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1.  日蓮と蒙古大襲来 《ネタバレ》 
元軍が暴風雨のために壊滅してくシーンはおそらく日本の特撮史において特筆すべき圧巻です。実写と特撮を短いカットでつないでいくことで極めて迫力あるシーンとなっています。そのつなぎは決して不自然ではなく、例えば実写にて船上で水と火に翻弄される元軍兵士を映し、次に特撮で船から多数の兵士が海に投げ出されている等、壊滅のプロセスを丁寧に描いています。確かに、前半は日蓮のエピソードがうざいほど語られて、ややストーリー的にも平板な感は否定できません。しかし、あくまでも特撮映画としてみるとき、ここで試されたスキルやテクニックがやがて「大魔神」につながっていくことを考えれば、東宝や東映とは異なる独自の立場を確立しているということは言えると思います。(この作品を民族的な視点で評したり、神風を扱っているから荒唐無稽としたり、あるいは特定の宗教的立場で論じたりしたとしても、本作の魅力を語ることにはならないと思います)。
[DVD(邦画)] 6点(2015-09-05 17:09:00)
2.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
今どきのCGと、当時の特撮をまともに比較して優劣をつけてもあまり意味はないでしょう。逆に、むやみにお金をつぎ込んでCGの効果に安易に頼るような、ろくでもない作品は決して少なくありません。むしろ、ミニチュアや着ぐるみが原罪的に逃れることのできないチープ感を、カメラワークやライティング、カット構成と編集、ストーリー展開、リアルな演出等で打ち消そうとする試みこそ、特撮映画の醍醐味だと思います。本作は、「空の大怪獣」とうたいながら、“炭鉱”というきわめて地上的なシーンからスタートすることにまず驚きがあります。ラドンが地底に眠っていたという理由を引き出す舞台設定となるわけですが、おそらく当時の観客にとっては意外性から始まるオープニングだったはずです。劈頭に「殺人事件…」云々のプロットはよくサスペンスものに多い、小さな出来事がやがて大きな事件に発展していくという構成法をなぞっています。その殺人は結局はメガヌロンという虫の仕業だったのですが、この怪獣は決して蛇足ではなく、その実物大で人を襲わせるシーンをしっかりとみせておくことで、のちにラドンがメガヌロンを餌としてついばむシーンにおいて、そのラドンの巨大さを説明する伏線にもなっているのです。このように、私は怪獣映画にとって最も重要なのは、懐柔を登場させるための必然性や蓋然性が違和感なく設定されていることだと考えます。このラドンの場合、ラドンを登場させるための各種の「謎」をサスペンス型に構成しているという点で、他の怪獣映画とは少々異なった雰囲気を醸す要因となっているのではないかと感じます。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-14 05:39:27)(良:1票)
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