1. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 欲望についての小さなテーマと神聖な土地の描出。 だがそれ以上に、「映像そのもの」の映画であった。 トロッコのあたりのシーンなど、いつの日か見た夢を想起した。 タルコフスキー作品としてみればテーマも舞台も小粒。 とはいえビクトル・エリセなどもそうだが、映像自体の素晴らしさや切り詰め方、 長回しの生む効果への意識など、根源的に他の監督の作品とは作っているものの質が違うことを感じる。 個人的に面白かったのは、「連想を持たない音の羅列がなぜか感動を生む」という音楽への意見。 なまの抽象性のまま感情に迫るバッハ好きのタルコフスキーらしいセリフだ。 ロマン派以降の音楽は大抵連想に頼っているように思う。 [DVD(字幕)] 8点(2019-03-26 20:21:21) |
2. 惑星ソラリス
《ネタバレ》 間違いなく素晴らしい映画だが、このテーマをこの題材で扱う必然性はかなり薄い。 無重力のシーンや夢のシーンは美しかったが、無意味に世俗的なラストシーンなど、この映画を台無しにする部分が幾つかあった。 音楽の使い方がうまく、ぐっとするシーンもあったが、それらのシーンは「ソラリス」とは関係のないシーンばかりであった。 題材をより直接的なものにした後期の作品での方法で、このテーマが扱われていれば、おそらくより良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2019-03-26 15:58:50)(良:1票) |
3. パピヨン(1973)
うだるほど長いという感覚とその時間がきちんと充実していたという感覚を併せて味わえる映画。だが、どうしようもなくエンターテインメント映画であって、観たからどうということもない。 [DVD(字幕)] 5点(2019-03-25 10:09:25) |
4. 仁義なき戦い
ただのエンターテインメント映画だと思いナメていたが、スケールの大きい映画だった。 日本のゴッドファーザーと言っていい。勿論負けている部分はあるが、勝っている部分もある。 [DVD(字幕)] 6点(2019-03-23 23:20:54) |
5. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 長所と短所が狙い通りくっきり彫り出された傑作であり、長所は面白いことであり、短所は下品なことだ。 下品というのは、何も性的にばかり下品だと言っているのではない。 面白おかしく作られていることを含めたこの映画の全てが下品であり、人の心を荒ませるような醜い映画だ。 もし「客観的に」採点しなくても良いなら、この映画は観るべきでないという意味で躊躇いなく0点をつけたいところなのだが、映画の面白さを採点の基準に据えるこのサイトへ敬意を払い、常識的な点数(とはいえどうしても嫌いな映画であるがゆえに低めになってはしまうが)を付けることとする。 [DVD(字幕)] 5点(2019-03-12 02:16:28)(良:1票) |