1. 若おかみは小学生!
《ネタバレ》 ■構成について 非常にダイジェストな作りで、総集編的になっている。 主要なストーリーラインは以下の6つ。 ・若おかみの孤立と成長 ・うり坊と峰子 ・真月と美陽 ・客三組 それぞれが魅力的な素材だったけど、6つのストーリーを94分で描くのは無理があった。 結果、どうなったか? あらゆる障害は滞りなく、スムーズに解決する。 うり坊と美陽には遺された人とのドラマはなく 若おかみが幽霊を見れなくなる演出の舞台装置の域を出ない。 「幽霊が視える若おかみと遺された人々の話」か 「未熟な若おかみとやっかいな客達の話」のどちらかに振り切れば掘り下げられたのだろう。 もともと、複数の原作小説を一つの映画に収めることに無理があるのだ。 これが監督の責任なのか、配給会社の責任なのかは知らないけど。 ■メッセージ性について 監督はインタビューで仏教の滅私を描いたと語ってるのだけど それなら等身大の小学生として生きる選択肢を与えた上でおかみを選ばせるべきだった。 周囲の大人がフォローせず、幽霊と気のいい客に支えられたギリギリの状況じゃ 滅私じゃなくて理不尽な環境に対する認知的不協和の解消に過ぎない。 自分を奮い立たせるしかない。 登場人物はみんないい人だけど いい人との出会いだけで奉公の素晴らしさを説こうとすることこそが この作品のリアリティの限界点だ。 動物みんな共存させつつも肉食動物の食事事情を 一切描かなかったズートピアに通じる子ども騙し感が残る。 ターゲットを子どもと割り切ったのかもしれないが。 辛い過去があるけど落ち度はないし反省してる。 そりゃあまあ、葛藤はあるにせよ許せるだろう。 そうではなく、クズな客が現れ、全然反省してないし生きてて社会の役に立つかも分からない、 むしろいない方が世の中のためなのではと思わせるクズが現れた、でもどうやら困ってるらしい。 そこで手を差し伸べられるか。 普通はそんなやつ助けない。でも花の湯温泉なら──── そういう語り口であれば、言わんとするところは読み取れたかもしれない。 ■その他 子ども向けであることを主張するかのような ミュージカルのような演技。 子どもに真摯に向き合ったとき、本当にこのような演出が必要なのだろうか。 また、トラウマが思い起こされるシーンへの切り替えも急で 明るいBGMから突然不穏なBGMになり、スムーズな心の揺さぶりを阻害しているように感じられた。 俗世に疲弊した占い師と、親を亡くしながらも純朴な若おかみの交流は素晴らしい。 それだけに惜しい。 [映画館(邦画)] 4点(2018-10-07 05:12:07)(良:1票) |
2. スリー・ビルボード
《ネタバレ》 はっきり言うと、クソつまらんかった。 覚悟完了したババアがひたすら遂行していく話かと思ったら 怒りの連鎖の虚しさを知る物語。 新人警官は、差別主義で怠慢な態度を改めて義心を覚える。 白人署長は、最期まで善人として描かれる。 この作品を評価している文章を見ると、先の読めない展開、 重いのに笑わせるコメディ、ババアと警官の成長ドラマあたりが長所らしい。 個人的には、期待(絶対的な意思でやりきる行動力)を裏切られる展開、 特に笑えないコメディ、応援できない人物の成長と本当にどうでもよかった。 これで感動できる人もいるらしいけど、自分は無理だった。 だって、最初に具体的な目標(復讐とか)が設定されて 視聴者は「目標が(どのように)実現されるのか!?」って期待して見るのに 「これは自分の心の精算の話だったんだ」って収まったらカタルシスがないじゃん。 そういうのは予想外の展開じゃなくて期待外れって言うんだよ!! 仮にその心変わりに物語の力点を置くなら せめて目標を実現できる状況(復讐対象に銃を突き付けるとか)を作った上で、 あえてそれを選ばないという方がカタルシス得られるし心変わりが伝わってくる。 できない状況で諦めるのと、できる状況でやらないのは全然違うだろ! まーこれは好みというか見る側の人生観の問題なのかも。 自分は何でもある程度はシロクロはっきりさせたいし はっきりすることを期待して物語を読むし。 笑えるかどうかについては、アメリカの文化的背景への理解が必須。 あと結構見る人に解釈を委ねてくる。 ・真犯人は自白した男だったけど黒人署長に隠蔽されたのか。 ・白人署長が自殺した本当の理由は、真犯人を突き止めなられない事情があり 看板を機に覚えた良心の呵責に苛まれたからか。 あたりは意見が分かれそう。 低身長の人物が出てきて、昨今のポリコレ風潮から マイノリティ属性は善人として描かれるだろうと思ったら案の定なのも 「ノルマ達成!」って実績解除された感じ。 自分も看板、立てていいですか? [映画館(字幕)] 3点(2018-03-05 01:07:10)(良:3票) |
3. さよならの朝に約束の花をかざろう
《ネタバレ》 「オモチャじゃないぞ」「オモチャじゃない」 故郷を失い茫然自失のマキアが、母を失った嬰児のエリアルに自らを重ねて いずれ訪れる永遠の離別を認識した上で、なおも育てる決意をする。 “別れの一族”の数百年に及ぶ寿命という舞台背景が マキアとエリアルの関係性に変遷を生み、ドラマを作る。 しかし、この物語の根幹は明らかにそこではない。 良い母親としての理想像と完璧に振舞えない現実の間に悩まされながらも 強い心理的推進力を伴う母性の無限抱擁。 出会いと別れの中で、縦糸と横糸が織り成す布のようにそれが紡がれていく。 別れがただの悲劇ではなく、その連鎖の一部であるということが “別れの一族”の生き残りであるマキアの視点を通して描かれるのである。 繰り返される偶然の再会と終盤の冗長な心情吐露がやや残念だが、いい映画であった。 [映画館(邦画)] 8点(2018-02-25 20:11:43) |
4. スター・ウォーズ/最後のジェダイ
《ネタバレ》 カイロレンは情緒不安定でカリスマないのにシス側の黒幕になってしまったし スノーク将軍はバックボーンが描かれないまましょうもないやられ方をしてしまうし、 ローズとフィンの作戦は意味なくて、カジノのくだり含めて描く必要性が全くないし、 新女艦長の輸送船作戦やるなら最初から味方に通達してれば犠牲者減らせたし、 ハイパードライブ突撃でダメージ与えられるなら今までも有効活用できるシーンはあったし、 ルークとレンの過去は散々やられたエピソードで、レイに説法されるだけの情けない大人になってしまっているし、 レイは味方で唯一まともだけど優等生すぎる上に家族にバックボーンがないことが判明しドラマがないし、 全体的に教育番組っぽい説教臭さがありながらも 裏をかこうとした結果、振り返って何も残らない話になった。 スノーク将軍の戦隊特撮のような赤背景セットで、レイが構えた途端に10メートル以上離れたレッドガード達が 一斉に構えたシーンは面白かった。あそこだけお笑いのセンスが突出していた。 [映画館(字幕)] 4点(2018-01-15 01:55:20) |
5. エクス・マキナ(2015)
緊迫感ある雰囲気と美少女?との出会いというストーリーが非常にラノベ的でいい。 エヴァは主人公(=童貞)好みに仕上げられたというが、個人的にも刺さったので主人公に共感できた。 哲学的な内容が人を選ぶかも。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-27 02:19:19) |
6. 楽園追放 -Expelled from Paradise-
全く期待してなかったのと、冒頭5分でキツイ…と思っていたせいで だんだんのめり込んで、普通に楽しめてしまった。 人数が少なくまとまっててくれたおかげかも。 [DVD(邦画)] 7点(2017-07-27 02:17:36) |
7. きみはいい子
《ネタバレ》 3つのエピソードはほとんど交わらないので、40分の短編3つで構成された感じ。 前半の幼児虐待のシーン、親に対して憎悪以外の感情が沸かなかったのだけど 痛い目にあわせるのではなく辛かったねと励ますシーンに奥深さを感じた。 憎たらしかった子どもたちが、親に抱きしめられる宿題の感想を語るシーンがよかった。 男子生徒に対しても「さん付け」を徹底しないと差別だと糾弾されるとか 人権主義的な気持ち悪さが出ててよかった。 [DVD(邦画)] 7点(2017-07-27 02:16:15) |
8. セッション
ドラムという、最も原始的で「怒り」の表現としてこれ以上ない楽器が充分に活かされていると思います。 ニーマンがもう少し応援しやすい人物像だと感情移入しやすかったです。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-07-25 11:39:41) |
9. 鍵泥棒のメソッド
《ネタバレ》 面白かったというか、パズルのように噛み合う見事な脚本に舌を巻いた。 序盤、入れ替わったところでグッと引き込まれる。 どちらかと言うと主人公は殺し屋の方で「闇社会に生きる男が記憶喪失とともに 持ち前の勤勉さで日常を獲得する」という流れが本当に楽しいし、応援したくなる。 [インターネット(邦画)] 7点(2017-07-25 11:28:34)(良:2票) |
10. シャッター アイランド
《ネタバレ》 面白かった! 冒頭、島に向かう時点でおどろおどろしい雰囲気を帯びている。 「閉ざされた環境で、味方は少なく、謎な施設」という環境は絶対的に面白い。 ラスト、どんでん返しされたのは「夢オチ」感があり残念だが 「本当は妻を殺していないのに、妻殺しとして仕立て上げられたのかも」という想像も広がる。 でもそれは視聴者側の努力によるもので、作品そのものの面白さと呼べるかは不明。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-25 11:27:04) |
11. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 面白かった! ループし始めてからどんどん強化されていく展開がいい。 ループの仕組みと敵本体の弱さに尻すぼみ感はややあったのが残念。 (1万回ループした、とかにして超ハイレベルな戦闘とか見せてくれてもよかった気がする) 日本の小説が海外ハリウッドで本格的な映画化ってかなりレアケースな気がする。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-07-25 11:25:18) |
12. 特攻野郎Aチーム THE MOVIE
《ネタバレ》 もうシンプルな娯楽映画なのだけど、とにかくキャラが立っていて面白い! 特に天才パイロットのマードックは「友達になりたくないが頼もしいキチガイ」みたいないいキャラだ。 20分単位で1ミッションずつこなして行くのでテンポがいい。 ジョークを交える余裕がありながらボコボコにするのが爽快だったのだが 最終戦は大量のコンテナが崩れたりするものの、 どこかこじんまりした印象があって残念。(逃げ惑う民衆とかいれば盛り上がった気がする) [インターネット(字幕)] 7点(2017-07-25 11:22:59)(良:1票) |
13. たまこラブストーリー
《ネタバレ》 感情移入して楽しめました。 こんな青春を過ごしたかった……。 [映画館(邦画)] 8点(2017-07-25 11:14:44) |
14. 映画 けいおん!
起伏が弱く退屈という意見も分かるのですが 一つ一つの演出の強さで勝負しているという見方もあるかと思います。 アニメーションの細かい動きなどが高水準で、その辺りを意識して見るといい作品だと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2017-07-25 11:12:30) |
15. ガールズ&パンツァー 劇場版
《ネタバレ》 テレビシリーズ最終話で廃校を免れたと思われた大洗女子だったが口約束なので無効とされ、 今度は大学選抜チームに勝利しなければならなくなったという話。 ストーリー的な見どころとしては大洗女子が資金難で廃校になるというバッグボーンが適当に流されるので弱いのだが 戦車戦のアニメーションは流石にいままでで最も秀逸だった。 やさぐれた生徒会を麻子が窘めるシーンがあるのだけど、 キャラの株を下げて起伏やストーリーを作るのはあまりよくない手法のような気がした。 全体としてはエンタメとしてとても楽しめたのでよかった。 あと、音楽がとてもよかった。 行進曲なんだけど、威圧感や重厚感があってとても雰囲気が出ている。 [インターネット(邦画)] 7点(2017-07-25 11:00:39) |
16. キャビン
《ネタバレ》 面白かった。 ゾンビが演技だと思ったら本物で、最初日本と競い合うのとか 地球の滅亡がかかってるならもっと人員と予算かけろとかボタン一つで簡単にシステム解除させるなとか ツッコミどころはたくさんあるのだけど、エレベーターで降りる瞬間とか怖さマックスだし許せてしまう。 個人的にオカルト要素はナシであって欲しいという思いがあるが(なんでもアリになってしまうので) そこまで引き込むだけでもパワーがあるし、何より怖かった。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-23 10:57:22) |
17. 人狼ゲーム クレイジーフォックス
《ネタバレ》 第三弾。新たな役職「狐」の主人公の話。 人狼に話し合いをさせないために序盤から予言者に名乗り出させるというのはいい感じだ。 加えて、人狼内でも三人のうち二人が協力して一人が人狼と名乗り出ないことで、 人狼内の情報量に差が生まれる戦略も上手い。 主人公は一目惚れした相手にくっつく女を片っ端から殺しながらも 強かに生き残っててて強者感ある。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-07-23 10:50:03)(良:1票) |
18. 人狼ゲーム プリズン・ブレイク
相変わらず主人公が「こんなこと止めよう」とか言ってるとウザくてしょうがないけど 人狼としてはシリーズで最もよくできていると思う。 (視点人物の主人公の役職すら分からないので、推理が難しいというのもあるけど) [インターネット(邦画)] 7点(2017-07-23 10:48:13) |
19. 恋の渦
《ネタバレ》 「桐島」のDQNグループ版。面白かった! 起承転結はないのだけど、会話でおこる絶妙な空気とかも再現しているのでシーン一つ一つを疑似体験できる。 あとすべてのシーンが四つの部屋のみなので、密室劇的な面白さがある。 物語の舞台が限定されているとなんで面白いんだろう? 「ここはどこか」について考える必要がないから会話に集中できるとか? またはバックグラウンドのストーリーを脳内で補完するので想像力を沸きたてられるから? そこにいるように疑似体験する感覚を得やすいから? [インターネット(邦画)] 7点(2017-07-23 10:46:56) |
20. タイピスト!
《ネタバレ》 面白かった。クラシックで落ち着いた色合いに仕上がった画面も綺麗だし 二人とも根がいいから応援したくなる。 なぜ応援したくなったか? ルイは基本的に人がよくて、損得抜きの善意で行動する(下心もあまりない)人物であること ローズは母親を失っており父親からも秘書やタイプライターを反対されており、孤立していることが挙げられる。 大会に負けて失うものはなかった点はハラハラ感を若干損なっていたが 決勝でローズに渇をいれるのにルイが必要だ!と思えるので、素直に応援できる。 10本打ち、ピアノ指導、ブラインドタッチと指導法が具体的であることもよかった。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-07-23 10:44:18) |