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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  バッド・ブラック
ワカリウッド映画もこれで視聴3作目。 見ていく内に"文法"が分かって来た気がする。 ・冒頭と終盤に激しいアクションシーンを設けて、間にドラマパートが挟まれる ・他作品の登場人物が本作に出演するユニバース方式 ・編集ソフトの特殊効果主体のチープな特撮な反面、恵まれた体躯を活かしたカンフーアクション ・VJエミーの全編ハイテンションなナレーション、彼なしでは話が分かり辛く、辛気臭い雰囲気になっていた  ちなみに日本絡みのワードがいくつか出てくるが、 配信されている国によってナレーションを変えてローカライズしている細やかな気配りがなされているとか。  本作は孤児の少女が搾取される側から犯罪組織のリーダー"バッド・ブラック"に成り上がる話と、 彼女に全財産を騙し取られたアメリカ人医師がカンフーマスターの少年から特訓を受けリベンジする話が交錯する。 冒頭の展開が伏線として終盤に活かされる、ストーリーテリングに努力の跡が見られるも面白さに繋がらない。 シリアスメインで貧富の差、ストリートチルドレンといった社会問題を盛り込んでいても、 もはや金太郎飴みたいなフォーマットと化して、徐々に飽きている自分がいた。 いくら映画作りの情熱があっても、資本や才能の壁が立ちはだかる。  現在でも監督は年に一本は撮っていて、ウガンダのスラム街からエンタメと現状を発信している。 シネコンで500円提示されても厳しい出来であるが、撮り続けて次世代に希望を見せて、未来に繋げてほしいと願うばかり。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-06-05 22:46:20)★《更新》★
2.  クレイジー・ワールド 《ネタバレ》 
2014年製作のオリジナルを日本公開用に2019年に再編集されたのもあり、 冒頭に日本の視聴者への謝辞が寄せられている。 最初と中盤に、本編とは無関係の海賊版への注意喚起がなされるも、 『グエムル』のワンシーンや『インディー・ジョーンズ』のBGM、 ポケモンの効果音を無許可で借用しておいて説得力ないでしょ(笑)。 ウガンダから飛び出して、海外で大暴れしている海賊版ハンターは面白かったけどさ。  タイトルに偽りなしで、ウガンダの抱えている問題の一つである「児童誘拐」をテーマにしている。 現在でも黒魔術は依然として残っており、生贄に捧げるために多くの児童が村から攫われ命を落とす。 本来対応するはずの警察官は信じることなく、一方的に変人扱いして行動も起こさないため、 詐欺が当たり前に横行し、安易に信用してはいけないウガンダの現実を垣間見ることができる。  とは言え、本作は社会派作品でなく、誘拐された児童たちが持ち前のカンフーアクションで逆襲する娯楽大作だ。 いつものように編集ソフトでポン付けの特殊効果のチープさに、VJエミーのハイテンションなツッコミが、 ネットミームを継ぎ接ぎしたようなワカリウッド映画にカオスと彩りを添える。 『誰がキャプテン・アレックスを殺したか』のタイガー・ギャングとカンフー使いのブルース・Uが再登場し、 スターシステムによる新たな広がりを見せる。 オチもクライムアクション映画に童話風の因果応報で締めるのがなかなか味わい深かった。 前作よりは少し面白かったので、+0.5点で。
[インターネット(字幕)] 5点(2025-05-31 23:15:18)
3.  誰がキャプテン・アレックスを殺したか
ワカリウッド──それは、ウガンダの首都カンパラのスラム街、ワカリガの映画スタジオから生まれた。 欧米の映画を見たことがないレンガ職人の男が、映画作りの原始的な衝動と想像を総動員して作られた、 純度100%のウガンダ製アクション映画が本作だ。  製作費はわずか85ドル、日本円で1万円にも満たない超低予算。 出演者は職業俳優ではないスラム街の住人で当然ノーギャラ。 撮影用のデジタルカメラが一台のみで同じシーンを違うアングルで撮らなければならないし、 ビデオ編集にはジャンク品から組み立てたパソコンを使い、ハードディスクも大容量ではないので、 DVDに焼いたらデータをすべて消去してマスター版は存在しない。 ウガンダの平均年収が570ドルということを考えると、どれだけ貧困が深刻で政情不安なのかを察する。  そのような環境で作られた作品は、画質もストーリーも演出もお世辞にも良いものではない。 しかし、その粗さがある種のドキュメントらしさを醸している。 アクションシーンは意外にも頑張っていて、身体能力を活かしたカンフーシーンは見どころ。 本作を象徴する衝撃的な空爆シーンはここまで来ると斬新さすら感じるくらいだ。 そこにVJエミーによるハイテンションなナレーションが被さると、独特の味わいを引き出しているではないか。 本編とは無関係な説明や同監督作品の宣伝もノリノリでブッ込んできて、 これが無ければ場面・状況が分からず、より退屈な映画になったに違いない。 それだけ70分が長く感じ、興奮が長続きしない。  YouTubeからの投稿によってチャンネル総再生数が2000万以上再生されるという大きな反響を呼び、 映画祭にも招待され、100万ドルを投資してくれる人も現れたとか。 ワカリウッドはウガンダの地に蒔かれた希望になっている。 映画の出来はC級かもしれないが、映画作りへの情熱と真摯さはAAA級。 観客に対して上から目線で適当に作っている邦画には見習ってほしい部分があり、 エド・ウッドもネット配信が当たり前の時代に生きていたら違う人生があったかもしれない。
[インターネット(字幕)] 4点(2025-05-31 00:13:20)
4.  ペンギン・ハイウェイ 《ネタバレ》 
町中を横切るペンギンたちの謎を巡り、研究熱心の秀才でおませな少年が経験した、ひと夏の"終わり"の物語。 不思議と出会うことは喜びと驚きばかりではなく、意味不明ならではの脆さも儚さも内包している。  並行的に登場する"海"の存在、果てのない川、そして初恋の"お姉さん"が一本の点に集約していき、 どうなっていくのか見当がつかない。 その吸引力は原作が優れているのもあるが、ダイナミックでスマートなアクション描写が一役買っている。 そうそう、監督の性癖が今作でも発揮されており、少年少女のキャラデザが大変魅力的だ。 登場人物の役名が全員本名不明で、記号のようにカラっとしたタッチがアニメ向きだった。  お姉さんは何者だったんだろう? ペンギンが出てくる前から存在していて、何かしらの異変の発生で結果的に消えざるを得なくなった。 彼女の人生も"そういう設定"として記録に埋め込まれたものだったのだろうか。 その最大の謎は、少年が未成熟から脱して大人になるまでに解かれていくに違いない。
[インターネット(邦画)] 7点(2025-05-17 00:28:30)
5.  ポエトリー アグネスの詩 《ネタバレ》 
見ているようで実は"見ていない"。 日々の物事が習慣化すれば、ただの形式として軽く済まされる。  時が経てば経つほど少しずつ消えていく言葉は時間の流れによる現実の風化と重なり、 抗うように世界を見ていく、その瞬間の言葉たちを拾い上げて詩として遺していく。  示談で事件を闇に葬ろうとする加害者の父親たちを他所に、 ミジャは善悪の揺らぎの中、事件に関わった人たちのために何ができるかで惑う。 自分自身が消えていく中で、次第に孫への気持ちは離れていき、亡くなった少女と同化していく。  静かに綴られていく醜さあふれる世界故に、詩の美しさが輝きを放つ。 ミジャは風化させてはならない現実を、少女が存在していたことを詩に込め、贖罪として姿を消した。 橋から身を投げようとする少女の、観客に突き刺すような眼差しが忘れられない。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-21 23:45:07)
6.  バーニング 劇場版 《ネタバレ》 
なんて事のない淡々とした展開の連続ながら終始不穏なムードで最後まで見届けられたのは、 イ・チャンドンの地に足をつけた演出のお陰と言っても良い。  ただ、「これで終わり?」感は否めない。 ビニールハウスを焼くシーンはイメージ上だけで、"底辺"として、"存在意義"としてのメタファーなのは分かる。 都会的で洗練され、どこか人間らしさがないベンの不気味さも、野暮ったいジョンスの風貌と対比してより際立たせる。 姿を現さなかったヘミの飼い猫に、幼少時代にヘミが落ちた井戸の存在、あれらはどこまでが本当か嘘か揺さぶりをかける。 格差が著しく目立つも、嘘でも共感を寄せ、見栄を張らないと生きていけない韓国社会の息苦しさは女性なら尚更だ。 でも、そこで終わりなんだよね。  ヘミが死んだのは確かかもしれない。 ただ、匂わせだけで殺されたのかも分からず、ベンを疑い、刺してしまった。 真に燃えたのはビニールハウスではなく、彼が乗っていたポルシェだった。 ジョンスの社会に対する強い情念だけが残る。  あやふやすぎる"こんな世界"で生きていく意味とは? ただ耐え忍ぶか、逃げるか、創作に昇華するか、反社会的行為に転じるか。 大人になったら肯定してくれる人なんて少ない以上、自らご機嫌取りしていくしかない。
[インターネット(字幕)] 6点(2025-03-20 23:15:40)
7.  NIMIC/ニミック 《ネタバレ》 
わずか12分でランティモス独自の不条理さを堪能できる短編。 チェロ奏者の男が謎の女によって、父親としても、夫としても、演奏家としてもアイデンティティを奪われ、居場所も奪われる。 最低限の台詞と生活感のない無機質な空気が常に緊張感を漂わせながらも、 見た目の時点で性別すら完全に違うのに誰も気づかない、演奏の下手さも模倣している辺りにブラックユーモアを感じさせる。 全てを失い、何も無くなった男は、電車でアフリカ系の青年に話しかけられるが、彼の人生を乗っ取るつもりだろうか? 入れ子みたいな構造でクセになりそう。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-11 22:57:22)(良:1票)
8.  24フレーム 《ネタバレ》 
映画の1秒とは【24フレーム】で作られている。 その一瞬を4分半に引き延ばし、全24章に構成された固定カメラによる映像は美術館の絵画のように並べられている。  凡例としてピーテル・ブリューゲル作『雪中の狩人』が提示される。 静止画に村の煙突の煙が立ち上り、鳥や犬といった動物の鳴き声が聴こえ、雪が降り積もる。 タルコフスキーを意識しているのか、残りの23フレームにキアロスタミの完璧な構図と映像美が全編台詞なしで静謐に語られる。 映画館で上映されていたら確実に眠りに誘うものばかりで、1ショットに集中するにも2分くらいが限界だろう。 次のショットは何が来るのかを期待してしまっているため、現代美術館のビデオアートで1ショット別々に展示されても違和感がない。  ドキュメンタリーのようでいて、かと言って本物と見紛うCGアニメの合成もある。 静止画と動画が混在している。 物語は存在していない。 でも、現実はその集合体で、我々は当たり前のように"見ていない"だけで足を止めて目を凝らせば"物語"に光が当たる。 現実と虚構の垣根をあっさり壊す彼ならではの演出だ。  ラストのフレームでは机の上に突っ伏して寝ている人がいる。 本作を見て寝ている人がいることを想定しているように。 それでも構わない。 映画の見方に数多くの可能性があり、こうあるべきという強制はしていない。 手前のモニターには映画のワンシーンが流れ、THE ENDのテロップが表示される。 キアロスタミと呼ばれる名匠の人生はここで幕を下ろした。 美しいものを遺して旅立っていった。
[インターネット(字幕)] 6点(2025-02-28 21:42:57)
9.  魔法少女リリカルなのは Detonation 《ネタバレ》 
TVシリーズのStrikerSを見ると、なのはが再生困難な深手を負う展開を知っていたので、 一種の不穏さは予感していたものの、案の定そうなる割には意外にも最新鋭の再生医療によって無事に夏休みを過ごせたという。 御都合主義を外しても良いような、大団円でも構わないような複雑な心境だ。  登場人物が非常に多すぎて、描き切れてない印象はなくはない。 キリエを裏切ったイリスにも事情があって、さらに裏で手を引いていた黒幕がいたという入れ子みたいな構造もらしいというか。 こうなればあとは全力全開で突っ走るだけ。 前編では敵側だったディアーチェたちも共闘し、熱い展開とバトルを繰り広げる。 戦闘中でも印象に残る台詞ばかりで(下手したらあざとさもあるが)、 挿入歌「暁の祈り」をバックにしたディア―チェ vs ユーリの戦いが一番の白眉。  今までなのはが戦う動機としてのネガティブな面があまり描かれていなかったが、 本作では誰かを救いたい気持ちと自己肯定感の低さが背中合わせなのが良かった。 自分では大したことないように思えて、大事な家族と親友と仲間がいることに初めて"自分のため"だと受け入れることができた。 まだまだ小学生というのもあるが、命に関わる過酷な宿命故に大事なことを忘れていたかもしれない。  実は映画シリーズはまだ継続中だそうだが、ここまで描かれれば綺麗に完結でも良いだろう。 丁度3部作でキリが良いし、これ以上、インフレと複雑さで空中分解してもおかしくないから。
[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-20 00:14:23)
10.  魔法少女リリカルなのは Reflection 《ネタバレ》 
魔法少女もののフォーマットに複雑なガジェットとハードSFの要素を併せ持つ無印とA'sは、 TV版も映画版もとても気に入っていた。  ただ、A's後のTVシリーズであるStrikerSにはガッカリして途中で視聴を切った経験からして新作の2部作に不安しかなかったが、 高速道路から遊園地までを舞台にインフレを振り切った熱いバトルあり、血を超えた親子愛あり、 複雑な事情を持った敵勢力の裏切りのドラマありで106分ダレることなく最後まで飽きずに見れてしまった。 (なお、TV版と映画版はパラレルワールドという設定)。  中盤からシリアス展開のつるべ打ちな分、ほのぼのとした日常シーンを序盤でしっかり描いていて、 ファンへの目配せも忘れず、リリカルなのはとしての面白さが詰め込まれていた前編だった。 後編からよりハードな展開が予想され、如何に納得のいく結末に持っていけるかに期待できそうだ。
[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-17 23:50:33)
11.  劇場版 テニスの王子様 英国式庭球城決戦!
10数年ぶりに視聴。  ウィンブルドン開催の世界中のジュニア選手の強豪を集めた大会で、謎の組織によって選手たちが襲われる事件が発生。 日本代表校として招かれた青学、氷帝ら他校も例外ではなく、借りを返すために一部が組織の巣窟に向かうのだった。  これ、一昔前の玩具催促アニメの設定にしか見えず、テニスの形をした格闘技が繰り広げられる。 これぞテニプリ、これを待っていたんだ!と序盤はワクワクしたが、前作に比べるとインパクトに欠ける。 技のインフレで慣れてしまったのも大きいが、メインの試合が一本調子になってしまい、87分が冗長に感じてしまった。 如何に前作の演出が斜め上に神がかって、狂気を孕んでいたのかが分かる。 原作のキメているとしか思えないぶっ飛んだ発想を超えて欲しかったし、あのテンションを続けるには60分で限界だろう。
[インターネット(邦画)] 4点(2025-02-15 23:46:00)
12.  ジャックは一体何をした?
追悼デヴィット・リンチ。  長編デビュー作の『イレイザーヘッド』を彷彿とさせる粗めのモノクロ映像に、 尋問する刑事と猿の会話の噛み合わなさがコントのやり取りみたいでもあり、 深く解釈しようにも意味の無いような感じだったりが原点回帰とも言える。 明らかに猿の口元が合成臭さ全開でより歪さを際立たせる。  人間と動物が上手く共存しているかのように見えて、 それぞれの価値観の尺度に齟齬が発生する様は『ズートピア』的である。 このフィクションの世界で"正しさ"とは何か、それは誰が保証して、どこまで許容されるべきか。 現実世界の差別と偏見の本質はそこにある。  …とは言え、変に雁字搦めに考えるよりは、 この意味不明さを堪能することがデヴィット・リンチらしさとも言える。 唯一無二の世界観を作り出した監督の逝去に、一つの時代の終わりを迎えた。
[インターネット(字幕)] 5点(2025-01-27 22:52:07)
13.  トランス・ワールド 《ネタバレ》 
YouTubeで誤ってネタバレを見てしまったのが残念に思える。  しかし、それを差し引いても無駄が一切ない脚本で、 ほぼ小屋と周辺の森だけの展開なのにも関わらず一気に"魅せる"。 一つ一つの台詞が伏線になって、4世代にわたる壮大な家族の物語になっていく。 映画としての粗やツッコミどころはなくはないが、 運命を変えようと奔走する登場人物のドラマに見応えがあった。
[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-22 21:00:16)
14.  Away
ゆっくりと少年を追う、死の象徴である黒い巨人。 港町に向かってバイクにまたがり、巨人から逃げ続ける少年。  非常にシンプルなストーリーと一切の台詞なしで、 僅かに読み取れる背景からいくらでも解釈ができるだろう。 ただ、台詞なしで突き進むにはより映像の緩急が欲しいところで、 睡魔に襲われそうになったため、75分で締めたのは正解だと思う。 寝る前に白昼夢として静謐な世界観に浸るのが正しい見方だろう。  パソコンのスペック次第で一人で長編CGアニメを作れる。 CGのクオリティはともかく、 クリエイターの明確なビジョンと作家性があれば天下を取れる。 本当に良い時代になった。
[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-11 15:39:29)
15.  ザ・テキサス・レンジャーズ(2019) 《ネタバレ》 
時代に取り残された老いた二人のテキサスレンジャーの目を通して、 『俺たちに明日はない』で暴れ回ったボニー&クライドというアンチヒーローに縋り付くしかなかった、 大恐慌下の絶望の中にいる人たちと背景をディテールを以て描き出す。  治安維持という仕事のためとはいえ、過去に多くの悪党を殺してきた男二人がその業を背負い、 アイドル的存在のボニー&クライドが持て囃される時代の流れに抵抗しながら、 与えられた役割を全うしようとする。 禿げた頭に弛んだ腹、小便は近く、早く走ることもできず、かつて引退したのもあり銃の腕も衰えている。 若造の捜査官が使うハイテク機器に負けない二人にあるのは長年培われた経験と勘。 二人が追う間にも、ボニー&クライドは警察官たちを情け容赦なく至近距離から顔面を撃ち抜く。 『俺たちに明日はない』で描かれていたボニー&クライドの反骨的なアイコンは虚像でしかない。 追跡側のヒューマンドラマなんだから、凶悪犯の素顔もドラマもほとんど映さない潔い姿勢は正解だろう。  捻りもないオーソドックスさで中弛みがあるのは事実だが、製作陣の誠実さが伝わってくる。 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだったスターのケビン・コスナーとウディ・ハレルソンのいぶし銀の魅力と共に、 過去の存在になっていったテキサスレンジャーの枯れ具合に哀愁を添える。  結末は既に誰もが知っている。 ボニー&クライドが死に、遺体を載せた車には遺品を自分のモノにしようと群がる人々、 葬儀には2万人ものファンが参列した裏側で、カップルによって落ち度のない人々の人生が壊されたのも事実。 1000ドルを受け取る代わりにインタビューを求められるも、「恥を知れ」と断る二人。 殺さないと自分たちが殺される、こうするしかなかったと虚しさと無力感に苛まれるも、 車で帰路につく途中、運転を交代するまでに信頼関係を築いた二人に誇りと感慨を覚える。
[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-03 12:47:17)
16.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
ギレルモ・デル・トロの世界観に近いものを感じる。 退廃的な廃墟の緻密なセットといい、グロテスクなクリーチャーの造形といい、 受け狙い一切なしのクリエーターが独学で本気でぶつけた情熱に、 ギレルモ本人の目に留まったのだから。  不気味で暗さを感じさせる内容ながら、 ユーモラスな登場人物にゆる~い会話の数々が上手くバランスを取っている。 生理的に拒絶しそうなのにどこか虜になりそう。  切り取られたクノコや三人組のペットの尻尾が生殖器に見えてしまい、 永遠の命と引き換えに失った生殖能力へのアンチテーゼにも見える。 生命の危機に直面したからこそ見えてくる、主人公の発する"生きている実感"があまりに皮肉だ。  3部作とのことで最終的な評価は完結編ができてから。 現段階で7点にしておきます。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-10-26 00:22:03)
17.  消えた声が、その名を呼ぶ 《ネタバレ》 
「娘に会いたい」。 処刑から生き延びるも声帯を切られ声を失った父親が地球半周を渡り歩き、生き別れの娘たちを追う8年間。  シリアスドラマからコメディまでジャンルを分け隔てず活動する、 ファティ・アキンのフィルモグラフィーの中では最もスケールが大きい。 1910年代のオスマントルコによるアルメニア人虐殺を題材にしたあたり、 加害者のトルコをルーツに持つ監督の思いはあるだろう。  アルメニアはキリスト教を国教と認めた初めての国であり、 オスマントルコでも富裕層として成功して政治にも関わる影響力があったものの西ヨーロッパとの関係を強固にしたことで、 オスマントルコ側のムスリムとしてのアイデンティティーが脅かされる恐怖が虐殺の背景にあったようだ。 これがアルメニア人のディアスポラになった。  信仰で救われることなく強制労働で次々に倒れていく同胞、生き残るためなら簡単に棄教する現状を目の当たりにし、 死にかけの義姉を手に掛けなければならない苦しさに、宗教がどれだけ愚かで虚しいものであるかを突き付けられる。 避難先のアレッポで初めて見たチャップリンの無声映画に自分の境遇と重ね合わせ、 娘たちが生きていることを知って、生きることの根源を取り戻していく。 たとえ盗みも暴力も働き、獣に墜ちてしまおうとも、死ぬわけにはいかないという執念。  いくらでも傑作になりえた題材なのに、国家の罪と罰をストレートに描かなければならないわけではないが、 最終的に単なる親子の感動ドラマにスケールダウンしてしまったのが惜しい。 娘と再会するまでの過程が終盤につれて偶然で片付けられていく脚本の杜撰さが鼻につくし、 心震わせることなく次第に冷静に見てしまいました。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-08 23:20:15)
18.  映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち 《ネタバレ》 
偶然テレビ放送されていて鑑賞した思い出。 元になったTVシリーズと歴代プリキュアに思い入れがないと評価が決め辛いのは確かだが、 そんなストーリーの整合性なんてどうでも良いくらい、"お祭り映画"として開き直っているのが良い。 本音を言えば、横浜の街の中を敵とチェイスするシーンをもっと見たかった。  ゲストキャラの一般人の少女である坂上あゆみが一時的にキュアエコーになって、 戦いではなく対話で和解するあたりがキモだろう。 「女の子も戦いたい」という歴代のコンセプトのアンチテーゼかもしれないが、近年はバトルしないプリキュアも出てきたし、 パートナー妖精と変身アイテムの力を借りずに、ただ純粋な想いの力だけで変身しているあたり、 「女の子は誰でもプリキュアになれる」という映画のテーマを見事体現している。 (とは言え、去年から男の子もペットもレギュラーのプリキュアに変身できてしまい、時代の流れに苦笑い)。  過保護、引きこもり、といった問題を暗に含みながら、現実を一生懸命に生きることの大切さを 押し付けがましくなく描く、ファミリー映画としては及第点ではないだろうか。  余談1 劇場で中学生までの入場者にプレゼントされるミラクルライトでプリキュアを応援しようというメタ的な演出がある。 メインターゲットの女児が飽きないように考案され、シリーズ恒例になっているらしいが、 何もしなかったらバッドエンドになるんじゃないかと思った。 ある意味、応援上映の先駆け。  余談2 ちなみに20年もやっていると歴代プリキュアの年齢問題が大きく引っ掛かるが、 放送当時の時間軸から召喚されたり、社会人が全盛期の中学生の姿に一旦戻って変身するらしいです。
[地上波(邦画)] 5点(2024-08-17 23:56:09)
19.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 
ジェイソン・ボーン3部作は既に視聴済み(ただし中身は覚えていない)。 それを踏まえてのスピンオフなのに、その3部作の設定が全く活かされておらず、序盤はガチャガチャに煩雑にしただけ。 中盤から大きく話が動き出しても、重要機密を知る主人公が追手をかわしながらワクチンを手に入れて逃げるだけという。 ワクチンの在りかを知っているヒロインはおまけ程度で、 宿敵との対決もないまま終わりでは消化不良にも程がある(ヒット次第で続編も考えていたのだろう)。  アクションとしてはそれなりに楽しめるが、せめて単品として完結可能な作りにして欲しかった。 トニー・ギルロイが自分の脚本を即興で改変しまくるポール・グリーングラスとひと悶着あり、 監督も兼ねて本作が製作されたようで、むしろグリーングラスの手腕の確かさを証明してしまった。
[地上波(字幕)] 4点(2024-03-01 23:37:38)
20.  スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 《ネタバレ》 
前作鑑賞は必須としても、他のMCU作品とも連動しているため、 アイアンマン=トニー・スタークが故人なのは劇中で分かるものの、 エンドゲームを見ていないと少々置いてけぼりを喰らうのは確か。  MCUでマルチバースの概念は既に知られていたが、それを利用した中盤のどんでん返しは上手かった。 ヴィランとしてミステリオが中心でありながら、かつて職を追われた者たちによるチームプレイで、 現実と非現実を揺さぶりスパイダーマンを追い詰める見せ方が良い。 ファクトチェックが当たり前になり、目の前の情報が真実とは限らない現代において、 これからディープフェイクが濫造されていく世界への抗い。 殺人犯として汚名を着せられてしまったピーターはどうなるのか期待を寄せる。  でも、エンドロール後のもうひと展開にスパイダーマン以外の映画を見ないといけないのは如何なものかと。 作品によってはTVシリーズにまで裾野を広げてしまい、近年のMCUの勢いが衰えた話も聞く。 フェーズ1の『アベンジャーズ』くらいの展開が限度で、純粋にスパイダーマン単体で完結させてほしいのが本音。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-01-17 20:38:14)
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