1. グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
《ネタバレ》 前作も実は、完全版は劇場公開版より少し長くて約3時間…という長尺だったのですが、今作も今般の公開版でほぼ2時間半…という(史劇映画としてはむしろ適切に思えるレベルの)大作にはなってます。しかし、冒頭から決して諸々のクオリティ自体は低くないものの、残り1時間位までは正直、まずは殆ど「前作と同じ話」+且つはまたあらゆる面で何もかもが「軽い」という、ごく残念な方の印象が強くって、率直に全く面白く観れては居なかったですね。前作の時代より更に深まった筈のローマの混迷の様子も、そして何より主人公の「怒り」にも、とにかく全く体重が乗っていかないのですよ。主人公のハンノ=ルシアスに関してはまた、その怒りをぶつけて殺すべきがアカシウスではないコトだって最初っから分り切ってるじゃあないですか(という意味でも再び白けてしまって)。 ただ、残り1時間を切った頃からは、その辺はむしろ「トリック」と言うべきモノだったのではないか…と思えるホドに、前作とは全く違った話になってゆくのですよね。その部分の仕掛け+運び方自体は、実は前作の冒頭=端緒からも繋がって居たと思える様な、両作を通しての普遍的なテーマ(の描き出し)にもソレが見えてくるかの様な、非常にテクニカルな好い仕事だったとは思われるのです。しかし、私自身はまた正直、ソコにも(否、ソコにこそ)あまり共感は出来なかった⇒何故なら、今作が(否応無く)史劇である以上は、またソレこそが「幻想」であるからだ(⇒我々は確かに、この後もローマの堕落は最後まで止まらなかったと知ってしまって居るからだ)としか言い様が無いのですね。今作のラストに描かれるローマの勝利というのは、それこそ彼らが劇中で都度口にするローマの(或いは人類そのものの)「見果てぬ夢」でしかなくて、私はむしろソレがそう描かれたこのクライマックスからは、ペーソスかノスタルジィか、その類のナニかしか強く感じ取れないのです(⇒重ねて、今作が「史劇」であるからは)。そしてもし、そういったモノを描くコトもが、今作の目的の一つだったとしたら、ならばそれは(勝利ではなくて)むしろ、敗北を描く方の映画ではないかな、とさえ思ってしまったのですよね。結論的には、終盤はやや史劇の手を離れて、むしろファンタジックに・地から足を離してゆく様に終わっていっちゃったな…という感覚が(再び)強いですね⇒その辺りについては、端的なストーリーそのものも、少し雑で整合性に欠けるきらいが強かったとも感じますし。 思ったのはやはり、史劇こそ・史劇にこそ、描かれるべきはむしろ唯「人=人の在り方」だ、というコトです。そして尚、ある「理念」に依って、その「人の在り方」自体の軽重をも定められると、もし考えているのだとしたら、私はそれは、人間性に対する「傲慢」ですら在るかも知れない、と思ってしまったりもするのですね。 [映画館(字幕)] 6点(2024-11-17 14:15:28) |
2. ナイトスイム(2024)
《ネタバレ》 まず、非常にホラーらしいホラーだとゆーか、嘗てのJホラー(否、今だにこーいうのばっかりか…)的な起承転結に加えて、個人的には序盤からのスピード感=ごく徐々にジワジワと盛り上げてゆく感じなんかも、このマンネリがもはや逆に心地好い…くらいな気持ちで観てましたよね。んで、ホラーのみならず、何となく「水中撮影」とゆーのも映画自体のトレンドでもあるのかな…とは思ってまして(⇒ホラーだと『ザ・ディープ・ハウス』とかが記憶に新しい)殊ホラーにおいてはやはり、非常にお手軽に「空気が無い」という緊迫感を場面に添加できるというコト⇒プラス、更に今回の水場は家のプールというコトでソレはソレでまたホラーとしては一つのシチュエーション=ファミリーもののホラー、をごく自然に描いてゆけるって条件だったのかな…と思ったりもしますよね。 まあ、ゆーてごく非常に「手練れ」な方たちの仕事ですので、ソコまで決してそんなに悪いホラーだったとは思わないのですケド(+諸々まあまあ気合とおカネの掛かった作品だったとも思えましたし)でも観終わっても満足感とゆーか、それ以上に納得感が確かにだいぶん薄かったですかね。第一には、冒頭で述べた「この形式」のホラーであれば、真相にはもう少し「理路整然としたモノ」が必要だったかと思いますね⇒更に突っ込んだ言い方をするなら恐らく、この「真相」とゆーのを最初から知っている「悪意ある関係者」とゆーのが誰か必要だったかな…と思います(⇒んで、この家族的な建付けだとソレはちょっと難しそう…と思ってしまうのが正直なトコロで…)。もう一つはシンプルに、コンセプトだ舞台設定だナンだ…の部分には、理解できなくもないモノや事情或いはトレンドを汲み取れる…とは言え、どーしたってソレは料理で言ったら「お皿」その他だとも思うのです⇒つまりは今作、肝心の料理そのもの=ホラー描写が(また正直)ど~れもイマイチでキレも無いんすよ。。やっぱね、水の怖さだナンだァゆーといて、その水の中に(いつもの)ゾンビみたいなバケモノみたいなモンを出し捲っとったら意味ねーやん!とゆーか。。少なくとも二点め、ホラー描写にもう少しセンスが在ったら全然化けた作品かな…とは思われます。やや残念。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2024-11-12 23:09:26) |
3. ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ
《ネタバレ》 今作は流石にちょっと、途中まで観たトコロで、余りにもストーリーの意図が(⇒どうしてこんなに要素を増やして複雑にしているのか)がまるで汲み取れなかったので、原作のゲームの方を少しばかり調べてみたのですね。すると結果として、その理由とゆーのは概ね理解できたとゆーか、二点、まずは「そもそも原作に(映画化に足るホドの)ストーリーが無い」とゆーのと、あとは「こんな危険なバイトに(5夜も連続で)来るワケが無い」という最大の無理筋・難点を何とかする為に(恐らく)こーなっている、というコトだと思うまでには至れたのですね。ゲーム自体は、少なくともゲームとしては非常に興味深い・面白そうなゲームで実際に大ヒットしているってコトなので、クオリティはどうあれホラー映画として仕上げてしまえばその時点で勝ち…みたいなコトだったのかとも思うのです(⇒実際、評判は正直好くないよーですがヒットはしたってコトらしい&続編も出るらしいので)。が、コ~レだったら流石に私も、単に映画としては例の『ウィリーズ・ワンダーランド』の方が完全に面白いと思ってしまいますですね。イマイチです。 ※でも、別に私は『ウィリーズ・ワンダーランド』が他のホラーよりも面白い、とはあまり思ってないのですケドね。 ※それでも、やはり私も「ナンで『ウィリーズ・ワンダーランド』が既にあんのにこんなローテンションなつくりにしてんの?」とは、否が応でも思ってしまいますケドね。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-11 22:11:08) |
4. ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
《ネタバレ》 観てる最中は率直に、最終作にしては脚本が弱いな…(話にスペシャル感がねーな…)と怪訝に思いつつ居たのですケド、なんかどうも根本的に勘違いだったよーで(⇒でもポスターに「最期」みたいなコト書いてなかったっけ?)別に今作が完結編というワケではないってコトみたいですね。。ただ、映画のつくりそのものはかなりグレードアップしてまして(宮崎ロケとかもそう)、前田のあっちゃんも然るコトながらやっぱ池松壮亮さんの存在感とゆーか端的なクオリティは凄かったですね。アクションの質・量も申し分無く、多少クセは有る方の映画だとは思いつつ、それでも娯楽作としては(既に)手堅いってレベルで広く楽しめるのではねーでしょーか。やはりオススメは出来るシリーズですね。 ただ……再度言わせて貰うと、ちょっとお話自体の出来 or 中身の詰まり具合みたいなトコロには、やや残念な感じも在りますかね。特に、前述どおり池松さんは役づくりからして相当に高度に好い感じに仕上げてきてたと思うのですが、その意味ではちょっと「喰い足りない」とゆーか、もっとココにもクオリティを詰め込めたのではねーか…的な感覚もあり(その辺は、もしかしたら前田敦子さんのトコロにも同様のモノがモヤモヤしてるかも知れません)。主役のふたりのシーンで(アクションにしてもドラマにしても)少なくとも映画の半分は埋まってしまう必然があるハズなのですから、残りの半分は誰かの話に絞った方が…というコトかも知れないですかね(実際には中々そうもいかず、他のモブキャラの話だって挿し挟まずには居られないのであって)。コレはもう、連続ドラマの方も観れば好いのですかね…??… [映画館(邦画)] 6点(2024-10-12 22:18:06) |
5. トランスフォーマー/ONE
《ネタバレ》 序盤の感じはごくお子様向けとゆーか、あんまし必然性も無くレースシーンとかに入ってく辺りなんかはこないだのマリオの映画か!てな感じでもあり、正直若干侮っちゃう様な感じで観てしまっても居たのですケド、後半は俄然けっこうシリアスに展開していって⇒んでど~見ても小物でしかないセンチネルを脇に置いやってのクライマックスは相当に重厚なお話として大盛り上がり!だったので、ソコになんか意外性とゆーか「してやられた」感までがしっかり感じられて(ソコが)私の評価にも反映されてるかとは思います。中々に見事な観応えだったと思うのですよね。アクションやロボットの造形は流石のハイ・クオリティで、コンパクトさ・テンポの好さも娯楽・ファミリー映画向けにはごく適切だと思いますね。一つ、続編が在っても無くても全然成立する…みたいな終わり方だったかとも思いますが、どーなるコトやら。。もう一つダケ、字幕版は、主役二人の声(クリヘム&ブライアン・タイリー・ヘンリー)に関しては、個人的にはちょっと「太すぎる」気がして、私のごく勝手な個人的印象からはちょっと離れているかな…という気もします⇒なので、再見するなら吹替で観てみようかと思います。 [3D(字幕)] 8点(2024-10-09 21:08:49) |
6. シビル・ウォー アメリカ最後の日
《ネタバレ》 今年は大統領選挙もあるので、極めてタイムリーで(だからある意味)「ポピュラー」で、そして実際にその方面にもっと素直に、スペクタクル系のアクション・娯楽作品として仕上げるコトだって実に容易だったハズだとも思うのです。が、観てみると全く全然そーでもなくって、ワリとのっけから思ったよりも遥かに「A24」的な映画だったとゆーか(⇒間合いだの空気感だの)、でもまァ、よ~く観れば最初から尺だってそ~んな本格的な超大作ってワケじゃあなさそうな感じでもありましたしね。 しかしそれでも、ひとつの大いなる驚きとして、私には今作って途中からは(寧ろ)ホラーにしか見えなくなっていった…とすら言いましょーか、言い方を少し変えるなら、個人的に最も今作と似た印象を受けた過去作品は?と言えば、たぶん恐らく『地獄の黙示録』かな…と思ったりもしますかね。「異世界」と言うには余りに「リアル」すぎる状況設定の下、それでもその「世界」も、或いは「人間そのもの」のカタチもまた歪み爛れ、最後には崩れ落ちてゆく…みたいな。でもまた、しかし、その映画の中の悪夢の様な「虚構」とゆーのは、よく考えれば何れも=どのシーンのどの画ヅラもまた、この世界の何処かで嘗て実際に顕現したモノばかりであって、そのコトは単に、我々一般人がそれを実体験して居ないダケ=んで今作の主人公達であるジャーナリストのみがそれを知っているダケ、というコトこそ、今作が最も我々に伝えたいコトなのだ、としたら、その時点で再び、実に中々に好く出来ちゃってる映画だよな~と、私としては唸らずには居られないのですね(⇒率直に、一本取られてしまったな、と…)。 私が勝手に見做すトコロのホラー・スリラーとしての観応え・キレ味もまた十人並な~んてモンじゃあ無かったってコトも踏まえて(⇒あのジェシー・プレモンスのシーンは、その観点からもやっぱ凄かったと思うのですよね)今作もまた、優れた着眼を始点に・監督の斬新でアイデアフルな「やりたいコト」とゆーのをモノの見事に体現している優れた作品だ、とは思うのですね。ただし同時に、根本的なジャンル(とゆーか映画が描くモノの方向性)としては、ど~にもコレって私としては、非常に「嫌いな方」の映画でもあるのですよ(⇒特にホラーとしては「大嫌いな方」のヤツ)。エンドロールの醜悪さも然るコト乍ら、その直前で、もう一人の主人公たるジェシーが見せた成長・辿り着いた境地とゆーのだって、それこそコレはその「ジャーナリスト」としては正しいと言えるトコロなのかも知れませんが、じゃあ単に「人間」としては…??と、個人的にはソコにも果てしなく疑問しかなかったのでもありますし。結論、そんなこんなでかなり評点は迷いましたが、前述の「してやられた」感をよりポジティブに重視して、この評価としておきます。どうせならこのタイミングで、観て損は無いかとは思いますね。 ※追伸:もう少しチャンと、上で名前を出した『地獄の黙示録』と今作を比較しておくなら、前提となる「状況設定」としてはたぶん『地獄の~』の方が今作より幾ばくかリアルで、かつ分り易いかなと⇒一方で、辿り着く「結論」の部分は、コレもたぶんどっちも同じ様なモノだとは思うのですが、やや今作の方がシンプルだったかなと。『地獄の~』の方は、終盤がまァ~サッパリ訳分かんないですからね。でも、今作のラストとゆーのも、表面的には明解だったとは思うのですが、コレも上で書いたとおりどーにもしっくり来ないとゆーか薄気味の悪い悪趣味な終わり方だった様にも思えて居て、やっぱ全然大衆的な映画じゃあねーかな…とは思ってしまうんすよね。見た目以上に「人を選ぶ」映画…という様な気もしますかね(⇒まァ、A24って大体そーいう感じか…とも思いますケド)。 [映画館(字幕)] 8点(2024-10-04 22:11:51) |
7. モリコーネ 映画が恋した音楽家
《ネタバレ》 編年体的と言うか、モリコーネ氏の長大なキャリアを最初から最後まで辿ってゆく形式で、かつ(当然の如くに)語るべきコトが膨大なのでこのボリュームになっている様です。序盤、やや「事実の羅列」的である様にも(再び当然に)思われたとも言えますが、最後まで観ると個人的にはごく適切な語り口だったのではないか…とゆーか、諸々の困難に対して最後まで試行錯誤・挑戦をし続けた=型に嵌らずにアイデアを出し続けた、とゆーのが、氏の偉大さの本質ではないかと思うまでには至ったのですよね。映画音楽とゆーのも、高度に専門的な分野だけに監督に依っても音楽担当との関わり方・アプローチも様々だとは思われますが、この映画を観る限り、モリコーネ氏に関してはソコはある種全て実力で「捻じ伏せた」とゆーか有無を言わさなかった…というコトにも見えました。がそれ故に、氏の関わった映画に関して言えば間違い無く、その音楽的な部分のアイデアとゆーのは全て氏の手に因るモノなのだろうと⇒それはつまり、氏がどういう映画に対して如何なるアプローチ・バリエーションで挑んだのか、というコトそのモノが、映画を志す者にとっては須らく探求の対象となるべき貴重な「遺産」と言えるのではないか…と思わされた=実感させられましたとも言えますね。その意味で、真に稀有な映画人だったのではないかと思いますし、同時に、今作もまた非常に観る価値の高いドキュメンタリである…とも、やはり思われてしまいますよね。 ※余談:映画(+氏の音楽)というシーンもふんだんなのですが、これまた全てが「名シーン」にしか見えず、観たコト有る映画もまたみたくなるし、観たコト無いのも観たくなるし…で(非常に個人的な事情ですが)ワリと大変でしたよね。。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 00:25:29) |
8. ボーンズ アンド オール
言ってみれば「人喰い」という、実に悍ましきモノ達がひたすらに主役なのですケドも、本作はその彼らに思いっ切り感情移入を促し続けているとゆーか、悪い意味でのキーパーソンである老醜なるあのサリーに対してすらも、必ずしも悪感情のみが沸き上るコトを狙っているワケでもない様な、一見では理解しがたい様なヒトの感情の励起というモノに果敢に挑戦している…という作品に見えるのですね(あくまで、私の個人的な感覚としては)。その、私の(ちょっと異様な)感覚の根源としては、コレがある種の「比喩」に見えたとゆーか、ヒトは誰しも周囲の他のヒトを傷つけずには生きられないとゆーか、本作はシンプルにその「誇張」であるとも感じられたとゆーか、またシンプルにソコに感情移入の取っ掛かりが確実に存在した、と思われたのですよね⇒その意味では、非常に分り易い「映画的」な映画だった、と思ったりもします。 ラストが秀逸でしたね。「俺を喰え」。そもそも、ド初っ端から例の『東京喰種』だとか、或いはこのシーンに限れば『HELLSING』だとか、何か何処かで私ですらも出逢ったコトの有る(一種)在り来りな場面にも思われましたが、上で述べた文脈からすればコレは(コレも)一つの究極の愛のカタチ=ヒトが他者に与えられる完全なる肯定、であるとも思われたのですよね⇒その呪われた運命をも、全て愛する=受容するのだ、と。似た様な側面を孕んで居る…(一見は全くそうは見えなくとも…)と、ず~っと思いながら観ておりましたケドも、私は確実に今作の方が(監督作としては)『君の名前で僕を呼んで』より、二回り位は好みでありますね⇒勿論、その見かけホラー的な諸々のキレ味の好さを鑑みたのだとして。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-18 21:05:11) |
9. コヴェナント 約束の救出
《ネタバレ》 現代戦争ものでかつ、取り分け戦時下における人間のドラマ(+αでアクション)に関心を絞って観るなら、間違い無く90点を付けられるというレベルのよく出来た作品です。諸々の構成要素の「リアリティ」がどのくらい本物なのか、というトコロは私にも定かにはならないのですが、少なくとも単なる映画としては十二分に真に迫って、かつシリアスで緊迫感も備えている優れた作品だったと思われます。特に、前述のそのドラマ=男同士の「絆」の部分には、個人的には少し前時代的なとゆーか(⇒例えば一部の西部劇的な男のドラマに見えた、と)しかし戦争のもたらす状況のそのものというのはいつの時代も変わっていないのだろう、とも思われれば、これも一つのごく「普遍的」なるドラマなのではねーかな、と思うマデには至りましたすね⇒もしかしたらソレは、いつの日かきっと失われるべきシチュエーションなのではねーか…とも思えど。 再度、深く考えずに二人の男の成り行きに集中するのであれば、実によく出来たシンプルな作品だと思います。が、実際にはその背景に様々なる複雑で割り切れない事柄というのがとぐろを巻いているのであり、ソコまでを踏まえると今作のこのシンプルさというのは、そういったモノを描くのに十分なソレだったか、という疑問が生じるのも確かかと思うのですね(⇒端的に、今作のこのラストにおいて否応無く感じられる「カタルシス」というモノは、人が持ち得るソレとして果たして、根源的かつ倫理的に「妥当」なのかと)。あくまで個人的には、私はいったんその事は脇に置いて今作を観終えた、という理解をして頂くとして、その上でこの評点と致しておこうかと思ったのです。まずはご覧あれ、と。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-17 19:56:53) |
10. スオミの話をしよう
《ネタバレ》 よく考えてみると、この監督(・脚本)の方の映画ってのをあんまし観ずにココまで来てしまってるって感じでもあるのですが、少なくとも本作はかなりフルスイングに大ボケ(ボッケボケ)な質感のコメディではありまして、実際に演技もナンも一切合財相っ当に大袈裟であるコトも含めると、まずは多分に舞台劇・舞台芸術っぽい感じでもありましたかね。加えて(だから)特にキャラの造形の部分にはリアリティが在るって感じではないので、畢竟、お話の流れにも隅々まで納得が行き渡る…な~んてコトになる可能性もあんまし高くはねーかなーと思ってもしまいますね(⇒それ自体が好いのか悪いのかは別としても)。そもそも、コメディ・お笑いってまた、人に依って比較的「好み」自体が分かれるトコロでもあるかとは思うので、その意味でも仮にもし「好みじゃない」とするとコレって、ちょっと流石にどーにもなんない…みたいな気もしてしまいますかね。幸いにも私は、実は結構嫌いじゃない方のソレではあった様な気もしてて、なので結局この位の評点にはなります(⇒最後まで観ると、とゆーか、結局ホントのオーラスのオーラスの「ヘルシンキ~~~♪♪♪」の辺りで遂に大爆笑!に至るコトが(チャンと)出来ちゃってるのでして⇒勿論、むしろあの辺りこそが前述の「好みが分かれる箇所」の最たるものであろう、と言ってしまえるダケの客観的視点とゆーのも持ち合わせている積りでは居ります)。映画自体のつくり諸々としては、かなりリキの入った丁寧なモノだったとも思えてますし(カメラワークとかもワリと凝ってた気がする)。 とは言え、ね~~~そーいうの関係無く、少なくとも長澤まさみさんに関してはコレは絶対に嫌いな人の方が圧倒的に少ないってコトだとは思ってるのですよ。んで、何となく予告編とかの感じからすると、その長澤さんがあんまし出ない(=出ないケド存在感ダケ在りまくる)みたいな方の映画なのか…とも思いきや、実際には全然そんなコトも在り得ずにフルスロットルで大暴れ!してくれちゃってるって方の映画なのですわね。結論、長澤まさみさんがお好きな方になら、全然フツーにオススメ出来るって映画ではあります。ただし一点、前述どおりお話にはあんまし中身の無いってコメディ…のワリにも、尺も別にそんなに短くもねーので、有り体に言うと「コレって映画館で観るべきなのかな…」みたいな感覚とゆーのは、無いと言えば嘘になってしまうかも知れません。 [映画館(邦画)] 6点(2024-09-14 00:54:53)(良:1票) |
11. エイリアン:ロムルス
《ネタバレ》 いや、面白かったですよ。極めて重厚&本格的かつ細部まで行き届いた完成度の高い作品だったと素直に思いますよ。つくり自体は、第一作のリメイク(or 技術的アップデート)とゆーか、SFにもホラーにもアクションにもマジ本気!みたいな、でも各々やっぱ非常にしっかりしたつくりでバランスも悪くなくって、重ね重ね全然楽しく観終われたって感覚は120%確実にあるのですよね。 でもまた、私が観てきたトコロでは、冒頭から丁度三分の一ずつ⇒序盤がSF・中盤がホラー・終盤がアクションの大盛上がり…みたいな感じだったと思えてますケドも+で再度ドレも全然十二分に仕上がり切った感じでもありますケドも、まず前半のSFはちょっと「クラシカルな」とゆーかメカニック諸々の感じがキチンと第一作準拠で(私なんかだと)凄く「懐かしい」ってな質感で⇒だからコレ逆に第一作を観てない若い人とかだと下手するとSFに見えないんじゃね?みたいな感じでもあるのですよね。んで中盤以降のホラーの部分も、予告編とか観た感じだととにかくメッチャ怖そう=ホラーが実はメイン!てその意味でも第一作準拠なのがコンセプトって作品なのかと思ってたのですケド(監督もフェデ・アルバレスなワケだし)コレも確かに高度にホラーに仕上がっては居るモノのココは率直にソコまで怖くなかった⇒何故ならやっぱその「正体がバレてる」からだよな~としか思えなかったってのも(再び)正直な感覚ではありますかね。お話の中身自体も、流石にキョウビちょっとシンプル過ぎる=捻りが無さ過ぎるって感じでもあり、個人的には前半だけなら(低く付けて)ギリ6点になっちゃうかな…みたいな感覚ではあったんすわ(実は)。 しかし、終盤はアクションがどんどん派手になってゆく+でオーラスには再び一発少~し意外性のあるホラーシーンが入ってくる⇒その辺には完成度のみならず比較的高度なユニークさ(=第一作には無かったモノ)も見て取るコトが出来た…とは思えたので、評価自体はかなり持ち直して全体で8点を付けたいな…と考えるトコロまでには至ったのですね。ただ、ソコでね~~~物凄~く迷っちゃったとゆーか、結論を言っちゃうとじゃあコレ「一作目とドッチが上?」てコトに尽きるんすよね。。その辺を重々鑑みて、結局のトコロ私は今作にこの評点を付けるものなのであります⇒言っちゃあ、私の中では8点なのがⅠで9点なのがⅡなんですよ(ソコに関しては、私の信念は最早恐らく未来永劫揺るがないんすよ)。この後、スグにⅠを再見して、答え合わせをしようと思ってるトコロです。以上。 [映画館(字幕)] 7点(2024-09-06 23:41:10) |
12. きみの色
《ネタバレ》 お話自体は実に普遍的な青春映画ですね(「きみは何色か」はそのまま「きみは何者か」でしょーから)。かつ、その中で感情の起伏やストーリーの抑揚とゆーのはかなり振れ幅小さくて、諸々と実にゆるやかに彼・彼女らは季節を巡ってゆく…という感じだと思いますし、その語り口としてもまた諸々を決して語り過ぎるコトもない…という感じでもありますね。繊細な映画だと思います。ただ個人的には、そのお話=描かれるモノ自体についても、確かに繊細な質感ながらも最後まで観ると実に見事に繋がってったジャン…とは思えてまして、青春映画としてもシンプルにごく非常に優れた作品だったと思います(⇒自分が何者かを知るべき人に、勧めるとしたら現時点で第一候補になり得る…かとも)。 重ねて、特に前半は(+その後も終盤手前位までは)、例の「何を描くか」よりは「どう描くか」の方に遥かに寄ってっている…て方の作品かとは思えて居たのですケド(⇒上で書いたとおりその認識は最後まで観たら好ましく覆されもしたのですケド)、とは言え圧巻なのはやはりその表現のクオリティ=画と色遣いの端的な素晴らしさ、に在るのだとは思われます。アニメ映画を逐一追っかけている身ではないモノの、最近ってこのレベルがスタンダードなのですか?と、ちょっと信じ難いな~て眼で終始観入ってしまって居ましたね。どのショットも、ど~見ても監督のこだわりとゆーか美学とゆーか今までに貯め込んだ蘊蓄とゆーか、選び抜いた・磨き上げたって感覚がひしひしと感じられる様な見事なる「一幅の画」ばかりだった様に思えて居ります。傑作かと。 [映画館(邦画)] 9点(2024-09-05 21:51:19) |
13. サユリ
《ネタバレ》 小耳に挟まる巷の噂どおり、シンプルで純粋なホラーとは到底言い難い様な作品ですね。でも、ポジティブな言い方をするならフツーに「色々な味が楽しめる」というシンプルな良作品だとも思うのです。ホラー、コメディ、そして醜悪なグロテスク…他にもまた、友情や青春や、家族やその他諸々の間に生じる「愛と言うべきナニか」(⇒或いはもう少し下世話に、連綿たる「生命の営み」とでも言うべきナニか)等々と………誤解を恐れずに言えば、またまたそれ等は、実に「そーいう味しかしないモノ」として半ば無造作に作中に放り込まれている、と思ったりもするのですよね。ちょうど、料理でゆーたら、砂糖とケチャップとマヨネーズと焼肉のタレと刻みニンニクを使いたいダケ使って(百貫デブが)調味した…みたいな感じに思えるんだよな~と。しかし、時にその、ハナから「調和」を目指さない、全てにおける「やり過ぎ感」とゆーのが逆に奇跡的に調和をもたらして、そして既存の評価軸の限界値すらを突破してゆく…みたいな現象がこの世界では稀に発生するとは思っておりまして、今作も恐らくその手の映画=私が個人的には「ラーメン二郎みたいな」と形容しているソレなのではねーか、と思ったりなんかはしておりますね。私の中では、ホラージャンルであれば尚更に、この手の映画の金字塔として永遠に君臨しているのは彼の『ブレインデッド』だと信じて已まないのですケド、再び、私としては、今作は実に見事にあの名作と比較し得るという域に達した秀作だ、と思います。映画館で是非。 しかし、評価としては(実は)已むに已まれず1点落としておりまして、その理由はごくシンプルに、一つダケ残念ながら、ごく個人的に極めてちょっと「嫌いな」食材・調味料が含まれて居た、からなのですよね。。父親の所業……いや、コレもコレとて確かに、実に確実に「そーいう味」をもたらすモノだとは思うのです。しかし、重ねてごく個人的に、私はこの食材が大嫌い⇒否、シンプルに「安易に映画に使って欲しくない」という急所的なヤツなのですよ(⇒いくら、求めるその味を100%の確度で出せるって代物…だとしても)。ソコは少しダケ残念に思われましたかね。 ただ、コレも巷の噂のとおり、エンタメとしては十二分に優れた作品だと思います(⇒対象となる視聴者の層は決して広くはないとは思えども)。今作を以て、白石監督はたぶん更に売れに売れてゆくのでしょーね。ただ個人的には、監督はもう少し早く、あの『貞子vs伽椰子』を以て(今作のこの感じで)売れるハズだった…と思われて仕方が無かったりもします。だからむしろ、コレで売れたら次は『貞子vs伽椰子2』をごく今作みたいな感じで撮ってくんねーかな、な~んて思ったり思わなかったりもして…(また可愛い女優さん2人ゴージャスに主演に起用して貰っちゃって…) [映画館(邦画)] 7点(2024-09-02 22:19:15) |
14. フォールガイ
《ネタバレ》 アカデミー賞にもスタント部門が増えるかも知れない…みたいなハナシもずっと続いてる昨今ですし、今年なんかはこないだ『ライド・オン』なんてヤツもあったので、今作ももう少しソッチ方面のドラマの部分がウェイト大きい作品なのかと思ったのですケド、結論的にはごくシンプルな娯楽アクション大作(with ラブコメ)みたいな作品でしたすね⇒実は80年代に元ネタが存在するリブート映画ってコトらしく。コレまた、夏の娯楽映画にはピッタリなヤツかと思いますし、私は今回は4DXで観たのですケド、劇中で撮られてる映画『メタルストーム』が半分『マッドマックス』みたいなヤツなので(⇒コレも実は同名の80年代映画が実在するみたいですがソッチは知らない…)その面にしても特に終盤はワリと悪くなかったですかね⇒元は十分取れたかと。 ただ、結果的にごくシンプルなアクション映画だってワリには、終盤手前くらいまでは思ったよりお話の方が取っ散らかってるな…(ちょっと無駄に複雑だな…)みたいな感覚もありましたですね。その分、終盤が(逆に)ヒジョーに爽快で好かった…とも言えますが、やっぱ結局こんな単純な話なんだったら(全体の尺自体も)もう少し削ぎ落とした方が…みたいなコトでもあります。しかし重ねて、アクションは全体的に高水準&個人的にも好みな方(この題材なんで流石にCGに頼ってない=スタントパーソン頼みなアナログなシーンも多かったって感覚)だったと思いますし、もう一点、ラブコメ的にも、エミリー・ブラントは(最近のイメージ通りの男勝りで毅然としたサマも素晴らしいのですが)ソレでも随所でメッチャクチャ「可愛かった」んすよね(健気で)。女性だともう一人、あの(極悪)女プロデューサーも、たぶん知らない女優さんですがミョ~に存在感あって好かったと思いました。観るなら映画館で。 [映画館(字幕)] 7点(2024-08-18 13:58:35) |
15. SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
《ネタバレ》 大まかに言うと、非常に社会的な影響の大きかった一つの事件の舞台裏を描く…という作品かとは思いますが、個人的な感覚としては更に、劇映画とドキュメンタリのド狭間に在る…とでもゆーか、少なくとも劇映画的な単純化や分り易い抑揚・盛り上げ(下げ)を施すコトよりは確実に、事実を事実のママに伝えようという意識の方が高い様に思われると言いましょーかね。他方でその意味ではやはり、全体としてごく淡々と進んでゆくなって感覚とか、前提知識が無いとやや分り難い箇所ってのが散見される様な感じってのも覚えられたのが事実ではありますね。 とは言え、まずは個人的には(シンプルにイチ映画=社会派サスペンスとしても)非常に面白く・興味深く観れた(とゆーかシンプルに非常に勉強になった)という感想では在りますし、あと、ドキュメンタリ的に登場人物を描く中でも、特に実際に証言をした被害者の方々のインタビューシーン(+ソコに於いて発露された彼女らの感情・人間性)こそが、今作が最も描き出したかった=世に知らしめたかったモノなのではないかという感覚も(まま)大いに在ったのですね。その意味では、実際のソレらとゆーのは今後決して広く世に行き渡る様なモノではない中で、再現映像としての本作と、そして原作となった書籍が記録として永遠に残るコトそのものが、まずはこの映画の根本的な価値なのだとも思いますし、その上で、キャリー・マリガン&ゾーイ・カザンをはじめとした(そーいったモノを実際に再現する)女優陣の演技というモノも、総じてその目的に果たし得るだけの優れたモノだったかと思います。やはり一点プラスしておきます。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-08-10 17:34:32) |
16. ダンサー イン Paris
《ネタバレ》 内容自体は、極めて非常に典型的なる「挫折からの立ち直り・カムバック」系の青春映画で、主人公はダンサーの女性ってヤツです。バレエを頑張ってたケド怪我をしてしまって⇒コンテンポラリーダンスの面白さに目覚める…的なトコロで、その筋書き自体ですらも探せば一作品くらい全く同じって映画もあんじゃネ?みたいなヤツかなと。プラス、フランス映画ってコトで芸術性&モダンな雰囲気とかって方面の諸々は確かにどれも高度ではあるのですケド、それでも(悪い意味での)気取った感じ・近寄り難さマデは(やや珍しく)あんまし無くって、個人的には正直「フランス映画っぽくねーな…」てレベルで素直に観易いって方の映画だったって感覚も在ります。 ただし、やはり芸術家の若者を描いた青春映画(フランス産)ってコトで、前述どおりやっぱし描かれる「芸術そのもの」のクオリティには拘り捲っている…とゆーのが、結局のトコロは今作の作品全体としてのオーソドックス且つユニークなる「ウリ」というコトなのかとは思います。今作はまず、女優さんにダンスを仕込んでる…というヤツではなくって(逆に)ガチのモノホンのプロバレリーナに演技に挑戦してもらってる…(+バレエのみならずコンテンポラリーダンスにしても、実はその道の超一流がクオリティをつくり込んでいる…)という方の作品なのですね。だから、そのダンスの出来ってのは確かに相当に凄いってモノには見えます(⇒私、そっちの方面にそんなに詳しくねーので、完全には理解できてないかも知れませんケドも)。冒頭にはバレエ&オーラスにコンテンポラリーダンスをかなりの長尺で思いっ切り配していて、前述どおり確かにソコには非常な観応えが在ったと思いましたよ。全体的な観易さに加えて、その部分のクオリティの(ある種の)分り易さも含めて、意外に広くオススメし易いという作品に思えます。再度、シンプルにポジティブに楽しく観れるって方の作品なのは確実かと思いますので、お好きなら是非。 [DVD(字幕)] 7点(2024-08-10 01:36:17) |
17. シャーク・ド・フランス
《ネタバレ》 実は、最近のサメ映画には「サメが(あんまり)出て来ない」という系統がある様に思えてまして、とは言えそーいうのって基本的には変化球的な受け狙い=コメディとしての仕掛け、であるコトが多いとは思うのですね。今作は、いちおうコメディではあると思うのですが(⇒とゆーかコメディだって聞いてたのですが)実際に観てみるとド直球にそーいう感じでもなくって、寧ろもうチョイ「志」が在るとゆーか彼の『ジョーズ』を思いっ切りオマージュしつつ(⇒特に真ん中チョイ過ぎまでは、マイナーチェンジは在れどもメインプロットは完全に同一ながら)ソレをより純粋なる主人公の「人間の物語」として再構築した…みたいなモノに思えたのですよね(⇒だから今作に関しては、サメが大して出て来ない…のはもはや必然なのだ、と)。 今作の成功は、その「志」の高さも然るコトながら、ソコにマリナ・フォイスという非常に優れた俳優さんを充てられた、というコトに尽きるかと思います。こないだ『ヴィーガンズ・ハム』を観た時にも何とな~く感じたコトではありましたが、元々はコメディエンヌ…という人らしいのですケドそーいうの関係無く実に素晴らしい女優さんですね!(⇒もうすぐ多分、天下取れそうな気がしますよね)。思えばやや低俗にも思える邦題とか・単にコメディだとかって前評判の辺りを総じて抜いてしまって少し背筋を正して観て頂きたい…とすら思います⇒ただしそーすると、ちょっと逆に『ジョーズ』に寄せ過ぎた(意外性に乏しい)クライマックス辺りが、思ったよりも締まらなかったかな…みたいな感覚も少なからず覚えられてはしまうのですケドも……(ソコだけはチョイ物足りない……) [DVD(字幕)] 6点(2024-08-10 01:31:44) |
18. あのコはだぁれ?
《ネタバレ》 毎度全く事前情報を入れて行ってないので、今度もまた何事か…と思ったら例の去年の(ちょっと評判好くて金儲けになったであろう)『ミンナのウタ』の焼き直しなのですよね。その前作は、もはや剽窃と言って好い様な嘗てのJホラーのパッチワーク的な作品で、だから(極めて月並ではあれど)お話には分り易く筋が通っていたと思ってます。で今作は、中盤は(また)ま~んまソイツを語り直してるダケなのでして、ただしソレを挟む序盤&終盤が非常に不可解なシュールレアリスム・ホラー的な代物ではあり、その辺は寧ろ監督の『忌怪島』の方に近い様な質感だったかと思います⇒色々と、ま~た性懲りも無く同じ様なコトをしでかしてんな~~と。。 まァ、とは言え、私の大嫌いな(『忌怪島』準拠の)安っぽい意味不明ぶりについても、序盤の描写のソレに関しては終盤で一応回収されるとも言えますし、終盤も(私個人としてはやはり)チンプンカンプンに近い支離滅裂…ながらもソッチはオーラスの不可解な(ちょい)バッド・エンドに向けては比較的巧く繋げられていたかな…とも思えるので、再び個人的には(少なくとも)『忌怪島』よりは多少マシかな…とまでは余裕で思えるって感じですね。プラス、それこそ『犬鳴村』以来の怪奇!と言うよりは珍妙!なるホラー描写の出来とて、今作に関してはまあまあブキミな感じのモノも散見されて⇒人に依っては「怖い!」と思って観るコトも可能なのではないか…という程度のホラー的クオリティだったかとは思うのですね。ただ、私自身は『ミンナのウタ』の時から正直そーだったのですケド、結構「紙一重だな…」という感覚では居るのでして、特にあの母親が突然叫び出す様なシーンに関しては、怖い!と思うよりは正直どれも笑えてしまうって有様なのですよね(鼻で)。結論、個人的には明確に『ミンナのウタ』よりは下⇔『忌怪島』よりは上、という感じかと思います。私の評点も思いがけずピッタリとハマって非常に好かったと思います(⇒『ミンナのウタ』は今作と同じ評点ですが、アッチはもう一点加えるか迷った…とは当時も明言してますので)。以上。 [映画館(邦画)] 4点(2024-08-05 22:53:29) |
19. ツイスターズ
《ネタバレ》 題材がスゴく似てるってダケで、本編続編とかでは全くねーのですケドも、そもそも前作って個人的にはかなり好きな方の映画だったのですよね(かなり大昔に観たダケなのですケド、今確認するとあんまし評価高くなくて少し驚き)。ただ、記憶を掘り起こして比べてみると、今作は率直にだいぶ娯楽系寄りだとゆーか、前作ってミッション自体は(ワリとフツーに在り得そーな)観測機器を竜巻直下に置く、というそこそこリアルなモノだった…一方で、今作って途中からはデカい竜巻を(文字通り)「消す」みたいな、いくらナンでもまだ無理だろ!みたいな荒唐無稽な話になってくのですよね。その、映画の「質感」的なトコロは第一に結構違うかな…みたいな感覚ではあります⇒個人的には正直、ディザスター映画とゆーよりは(最近のシリアス要素多めな)怪獣映画の方に近い気もする。 ただ、娯楽寄りなので娯楽用にだったら(当然)より楽しめる!というコトだとも思いますし、映像自体もかなり頑張ってた方かな~と素直に思えました(⇒終盤は予想外にかなりデーハーで好かった)。主人公は『ザリガニの鳴くところ』のあの子ですが、彼女も終始非常に魅力的でしたし、彼女のお話自体も(有り勝ちなモノではありますが)感情移入はし易い・ごく手堅いモノであったと思いますし、周囲の人々の成り行きも含めて終わり方も至極爽やかでした。結論的には夏の娯楽映画としては超・有用だと思いましたよね。んでもう一つ、ゆーてディザスター系というコトで、ソコには(寧ろ)いま現在だからこそミョ~に共感できてしまったとゆーか、竜巻で街が瓦礫と化した…みたいなシーンでは(不覚にも)私もちょっと涙ぐんでしまったりもして、「自然って怖いね…」というもっと根本的なトコロにも共感できたのは一つ、単なる娯楽を少し越えたトコロの映画鑑賞の面白みだったかな…という気もします。評点はかなり迷って(結局低めに寄せましたが)この位にしておきます。結構オススメ。 [映画館(字幕)] 7点(2024-08-03 00:34:00) |
20. 前科者
《ネタバレ》 ちょっと惜しいな~とゆーか、全体的にややチープな感じが否めません。取って付けた様な動機&偶然の再会、みたいなのばっかとゆーか、でも聞けば漫画原作のドラマが先に在って⇒その番外編(後日談)という建付けのヤツってコトなのですね。なので、結局のトコロやっぱしドラマを観てから観るべき映画…だったのかも知れないと思いました(個人的には特に、有村架純ちゃんのキャラクターの掘下げとかには甘さとゆーか物足りなさを大いに感じてしまったので)。 その分、映画だけでも楽しめる様に…て目的が在ったからこそ、全体的な構成としても思ったよりも思いっ切りサスペンス色強めに仕上げられて居る…というコトなのでしょーかね。だケド(だから)また尚更に、ドラマとしては薄味で&重ね重ねサスペンスとしてもちょっとチープ=二時間サスペンスレベルの脚本の出来、という感じなのがド正直なトコロで……でも一方、キャストの演技のクオリティは率直に高かったとも思うのですよね。素直に有村架純ちゃんのハマり様は中々だったと思いますし、森田剛さんも相変わらず「ココまで振り切れるか…」という感じが満々で、あと個人的にはもう一人、マキタスポーツさんなんて正にこーいう役の為に生まれて来た!みたいなドハマり振りだったと思うのですね(再び)。その辺も含めて、実に評価が悩ましい…という作品ではありましたよね。 ソコで一点、時節がら、やるせない事件も起こったコトで「保護司」というモノに対する興味が(このタイミングで)無かったか?と言われれば、ソレは完全に嘘になってしまうのでして、映画とは関係無しに⇔(とは言え)今作を観てみたトコロでも、ソコに対しては唯々、敬意を払って頭を下げ続ける気ィしか起きねーな…と思うのですね。まァ~~~私なぞは、ナニがどう転んでも永遠に務まる気がしねーな…としか思えず…(再度、今作を観てもそうとしか思われず…)迷ったのですが、それら一切合財を含めて、いったんこの評価とさせて下さい⇒観て好かったか・そうでなかったかと言われれば、たぶん前者かなと。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-08-02 20:22:04) |