1. 殺人者はライフルを持っている!
《ネタバレ》 撮影時間が限られていたこともあり、準備や後処理のシーンを丁寧に(悪く言えば冗長だが)撮影している。ルーティンワークを淡々とこなす映写技師と行きあたりばったりなスナイパーの差。映写機で作業する技師と家族の死体を処理するスナイパーの決定的な差!無計画に山ほど武器を装備して、逃げ出すときも大慌てで遺留物を残しまくる。何とお粗末な!年寄りを腐す内容が多いアメリカン・ニューシネマの中で、老人age若者sageの設定は異例。シネフィルは偉大なハリウッドへのあこがれを捨てられなかったということか。スナイパーが世間(ここでは家族)から離れ、暗い廊下を歩く時に彼の顔はシルエットになる。情事笑みを浮かべる彼の表情がうかがい知れないというショットによって彼が抱える闇を表現するなどの工夫は見られるが、話があんまり面白くないので台無し。 [DVD(字幕)] 5点(2017-02-15 00:37:22) |
2. あなただけ今晩は
ただただ愉快。堅物とX卿を嬉々として演じるジャック・レモンもシャーリー・マクレーンも素敵。「アパートの鍵貸します」よりもずっと好き! [DVD(字幕)] 8点(2016-12-13 00:04:14) |
3. 怪談(1964)
《ネタバレ》 前半と後半でテーマがわかれている。前半は異界との性的な接触、後半は映像技術の見せびらかし。前半の「黒髪」「雪女」の素晴らしさは、欲に溺れた人間の因果応報を描いているだけではなく、異界の表現がきわめて的確で観客の心の奥底を揺さぶるからだ。「黒髪」は武満徹の音楽が、「雪女」は冒頭の空模様が世界観を見事に表現している。確かに芸術映画だ。客が入らないのも当然だよ。「耳なし芳一の話」は本当につまらない。酷すぎる。くどい。田中邦衛は面白い。「茶碗の中」は稲川淳二の怪談話にありそうな感じで、お気に入り。それぞれに点数をつけるとしたら、「黒髪」10点、「雪女」7点、「耳なし芳一の話」1点、「茶碗の中」7点。「耳なし芳一の話」以外の完成度の高さと「黒髪」の音楽、演出、美術の素晴らしさを評価します。 [DVD(字幕)] 9点(2016-12-12 23:53:02) |
4. 俺たちに明日はない
《ネタバレ》 強さと美しさに惹かれあった2人だけど、クライドは兄貴とイチャついてばかりでボニーを素直に愛せない。困難を乗り越えるたびに少しずつ愛を確かなものにし、ついに愛しあうことができたのに蜂の巣。二人の運命はクライドが差し出した拳銃をボニーが愛撫した瞬間に決まっていたのだ。性と死の濃厚なメタファーが漂うあのシーンは本当に大好き。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-12 23:43:42) |
5. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 キッドとブッチの友情を超えた友情が良い。ピンカートン探偵社の追跡を逃れ、エッタのもとに帰ってきた2人。キッドとエッタが抱き合う姿を窓ガラス越しに見るブッチのその表情がたまらない。キッドとブッチのの関係は明らか。エッタは2人の間に入り込むことができない存在だ。実際、エッタとキッドの本番は描かれないし、ギャング家業を捨てきれない2人を見捨てて帰国してしまう。ラストシーンの妄想会話にエッタは登場しない。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-11 04:02:36) |
6. ワイルドバンチ
長いよ!最初と最後の血みどろ銃撃戦は素晴らしいんだけど、中盤がまあ長い。ワイルドバンチの面々にあまり魅力を感じられなかった時点で肌に合っていないということなのだろう。 [DVD(字幕)] 5点(2016-12-11 03:58:44) |
7. 突然炎のごとく(1961)
《ネタバレ》 何度見ても面白さが理解できない。もっとジュールとジムの友情に焦点を絞っても良かったのではないかと思う。カトリーヌの存在感が強すぎて、本来の軸が弱くなっている。本作は『明日に向かって撃て!』なんだから…… [DVD(字幕)] 2点(2016-12-11 02:58:53) |
8. 卒業(1967)
《ネタバレ》 メタファーまみれ。ミセスロビンソンは夢の工場ハリウッドの裏側でもあり、アメリカンドリームでもあり、単純にエロスであり…サイモン&ガーファンクルの音楽もいいし、ダスティン・ホフマンの居場所なさ気な顔も良かった。 [DVD(字幕)] 9点(2016-12-11 02:14:53) |
9. 続・世界残酷物語
《ネタバレ》 このテの映画はどれだけ下衆心をくすぐられるかで評価するべきなんだろうな、と思っています。この映画はモンド映画としてちっとも面白くない。前作と比べるとひどいもんです。そもそも前作の製作を担当していた男がボツフィルムを編集したのだから、つまらないのも当然。編集と音楽がとても魅力的だった前作とは打って変わって、どちらも平均以下です。才能がない人間がモンド映画を編集するとこんなことになってしまうのかと、ヤコペッティの編集の才能を再確認しました。確かに驚くような映像はあります。虐待された子供たちの痛々しい姿には心が傷んだ。でも、問題は見せ方です。卓越した編集と音楽で観客の下衆心をゆさぶった前作とは異なり、モンタージュ理論を十分に活用しない適当な編集と、魅力のない音楽。ただ驚き、映像そのものに感情が動かされるだけです。映画的魅力はない!いやしくもヒット作に便乗した結果がこれです。モンド映画なんてどれもグロいだけで同じだろ?と思っている人は、前作と本作を比較してみてくださいよ。差は歴然! [DVD(字幕)] 1点(2016-07-16 21:33:58) |
10. 世界残酷物語
この映画がやらせだらけなのは見てりゃ分かる。貧乏な一族が500頭もの豚を5年間飼育し続けることは不可能だし、むしろめっちゃ裕福じゃねえか!有名なウミガメのシーンだって、どうして死体や瀕死の個体がひっくり返ってるのかがわからない。ゲテモノレストランの材料が缶詰ばっかりなら、それを売ればいいじゃないか!そんなことに突っ込みを入れながら観るより、ヤコペッティの想像力を楽しむ方がいい。彼はこんな映像が人々の興味を引くのではないかと考えて撮影し、実際に世界中でヒットしたという事実が一番面白い。 [DVD(字幕)] 5点(2016-07-05 02:04:01) |
11. アデュー・フィリピーヌ
あふれる生命力に気圧されるも、いまいち乗りきれないまま終了。クライマックスの「青春の終わり」感はとても好き。 [映画館(字幕)] 5点(2016-05-31 00:35:56) |
12. 黒い十人の女
船越英二は名優です。つかみ所のない現代風の男をうまく演じていると思うけど、なぜ彼に女性たちが惹かれるのかがわからん。男への復讐を決意するも、いざという時にあたふたして見なかったふりをする女たちのコミカルさには笑ったけど。女性優位社会への恐怖感のようなものを表現したかったんだろうか? [DVD(字幕)] 6点(2016-03-14 02:58:39) |
13. 豚と軍艦
誉高い名作として知られているけど、そこまでいい映画だとは思えず。面白いけどね。今平映画の常連が勢揃いで、どいつもこいつも魅力的なのが楽しかった。 [DVD(邦画)] 6点(2016-03-14 02:40:40) |
14. 地獄(1960)
《ネタバレ》 見世物的な映画でとてもよろしいと思うけど、導入部分が長いよ。食中毒で全滅する老人たちの姿は忘れられない。三途の川のこの世ならざる場所っぽさは大好きだし、地獄めぐりも好きなんだ。本当の地獄に辿り着くまでもっと短かったら、最高の見世物映画だっただろうと思う。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-03-14 02:39:27) |
15. ローズマリーの赤ちゃん
散々引っ張ったわりにクソみたいな終わり方。音楽も演出も良いとは思えず、ミア・ファローの痩せ方が不気味なだけ。なんてか弱い主人公なんだ。見ていてイライラする。もうこんな奴が主役を張れるような時代は過ぎた。いいことだ。 [DVD(字幕)] 4点(2016-03-06 21:11:55) |
16. ラ・ジュテ
私はどうしても伝説のクソゲー『Plumbers Don't Wear Ties』のことが頭から離れなかった。こんな産業廃棄物とは比べ物にならないほど美しいフォトモンタージュ映画映画なんだけどね。しかし、『アルファヴィル』を見た時のような退屈さが襲いかかってきて、最後まで見るのが辛かった。30分にも満たない映画なのに。退屈さを紛らわすために『Plumbers Don't Wear Ties』の司会者やケツ毛の濃い主人公を思い出したりするともう全く別の映像体験に……。 [DVD(字幕)] 6点(2016-02-25 14:24:27) |
17. 東京流れ者
芸術的な映画だと思うが、鈴木清順には他にも面白い映画がたくさんあるし、本作を進んで評価する気にはならない。 [DVD(邦画)] 5点(2016-02-25 14:12:52) |
18. ある殺し屋
《ネタバレ》 話が展開していくにつれてどんどん面白くなっていき、クライマックスで大爆発する。古今東西のフィルム・ノワール映画の中でも上位に位置する映画に間違いない。市川雷蔵は器用な人だ。小料理屋の主、パーティに招かれた芸能の師匠、常に冷静なプロの殺し屋。仕草や表情に違和感がない。特に芸能人としての立ち振舞は梨園出身の俳優でもなければ演技できないだろう。いや、演技ではなく素の仕草なのかもしれない。中村獅童や市川海老蔵に、雷蔵の本作での演技ができるだろうか?不出生の映画スターとして一世を風靡したのには理由がちゃんとあった。今の俳優にはない魅力が。 [DVD(邦画)] 7点(2016-02-25 14:10:54) |
19. 裸のジャングル
《ネタバレ》 モンド映画の雰囲気がリアリティを醸し出していていい感じですね。復讐の追走だったはずの原住民が主人公を認め、最後に合図する場面は胸が暑くなります。男同士の友情とはこういうものだよ!『アポカリプト』にはこれがないんだ! [DVD(字幕)] 6点(2016-02-22 10:13:15) |
20. 僕の村は戦場だった
《ネタバレ》 きれいな映画。物語よりも映像美を楽しむタイプの映画だろう。主人公が見る夢はことごとく美しく、現在との痛烈な対比が心を打つ。母親と戯れる無邪気な少年が戦争によって冷たい表情へと変わってしまう。夢と現実の落差が大きすぎて受け入れられないと思う瞬間もあるほどだ。この感情を主人公も持っていたのではないかと思う。だからこそ敵国ドイツへの憎しみは兵士たちよりも深いのかもしれない。 ラストシーンは本当に胸が痛い。美しい水辺のショットが突然暗転してしまう恐怖。彼の人生は何だったのだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-22 10:11:31) |