸気船ウィリー』つまんね!ディズニーふざけんな!」と怒り出す人はいないわけで、ジャンルの元祖に対して怒ってもしょうがないような気はするのですが、でも『俺たちに明日はない』はいい映画だからね!とにかくガッカリした!
[レーザーディスク(字幕)] 3点(2015-04-22 21:16:34)
19.  會議は踊る 《ネタバレ》 
笑えるシーンも数々ありますけど、特筆すべきは『ただ一度だけ』。1度目はクリステルが浮かれ気分で、街中が祝福しているかのようなシーンで使われています。たった1度だけの出会いが彼女の人生を変えた!そして2度目は一人残されるクリステルの悲しみに満ちたシーン。ただ一度だけでもいいからまた会いたい…。この対極の使い方が気に入りました。終盤は影武者が出てくるだけで笑えたし、満足しています。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-12 08:14:45)
20.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
コングがかわいそうだろ!金儲けのためにアメリカまで連れて行かれて、美女のために戦ったじゃないか…。ヨダレをダラッダラ垂らしながら「美女が野獣を倒したのだ~」ですって!嫌になっちゃうわよ!……久々に「カニと修造理論」を思い出しました。カニの親子が仲良くしているところに「食いしんぼう万歳」のロケで海にやってきた松岡修造が現れ、無残にもカニは食べられてしまう…どっちが悪やねん!どっちなんじゃあああああ!人間ってサイテーね!この映画はただの特撮映画じゃないわ!ワンダフルな特撮技術と人間の醜さを描いているから名作なのよ!何にもしてないくせにヒーローを気取りやがって……。途中からコングに感情移入してしまいましたよ。レビューを書いているうちにどんどん怒りが増してくる。いい映画だなぁおい!人間サイテー!サイテーだわよ!
[DVD(字幕)] 8点(2015-02-08 17:24:08)(笑:1票)
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