1. カイロの紫のバラ
《ネタバレ》 こういう作品のことを「映画」と呼ぶんだと思います。また本作はきちんとスクリーンで見れば楽しさ10倍増しなのは間違いありません。(自宅100インチ2.1チャンネル、スクリーン鑑賞) セシリア(ミア・ファロー)はあまり好きな女優ではありませんが、本作でも良い仕事をしています。私が好きじゃないだけで、彼女が素晴らしい役者なのは誰もが認めるところでしょう。本作の彼女はやたらとおっとりしていますが、このおっとりした雰囲気がより映画をメルヘンチックで素晴らしいものに昇華してくれていると思います。この映画が素敵になったのは彼女のおかげといっても過言ではないでしょう。 もちろんトム・バクスター/ギル・シェパード(ジェフ・ダニエルズ)も非常に素晴らしい演技をしてくれていて、飛行機で飛んできた本物とスクリーンから出てきた分身とで明らかに違う人物であるのが一目で判ります。さりげなく微妙に違う人間性をきちんと使い分けていて本当に素晴らしい。個人的には特に娼館で女性陣と語らうシーンが最高でした。ほほ愛の核心を突くのがスクリーンから飛び出してきた分身というのがお笑いポイントですが、不覚にも非常に感動的で涙が出そうになるレクチャーとなっています。 ウディ・アレンの良さは”間”の取り方にあると思います。本作ラストでもセシリアのシーンがあと2秒、長くても短くてもダメで、この絶妙な時間間隔で観客を飽きさせることなくしっかりと余韻に浸らせてくれます。この絶妙な間は本当に素晴らしいとしかいいようがありません。今はもう少なくなったクラシックな監督のなせる業です。 余談ですが、何気に同年公開のバック・トゥ・ザ・フューチャーと比較すると本作のほうが合成映像に違和感がないのが地味に凄いですね。。また美しいラストの「トップ・ハット(Top Hat)」でアステアが躍るシーンは「グリーンマイル」でも使われています。私は映画が大好きですが、映画ファンを語るならぜひとも一度は鑑賞しておくべき映画でしょう。私も早く見なきゃ・・ [インターネット(字幕)] 9点(2024-10-22 17:49:19)(良:1票) |
2. ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲
笑っちゃうくらいレベルの低い作品ですが、当時私もビーバップの対象年齢でしたので普通に見ていました。しかし当時でも失笑もんの演出が多く小バカにし過ぎた作品だよなあという印象しか残っていません。皆さんご指摘の通り、終盤の馬の演出は酷すぎますよね。ビー・バップ・ハイスクール シリーズでマンガ本をリスペクトしたものは一作目と二作目くらいでしょうか。。 マンガ本でも人気だった城東の柴田と西も良い味が出ていますが、個人的には1作目のヘビ次(小沢仁志)とネコ次(木下秀樹)、2作目の山田敏光(土岐光明)とテル(白井光浩)が最高でした。菊リンと順子はいつも素敵です。あと、本作の(五中の鬼姫、如月翔子)こと五十嵐いづみさんの演技は良かったです。真面目デートに凸して説教するシーンは間違いなく本作の名シーンの一つです。半面、美大の女子大生(柏原芳恵)は結構大根で笑っちゃう演技です。(でも80年代ってあんな感じでした、当時の空気感はうまく表現されています) このシリーズは昭和40年代後半から50年代前半生まれの人が自分の青春時代を懐かしむための映画ですので、真面目にレビューしたり評論しないのが正解ですよ皆さん。 [インターネット(邦画)] 4点(2024-08-13 12:42:39) |
3. ファミリービジネス
《ネタバレ》 序盤のワクワクはどこへやら、後半ビックリするような失速を見せます。そもそも論、この映画は一体何を伝えたかったのかよく理解できません。二回もやったということは「ダニーボーイ」を聞かせたかったのか? ただし、ショーン・コネリー&ダスティン・ホフマンは素晴らしく、何だか本当の親子のように感じました。特にダスティン・ホフマンはイタリア系という設定ですが、アメリカ人の彼がイタリア系に見えるから素晴らしかったです。 ストーリー的にはヴィト―(ダスティン)とアダム(マシュー・ブロデリック)が割とクズで困りました。結局頭が良くて真っすぐに生きたジェシー(コネリー)だけが正義と思える映画でした。とにかく全体的な脚本が悪すぎていったい何を見せたかったのか?いったい何を伝えたかったのか?その辺の意図が全く汲み取れないストーリーには心底困り果てました。前述の通り名優二人の演技は印象に残りましたので一応の点数はつけておきます。 [地上波(字幕)] 4点(2024-08-08 15:00:14) |
4. ミッドナイト・ラン
《ネタバレ》 興味ありませんでしたが録画されていたので見てみたらコレが非常に面白かった!デニーロ(ウォルシュ)の自然な演技がとても良かった。脚本もとてもよく練られていて、序盤から複雑なバウンティ・ハンターの話を観客にシンプルに伝える流れも上手いし、ヤフェット・コットー扮するFBI捜査官も良い雰囲気。サングラスや身分証のネタも非常に面白いものでした。 この映画でデニーロを食ってしまったのが”公爵(デューク)”と呼ばれるマデューカス(チャールズ・グローディン)です。マフィアの金を横領した会計士と聞かされたらどんなペテン師がくるのかと思いますが、まさかの彼。穏やかで非常にいい人なのが笑えました。結局最後までマイペースで終始イイ人・終始育ちが良さそうな香りが漂っていてさすがの演技力でした。 「ウォルシュ&デューク」ペアはいちいち運が良く難を逃れつつも、その彼らに振り回される周りの図式が定番ながら面白いです。元嫁や娘との再会もちょっとシリアスで素敵だったし、ダイナーでの一芝居も面白い。とにかく全体の流れの中での緩急のつけ方が上手くて長さや複雑さを感じさせません。(個人的には貨物列車のコンテナの中での語らいが最高だった。きっと彼らはあの時点で真の友人になったと思います) 終盤になるとさすがにマフィア組、バウンティ・ハンター組、FBI組、ウォルシュ&デューク組と話が立て込んできますが、元刑事ウォルシュが絶妙な塩梅での判断・決断をしますので見ていて気持ちが良い。ラストの別れや1000ドル札のネタも面白く、あまり文句の出ない作品だったと思います。 [地上波(字幕)] 8点(2024-07-30 16:16:03) |
5. 極道の妻たち 三代目姐
《ネタバレ》 三田佳子の極妻はなかなか趣きがあって良かったです。しかしこちらも一作目の岩下志麻の迫力には及ばず、天下の坂西組長(丹波哲郎)と二人で並んだ絵面はちょっと優しすぎる印象でした。ただ、リアルはこんなものなのかもしれないとは感じましたけど。。 本作の一番の問題児はショーケン(赤松)です。彼の何考えているか判らない雰囲気が良いといえば良いのですが、一歩間違えればただのチンピラにも見える落ち着きのなさはチョットいただけませんでした。ある意味このキャラ設定のまま犬死したラストは彼らしいといえば彼らしいのですが、その彼に振り回されっぱなしだった主要人物三名(三田佳子、成田三樹夫、かたせ梨乃)はいい迷惑。結局はいまいちドラマにしまりが感じられなくてグダグダになった印象を受けました。 寺田(成田三樹夫)の最後のセリフ、「あんた(坂西葉月=三田佳子)がワヤくちゃにしたんや、あんたのせいや」というセリフが結構深くて好きでした。三田佳子に岩下志麻の根性と理念があれば女大親分になれただけに、「当面は私が跡目を継ぎます、ニヤリ」としても寒々しい感じでした。色んな意味で哀しいラスト。(現:君島十和子(旧:吉川)がメチャカワっす) [地上波(邦画)] 6点(2024-01-19 14:59:51) |
6. 極道の妻たちⅡ
《ネタバレ》 以前二作目だと思って見た作品は別の物で、正しくは本作が極妻の二作目でした。勘違いしていました。 十朱幸代の極妻は素敵なのですが、前作岩下志麻と比べると少々迫力不足の感は否めません。しかしそこは演技力でカバーしてくれていて見ごたえは十分なのですが、木本燎二(村上弘明)が妙な眼力で幅を利かせてくるもんだから天下の十朱幸代も霞んでしまっています。全体を見渡した場合、かたせ梨乃、藤岡琢也、神山繁、綿引勝彦、草笛光子ら出演者はなかなか豪華なので、基本的にはどの時間帯を切り取っても退屈はしません。 問題はストーリー展開。最後まで木本頼り&バレバレのいかさま賭博という、何だかよく判らない映画に成り下がってしまっていて、「極妻の続編でやる内容だったの?バカなの?死ぬの?」という違和感が最後まで付きまといましたが、日本アカデミー賞をいくつか取っているようです。 豪華出演陣に免じてこの点数ですが、ラストの船の流れとか雨の流れとかも要らないシーンだったような気がします。ちょっとにわかには信じられないくらいとっ散らかったストーリー展開の作品でした。(いい意味で80年代かな) [地上波(邦画)] 4点(2024-01-19 14:55:51) |
7. 乱
《ネタバレ》 わざわざ元日にこんな重たくて暗い映画をTV放送する意味がどれくらいあったのか大いに疑問ですが、なんだか落ち着いてシッカリ鑑賞することができました。黒澤明だからという特別な気持ちは一切持っていませんが、なぜか黒澤映画は心に残るシーンが多い。本作に関してもやたらと印象に残る独特なシーンがあって妙に引き込まれました。 内容的にはよくあるシェークスピアをなぞっただけというありきたりな流れですが、元々リア王が手を加える部分が無いド定番の流れなので、やはりどこの世界でもいつの時代でも長男次男は愚かなものだと痛感させられます。 皆様同様、楓の方(原田美枝子)が素晴らしい。これと双璧をなすハズだった末の方(宮崎美子)の顔がアップにならないのは解せませんでした。しかも秀虎(仲代達矢)とのシーンでは表情に言及するのでなおさら見たくなりました。また、狂阿彌(ピーター)がかなり役不足で残念でした。いえいえもちろん頑張ってはいますが、明らかにスペックが足りておらず準主役といえなくもない大役を任されるにしてはかなり物足りない演技力だったと感じます。 良かった点は太郎次郎三郎で旗の色が異なる点は判り易くて良かったです。また血の色が妙に鮮やかな点も素晴らしかったです。まるでこの世の地獄がきちんと描けていました。これらはカラーならではの利点でした。随所に間延びする部分もちらほらありましたので少し厳しめの点数にしてありますが、個人的には傑作とは言い難いもののかなりの良作でした。 [地上波(邦画)] 7点(2024-01-04 14:43:21) |
8. ザ・フライ
《ネタバレ》 やっぱりなんだかんだいってクローネンバーグが撮影した本作は名作。ただ、序盤から不要な部分は潔くカットされていて、本当に必要なことしか見せないのはちょっとやり過ぎです。個人的な感覚ですが、映画といえば無駄にゆったりしたシーンも必要だと思っている私からしたらちょっとせせこましい印象でした。 冷静に考えたらあれほど頭が良い主人公(セス=ジェフ・ゴールドブラム)が、少し女に絆された程度で頭に血が上って、、勢いに任せポッドに入ってしまうのは少々無理があります。まあ、裏を返せば女が絡むと怖いよなぁとも言えなくもありませんが。あと、ハエ男の変化途中はかなりリアルでグロいですが、当の本人は割と興味津々で精神的にタフな点も少し違和感がありました。普通なら自殺もんですよねこれ? 全体的によく出来た哀愁漂うSFホラーですが、ベロニカ(ジーナ・デイビス)の精神がちょいちょい理解不能で困っちゃいました。アレ(ハエ男)を見て、いくら元恋人であっても「可哀そう~ ハグ~」とはならないと思います。やっぱ明らかにキモイしグロい怖いしで、一刻も早く関わりたくないってのが正常でしょう。 あと忘れてはいけないのが、キモウザ元彼(ジョン・ゲッツ)も、ぶっちゃけた話、こんな女に関わったばっかりに手と足を無くしてしまうという大惨事に見舞われてしまった不幸な男です。ラストでジョン・ゲッツが死ななかった点もクローネンバーグのいやらしいところだと思います。数十年ぶりに見ましたが本当に素敵な映画でした。 [地上波(吹替)] 7点(2023-12-16 22:10:19) |
9. ラビリンス/魔王の迷宮
《ネタバレ》 対象年齢15歳以下ですが、これが意外とよく出来ていて楽しい映画です。当時ローティーンだった私は、、「こんなに可愛い女の子が世の中にはいるんだ!」と感激した思い出が蘇ります。映画雑誌ロードショーなどを買ってマジマジとジェニファーの顔を見たものです。彼女のゲジ眉をバカにする同級生もいましたが、私は顔では笑いつつも密かに恋心を募らせたものです。デヴィッド・ボウイも当時人気爆発中でしたが、個人的にはあまり好きではありませんでした。35年以上の月日が経って、今見てもやはり歌のシーンは少々退屈。あと、タイツのもっこりが気になってだな・・ ストーリーはシンプルで分かりやすく、魔王の設定などにも無理がありません。幼い少女が遭遇するおとぎ話としては非常によく出来ていますが、ジェニファーの設定が15歳にしては少々幼過ぎる印象はありました。序盤の弟への接し方やお姫様遊びなどは明らかに10歳程度の精神年齢感覚で、この部分においては少し違和感を感じてしまいました。(まあでも、そのおかげでジェニファーが余計に可愛いわけですが) 今の年齢(50歳)になって見返してみると、魔王=明らかに彼女の負の心理であることが判ります。そう考えるとホグルは良心、サー・ディディモスは勇気、ルードは平和(安心)でしょうか。ラストのエッシャー的な世界(部屋のポスター)からも判るように夢見がちな少女の空想の産物といえなくもない物語でしたが、最後のパーティー描写を付け加えていることを考えると現実に起きたお話だったと解釈するのが正解でしょうか。 他の方も書いてらっしゃるように、マペットの動きが今見ても素晴らしいです。終盤の石コロ戦争も可愛くて安心して見ていられます。光学合成もさほど違和感なく今の時代でも十分に見られますが、オープニングのフクロウは流石にラフ画のようで粗かったですね。とにかく、今見てもジェニファーがものすごく可愛い。一発屋だと思っていましたがまさか超一流の女優になるとは当時夢にも思いませんでした。懐かしい思い出補正で少々甘めの点数です。 [地上波(字幕)] 7点(2023-11-12 15:19:17)(良:1票) |
10. バグダッド・カフェ
《ネタバレ》 昔からタイトルと給水タンクのイメ―ジは有名です。もちろん主題歌「Calling You」も有名ですが、でもなぜか全く見る気がしないまま2023年になりました。TV録画されていたのでついに重たい腰を上げて見ることにしました。序盤油断してると、主題歌の素晴らしさと凝った映像で一気に引き込まれそうになりますが、30分くらいまではほとんど意味が判らなくてもう見るのを止めようかと思うレベルです。ただ、掃除をし始めてからがぜん面白くなってきて、ジャスミン・ムンシュテットナー(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は何者なのか?急に彼女が魅力的な人物に見え始めてきます。 絵のモデルになってから徐々に気持ちを許して脱いでいくのは笑えます。また、やたらと美人のタトゥー彫り師も気になりますが、なかなか全容が映りません。正面から映ったと思ったらまさかの退場(笑)窓越しからの夕陽のシーン、感度を上げてワザと粗い映像で見せる幹線道路の先の距離感も素敵です。あと、カラーシートを当てたようなブーメランのシーンも素敵でオシャレ。 ただし、現実的な事を書くと最高級の主題歌から連想されるイメージはやはりイケてる刹那的な若いカップルだったと思うし、フィルム感度を上げた粗い映像もスマートな若者カップルを被写体とした方が絵になるような気がします。おそらくこの監督さんは絵にならない被写体をあえて絵の中に納めたかったのかもしれません。ヤスミンのビーチクや変な果物などからもそう感じました。 原題「Out Of Rosenheim」を「バグダッド・カフェ」とした配給会社のセンスは素晴らしかったです。原題のままだと多分ヒットしなかったかも。個人的にはラストのパーティは全カットで静かに求婚する流れでしたら9点でしたので非常に惜しい作品。何度も見たくはなりませんが印象深くて素晴らしい映画でした。ミニシアターブームも納得の、まるで小さな宝石のような作品です。 [地上波(字幕)] 7点(2023-11-09 12:50:15) |
11. 愛は静けさの中に
《ネタバレ》 他の方もご指摘のように、きっかけが「見た目が好みだったから」というのがバレバレでシラケます。出来れば外見が普通の見栄えの女性と中身だけで勝負していただきたかったところですが、それだと映画的に絵がもたないのも理解はできますので、、何ともまあ、もどかしいところではあります。 調べてみるとサラ(マーリー・マトリン)はガチのろうあ者だったのですね。先天性ではないにせよ、障害者であの美貌は驚きです。ジェームズ(ウィリアム・ハート)は主演男優賞ノミネートのみですが、彼もかなり良い演技だったと思います。彼は心底良い人が表現できていたと思うし、先生としての努力や健常者の立場から見た愛する人への苦悩もきちんと描けていたと思います。「君が聴くことができないレコードを聴いてももう楽しめない」は結構深くて、本当に彼女を愛していることを端的に言い現わしていた素晴らしいシーンだったと思います。また、言い争った後、責められた彼女が初めて思いきり大声を出すところもかなり泣けるシーンでした。 全体的にそつなく綺麗な脚本ですが、裏を返せばろうあ者であるということを抜きにすると何だかただの真面目で普通の恋愛映画。ここは思い切ってプールで二人で戯れる美しいシーンをラストに持ってきたほうが良かったかもしれません。また、ろうあ者の世界を表現するためにエンドロールは無音にしていただきたかったと、個人的には思いました。(辛口評価ですが、最近見たような障害者を題材にした映画よりは百万倍良かったので甘めの点数にしてあります) [地上波(字幕)] 8点(2023-11-02 16:31:33) |
12. フラッシュダンス
4KのTV放送でやっていたので久々に鑑賞しました。フラッシュダンスとクイックシルバー(1985)を見ると当時”倉庫暮らし”に真剣に憧れたな~!という青春の思い出が蘇ります。その後社会人になってから、大真面目に代々木の事務所ビルのワンフロア(副都心が見える)を住居として借りようとしたことがありましたが、事務所=風呂が無くて結局断念しました。 映画としては大して面白くないです。当時もそんなに面白いとは思っていませんでしたが、なぜか巷では大流行りで”アノ音楽”が社会現象化したほどです。久々に見ると主人公がやたらと若く、ほとんど子供だったことに驚きます。自分もハタチ前後の時はあんなもんだったのかなと、妙にノスタルジーを感じます。 終盤の流れが端折り過ぎていて今見ても少し違和感ですが、”ここは察してくれ”という映像表現は嫌いじゃないです。よく考えたら1985年のバックトゥザフィーチャーあたりから妙に説明的な映画が増えたかもしれません。あと一つ気になったのが、カメラワークが下手だと感じた点です。当時の流行りだったのかもしれませんがアップが多くカットが落ち着きません。アップのおかげで官能的になったか?というと別にそうでもなくて、単にワチャワチャした印象ばかりが悪目立ちしたシーンが多くて疲れました。 いつか乗りたいと思って結局乗れなかった黒の81年式ポルシェ(911スーパーカレラ)が素晴らしいです。いろんな意味で思い出補正で少し点数オマケしています。 [地上波(字幕)] 6点(2023-10-26 11:35:00) |
13. ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌
《ネタバレ》 久しぶりに見ました。これの面白さは昭和45~50年生まれくらいの人で、ビーバップが爆発的ヒットした当時を知っているかどうかにかかっています。連載当時隔週発売だったヤンマガは中学生にはちょっとオマセで、美少女の登竜門だった巻頭グラビアもシャバい中坊にはエロかった。とにかく実写版に登場しているほとんどの人が原作マンガにソックリ過ぎて笑えるレベル。順子役の宮崎ますみがやたらと綺麗ですが、実際、当時のヤンキー内にはああいった極上の美女が混ざっていて羨望の眼差しを一心に受けていました。 個人的にぜひここに書き残したいのが、浅野ゆう子扮するスナックのママ加奈江が色んな意味で凄かったということ。まずエロいことは当然ですが薬でもやってんじゃないの?というくらい意味不明な歌や行動にも注目してください。 第一作目の前作も割と凄かったのですが、本作もなかなか豪華。【亜流派 十五郎】さんも書かれていますが、成田三樹夫(テルのオヤジ役)、草薙幸二郎(お願いだから死んでくれの先生)、地井武男(鬼島刑事)、浅野ゆう子(加奈江)、木之元 亮(新田=太陽にほえろのロッキーの人)、宮崎ますみ、中山美穂などそうそうたる出演陣です。パチンコ屋で地井武男がテルをシバくシーンも渋いし、個人的には如月翔子(五中の鬼姫)中野みゆきも可愛かったです。 敏光(土岐光明)とテル(白井光浩)も非常に印象深く、原作マンガに迫るクリソツな雰囲気は素敵でした。また、すでに原作マンガ時代からありましたが、この映画辺りからリアルにボンタン狩りや三段警棒、鼻エンピツ、口エンピツなどが横行し、非常に恐ろしい昭和末期の時代でもありました(平成元年なんですけどね)。また、実際に新田のような元ヤンや元族上がりのハングレ(というかもっと硬派)な人も沢山いて、トオルやヒロシ、敏光やテルのような後輩を可愛がっていたりしました。まあ、あの当時を知っている人には文句なしの映画でしょう!(エンディングのJINGI・愛してもらいますも80年を象徴するようで素敵ですが、随所に映っている街の風景も80年代をしっかり記録していて素敵でした) [ビデオ(邦画)] 8点(2023-08-25 11:43:14) |
14. アンタッチャブル
《ネタバレ》 4Kテレビ放送されていましたので久しぶりに鑑賞しました。忘れている箇所も多くて案外楽しめました。でも裏を返すと「久しぶりに楽しめた」という程度で、古いマフィア物としてはゴッドファーザーほど重厚ではなく、駅でのドンパチ物としはカリートの道ほど洗練されていません。また、ドラマアクションサスペンスとしてもL.A.コンフィデンシャルほどにはハラハラせず、何となく全体的に退屈で凡唐な仕上りだったと思います。(昔見た時はもっと面白かったという印象があったのですが・・) 致命的なのが全体的に話が広がり過ぎている点。禁酒法とカポネという、最初から大風呂敷が広がりまくった状態から4名に収束させる流れはウマいものの、この4名の掘り下げが甘いせいでどうも人物に深みがない。演者の演技力は非常に高く四者四様にキャラ立ちしていただけに、彼らに感情移入できない点はイタすぎました。個人的にはカナダ国境での馬のアクションをバッサリ全カットし、その分でしっかり四人の内面を掘り下げていただきたかったところです。 唯一主人公のネス(ケビン・コスナー)にはある程度の感情移入ができるものの、家族と危険な捜査の間で揺れ動く心情までもは表現されておらず、結局最後は深みも無いまま私情に任せて行動してしまいます。ヘタレのマローン(ショーン・コネリー)の豹変ぶりも違和感、新人のアンディガルシアも完全にオーバースペック気味で無駄になってしまっています。カポネ(デニーロ)も魅力的でしたが、あくまでアイコン化された表面的なイメージしか表現されておらず、そのまま消化不良で終わってしまいます。(バットの一件はいったい何だったのか・・) 決して悪い仕上りではないものの、2時間に納めるには無理があり過ぎました。個人的には可もなく不可もなくといった微妙な点数で、ここで高評価されているほどの映画だとは感じませんでした。 [地上波(字幕)] 6点(2023-07-18 12:38:14) |
15. ニュー・シネマ・パラダイス
《ネタバレ》 個人的には「海の上のピアニスト」は非常に良くまとまっていて素晴らしい作品でしたが、名作と名高い本作「ニュー・シネマ・パラダイス」(短い版)はまったく心に刺さりませんでした。もちろん随所に素晴らしいシーンや素敵なセリフ、映画愛に溢れたシーンは散りばめられていましたが、だからといってこの映画の教訓や哀愁が私自身に突き刺さったか?というと、そうではなかったです。 カットされていたラブシーンのことや99日で去ってしまった兵士の話、アルフレード(フィリップ・ノワレ)に感化されながら同時に教育も受けたトト(サルバトーレ・カシオ/マルコ・レオナルディ)自身の恋愛観や人生観は素晴らしいです。彼ら二人が培った生き方や友情物語はとても素晴らしく、トトの恋愛の行く末も哀愁を帯びていて悪くないものです。(初恋が成就しない人も多い中、トトは成就した訳だから良いほうではないかと) ラストもそつなく綺麗にまとめられていて、成功した(おそらく映画監督)中年期のトトと老いた母や町の人達との会話も意味深くて素敵でした。 全体的に音楽も素晴らしく作品としては本当にそつなく綺麗にまとまっていますが、だからといって高得点にはつながっていないような気がしました。個人的な意見ですが、コンパクトにまとまった凡作といった印象です。「ショーシャンクの空に」同様、世の中の高い支持が理解できない作品でした。いや、決して悪くはないのですよ・・ 余談ですが、この映画を見て強く共感した点は”やはり映画は投影しないとダメだよな”ということです。私自身映画とは大画面であるべきなのは当然ですが、投影されているということが重要だと信じています。(自宅プロジェクター鑑賞、100インチ 2.1チャンネル) [インターネット(字幕)] 4点(2022-09-09 12:15:23) |
16. アラビアのロレンス 完全版
《ネタバレ》 名作と名高い本作でしたが横目で受け流すこと数十年、今回仕事がひと段落して気持ちに余裕があったのでついに鑑賞しました。227分のレストア版でしたが、オリジナルが1962年であることを考えると今回見た227分(レストア版)は恐ろしいほどに綺麗な画質でした。映画館には劣りますが自宅100インチオーバーのスクリーンで鑑賞しましたので、壮大な雰囲気は十分に味わえたと思います。 アラブ系・中東系の話なので時代背景に明るくないと非常に難しい映画です。私は一応簡単に時代背景を勉強してから鑑賞しましたが、それでもよく判らないまま流れに任せた感があります。一番の問題はロレンス=エル・オレンス(ピーター・オトゥール)の演技がミュージカル風味なので違和感を感じた点です。1962年という時代背景のせいかと思いましたが他の演者はそうでもないので、変人といわれていた本人に寄せたのかもしれません。この点は激しく違和感を感じました。また、インターミッション後の後半の彼の人格がおかしくて感情移入しにくくなっています。元々起伏の激しい人物だったのか、それともついには心を病んでしまっていたのか判りませんが、、とにかく神経衰弱のように見えるのです。 ただし、エル・オレンスの置かれていた立場と戦闘の大きさを考えると致し方ないような気もします。しかしながら元々は自分から進んで事を初めている訳ですので、同情の余地はないでしょう。今も混沌としている中東系ですので、この当時はもっともっと過酷であったと思わまれます。そういった観点から考えるとイマイチそういった過酷な部分までは映画化できていないなぁとも感じます。名作に敬意を表して、また雄大な映像に敬意を表して点数は少し甘めです。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-09-08 14:31:53) |
17. ハンバーガー・ヒル
プラトーンが世界的に大ヒットし、その後二番煎じ的に公開された本作。当時中学二年生でしたが既にどっぷり映画オタクと化していた私は、18時30分からの試写会ハガキ(一人用)を握りしめ、夕食も取らず喜び勇んで見に行った記憶が蘇ります。ただ、見終わった後はガッカリで、21時という遅い時間に足取りも重く帰宅(&軽い食事)した記憶が鮮明に思い出されます。 今回35年ぶりに再鑑賞してみましたが、前半35分ほどは中学二年生には早すぎるシーンの連続で面白くなかったハズだわ、と。そしてその後の戦闘シーンもただただ淡々と激戦とその間の兵士たちの心情を描くだけでプラトーンのようなドラマチックな展開は無く、かなりの真面目&リアルを意識した映画だったんだなということが理解できます。 映画ファンなりの持論を展開するとすれば、映画などの映像作品は基本的に2つのパターンしか存在しません。1つは好みや内容に関わらずついつい目が離せなくなるもの。そしてもう1つはそれ以外のものです。残念ながら本作ハンバーガー・ヒルは後者だと感じました。プラトーンやフルメタル・ジャケットなどと比較すると、本作はどうにも退屈してしまって集中力が続きませんでした。(イミフと名高い地獄の黙示録でさえ、なんか凄い映画だということが広く認知されていたし、私自身もオープニングから目が離せなくなる) ただ実際には「アパッチ・スノー作戦」という実際にあった事柄の映画化だそうで、ほとんど音楽がないことからもかなりのリアル路線であったことが推察できます。937高地(通称ハンバーガー・ヒル)という丘を奪取するための10日間の激戦と、それに伴う一休みする描写が交互に、なおかつ非常に丁寧に描かれていて撮影としては意外と手間がかかっています。(でも泥んこの中で何やってるかよく判らない) 素人ながらざっくり言ってしまうと、最前線のドラマチックな展開や激戦の模様は他の作品に任せておいて、本作では「第101空挺師団の補充兵」として前線に送られる前段階の話を描いてくれたほうが面白かったかもしれません。前半部で描かれたようなベトナム女との情事、疑問、葛藤、哲学などを中心に描いてくれていたら他の戦争映画とは違った趣になったのではと感じます。当時の残念だった記憶を考慮し、若干厳しめの点数といたします。 [試写会(字幕)] 4点(2022-08-28 15:36:45) |
18. グーニーズ
最近見返してみましたが、え?こんなに適当だったっけ?という印象です。まあ確かにBTTF前の80年代映画といえばかなり適当なノリが当たり前だったのは事実ですが、懐かしさを通り越して、これほどまでにグダグダ感が悪目立ちする映画だったとは少し驚きます(汗) 忘れもしない、私にとってグーニーズといえば苦い思い出の代名詞です。当時子供のくせにかなり映画が趣味だった私(小6か中一)と妹(小3くらい)は、父の意見も聞かず恒例新春ロードショー鑑賞=グーニーズ推しで、、正月早々家族で市内の映画館に出かけました。(父はBTTFが見たかった様子) 冬休みが終わって学校へ行くと、クラスの映画通(背の低いマセた理系の男だった)が熱弁しているBTTF最高説。自称”映画通”の私がBTTFをスルーし、あろうことか子供向けのグーニーズに熱中してしまったという事実。いやでも楽しかったぞグーニーズも・・ 子供向けの映画を楽しんだ自分自身にガッカリしたことを認めたくない複雑な子供心が今も苦い思い出と共に蘇ります。(当時日本ではディズニーマルパクリのグーニーズはとても人気があったし、シンディー・ローパーのアノ曲も知らない人は居ないハズです) 肝心の映画のほうですが、各シーンはグダグダですが全体的なプロットは綺麗にまとまっています。夢があって素晴らしい演出の数々&素敵なラストですが、今見るとあまりにも予定調和というか恥ずかしいほどにベッタベタな展開には苦笑い必至です。当時の純粋な子供心で採点すれば8点、今の大人目線で見たら3点。苦い思い出も含めて5点としておきます。。 [映画館(吹替)] 5点(2020-08-10 15:55:04) |
19. トップガン
来年続編が作られるということで久しぶりに見る気になりましたが、今見ると大して面白くもないし凄くもないですね(笑)公開当時は超絶にカッコいい映画だと話題になったし私もそう思いました。その後30年、今でも記憶の中では「TOP GUN=ジェット戦闘機の凄い映画」という印象しかありませんでした。年月(風化)とは本当に恐ろしいものです。 当時、アイスマン=嫌な奴という印象でしたが、今見ると文句のつけようがないくらいのイイ奴でびっくり。やっぱ人って外見やイメージだけで相手のことを記憶するんだなあとしみじみ。続編がコケないことを切に願って、楽しみに待っています! [インターネット(字幕)] 6点(2019-08-10 11:03:12)(良:1票) |
20. プレデター
名作といわれますが何度見ても微妙な評価です。まずアラン・シルベストリの音楽がクドイです。BTTFでは奇跡の音楽を奏でましたが、今作は森林の中でただただ騒がしいだけに感じました。そして役者のほとんどが大根である。昔はよく「スタローン派」か「シュワ派」かなどの議論があったものですが、やはり私は今も昔も断然スタローン派です。ファンの方には申し訳ないのですが、シュワさんは何だかバカっぽく見えてしまうんですよね・・(実際は知事までお勤めになって、全く違うのは理解していますが) そもそもこの監督さんと私はあまり相性がよくないです。ダイハード1もそうですが、なんだか途中で退屈になって見るのが嫌になってきちゃうんですよね・・(笑) プレデターはネタとしては最高のものです。それこそキャメロン監督がメガホンをとっていたらもっと素晴らしい映画になったと思います。後世続編がたくさんできたことを踏まえてこの点数です。 ちなみにヒロイン?さんはアジア系かと思ったらまさかのメキシコ系でした。いやまあ、それだけですが。 [インターネット(字幕)] 5点(2018-11-14 16:09:36) |