Menu
 > レビュワー
 > Yuki2Invy さん
Yuki2Invyさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1648
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567
投稿日付順1234567
変更日付順1234567
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版
レオーネ的時間感覚がもたらす荘厳な映像空間は、これを観ることである一つの人生を追体験することを可能にする。そしてそれは、確実に絶望的な程に苦かった筈なのに、それでもどこまでも、ただひたすらに甘い郷愁であった。誰の人生においても、いずれ時が何もかもを融かすのだろうか。人生は所詮、夢まぼろしか。確かにこれは、人生が終わるときに観るべき映画だ。
[インターネット(字幕)] 10点(2019-12-31 01:52:45)
2.   《ネタバレ》 
それこそ、30年くらい前に初めて観て(僭越ながら)こんなの今まで観たコト無いな…と思った記憶がありますね。それは特に「時代劇としては」という意味だったのですが、今だに強烈に印象に残ってるのは(中で)とにかく「血の表現」だったと思います⇒最高レベルってのはココまでやるのか…と。でも、今今に観直すとコレって、別に全然「リアルな血」ではないよな…とも思うのですね⇒あんなに河みたいにドロドロ流れないだろ…と。で、そもそもこの映画、よく観ると何処も彼処も全然「リアル」ではないとも思うのですよ。狂い果てた幽鬼の如き仲代達矢の有様(or メイク)と言い、諸々の地形もチャンと観るとなんか変なトコばっかですし、異様に煌びやかな衣装や具足・それも含めて全体的にも隅々まで「画が綺麗すぎる」とだって思ったりします(単にリアルな時代劇だってなら尚更に)。  何より、今回観たらコレ、時代劇は疎かドラマにだって皆目成ってないな…て思っちゃったとゆーか、登場人物も総じて全然リアルな人間には描かれてないのですよね⇒前述の仲代達矢や狂阿彌は勿論、息子三人だって一人として血の通ったキャラには全く見えて来ない。ある種、私原田美枝子さんって大好きなんですケド、今作にのみ関して言うなら寧ろ彼女ダケがひとり「間違えている」という風にすら見えます⇒「人間」過ぎる・「人間」としての感情をリアルに+ハッキリと表し過ぎている…と。結局、私が思うトコロの一番に来るコトとしては、見た目の印象やごく重々しい・重苦しい特大の見応えとは全く裏腹に、実に抽象的な表現で抽象的なモノを描こうとしている映画だ、と⇒だからやっぱり(私が他に観たコトあるモノの中では)何より「能」に一番近い…と思わずには居られないと言いますかね(ココまで表現が「ある意味で」抽象的だと、コジツケぽく思われるのは(私も)重々承知ですがモ~致し方無いかな…と)。  とは言え、そりゃ映画なんだから当然、本来の能よりは全然(全っ然)分かり易いとは思うのですよ。でも、逆にコレくらいはしてあげないと現代人には(最早)伝わらないんだよ!てコトにだって思えたりするのですよね⇒ソレはもう、現代人が「想像力」を致命的なまでに喪失してしまって居るからだ…と。今作で言えば、鶴丸が笛を唯々奏でる(というテイで笛の音が唯々流れる)中盤とオーラスの2シーンとゆーのが、私にとってはその「抽象的なモノを抽象的に伝える」シーンとして極致に到っていた…と感じられたのですね。小林正樹監督の『怪談』で、平家琵琶のシーンを観た時にもその様に感じられたコトではありますが、重ねて、嘗ての人々にとっては音曲・舞踊ダケでも伝わっていたソレとゆーのが、今や即物的に為り過ぎ&心の瞳を失い&退化し切った現代人にはこの程度の映画(映像)表現でアシストしてやらないと伝わらないのだろう…と(率直に)思われるのです。そして、今作もまたその意味では、そーいう古のテーマを古の技法に(部分的にも)則って垣間見るコトが出来るという点で、実に日本的で、そして優れた映画だったと思うのですね。傑作だと思います。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2023-12-31 23:26:20)
3.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 
勢いが命!とゆーか、だからまァ~確かにコテコテにおバカな映画ですよね(そもそも、池田屋にはなんであんなバカみたいな梯子段があんのですかね?)。加えて、実に格好の悪い人たちの映画でもあります(地味に往生際もだいぶん悪かったりで)。人気?俳優の腰巾着で、腹ボテの女を厄介払いに押し付けられても文句のひとつも言えやしない…でも、少し考えると、事情はあれどもその女には実際に惚れてはいるのだから(かつ人間的にはその女性は間違いなく人生を共にする価値のある人なのだから)ソコら辺はグッと飲み込んで受け入れる…てのも、銀ちゃんだって恩人は恩人なのだからソコはバカになって恩返しに一肌脱ぐ…てのも、頭がイイとは言えませんケドも実にとても格好好いコトだとも思うのですよね(=これぞ「漢気」)。ただバカなのはまあ困りますケド、イザって時に「バカに為れる」てのは、人間としては最上位に大事なコトだとも(ずっと前から)心に留めているコトではあります。格好付けてる(orアレコレ損得を考え込んでる)暇があったら、飛び出せ!と言われてる様な気もしますですね(今年はそーいう年にしたいですね)。  今作では松坂慶子だけは、徹底的に美しい・格好好い・善なる存在として描かれている様に思います。ルックスのレベルが(なんか)桁違いに高いコトも相まって、ちょっと神々しい…とすら感じるとゆーか。その意味でもまた、どこかお得感のある映画です。
[インターネット(邦画)] 9点(2022-01-01 23:50:06)
4.  トラヴィアータ/1985・椿姫 《ネタバレ》 
ことヴィオレッタに関しては、演者は絶対に痩せてる方が好いですよね(そもそも肺病病みなキャラなのだし、あとやっぱデブって無条件で不幸なよーに見えないですからね)。現代の著名なヴィオレッタ歌いでも例えばエルモネラ・ヤオなんかは常時可哀そうなぐらいに痩せ細ってますし、その意味では今作のテレサ・ストラータスはまずその点で最高のヴィオレッタたる資格十分です。また、この役に関して言えば巧「すぎる」のも少し考えモノかと思います。「巧い」とゆーのは「余裕」が在る、つまり例え超絶技巧であっても決してソレを100%ギリギリでやり切っているとゆーのでなくて、あくまで8割の力で流している様に「見せられる」コトかと思いますが、ことヴィオレッタに求められるのは最高レベルに巧みで余裕でありつつも、多少は「無理をしている」感を残していることかとも思うのですよね。正に命を削ってソレを燃やしているかの様な繊細さを含む輝き、コトに寄っては無理をするあまりにふと壊れてしまい兼ねないかの様な儚さ、が欲しいとでも言いますか。その点についても、今作ややテンポが速い箇所も散見されたりで(特に『そは彼の人か~花から花へ』あたり)ソコから来るストラータスの切羽詰まった感が好い様に作用し、そういった儚さ・少しの脆さも十分に醸せている様に思われますね。重ねて、実に素晴らしいヴィオレッタだと思います(雰囲気は前述のとおり、モチロン技巧面も演技面も含めて)。  全体的な演出の話をすると、特に第三幕は大幅にカットされていますが(第二幕第一場も若干か)そこまで違和感・省略した感はないですかね。あと、この演出は昨今は割とポピュラーかと思いますが、第一幕と第三幕をリンクさせて全体をヴィオレッタの回想として見せる方針を採用し、特に第三幕のアルフレードの帰還はヴィオレッタの幻覚であったことを明確とする演出になっており、尚更に結末を悲劇的に色付けしていると言えます。その他、第二幕第二場にはオペラでは難しいレベルの非常に大規模で絢爛豪華なバレエシーンを配置し、また第三幕でもオペラでは音だけで表現されるカーニバルのシーンを映像として挿入しており、これらは臨場感を高めると同時に大きな映像的見ドコロとなっているのも映画ならではのクオリティと言えるでしょう。私の中では今作は『椿姫』の中でも決定版だと思っています。オペラファンなら、是非。
[DVD(字幕)] 9点(2021-09-25 18:41:16)
5.  八月の鯨 《ネタバレ》 
人生、必ずしも上手く生きてきた訳ではない。辛いことも多かった。悲しいことも多かった。掴んだと思った幸せは、指の間をすり落ちて二度と戻っては来なかった。  今、老いさらばえて病を得、体の自由も利かなくなり、遠からず訪れる死を待つのみとなった…  それでも、それでも前向きに、今を生きてゆこう。いつかまた、鯨がやって来ることを信じて…
[DVD(字幕)] 9点(2020-01-19 15:27:09)(良:1票)
6.  ザ・バニシング-消失- 《ネタバレ》 
全体的に描写自体は地味なのだが、結末部分がとにかくその辺のホラーなど問題にならないくらいにおぞましく、かつ(怖いを通り越して)恐ろしい映画である。サイコ・サスペンスでは文句無しに最強レベル。かなり緩慢で(前半は正直言って若干退屈)、かつ非常に淡々としつつも、徐々に徐々に着実に不穏さを増してゆく展開運びは全体的に極めて秀逸で、ラストの一気に盛り上がる緊迫感→絶望感は他に類を見ない素晴らしさ。犯人のサイコな演技も◎。掘り出し物ながら、非常にオススメ。
[映画館(字幕)] 9点(2019-12-10 23:27:57)
7.  ガンジー 《ネタバレ》 
「偉大なる魂」ガンジーの奇跡の生涯の映画化にして、人類史上最も崇高な勝利の物語。全人類が観るべき映画。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-30 01:25:56)
8.  蜘蛛女のキス 《ネタバレ》 
非常に濃厚なホモ映画にして、一つの美しい愛の物語。2人が信頼し合っていく過程はかなり丹念に描かれ(刑務所での2人きりの会話劇というのがここで非常に効いている)、ラストの幻想的で切ない感動を誘う。序盤、ごついオカマにしか見えないモリーナだが、終盤死にゆく場面では、私には彼(彼女)は美しい女性にしか見えなかった。2人の会話の内容として語られる映画の場面がふんだんに挿入される構成も、閉鎖空間での会話劇に目先を変えられるシーンをもたらしている点で非常に巧みで効果的だと思う。総じて、マイベストに近い恋愛映画。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-21 22:33:13)
9.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
ホラーと言うよりビックリ箱な驚かし系や、ただただ大袈裟に禍々しいだけのモンスター系な恐怖描写が蔓延る昨今のホラー映画を観飽きてくると、本作のホラーとしての素晴らしさが良く理解できるというものである。幻覚・幻聴と現実が綯交ぜになった映像空間(敢えて双方の質感を全く同じにすることで、その混ぜこぜ感をより増している)を用いて、何が起こっているのか、何が真実なのかが分からないというシンプルで基本的ながら非常に強力な不安・恐怖を巧みに醸し出すとともに、狂気に陥るジャック・ニコルソンをしてこれも何を考えているのか、何を仕出かすのか分からないという「危険と謎」の恐怖が見事に演出されている。  特にニコルソンの「腹に一物有る」感じ(それは狂気から来る憎悪・殺意その他ではあるが)、そして腹に一物が有りつつも最後の一葉でそれを封じ込めている感(この感じが正に導火線に火の付いた爆弾の如き危険人物感を醸している)と、終盤、終に爆発する狂気の演技は一世一代の名演と言える。加えて、実はシェリー・デュヴァルの怖がる方の演技(それは機嫌の悪い夫を恐れるシーンでも、殺人鬼と化した夫に慄くシーンでも、果ては完全にパラノーマルな現象を目の当たりにしたシーンでも)はこれまた出色な出来。更に言えば、バーテンダーとグレイディの抑制しつつもやっぱりどこか超越的な(人外の)演技も非常に味わい深い。この演技の質の高さに加え、映像美・画的な部分のクオリティも一部芸術的とも言えるレベルに達していると言う完成度の高さ。ホラーとしては文句無しにオススメできる作品。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-21 00:41:28)(良:3票)
10.  ナーズの復讐 集結!恐怖のオチコボレ軍団 《ネタバレ》 
正直、例のフラタニティ・ソロリティとかって要素についての理解が全く無かったので、その辺のワケの分からなさがある種のコメディ風=ボケっぽく見えていたコト(⇒「全ギリシャ会議」とかってヤツに関しては最初ホントにボケかと思った)を差っ引くと、観終わると更に「単なるコメディじゃない」って感覚にもなるとゆーか、本質的には相当にマジメな方の=ごく真剣でシリアスな何らかの「叫び」がその根幹に存在している…て作品だと思うのですね。モチロン、また相当に極端なカリカチュアの集合(によるコメディ)だとは思うのですし、だから見た目ダケ・彼らの振舞いの上っ面ダケを観ていても全然クスクス出来てゆく様なコトではあるのですが、何つーか他のこーいう系(⇒例えば同時代の『ポーキーズ』とか)に比べても、ネガティブな方の言い方をするなら諸々と実に「ジメっとしてる…」みたいな感じなのですよね。  ただ、重ねてそこそこコメディとしても楽しく観れたのではありますが、だからこそ+今ならば尚更、その「叫び」に対する共感とゆーのは当時より遥かに容易に為っている…という感覚もまた非常に強力なのです。それこそ、私なんか絶対にこんな価値観の蔓延ってた時代のアメリカに生まれなくて好かったな…とつくづくホッとしたとゆーか、こんなんだから当時のアメリカはダメダメだったんだよ!とマデ思えたと言いますかね(⇒まあ別に日本含む他の国がより好かったってコトでもねーとは思います)。また何となく正直、コレこそ今にこそ観直すべき青春コメディなのではねーかと思った…てのが、今作を観ての結論的な感想なのでありまして、個人的には意外なホドにスゴく観て好かったって感覚ですら居ますよね。  惜しむらくは、チープな青春コメディとしての建付けもあってか、そのカリカチュアの一部には少しやり過ぎ=今般では最早許されないレベルの、諸々の「差別とも捉えられ兼ねない描写」も含まれていて、それがちょっと頭の痛いトコロではあります(この日本でソコまで普及していないのもズバリ、登場するナード日本人のそーいう描写の所為だとは思えますし)。それでもあくまで個人的には、もう少しダケは普及しても・アクセスが容易になっても好いであろう作品には思えるのですケドね。    ※余談:要は今作って、今となっては大流行中の「多様性がテーマ」って作品だと思うのでして、そして作中にもかなり雑多なソレが出てくる中でも、少なくとも他のソレを否定する・傷つける様な在り方をしないのであればダレがドレのどーであっても別にイイじゃない!というメッセージ自体は、ジェネラルにしっかりと伝わって来る…てのが(作品としての)いちばんイイ所だとも思うのですね。がしかし、更に思考を一歩前に進めて(とゆーか自分自身の大学時代を振り返って)その多様性を受容するという大前提に立った上でも、それでも他方で非常にプリミティブな次元において何らか「共通言語」を持っておくとゆーのもまた大事なのではねーかな…とは思ったのですね⇒また要は、今作はナードの勝利を描いてはいるケドも、それは唯々「オタク」に為ってゆけば・凝り固まってゆけば好い…なんてコトではねーのだ、と。その「共通言語」って、例えば作中では「音楽」とか「恋愛」とか、或いは「酒」とかだった様には思えてるのですが、最近だとこれらって、ソコまで共通言語として機能するかな?みたいな感覚もワリと強烈に在ったりもして(⇒仕事で所謂「Z世代」と絡むとホントにそう思わされる)、まずはやはりジェネレーションギャップを感じると同時に、そもそも今ってそーいうのってあるのかな?(⇒それが無いとしたら実はそれこそが…)みたいに思えたりもしましたよね。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-03-09 12:05:28)
11.  チェンジリング(1980) 《ネタバレ》 
さっき観たバーヴァの『呪いの館』で、似た様なシーンが在ったから(また)ちょっと思い出して再見しちゃったのですが、この映画ってやっぱシンプルにかなり「怖い」のですよね。ごく終盤のクライマックスまでは非常にサイレントなホラーで、ソレこそ製作年である1980年以降はめっきり減っていった系統のヤツ…だとも思うのですが、今今に観直しても(逆に)何故こーいうコトになっていってしまったのだろう…と思わざるを得ない、ソコにこそ、今作の(ホラーとしての)技術の高さ・真似の出来なさが凝縮されて居る…とも思うのですよね。何とゆーか、ウギャア!と驚く・慄く・慌てふためく、なんてコトとは真逆の方向性、正にあのジョージ・C・スコットをもが(例のボールの跳ねて来るのを見て)壁まで後ずさったかの如くに一瞬「身動き出来なくなる」という様な重くて冷たい恐怖の一撃が其処彼処に…て感じなのですね。うーん…ホラーを志す者ならば絶対に最初に観ておくべき、と言って好いレベルの傑作だと思います。未見の方は是非。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-07 21:31:52)
12.  不思議惑星キン・ザ・ザ 《ネタバレ》 
史上稀に見る…と言って好いレベルで「頭で理解するのが難しい」という映画かと思いますね。そもそも、こ~んなグダグダをフル尺の映画で観せられて、んで何故にそもそも(お笑い的に)コレがこんなに面白いのか⇒更にソレだけではなく、観てるとまた他にも様々な感情が何故にこんなにココロに沸き起こってくるのか(喜怒哀楽は無論、後半は友情やらナンやら、最後には確実にちょっと感動までしてまう始末でありまして)。理に適った説明という意味ではまず非常に困難だと思いますし、率直にいまレビューも極めて書き辛いです。でも、私としては今作もやはり確実に一種の奇蹟=天才の為せるワザ、だったかとは思うのですよね⇒とゆーか、やっぱラストでアレだけ謎に感動してしまったのだから、コレはも~「そう思わざるを得ない」という方が近いです。  一点だけ、小賢しいお世辞文句も並べておくのなら、コレ、日本人たる我々にとっては、言語がロシア語だった=英語じゃなかったのが、なお一層「効いてる」よーな気もしてますよね。こーいうシュールなコメディって、むしろ日本でこそ(映画でも)見かける頻度は(特に西欧~アメリカと比べたら)多い様な気もするのですケド、逆に近年の日本のシュールコメディが諸外国ではどのようなモノに見えてるのかとゆーのは、今作を観た後だと(その観点から)少し気になる様な気もしますかね⇒まあ、今作とは違って邦画のその手のヤツって、言語的な笑いが(やっぱ)より多い気もするので、広く観られてるって状況では絶対にないとも思いますケド。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-01-21 23:45:59)
13.  ダントン 《ネタバレ》 
この『ダントン』という映画が在る一方で、どう探しても『ロベスピエール』という映画は無いよーで…とは言え、今作でもそのロベスピエールの苦悩もしっかりと描き込まれては居たり…と、作品としても善悪や敵味方のシンプルな二項対立を描くモノには決してなって居ないですし、当然の如くそれは時代考証としても+普遍的なこの事象の解釈としても正しいのだと思います。今作を観てもやはり、フランス革命とゆーのは私には、その後の歴史の中で同じ様なコトが散々繰り返されたのも含めて「こーなるしかない」歴史的必然だった様に思えるのですよね。だからその意味では、まず総てが「無駄では無かった」とも思うのですし、むしろ我々はその成果に「タダ乗りしている」側だ、ともずっと思っているのです(未だに)。この騒ぎから程無く、ロベスピエール一派もまた滅びて革命は一旦の終わりを迎える…のでしょうが、そこまでは描かずに(極度の不穏さを以て)それを暗示して終わる…とゆーのも、洒落ていて(単体の映画としても)より効果的だったと思いますし、また高度に暗示的であるが故にある種「未来予知的」だという意味でも好い演出だったと思うのですね。非常に見応えの在る、優れた映画だったと思います。  しかし、それでも尚、ワイダ監督がロベスピエールよりもダントンの側に共感を惹き付けられていたコトの理由とゆーのは、繰り返された歴史的既視感に対する共鳴と同義だったのか…とは少し考えてしまいますね。あくまで私の個人的な解釈としては、成就しなかった革命の「普遍的な末路」とゆーのが、この映画の結末=ダントン粛清に凝縮しているのではねーかな、なんて思ったりもします。要は、大きな意味での「味方」を殺し始めたらモ~終いだ…というコトですよね。だから、我々としても、もし敵が同士討ちとか始めたら、喜ばしいと思うよりはちょっとヤバいと思った方が好いのかも知れませんね⇒味方を味方とも思えなくなってるヤツってのは、敵のコトなど人間だとすら(多分)思ってないですよ、と。
[DVD(字幕)] 8点(2023-11-11 11:16:12)
14.  AKIRA(1988) 《ネタバレ》 
最近、観てなかったと思ったら観てた、というコトが発生する様になってしまったのですが、今作は、観たと思ってたのですが観てみたら明らかに(少なくともチャンとは)観てなかった…というヤツでした。。  ソレはさておき、何より内容の方が(30年以上前の作品としては)かなりブッ飛んでますよね。作画の方も、同様にごく素晴らしいとは思うのですケド、コッチは部分的には年代相応…かとも思いました(ガンダムだと『逆襲のシャア』と同じ年、ジブリだと『ラピュタ』の少し後、くらいなので、超クオリティ!とは言え個人的にはソコまでの驚きでもなかったかな~と)。でも、中盤のアキラの保管庫?が地上に引っ張り出されるシーンなんかは(今なお)相当にスゲーなコレ…と思いましたです(完全に観入って呆けてました)。シンプルな画・構図の出来やアイデアについては、やはり時代を超えてゆくというクオリティを備えていると思いますかね。  結論、映像もお話もかなり興味深く・面白く最初から最後まで一気に観切れたので、文句の付け様は特にありませんです。蛇足で2つ言わせて頂くなら、まずオーラスは流石にナニが起こってるのか(具体的なコトは)ちょっと伝わらないかな…という点と(ソレでも十二分に「感じ取れる」とは思いますケドも)、もう一つ、キャラの人物造形あるいは「魅力」の描き出しは多少甘めかな…とも思いました⇒コレについても、だったらよりボリューム有るであろう漫画版を読めば好いんじゃね?と自己解決はしてるトコロですケドも。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-04-11 22:16:44)
15.  エル・スール 《ネタバレ》 
青春と自我の目覚め、その一つの顕れとしても、自分の知らない「親の人格」を意識し始める…とゆーのはある種普遍的な要素と言えるかも知れない(「エル・スール(南)」とはその象徴なのだろう)。その部分の分かり易さ・明解さも含め、『ミツバチのささやき』よりは多少取っ付き易い作品かとも思われるが、完成度とゆーのはこちらの方が更に上かも知れないすね。まずはとにかく、また何処も彼処もまァ~画が美しいコト!絵画的で、んで陰翳の使い方が実に絶妙なのですよね(コレは質素なよーで超・凝りまくってるってヤツだなと思えましたよ)。あと、音楽の入るシーンなんかも少ないのですがソコの選曲もまた絶妙で、その点からも要所の雰囲気は素晴らしく文芸的で心地好いモノになってましたです(まァのみならず、全体的にも雰囲気とゆーのはごく最高でしたケドね)。台詞も(字幕なのに)実に詩的で、原語で理解できたら尚感動できるというモノだろうと確信しております。(タルコフスキーを除けば)個人的には『ミツバチのささやき』『ツィゴイネルワイゼン』と今作が自分史上ベストという(文芸映画的)アート系映画になりますかね。重ねて、超ハイレベル作品でした。
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-07 18:32:08)
16.  オテロ 《ネタバレ》 
ゼフィレッリの『トラヴィアータ/椿姫(1982)』が今まで観た『椿姫』の公演映像全体の中でも実は最上位くらいに好きなのですが、ゼフィレッリは翌年にも再びプラシド・ドミンゴとテレサ・ストラータスを起用して『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』のオペラ映画を撮影しており、更に1986年に本作をまたもやドミンゴ主演で撮っている、というコトのようです。これはもはや、ドミンゴありきの題材選定というコトなのでしょう。しかし、流石に20世紀最高のオテロ歌いとも称されたドミンゴの出来自体は本作でも正に圧巻で、随所でエゲツない迫力を見せつけています(演技・演唱ともに)。加えて本作、その他キャストの出来も申し分無いですね。デズデーモナを演じるカティア・リッチャレリは歌唱も素晴らしいですが、映画女優にも引けを取らない品の在る美貌もオペラ映画としてのクオリティ向上に大いに貢献していると思いますし、本作でむしろオテロ以上に重要なキャラであるイアーゴを演じるフィスティノ・ディアスも、特にその狡猾で陰険な雰囲気・キャラづくりが実に的確でした。衣装等の美術面は流石のゼフィレッリ・クオリティでその面の出来も上々です。オペラ映画としては間違いの無い高品質かと。
[DVD(字幕)] 8点(2021-09-19 12:42:33)
17.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
ファンタジック・ノスタルジック・ロマンチック・コメディ。『別れの曲』のなかに淡く融合されてゆく様なこれらの要素はいずれも中々出来が好いと思いますが、やっぱり今作はロマンチックですかね。個人的な趣味ですが、富田靖子が色々とにかく可愛いんですよね(紛う事無き昭和の美少女、というか)。膝下スカートの制服で自転車に乗り、棚引かせるは長い碧の黒髪(昭和な感じの豊かな毛量)と、それだけでロマンチックとノスタルジックは私の合格点を完全に凌駕してゆきます。ちょっとおバカなコメディ面も好きですね(チョイ役の樹木希林と小林聡美とか実にイイ味出してましたね)。残るはファンタジックですが、あくまで軽いノリの世界観も全体の雰囲気に対してとても適切だったと思います。更に年齢を重ねて、また観てみたい作品です。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-11-28 16:57:44)(良:1票)
18.  マタギ 《ネタバレ》 
村落を襲う危険な巨熊との最後の戦いに挑む老マタギの話と、チビ犬を立派な猟犬(マタギ犬)に育て上げようとする老マタギの孫の話を軸に、東北の農村の生活風景を季節感豊かに織り交ぜて描いてゆく隠れた秀作。話の内容も普通にまずまず面白く観れるし、本物の熊を使ったクライマックスの対決シーンなどは緊迫感も中々素晴らしい。主演の西村晃は本物のマタギにしか見えない秀逸な役づくりでこの面の満足度も高い。一点だけ、特に前半は登場人物の訛りが非常に強烈で、何を言ってるのか分からないシーンも散見された(字幕が欲しい)。  あと、個人的に印象深かったのは、今は失われたであろう種々の農村の生活風景・風習の興味深い様子である。個々のシーンで特に面白かったのは、警察署長と飲んでるときに「ドブロク持って来い!」と言って署長が顔を顰める場面や、マタギ犬の大会の様子(ツキノワグマと犬を実際に対峙させるという)など。もう一つ、獲物は山神からの授かりものとして命懸けでこれと相対することを旨とし、旧式の猟銃と三発の弾のみを携えて山に赴くというマタギの精神性。これもまた、今は確実に失われてしまった日本人の在り方の一つであろう。
[DVD(邦画)] 8点(2020-07-19 23:47:40)(良:1票)
19.  セックスと嘘とビデオテープ 《ネタバレ》 
性欲は3大欲求のひとつでありながら、大概の人が常に満たした状態にある他のふたつとは異なり、必ずしも全ての人が常にこれを満たした状態にあるとは言えない様に思う。そもそも、どういう状態にあることが真に性的に満たされていると言えるのか、ということを考えさせられる様な映画である。  本作に登場する4人は、自覚している・していないに関わらず、4人ともに性的に「不健全」な状態に置かれている。中で、最も一見して端的に病的な状況に在る様に思われるグレアムのアプローチ、物理的に不能な自分に対し、やはり性的に「不健全」であろう女性たちに、カメラを通しての精神的な「解放(裸身を曝すこと)」を要求していくという、これも一見高度に変態的な行為が、むしろセックスの本質のひとつの「正常な」側面を明らかにしている。終盤に描かれるアンとグレアムの精神的な解放・結合(自己の曝け出しと他者の受容)こそが、変則的ではあるがセックスの(形而上的な)あるべき姿だとソダーバーグは言いたいのだろう。  あくまで個人的には、このソダーバーグの結論は、万人がこれを認めるというにはやや高尚すぎる、とも思う(それは、もっと高次元の人間の欲求の話だと)。そして誤解を恐れずに言えば、そんなことを言い出すのであれば、生物学的には性欲の最も重要な論点は正に結果、つまりは家庭・子供を持つということに帰結するべきだ、とも私は考えている(性の在り方が多様化する現在、こんなことを言うと、また袋叩きにあってしまいそうだということは重々承知の上で)。しかし、その意味でも本作が描く価値観は、現代でも通用するある種の先見性を備えていた、と言えるのかも知れない。中々どうして、今なお観る価値の深い映画だ、とも思う。
[DVD(字幕)] 8点(2020-07-19 15:12:26)
20.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 
極めて少人数の編成、かつ基本的に普通の室内・車内ばかりで展開される会話劇で(数少ない屋外のシーンも人気の無いそこら辺が殆ど、という)、見るからに低予算である。その会話にしても、内容的にも文字数的にもこれもホントに何の変哲・含蓄も無いというか、何とも省エネな映画だと思う。  しかし、そんな中に慎み深くも表出される登場人物の感情の錯綜が率直に非常に面白い。出色は何と言ってもエヴァで、自分が「可愛い」ことを骨の髄まで知り尽くしているが為、自分が男に対しては絶対的に優位に立てることを完全に理解している、という謂わば「猫」。やはり本作、まずドレスの件が実に味わい深く感じられるし、あと面白かったのが4人が居並んだ映画館のシーン。「その並びなの?」しかしエディとウィリーは明らかにそのつもりなので、これは必然なのである。誰もなにも喋らないが、その頭上に垣間見える火花が出るほどの感情の錯綜がこれも面白い(エヴァは多分なんも考えてないだろうけど)。終盤はテンポが上がってかなりドタバタしているが、ここも笑えた(「予感」の話とかもとても好み)。  様々な無駄を削ぎ落すことで旨味だけを際立たせた様な、真に監督の力量が知れる映画だと思う。一級品の上質なコメディ。
[DVD(字幕)] 8点(2020-06-08 00:43:10)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS