1. 汚れた血
《ネタバレ》 SF的な風味付けもされてるにはされてると思いますが、大枠は彼の国伝統のノワール的な構造(オッサン・オッサン・美女+感情移入がし易そうな若造の主人公、な~んて建付けも含めて)を大々的に有している…と当初は見えているのです。が、最後まで観終わると、ソレがそうっぽいのはワリとごく最初と最後ダケで、中盤は全然(全っ然)ノワールでもナンでもなかったな…とゆーか、んで私も正直そこんトコロ自体は=観てる真っ最中は結構モノ凄~く違和感を覚えながら観てたなっちゅーか、それ自体は率直にネガティブな感想としてまずは伝えて置きたいのですね。やっぱ私、ノワールのノワールたる「ニヒル」な世界観って、実際にこの世界が正に「虚無である」ってコトそのモノの抽象だと思ってる⇒そこに、ヒトのヒトたる「虚無でないナニか」を控え目にもごく明確に主張してゆく…というさりげなさこそがノワールの最大の醍醐味だと、比較的強力にそー思ってしまってるので在りますのよね。 がしかし、違和感を覚え…と言いつつも、その中盤の長い長いマロいふたりのシーンのクオリティ自体は実に素晴らしくシャレオツだったとも思いますし、冒頭からもな~んか妙に「リズムの好い」映画だな…と思って居たりもして(音は大して鳴らずとも⇒これは確かに「音楽」なのだ、と)加えて言うならばジュリエット・ビノシュの類稀な可憐さその他諸々といい(⇒今作のこのジュリー・デルピーをも全く寄せ付けないってのはスゴすぎる)てゆーか今作のビノシュは中々に=映画史に残るべきってレベルに実に卓越した仕事を成し遂げるな~と思うのですよね。若いのに、否、その若さも含めて、且つは思いっ切り年上&年下のふたりの男の狭間に揺蕩うっちゅうモロ出しの二面性の見事な表現も含めて、個人的にはあの『レオン』のマチルダ=ナタリー・ポートマンを少し思い出しちゃったりもしましたよね⇒作品としてはコッチの方がフツーに先行ですケドも。 んで結局、中盤で結構(個人的には)盛り下がったりもしたものの、最終的には=コレはたぶん(少なくとも単なる)ノワールじゃない…と悟った上で最後まで観終わった暁には、好い~映画ジャ~ン!!と完全に思い直すに至りました。前述した(私の思う)ノワールとは違って、もっと青臭く・もっとプリミティブに・プリミティブなナニかを叩きつけて来る様な=ある種の「叫び」の様な映画だ、とは思いつつも、その絶叫の内容自体には結構思いっ切り共感できちゃった、と言うしかないのです。最終手段として、男って「格好好く死ねればソレで好い(⇒多くは、愛する人の為になら)」という選択肢を最後まで捨てるべきじゃねーんだよな…とゆーか、とか言いつつも(再び)もうそんな価値観の青春映画がつくられる時代なんて二度と来ねーわ!(否、来るべきですらねーわ!)とゆーか、書いてて思いますケド私も中々こーいうトコロのアップデートが侭ならない人間なんすよね………結論、もう一点加えようかを少しダケ迷ったコトを潔く告白しつつ、やっぱ中盤は長ーよ、と思ったコトを言い訳にこの点数に留めておきます。追伸、三部作らしいので他のも観ます。 [DVD(字幕)] 8点(2024-11-17 15:51:37) |
2. グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
《ネタバレ》 前作も実は、完全版は劇場公開版より少し長くて約3時間…という長尺だったのですが、今作も今般の公開版でほぼ2時間半…という(史劇映画としてはむしろ適切に思えるレベルの)大作にはなってます。しかし、冒頭から決して諸々のクオリティ自体は低くないものの、残り1時間位までは正直、まずは殆ど「前作と同じ話」+且つはまたあらゆる面で何もかもが「軽い」という、ごく残念な方の印象が強くって、率直に全く面白く観れては居なかったですね。前作の時代より更に深まった筈のローマの混迷の様子も、そして何より主人公の「怒り」にも、とにかく全く体重が乗っていかないのですよ。主人公のハンノ=ルシアスに関してはまた、その怒りをぶつけて殺すべきがアカシウスではないコトだって最初っから分り切ってるじゃあないですか(という意味でも再び白けてしまって)。 ただ、残り1時間を切った頃からは、その辺はむしろ「トリック」と言うべきモノだったのではないか…と思えるホドに、前作とは全く違った話になってゆくのですよね。その部分の仕掛け+運び方自体は、実は前作の冒頭=端緒からも繋がって居たと思える様な、両作を通しての普遍的なテーマ(の描き出し)にもソレが見えてくるかの様な、非常にテクニカルな好い仕事だったとは思われるのです。しかし、私自身はまた正直、ソコにも(否、ソコにこそ)あまり共感は出来なかった⇒何故なら、今作が(否応無く)史劇である以上は、またソレこそが「幻想」であるからだ(⇒我々は確かに、この後もローマの堕落は最後まで止まらなかったと知ってしまって居るからだ)としか言い様が無いのですね。今作のラストに描かれるローマの勝利というのは、それこそ彼らが劇中で都度口にするローマの(或いは人類そのものの)「見果てぬ夢」でしかなくて、私はむしろソレがそう描かれたこのクライマックスからは、ペーソスかノスタルジィか、その類のナニかしか強く感じ取れないのです(⇒重ねて、今作が「史劇」であるからは)。そしてもし、そういったモノを描くコトもが、今作の目的の一つだったとしたら、ならばそれは(勝利ではなくて)むしろ、敗北を描く方の映画ではないかな、とさえ思ってしまったのですよね。結論的には、終盤はやや史劇の手を離れて、むしろファンタジックに・地から足を離してゆく様に終わっていっちゃったな…という感覚が(再び)強いですね⇒その辺りについては、端的なストーリーそのものも、少し雑で整合性に欠けるきらいが強かったとも感じますし。 思ったのはやはり、史劇こそ・史劇にこそ、描かれるべきはむしろ唯「人=人の在り方」だ、というコトです。そして尚、ある「理念」に依って、その「人の在り方」自体の軽重をも定められると、もし考えているのだとしたら、私はそれは、人間性に対する「傲慢」ですら在るかも知れない、と思ってしまったりもするのですね。 [映画館(字幕)] 6点(2024-11-17 14:15:28) |
3. ナイトスイム(2024)
《ネタバレ》 まず、非常にホラーらしいホラーだとゆーか、嘗てのJホラー(否、今だにこーいうのばっかりか…)的な起承転結に加えて、個人的には序盤からのスピード感=ごく徐々にジワジワと盛り上げてゆく感じなんかも、このマンネリがもはや逆に心地好い…くらいな気持ちで観てましたよね。んで、ホラーのみならず、何となく「水中撮影」とゆーのも映画自体のトレンドでもあるのかな…とは思ってまして(⇒ホラーだと『ザ・ディープ・ハウス』とかが記憶に新しい)殊ホラーにおいてはやはり、非常にお手軽に「空気が無い」という緊迫感を場面に添加できるというコト⇒プラス、更に今回の水場は家のプールというコトでソレはソレでまたホラーとしては一つのシチュエーション=ファミリーもののホラー、をごく自然に描いてゆけるって条件だったのかな…と思ったりもしますよね。 まあ、ゆーてごく非常に「手練れ」な方たちの仕事ですので、ソコまで決してそんなに悪いホラーだったとは思わないのですケド(+諸々まあまあ気合とおカネの掛かった作品だったとも思えましたし)でも観終わっても満足感とゆーか、それ以上に納得感が確かにだいぶん薄かったですかね。第一には、冒頭で述べた「この形式」のホラーであれば、真相にはもう少し「理路整然としたモノ」が必要だったかと思いますね⇒更に突っ込んだ言い方をするなら恐らく、この「真相」とゆーのを最初から知っている「悪意ある関係者」とゆーのが誰か必要だったかな…と思います(⇒んで、この家族的な建付けだとソレはちょっと難しそう…と思ってしまうのが正直なトコロで…)。もう一つはシンプルに、コンセプトだ舞台設定だナンだ…の部分には、理解できなくもないモノや事情或いはトレンドを汲み取れる…とは言え、どーしたってソレは料理で言ったら「お皿」その他だとも思うのです⇒つまりは今作、肝心の料理そのもの=ホラー描写が(また正直)ど~れもイマイチでキレも無いんすよ。。やっぱね、水の怖さだナンだァゆーといて、その水の中に(いつもの)ゾンビみたいなバケモノみたいなモンを出し捲っとったら意味ねーやん!とゆーか。。少なくとも二点め、ホラー描写にもう少しセンスが在ったら全然化けた作品かな…とは思われます。やや残念。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2024-11-12 23:09:26) |
4. 地獄のヒーロー
《ネタバレ》 正直、気になるトコロは無限に在る…とゆーか、ベトナム戦争もののアメリカ万歳映画!な~んてキョウビじゃ既に在り得ない建付けでしょーし、80年代とは言え技術的にはB級もB級、本当に物理的に頭空っぽにしないと(=鉤爪かなんかで脳味噌を鼻から引摺り出しちゃわないと)観れない様な映画だ!とすら思ったりしますよ(ちょっと言い過ぎかも知れませんが)。でも確かに、それでも終盤は結構エキサイティングに楽しめた様な気もするのですね(テンポも好かった気がする)。あのボートが効いてるんですよね~多分……こーいう映画にも立派な「使い道」は絶対に在るとは確信しつつも、前述のアメリカ万歳!がごく鼻に付く感じが強かったコトを考慮して、それでもワリと迷いに迷った挙句にこの点数にしておきます。機会があれば。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-11-11 22:23:12) |
5. ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ
《ネタバレ》 今作は流石にちょっと、途中まで観たトコロで、余りにもストーリーの意図が(⇒どうしてこんなに要素を増やして複雑にしているのか)がまるで汲み取れなかったので、原作のゲームの方を少しばかり調べてみたのですね。すると結果として、その理由とゆーのは概ね理解できたとゆーか、二点、まずは「そもそも原作に(映画化に足るホドの)ストーリーが無い」とゆーのと、あとは「こんな危険なバイトに(5夜も連続で)来るワケが無い」という最大の無理筋・難点を何とかする為に(恐らく)こーなっている、というコトだと思うまでには至れたのですね。ゲーム自体は、少なくともゲームとしては非常に興味深い・面白そうなゲームで実際に大ヒットしているってコトなので、クオリティはどうあれホラー映画として仕上げてしまえばその時点で勝ち…みたいなコトだったのかとも思うのです(⇒実際、評判は正直好くないよーですがヒットはしたってコトらしい&続編も出るらしいので)。が、コ~レだったら流石に私も、単に映画としては例の『ウィリーズ・ワンダーランド』の方が完全に面白いと思ってしまいますですね。イマイチです。 ※でも、別に私は『ウィリーズ・ワンダーランド』が他のホラーよりも面白い、とはあまり思ってないのですケドね。 ※それでも、やはり私も「ナンで『ウィリーズ・ワンダーランド』が既にあんのにこんなローテンションなつくりにしてんの?」とは、否が応でも思ってしまいますケドね。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-11 22:11:08) |
6. シシリアン(1969)
《ネタバレ》 時代的なトコロもあるのでしょーが、特に中盤が(かなり長いコト)サスペンスとしては&ノワールとしたって、ごく非常にマロいのですよね(=ちょっと眠い)。序盤にはドロンが(半裸で)走り回る様なシーンもあったり、またオーラスの辺りは(急激に)テンポもかなり好くなってったりもするのですケド、その辺も含めて多少「時代」を感じざるを得ない…みたいな感じではありますかね。 だから正直中盤は、名優3人の演技をボ~っと眺める位しかやるコトがねーのですケド(女優も今作では個人的には今一つパッとしない様な気もするし…)ドロンとヴァンチュラはともかく、ギャバン御大はちょっとあんなに老け役につくり込む必要はあったんすか?と思ってしまいますかね⇒隠居間近のマフィアのドンという役回り+実年齢も60半ばだし…とは言え。。そもそもストーリー自体もやや焦点が絞り切れて居ない様な感じで、ボ~っと眺めてる分には宝石強奪のトコロなんかはまずまず鮮やかな仕業!にも思えたのですケド、そっから先はクライマックスの盛上りもイマイチだし…と、ストーリーにも(率直に)そこまでの面白みは無かったかも知れない…とは思ってしまいますよね。 しかし、再び個人的には、終わり方(とゆーかその「呆気無さ」)には、中々に味わい深いフレンチ・ノワールの真髄を感じられたという気もするのですね。この話って結局のトコロは、あの時あの瞬間にテレビにあのシーンが映らなかったら…という、実に些細なコトを切っ掛けに最後は皆が破滅する…というお話だと思えて居り、それはその「悪が栄えるコトを許さない」という意味でもごく正しいノワールの終い方だと思うのですし、それもまた全体のアンニュイさ(+例のモリコーネの気怠い音楽)にも適合していたと思うのですよね。まあ、再々度、その破滅をもたらした最大の元凶は?と少し掘り下げるならば、ドロンの色ボケと、そしてギャバンの(「家族」というモノに係る)頑固さ+(嫁ごときを御しきれなかったという)少しバカリの⇒しかし致命的な油断、という、これまた些か気の抜けてしまう様な人間臭さ、だと思ったりもしますケドね。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-13 01:30:06) |
7. ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
《ネタバレ》 観てる最中は率直に、最終作にしては脚本が弱いな…(話にスペシャル感がねーな…)と怪訝に思いつつ居たのですケド、なんかどうも根本的に勘違いだったよーで(⇒でもポスターに「最期」みたいなコト書いてなかったっけ?)別に今作が完結編というワケではないってコトみたいですね。。ただ、映画のつくりそのものはかなりグレードアップしてまして(宮崎ロケとかもそう)、前田のあっちゃんも然るコトながらやっぱ池松壮亮さんの存在感とゆーか端的なクオリティは凄かったですね。アクションの質・量も申し分無く、多少クセは有る方の映画だとは思いつつ、それでも娯楽作としては(既に)手堅いってレベルで広く楽しめるのではねーでしょーか。やはりオススメは出来るシリーズですね。 ただ……再度言わせて貰うと、ちょっとお話自体の出来 or 中身の詰まり具合みたいなトコロには、やや残念な感じも在りますかね。特に、前述どおり池松さんは役づくりからして相当に高度に好い感じに仕上げてきてたと思うのですが、その意味ではちょっと「喰い足りない」とゆーか、もっとココにもクオリティを詰め込めたのではねーか…的な感覚もあり(その辺は、もしかしたら前田敦子さんのトコロにも同様のモノがモヤモヤしてるかも知れません)。主役のふたりのシーンで(アクションにしてもドラマにしても)少なくとも映画の半分は埋まってしまう必然があるハズなのですから、残りの半分は誰かの話に絞った方が…というコトかも知れないですかね(実際には中々そうもいかず、他のモブキャラの話だって挿し挟まずには居られないのであって)。コレはもう、連続ドラマの方も観れば好いのですかね…??… [映画館(邦画)] 6点(2024-10-12 22:18:06) |
8. トランスフォーマー/ONE
《ネタバレ》 序盤の感じはごくお子様向けとゆーか、あんまし必然性も無くレースシーンとかに入ってく辺りなんかはこないだのマリオの映画か!てな感じでもあり、正直若干侮っちゃう様な感じで観てしまっても居たのですケド、後半は俄然けっこうシリアスに展開していって⇒んでど~見ても小物でしかないセンチネルを脇に置いやってのクライマックスは相当に重厚なお話として大盛り上がり!だったので、ソコになんか意外性とゆーか「してやられた」感までがしっかり感じられて(ソコが)私の評価にも反映されてるかとは思います。中々に見事な観応えだったと思うのですよね。アクションやロボットの造形は流石のハイ・クオリティで、コンパクトさ・テンポの好さも娯楽・ファミリー映画向けにはごく適切だと思いますね。一つ、続編が在っても無くても全然成立する…みたいな終わり方だったかとも思いますが、どーなるコトやら。。もう一つダケ、字幕版は、主役二人の声(クリヘム&ブライアン・タイリー・ヘンリー)に関しては、個人的にはちょっと「太すぎる」気がして、私のごく勝手な個人的印象からはちょっと離れているかな…という気もします⇒なので、再見するなら吹替で観てみようかと思います。 [3D(字幕)] 8点(2024-10-09 21:08:49) |
9. 志乃ちゃんは自分の名前が言えない
《ネタバレ》 根本的には、非常にオーソドックスな青春映画だと思うのです。これもまた、いずれ世に打って出なければならない若者たちが、その為に必要な「自信・自己肯定感=コンフィデンス」と言うべきモノの端緒を掴むまでの物語である、とは思うのでして。中で第一の主人公は、その面においては極めて劣悪な状況から物語をスタートしているとゆーか、冒頭30分位までは(個人的には)かなり観ていて居た堪れない、という映画ではありました⇒でもそれは、少なからず私自身にも(多少レベル感は異なれども)それと同様なナニかが「身に覚えの有る」コトだったからだと思うのであって、だからやはりこれは非常に普遍的な青春の物語なのだろう、とは思うのですケドね。 ある種ニつほど、そーいうオーソドックスな青春映画であるコトの上に、付加価値的にこの映画がオリジナリティと言うべきモノを備えて居るとしたら、一つそれは、ソコまでは(やはり)ごくオーソドックスに分り易く展開を運んでくる一方で、終盤からクライマックスにかけては(急激に)ごく繊細で曖昧な物語としてそのテーマが語り上げられる、というコトでしょうか。この部分に関しては、殆どあらゆるモノ=ブチまけられる感情が沸き起こる「理由」というのが、作中に明解に表現されて居る訳ではない、という様にも見えました⇒なので、逆に、その部分はそれこそ如何様にも観る側の自由な想像に任され得る、とも思います。私自身は、根本的にはそれでも、実に非常に「正しい」方向に進んでいった物語だと感じて居ます(⇒それは、前述の序盤の居辛さを越えて以降も決してただ居心地の好い物語では無かった…とは言えども、その先に現れた方の辛さや優しさや、そして種々の「傷の痛み」については、それがその彼らの人生において意味せんとするトコロが、全て正しい「先」に向いていると感じた、という意味でです)。二人が菊池に示した受容の在り方も、年齢に不釣合いな加代の優しさも、そして何より志乃の種々の怒りも&でもそれでもその怒りを実際に口に出すときに彼女が選んだ言葉の一つ一つに至るまで、あくまで私における「想像」の上からは、実に筋の通った&共感の可能な物語だったと、私自身にはごく非常に得心の行く作品だったのですよね。嘗ては、この手の作品を観るとどーしたって「原作も読んで…」みたいな欲求が芽生えたりもしたのですが、最近は&そして今作に関しては、そんな必要は無いかな、と思う様には為りましたかね(⇒驕りに聞こえたら申し訳無いのですが、それでも、私は「コレはコレとして」つくられている作品だ、というトコロには、ある種の確信を持っている、というコトではありますね)。 もう一つ、今作がスペシャルである理由は、何はともあれ主人公役の南沙良さんですね。一言、素晴らしい演技でした(⇒もう一つダケ付け加えるなら、クライマックスはもう、真の意味で=演技としても単に一人の人間としても、正に圧倒された、という感があります)。「原作を読んで…」みたいなコトの必要性は感じていない、と言ってはみたモノの、彼女がそういったシーンをどういう解釈のもとに演じていたのか、というトコロには、興味が無いと言ったら(全くの)嘘には為ってしまいますかね。加えて、蒔田彩珠さんも負けず劣らずの好い出来だったと思いますね⇒こちらは、個人的には、ややゲスいかも知れませんがとにかくルックスが超・好みだった(=ここ数年のあらゆる映画の中で最もその意味でココロ揺さぶられた)というコトなのですよね…… [インターネット(邦画)] 8点(2024-10-07 21:13:28) |
10. 殺しが静かにやって来る
《ネタバレ》 モリコーネ氏の例のドキュメンタリを観てコッチも観たくなっちゃった第一弾!なのですが、内容自体は典型的なるマカロニ・ウエスタンで、かつ件の氏の音楽も(多くの部分では)オーソドックスな氏のマカロニ系だとも思います…が、まずはそのお話が全編通して白銀世界の中で繰り広げられるというコト、マカロニの中でも相っ当なハードボイルドって方であるコト、加えて、肝心なシーンでは氏の手になる音楽もまた実に高尚なっちゅーか本格的なっちゅう風情に溢れまくっていて(クラシック=純粋音楽ぽい曲も方々に多々あったりで)トランティニャンが主役だからってダケなワケではねーものの⇒その高度な芸術性&風格を鑑みるならごくハイレベルな方のフレンチ・ノワール的だった…みたいな質感すらも感じられてしまいましたよね。個人的にはその辺はズバリ、ドンピシャに好みだったと言えます。 しかし………確かに、このラストは、衝撃的とゆーか驚愕とゆーか、でも驚愕とゆーても「え、こんな終い方してもーて好いと思てんの?」みたいな悪い意味での意外性だとゆーか…(殊に前述どおり、内容そのものは結構オーソドックスな方なんだから…)百歩譲って、トランティニャン以下があーなるのは(私としても)涙を呑んで善しとした…しても、それでもどーしたって(あのレベルで極悪!って)クラウス・キンスキーがああ為って(=ああも為らずに)終わるとゆーのは、コレは私としてもちょっとどーにも腑には落ち切らないのですよね。その点を考慮して、この評価としておきます(⇒ハッピーエンド版も流布してるってコトみたいですが、どーでも好いって出来なよーなので観ずにおこうと思います)。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-10-05 23:52:47) |
11. シビル・ウォー アメリカ最後の日
《ネタバレ》 今年は大統領選挙もあるので、極めてタイムリーで(だからある意味)「ポピュラー」で、そして実際にその方面にもっと素直に、スペクタクル系のアクション・娯楽作品として仕上げるコトだって実に容易だったハズだとも思うのです。が、観てみると全く全然そーでもなくって、ワリとのっけから思ったよりも遥かに「A24」的な映画だったとゆーか(⇒間合いだの空気感だの)、でもまァ、よ~く観れば最初から尺だってそ~んな本格的な超大作ってワケじゃあなさそうな感じでもありましたしね。 しかしそれでも、ひとつの大いなる驚きとして、私には今作って途中からは(寧ろ)ホラーにしか見えなくなっていった…とすら言いましょーか、言い方を少し変えるなら、個人的に最も今作と似た印象を受けた過去作品は?と言えば、たぶん恐らく『地獄の黙示録』かな…と思ったりもしますかね。「異世界」と言うには余りに「リアル」すぎる状況設定の下、それでもその「世界」も、或いは「人間そのもの」のカタチもまた歪み爛れ、最後には崩れ落ちてゆく…みたいな。でもまた、しかし、その映画の中の悪夢の様な「虚構」とゆーのは、よく考えれば何れも=どのシーンのどの画ヅラもまた、この世界の何処かで嘗て実際に顕現したモノばかりであって、そのコトは単に、我々一般人がそれを実体験して居ないダケ=んで今作の主人公達であるジャーナリストのみがそれを知っているダケ、というコトこそ、今作が最も我々に伝えたいコトなのだ、としたら、その時点で再び、実に中々に好く出来ちゃってる映画だよな~と、私としては唸らずには居られないのですね(⇒率直に、一本取られてしまったな、と…)。 私が勝手に見做すトコロのホラー・スリラーとしての観応え・キレ味もまた十人並な~んてモンじゃあ無かったってコトも踏まえて(⇒あのジェシー・プレモンスのシーンは、その観点からもやっぱ凄かったと思うのですよね)今作もまた、優れた着眼を始点に・監督の斬新でアイデアフルな「やりたいコト」とゆーのをモノの見事に体現している優れた作品だ、とは思うのですね。ただし同時に、根本的なジャンル(とゆーか映画が描くモノの方向性)としては、ど~にもコレって私としては、非常に「嫌いな方」の映画でもあるのですよ(⇒特にホラーとしては「大嫌いな方」のヤツ)。エンドロールの醜悪さも然るコト乍ら、その直前で、もう一人の主人公たるジェシーが見せた成長・辿り着いた境地とゆーのだって、それこそコレはその「ジャーナリスト」としては正しいと言えるトコロなのかも知れませんが、じゃあ単に「人間」としては…??と、個人的にはソコにも果てしなく疑問しかなかったのでもありますし。結論、そんなこんなでかなり評点は迷いましたが、前述の「してやられた」感をよりポジティブに重視して、この評価としておきます。どうせならこのタイミングで、観て損は無いかとは思いますね。 ※追伸:もう少しチャンと、上で名前を出した『地獄の黙示録』と今作を比較しておくなら、前提となる「状況設定」としてはたぶん『地獄の~』の方が今作より幾ばくかリアルで、かつ分り易いかなと⇒一方で、辿り着く「結論」の部分は、コレもたぶんどっちも同じ様なモノだとは思うのですが、やや今作の方がシンプルだったかなと。『地獄の~』の方は、終盤がまァ~サッパリ訳分かんないですからね。でも、今作のラストとゆーのも、表面的には明解だったとは思うのですが、コレも上で書いたとおりどーにもしっくり来ないとゆーか薄気味の悪い悪趣味な終わり方だった様にも思えて居て、やっぱ全然大衆的な映画じゃあねーかな…とは思ってしまうんすよね。見た目以上に「人を選ぶ」映画…という様な気もしますかね(⇒まァ、A24って大体そーいう感じか…とも思いますケド)。 [映画館(字幕)] 8点(2024-10-04 22:11:51) |
12. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 編年体的と言うか、モリコーネ氏の長大なキャリアを最初から最後まで辿ってゆく形式で、かつ(当然の如くに)語るべきコトが膨大なのでこのボリュームになっている様です。序盤、やや「事実の羅列」的である様にも(再び当然に)思われたとも言えますが、最後まで観ると個人的にはごく適切な語り口だったのではないか…とゆーか、諸々の困難に対して最後まで試行錯誤・挑戦をし続けた=型に嵌らずにアイデアを出し続けた、とゆーのが、氏の偉大さの本質ではないかと思うまでには至ったのですよね。映画音楽とゆーのも、高度に専門的な分野だけに監督に依っても音楽担当との関わり方・アプローチも様々だとは思われますが、この映画を観る限り、モリコーネ氏に関してはソコはある種全て実力で「捻じ伏せた」とゆーか有無を言わさなかった…というコトにも見えました。がそれ故に、氏の関わった映画に関して言えば間違い無く、その音楽的な部分のアイデアとゆーのは全て氏の手に因るモノなのだろうと⇒それはつまり、氏がどういう映画に対して如何なるアプローチ・バリエーションで挑んだのか、というコトそのモノが、映画を志す者にとっては須らく探求の対象となるべき貴重な「遺産」と言えるのではないか…と思わされた=実感させられましたとも言えますね。その意味で、真に稀有な映画人だったのではないかと思いますし、同時に、今作もまた非常に観る価値の高いドキュメンタリである…とも、やはり思われてしまいますよね。 ※余談:映画(+氏の音楽)というシーンもふんだんなのですが、これまた全てが「名シーン」にしか見えず、観たコト有る映画もまたみたくなるし、観たコト無いのも観たくなるし…で(非常に個人的な事情ですが)ワリと大変でしたよね。。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 00:25:29) |
13. 神の道化師、フランチェスコ
《ネタバレ》 個人的に、ネオレアリズモの映像的質感とゆーのにどこまでもシンパシーしか感じられない体質なのでして、また個人的にはその辺の質感って未だに邦画のドラマ映画の一部(⇒所謂ライト層から「(諸々と)暗くてボソボソ聴取り難くて嫌い」みたいに言われちゃうヤツ)の根底にも脈々と引き継がれ続けている様にも思われていて、ソコにも再びシンパシー=もはや「同志」と言って好い様な感覚まで覚えてしまうと同時に、だからコレは「経緯」を理解してないと中々分り合えないコト…だとも思ったり、ソレってまたどーしたって半ばは幼少時・若年期の映像的体験によってのみ培われるモノであろう⇒半ば越えられぬジェネレーションギャップなのかも知れない…と思ったりはしておりますね。 今作、そのネオレアリズモとしては確かに、更に非常にプリミティブと言いますかエッセンシャルだと言いますか、ちょっと既存の映画とは(=当時でも現時点でも)かなり異質な質感に仕上がっている様にも思われました。内容も内容とて、ただただ聖フランチェスコ&その弟子達の様子を淡々と事実のままにフィルムに写し取ってゆくダケ…とでも言いますか、作為的なモノが殆ど感じられないのですよね。ある種、本来「映画」に人為的につくり込むべき「内容」そのモノに関しては、ただキリスト教の歴史と価値観の側に丸投げしている…という様なコトにも見えました。しかし、ソレは当然事実ではなくて、その様に「見せている」と言う方が正しいのも確かだと思われて、その意味ではやはりコレって極めて高度な技術だとも思うのですよね。 私には、おそらく、前述の「キリスト教的内容」の本質に辿り着く術が備わって居ないので、本作の技術の真の意味についても理解するトコロまでには至らなかった…というコトで、評価としてはこの位が妥当かと思うのです、が、今なお観ておくべき価値の在る作品だとまでは容易に思うコトが出来ます。興味の在る方は、このタイミングで是非。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-22 13:21:12) |
14. 毒蜘蛛タランチュラ 死霊の群れ<TVM>
《ネタバレ》 70年代のテレビ映画ってコトなのですが、観終わって思うのはまず端的にコッ酷い邦題!という一点ですよね…(遂にソフトが発売されたのはついこないだ!てコトっぽいのに…)私も正直、クモに咬まれるとゾンビになっちゃうゼ!て映画なんだろ~な~と思って借りて観てたのですケド、結論的にはそーでなくって単に危険な毒グモがエクアドルからのコーヒー豆密輸に乗じてカリフォルニアに襲来する…みたいな超・単純なアニマルパニック作品なのですよね⇒その意味では、比べるべきはやはり同時代の『ジョーズ』なのだと思われます(筋書きも随所でかなり似通ってるし)。実は、クモもクモとてタランチュラですらなくて、実在の超危険グモ「クロドクシボグモ」というヤツなんすよね(ギネスにも載ってるとか)。結論的には、ゆーてテレビ映画的な質感ではあるのです、がしかし使用されるクモの量的な部分にも結構凄いモンがあるのと、前述どおり主役の毒グモは実在してます!と言われるとそれだけで気色悪さと居心地の悪さが中々に高度に醸される気がするので、結局のトコロはワリと全然十二分に楽しめちゃった…という、ごく意外な結末を迎えるに至ったのですよね。それでも、終盤は結構テキトー・雑に終わってゆきますし、ゆーて暇潰し用途ならまァ…みたいな感じなのも確かです、が同時にまた確実に珍品にも思われるので、興味の沸く好事家の方は是非。 [DVD(字幕)] 5点(2024-09-19 21:23:52) |
15. ボーンズ アンド オール
言ってみれば「人喰い」という、実に悍ましきモノ達がひたすらに主役なのですケドも、本作はその彼らに思いっ切り感情移入を促し続けているとゆーか、悪い意味でのキーパーソンである老醜なるあのサリーに対してすらも、必ずしも悪感情のみが沸き上るコトを狙っているワケでもない様な、一見では理解しがたい様なヒトの感情の励起というモノに果敢に挑戦している…という作品に見えるのですね(あくまで、私の個人的な感覚としては)。その、私の(ちょっと異様な)感覚の根源としては、コレがある種の「比喩」に見えたとゆーか、ヒトは誰しも周囲の他のヒトを傷つけずには生きられないとゆーか、本作はシンプルにその「誇張」であるとも感じられたとゆーか、またシンプルにソコに感情移入の取っ掛かりが確実に存在した、と思われたのですよね⇒その意味では、非常に分り易い「映画的」な映画だった、と思ったりもします。 ラストが秀逸でしたね。「俺を喰え」。そもそも、ド初っ端から例の『東京喰種』だとか、或いはこのシーンに限れば『HELLSING』だとか、何か何処かで私ですらも出逢ったコトの有る(一種)在り来りな場面にも思われましたが、上で述べた文脈からすればコレは(コレも)一つの究極の愛のカタチ=ヒトが他者に与えられる完全なる肯定、であるとも思われたのですよね⇒その呪われた運命をも、全て愛する=受容するのだ、と。似た様な側面を孕んで居る…(一見は全くそうは見えなくとも…)と、ず~っと思いながら観ておりましたケドも、私は確実に今作の方が(監督作としては)『君の名前で僕を呼んで』より、二回り位は好みでありますね⇒勿論、その見かけホラー的な諸々のキレ味の好さを鑑みたのだとして。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-18 21:05:11) |
16. コヴェナント 約束の救出
《ネタバレ》 現代戦争ものでかつ、取り分け戦時下における人間のドラマ(+αでアクション)に関心を絞って観るなら、間違い無く90点を付けられるというレベルのよく出来た作品です。諸々の構成要素の「リアリティ」がどのくらい本物なのか、というトコロは私にも定かにはならないのですが、少なくとも単なる映画としては十二分に真に迫って、かつシリアスで緊迫感も備えている優れた作品だったと思われます。特に、前述のそのドラマ=男同士の「絆」の部分には、個人的には少し前時代的なとゆーか(⇒例えば一部の西部劇的な男のドラマに見えた、と)しかし戦争のもたらす状況のそのものというのはいつの時代も変わっていないのだろう、とも思われれば、これも一つのごく「普遍的」なるドラマなのではねーかな、と思うマデには至りましたすね⇒もしかしたらソレは、いつの日かきっと失われるべきシチュエーションなのではねーか…とも思えど。 再度、深く考えずに二人の男の成り行きに集中するのであれば、実によく出来たシンプルな作品だと思います。が、実際にはその背景に様々なる複雑で割り切れない事柄というのがとぐろを巻いているのであり、ソコまでを踏まえると今作のこのシンプルさというのは、そういったモノを描くのに十分なソレだったか、という疑問が生じるのも確かかと思うのですね(⇒端的に、今作のこのラストにおいて否応無く感じられる「カタルシス」というモノは、人が持ち得るソレとして果たして、根源的かつ倫理的に「妥当」なのかと)。あくまで個人的には、私はいったんその事は脇に置いて今作を観終えた、という理解をして頂くとして、その上でこの評点と致しておこうかと思ったのです。まずはご覧あれ、と。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-17 19:56:53) |
17. フランチェスコ
《ネタバレ》 映画大国イタリアを代表する聖人(⇒イタリア自体の守護聖人だそーで)とのコトで、ちょこちょこ他にも映画の題材ともなっている様ですがそれらは未見です。ただ今作は、伝記映画としての側面に重きを置いた「通し」みたいな感じかとは思えていて、聖フランチェスコの改悛のきっかけから、教団の成立と発展、対立と苦悩、そしてその果てに訪れた奇跡…といったトコロを比較的淡々と(+静謐かつ荘厳に)描いてゆく…という作品ですね。とは言えまず、そのボリューミーなお話をかなりゆったりと語ってゆくので大作級の長尺ながら時間が有り余ってる・足りてると言うよりは寧ろ逆の方だって印象もある位で、かつ、また全然娯楽寄りな作品でもねーので説明描写の量も(言い方を選ばすに言えば)かなり不親切で関連知識は前提として持ってて当たり前でしょ?みたいな質感だとも思われます。プラスその意味では、たぶん国際版と言われる尺の短いバージョンとゆーのは、その辺が更に際立つ様な感じだったのではねーか…と思われてしまいますね(⇒なので、この157分尺のノーカット完全版を観た方が好いのではねーかと強く思われます)。 まとめると、中世のキリスト教に対するシンパシーと知識が無いとややキツそう…みたいな作品だとは思うのですが、私は(別にソコまでそーいう素養があるワケでもねーですケド)かなり面白く観入ってゆけたという気もします。全方位にごく真摯で、何より根本的にフランチェスコの言ってるコトそのもの=半ば彼独自の「教義」というモノにも相当に共感を覚えるコトが出来たからだと言いますか、映画って言うよりはソコにこそ思いっ切り感動までしてしまったと言いますかね⇒モチロン、それを可能にしているのは適切な解釈と優れた演出が在ってこそだとも思います。さりげない終わり方なんかも、コレかなり好きなヤツですね。皆さんも機会が在れば是非。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-16 22:21:05) |
18. メサイア・オブ・デッド
《ネタバレ》 本作の製作時期、つまりあのロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』後~『ドーン・オブ・ザ・デッド』前の頃とゆーのは、観てるとこの手の「ロメロ・ゾンビじゃない(=だとも言い切れない)」という、今や少しユニークなゾンビ映画とゆーのが散見されるって興味深い期間なのですね。ただ今作は、そもそも原題には『オブ・ザ・デッド』って入ってるワケでもナンでもなく、少なくともコテコテな方のゾンビ映画扱いしちゃってるのは後付けの(勝手な)理屈だとも思われます。個人的には、まず随所に発揮される美的感覚(⇒主演女優のルックスとか)なんかにはイタリア方面からの影響をしっかり感じ取れるトコロですし、ホラー的な内容の部分にもまた(少なくともロメロと同等以上には)あの『恐怖の足跡』の影響を見て取れるってトコロでもあります⇒てゆーか、もしモノクロでやったらまんま『恐怖の足跡』だと思いますよコレ。 冒頭~ごくごく終盤までは、ソッチ準拠な感じの雰囲気ホラー…の方に(比較的高度に)思われても居て、その雰囲気自体も決して悪くはないとも思ったのですが如何せんサイレントホラー過ぎてやや退屈…(とまでは言わずとも時間の経過が少しじれったい…)みたいな感覚でもありました。が、中盤からは(今度は)ロメロ準拠なトコロのかなりショッキングな描写も入ってきますし、んでオーラスは更に思ったより相当に派手+ゾンビとゆーにはかなりユニークなシーン(&諸々の画ヅラ)が登場してくるので、ソコまで来るとオヨヨ??とちょっと意外に思えるってまでにとてもホラー的に面白かったのですよね。それでも、前述の終盤手前まで苦しめられた過度なまろやかさに依って少しダケ迷わされたりもしたのですが、いったん高めに寄せて評点はこの位にしておきます。一見の価値は大いに在るかと。 ※ネタバレ追伸:本作のストーリーの根本原因としては、作中終盤の「ネタばらし」の部分で「ドナー・パーティ」って聞こえたので私は何となくどーいう話か理解できた積りで居るのですケド、少なくともアマプラの字幕だとソコがチャンと表現し切れてなかったって気がしてますよね(⇒観直したら、唐突に「ドナーまで来た」みたいな土地の固有名詞としては字幕に出て来てるのですケドも)。やっぱイマイチですよね。私は最近アマプラってもう殆ど観ないのですケド、今作はDVD借りたらアスペクト比がバグってて観れなかったので仕方なく…皆さんも、少しご注意を。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-14 08:57:00) |
19. スオミの話をしよう
《ネタバレ》 よく考えてみると、この監督(・脚本)の方の映画ってのをあんまし観ずにココまで来てしまってるって感じでもあるのですが、少なくとも本作はかなりフルスイングに大ボケ(ボッケボケ)な質感のコメディではありまして、実際に演技もナンも一切合財相っ当に大袈裟であるコトも含めると、まずは多分に舞台劇・舞台芸術っぽい感じでもありましたかね。加えて(だから)特にキャラの造形の部分にはリアリティが在るって感じではないので、畢竟、お話の流れにも隅々まで納得が行き渡る…な~んてコトになる可能性もあんまし高くはねーかなーと思ってもしまいますね(⇒それ自体が好いのか悪いのかは別としても)。そもそも、コメディ・お笑いってまた、人に依って比較的「好み」自体が分かれるトコロでもあるかとは思うので、その意味でも仮にもし「好みじゃない」とするとコレって、ちょっと流石にどーにもなんない…みたいな気もしてしまいますかね。幸いにも私は、実は結構嫌いじゃない方のソレではあった様な気もしてて、なので結局この位の評点にはなります(⇒最後まで観ると、とゆーか、結局ホントのオーラスのオーラスの「ヘルシンキ~~~♪♪♪」の辺りで遂に大爆笑!に至るコトが(チャンと)出来ちゃってるのでして⇒勿論、むしろあの辺りこそが前述の「好みが分かれる箇所」の最たるものであろう、と言ってしまえるダケの客観的視点とゆーのも持ち合わせている積りでは居ります)。映画自体のつくり諸々としては、かなりリキの入った丁寧なモノだったとも思えてますし(カメラワークとかもワリと凝ってた気がする)。 とは言え、ね~~~そーいうの関係無く、少なくとも長澤まさみさんに関してはコレは絶対に嫌いな人の方が圧倒的に少ないってコトだとは思ってるのですよ。んで、何となく予告編とかの感じからすると、その長澤さんがあんまし出ない(=出ないケド存在感ダケ在りまくる)みたいな方の映画なのか…とも思いきや、実際には全然そんなコトも在り得ずにフルスロットルで大暴れ!してくれちゃってるって方の映画なのですわね。結論、長澤まさみさんがお好きな方になら、全然フツーにオススメ出来るって映画ではあります。ただし一点、前述どおりお話にはあんまし中身の無いってコメディ…のワリにも、尺も別にそんなに短くもねーので、有り体に言うと「コレって映画館で観るべきなのかな…」みたいな感覚とゆーのは、無いと言えば嘘になってしまうかも知れません。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-14 00:54:53)(良:1票) |
20. 河内カルメン
《ネタバレ》 さっき『肉体の門』の方でも仄めかしましたが、まず今作の野川由美子さんってナンか一瞬信じられないレベルのド級の美人に(何故か)見えちゃってまして、一方で内容も内容とてモ~「悪ふざけ」に近いって遊びっぷりで、演出もまた(善きにせよ悪しきにせよ)実に監督の「クセ」が超・強力に出捲っちゃってますし、また他方では中盤に一発野川さんと佐野浅夫さんの(諸々と)また意味分かんないケド意味分かんない位に凄い(全力で笑えて全力で泣けちゃうって)超絶演技の名シーンも在ったりして、ま~た正直「ナニこの映画???」と思ってしまって已まれなかったすよね。重ねて、先の『肉体の門』と点数の前後は付けておくのですケド、率直にそのコトに意味とゆーのはほぼほぼ無いのです。興味と機会と暇の在る方は、万難を排してでもご覧くださいませ。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-09-07 01:50:19) |