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1.  ラブライブ!The School Idol Movie 《ネタバレ》 
学校の存続をかけてスクールアイドル【μ's】ミューズを結成し、努力の末、9人のメンバーたちはスクールアイドルの全国大会であるラブライブで優勝する。三年生たちが卒業したのちスクールアイドルは続けるが、ミューズという名前では活動しないことを決意する。そして卒業後、メンバーたちにアメリカのテレビ番組から出演依頼が来るところから映画が始まります。  海外でのライブを終えて帰国すると、日本でも中継された動画やテレビを観て、空港には大勢の彼女たちのファンがいてメンバーが嬉しさ反面、困惑します。海外から逆輸入という形でさらに知名度や人気が頂点になる。面白いと感じたのが、日本を代表する音楽グループであるYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)と共通点がいくつかあり、彼らも海外のツアーを終えて帰国したとき、人気が爆発的に広がり、町を歩きづらかったと言っています。さらには人気がでたので、辞めたくてもグループを辞めることが難しい状態になっていました。ミューズも人気がでたので、そのままで活動してほしいという声がたくさんでてきます。  また、ミューズのライバルであるA-RISE(アライズ)の描かれ方が素晴らしかった。友好的なライバルとして、同じスクールアイドルとして、スクールアイドルのトップだった彼女たちの考え方や、ミューズに対する接し方など、他の作品でもそうですが、そういった能力のあるキャラクターは他人を見下したり、残酷なことをするんですが、彼女たちはそういったことが一切なく、どこまでも向上心があり、アライズがいたからこそ、今のミューズがあるのではないのかと感じました。  スクールアイドルと、現実のアイドル。本質は一緒だと思います。見た人を元気にしたり、笑顔にしたりされたり。違うのはバックに企業がついたり、プロですから当たり前ですが、他のアイドルは皆、ライバルあるいは敵で、売り上げを気にしなければならない。スクールアイドルは学校の部活動のようなものですから、ある程度自由に行動できるし、自分たちで創作することができる。だからミューズの呼びかけで、全国からスクールアイドルたちが路上ライブに参加してくれたし、一緒に皆で曲を創ることができた。そのときそのライブを見た人や参加した人たちは、おそらく皆がそういったアイドルの本質である気持を自然ともっていたのではないでしょうか。これってなかなかに凄いことだと思う。  内容の無い音楽CDに変な特典をつけて、売り付けたり、能力もないのに無理やりテレビや映画に出演している昨今のアイドルと呼ばれている人たちに比べ、スクールアイドルの彼女たちのほうが、よっぽどアイドルしてると感じました。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-07-14 01:18:18)
2.  華氏451 《ネタバレ》 
テレビの情報の取捨選択が難しいのは、一つの情報を垂れ流しにすることもそうですが、間違いの情報を一度に沢山の視聴者に見せてしまう恐れがあること。いくらでも編集で視聴者を騙すことが可能。本はその本を読む前から、タイトルやジャンルによって読者による情報の取捨選択があり、読みたい本だけを読めば良いし、テレビと違い長く書物は残るので、作者の思想はなかなか消えない。  この華氏451では本を読むことが禁止され、消防士(ファイアマン)たちはまだ存在する書物を焼却することが仕事。オープニングのクレジットを音声によって示したり、新聞の漫画に文字が一切無かったり、文字表記を徹底して排除しています。違法に本を所持する人間を知らせるためにポストのようなものに手紙を入れるのではなく告発文を入れたり、しっかりと消防士たちがどのように本を探して焼却するのか実習をするシーンがあったり、なかなかリアルで面白い世界観でした。テレビを見ている人間は、テレビがすべてというように単調なテレビ番組でも一喜一憂し、嘘の情報でも簡単に信じてしまったりと現代でもこのようなことは普通にありますよね。約60年前に原作が出版されたことを考えると、原作者であるレイ・ ブラッドベリの先見性は凄いと思いました。  本を暗記して頭の中に保存するという方法も原始的でなんだか素敵でした。本を読むことを禁止して思想を抑制しても、本を愛する人たちが存在するかぎり、どんなに本を焼いても内容は消えることはないし、次の世代に受け継がれていきます。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-06 06:36:22)
3.  エクソシスト ディレクターズカット版 《ネタバレ》 
映画は人間の欲求や快楽を満たすためだけではなくて、何かを感じて考えさせなければいけないと思うのです。監督自身も単なるホラー映画にはしたくない…そして観る人間に考えてほしいと言っていたように、観返すたびに考えさせられ、今まであまり気にしていなかったシーンやセリフに意味があったり新しい発見があります。 信仰を失いかけているカラス神父は、信仰に馴染みのない私たち日本人でもその苦しみはわかるはずです。誰だって大切に思っていた事柄が信じられなくなったり、大切な人がもし死んでしまったら…考えるだけでも恐ろしいですよね。悪魔に取り憑かれたリーガンの首が一回転したり階段を信じられない恰好で血を吐きながら降りてきたり、悪魔の顏が暗闇のなかで一瞬映ったり、そういったシーンも恐ろしいですが、母親のそばに居ることができなかったカラス神父や、娘を助けたくても助けることができないクリスの心情を考えるとこれらのほうがとても恐ろしく思える。そこにこの映画が単なるホラー映画ではないと言われる理由があるのだと思う。リーガンの部屋の窓から淡い光が射し、街灯の下にメリン神父が立つ善と悪が対峙するシーンや、悪魔の居る空間では吐く息が白くなる緊迫感。とてつもなく力強い信念のようなものをこの映画から感じました。
[DVD(吹替)] 10点(2015-05-26 02:49:25)
4.  フェノミナン 《ネタバレ》 
ジョージ・マレーはある日空から不思議な光をうけて手を触れずに物を動かせたり、地震を予知できる超人的な能力を得ます。この映画の素晴らしい所はこの不思議な能力の使い方で人を助けるために数分でポルトガル語を話せるようになったり、野菜が育つように肥料を作ったりと私利私欲のためだけに能力を使わないジョージに感動しました。どんなに頭が良くなっても好意をもっている女性をなかなか振り向かせることができないところも良いですね。こういった能力を手にした人間が描かれた他の作品では身近な人間の態度が豹変したり、私利私欲の限りをつくし家族も友人も失い最後には破滅する話が多い。しかしフェノミナンではジョージの能力を恐れ周りの人間が離れていったり能力を悪用しようとする人間が現れたりするが、主治医の先生や親友のネイト、好意を寄せていたレイスなどは能力を得る前と得た後でジョージに対する態度や接し方は変わらなかったし、「誰だって僕のようになれる」というジョージの言葉には関心せずにはいられないのです。この映画は超大作では決してないけれど素朴で優しい気持ちになれる作品だと思います。
[DVD(吹替)] 9点(2015-05-21 01:42:56)
5.  サイン 《ネタバレ》 
シャマラン監督が撮った映画にはまず表面的で大きなテーマがあります。シックスセンスでは幽霊が見える。アンブレイカブルでは大きな事故があっても生き残り人生で一度も病気になったことがない……。そしてこの【サイン】はある日ミステリーサークルが突然出現して宇宙人が攻めてくる。 しかし、シャマラン監督の映画にはそういった表面的で誰にでも一見で分かる事柄よりも、もっと内面的で悪く言ってしまえば分かりづらいテーマが存在していると思うのです。シックスセンスは「見ようとするものにしか見えない」とか、ホラー映画とみせかけて崩壊寸前の家族や人物が救われるヒューマンドラマのようだし、アンブレイカブルでも「最大の恐怖をしっているか?」など自分が何者かがわからない恐怖。シックスセンスと同じで一つの家族の話ともみてとれます。 【サイン】でもそれは同じで小説の宇宙戦争のような映画に見えますが、この映画は一つの家、一つの家族に焦点をあて、大切な人の死で信仰を失くした元牧師グラハムとその家族が不思議な感覚や癖、母親が残した言葉などそういった一つ一つの多くの目には見えないサインを通して一つの家族がどうなるのか。それは偶然なのか必然なのか? 私はこの映画も絶望を感じている人間が再生される、大袈裟に言ってしまえば一つの家族が宇宙人の侵略をきっかけに失われそうになっていた家族愛を取り戻す話ではないのかと感じました。 宇宙人が家に侵入しようとしたとき、子供たちが生まれ時のことを話すグラハムや、宇宙人が攻めてくる直前の食卓にて抱きしめあう一つの家族。SFやホラーというジャンルに区別することが難しい、そして非常に内面的な映画だと思います。ここのサイト様でもそうですが、シャマラン監督はシックスセンスだけの一発屋とか「オチがくだらない」などあまり評価されていない監督ですが、カメラワークだけで人物の感情を表現したり、描くことの難しい内面を表現しようとしている所、音楽の使い方など、もしかしたら本当はものすごく能力のある監督さんなのではないのかと感じました。
[DVD(吹替)] 10点(2014-12-21 12:57:06)
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