1. 雨月物語
《ネタバレ》 過去何度も観ているので今更書くこともないが、溝口監督の様式美の集大成的な映画です。内容的には他にも優れた作品を撮っておられるが、原作が古典なので内容が教示的でストーリーに深みが無いのは仕方がない。 只、京マチ子の妖艶な演技には圧倒される。同時期の羅生門でも似たような役柄を演じており、やはり強烈な印象を残している。 又、私の大好きな男優森雅之の存在がgoodです。やはりこの方が出ると作品に重厚感が感じられる。 日本映画に一番勢いがあった時代、まさに黄金期の傑作です。 [インターネット(邦画)] 9点(2023-12-19 11:11:11) |
2. 彼岸花
《ネタバレ》 50年代後半の時代性がよく反映されている。まだ家庭における父親の権限の大きさ(家長制の名残)が感じられる。 佐分利の親父は娘や妻に強権的で矛盾だらけのキャラクター。それを指摘されると「人間は矛盾だらけなものだ」と開き直る始末。 只、騒動の原因は娘の恋人がいきなり娘の親父の会社を訪問し、娘と結婚させてくれと願い出る無茶な展開から始まる。 いやいや、仕事中に、アポイント無しで、しかも恋人に内緒で、こんな暴挙はありえないでしょ?こんな非常識な行動をされたら、さすがにこの男大丈夫か?と思うよね。男前やから許される問題ではない(笑) そんな強権的な佐分利の親父も、友人や知り合いの娘の恋愛問題を通じて、結婚は親の意思ではなく本人通しの意思が大切なことに少しずつ気づいていく。 作品中、佐分利の親父と部下の近ちゃんのバーでのエピソードが一番笑える。サラリーマンの辛さはいつの時代も一緒です。 あと、親父の同級生3人と割烹店のおかみのやり取りは、そのまんま後の作品「秋日和」につながっているのは面白い。 余談ですが、山本富士子と私の母親が女学校の同級生で、母親の若い頃はこんな時代やったのかと感慨深いものがありました。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-08-20 18:01:46) |
3. 青空娘
《ネタバレ》 なんて素敵な映画!若尾文子目当てで観たけれど思わぬ拾い物だった。 若尾が明るく無垢で前向きな役をさわやかに演じている。とても魅力的である。 若尾以外のキャストは今やほとんど鬼籍に入られていると思われるが、川崎敬三はじめ皆さん若い。 実のお母さんが先生の勤め先に居たなんて少々出来すぎ感はあるが、まあいいか! 川崎と菅原謙治の恋のさや当ても楽しかった。それと魚屋さんの格言も笑える。 最後に実のお父さんが少々哀れではあったが身から出た錆だからしょうがないか。 [インターネット(邦画)] 8点(2023-03-17 23:39:34) |
4. 猫と庄造と二人のをんな
《ネタバレ》 香川京子目的でずっと観たかった映画。 優等生でお嬢様女優のイメージが、気の強いわがまま言い放題のキャラに変わる。 又、思っていた以上に大胆で刺激が強い衣装・・ほとんどの場面太腿むき出しの体当たりの演技。 いや~、びっくりしました。これだけで一見の価値がある。 内容的には、山田五十鈴と香川の最後の修羅場は壮絶。1年後に黒澤の「どん底」で置屋のおかみ(毒婦)とけなげな娘役で共演しているが、今回の香川の役はまるで対照的で面白い。 とにかく出てくる女性がみんな怖い。山田、香川に加え、浪速千栄子の母親も底意地の悪い相当えぐいキャラやし。 森繁の猫に対する異常なまでの愛情はその裏返しだといえる。全体的にコメディ調であるが、誰も信じられなくなり人間世界に絶望し、猫を抱いて一人放浪するラストはリアルである。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-02-23 21:02:20) |
5. アンネの日記(1959)
《ネタバレ》 悲惨な状況の中でも人間的に成長し、生きる喜びを見出そうとするアンネの生き方に感銘を受ける。 アンネがペーターと恋をする事で一瞬にでも生きた証しが感じられたことがせめてもの救い。 最後まで人間は本質的に善だと思いつつ(思いたい)無残な最後を迎える姿はあまりにも痛ましい。 主役のミリー•パーキンスが表現力豊かで魅力的、多少美化した印象であるが、適役だと思った。 ファンダーン氏が食糧を盗むシーンでペーター夫人が見せた態度は衝撃的だった。あの貞淑で大人しい夫人が、精神的に追い詰められたらあそこ迄変貌することに人間の本質を見た思いがする。 ラスト、カモメが青空を自由に飛び廻る姿が暗示的で印象に残る。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-05-04 03:09:46) |
6. 点と線
《ネタバレ》 原作をかなり短時間で映画化しているので、説明不足で今一つ腑に落ちない部分がある。 キャストは高峰三枝子以外は地味ですが、加藤嘉、志村喬など脇を名優で固めている。 制作年度が古いので、当時の汽車や、駅の雰囲気など原作の世界観は良く表現出来ていると思う。 [インターネット(邦画)] 5点(2021-09-22 22:55:02) |
7. ダイヤルMを廻せ!
何だろう?ストーリーがどうもしっくりこない 自分には相性が良くない映画 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-06-30 21:39:01) |
8. 間違えられた男
《ネタバレ》 ヒッチコックらしくない面白みのない実録映画。 終始、重苦しいムードで、最後は呆気ない幕切れ。 あの筆跡鑑定は何だったんだろう? [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-25 23:35:09) |
9. サンセット大通り
《ネタバレ》 有名な名作を見逃していたので動画配信で鑑賞。 デミルやキートンが実在の役で出演しているのには驚き。当時はすごい説得力があったと思う。 しかしながら、今みてみると何とも古めかしいハリウッド映画に思え、あまり感情移入ができなかった。 [インターネット(吹替)] 6点(2021-06-08 17:12:55) |
10. 見知らぬ乗客
《ネタバレ》 サイコ野郎につきまとわれる主人公、結果的に彼の殺人によって不倫相手とハッピーエンド! 少し違和感のある設定ながら、映画的には面白い。 何十年前かに観たとき、ヒッチコックの最高傑作かと思ったけど、今観るとそれ程でもないか? 当時はストーカーが珍しかったけど、今や普通にあるもんね。 [インターネット(吹替)] 7点(2021-05-04 10:03:16) |
11. 西鶴一代女
《ネタバレ》 男尊女卑の時代に、自分の意思を貫いたが為に転落していく一人の女性をこれでもかというぐらい描ききる。ある意味観ていて辛い映画。 只、冒頭、三船の下男に惚れていく過程がわからないのは残念。 田中絹代が迫真の演技を見せるが、若い時代は、年齢的にちょっと辛い。 三船のちょい役がもったいない。これは、溝口監督が大映でなく、東宝で撮ったから実現したのだろうか。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-03-10 19:41:36) |
12. 祇園囃子
小暮実千代が情感たっぷりに生真面目な芸妓を演じ、今が旬の「おちょやん」こと浪花千栄子がドスの効いた貫禄ある茶屋の女将を演じている。 若き若尾文子のまだ青臭いウブな演技、と女優の競演が見所です。 華やかな芸妓の世界も裏に回れば過酷で非情な女の世界である事がよくわかる映画である。 昔の日本映画は、祇園を舞台にした良作が多かった。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-03-01 23:02:18) |
13. 洲崎パラダイス 赤信号
《ネタバレ》 YouTubeの日活公認、無料放送でみた。ずっと見たかったので、ラッキーでした。 男女の人情のもつれを描いた中々味のある良い映画ですね。 主役の二人はどうしようもない浮草人生を別離をきっかけに抜け出しそうになるのですが、結局元のもくあみに。 人生ってなかなかうまく行かないもんですねぇ。 終盤、刃傷沙汰があり、てっきり主役の二人かと思いきや、意外な人物でした。 ラストの不思議な明るさは何だったんでしょうか?でも暗い雰囲気で終わるより良かったかな。 新珠三千代はいい女優さんですね、好きになりました。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-30 18:30:03) |
14. 赤線地帯
《ネタバレ》 2度目の鑑賞。 社会の底辺に生きる女性たち、みな悲しい過去をかかえており、役者さんが皆それぞれのキャラを好演している。 中でも、当時のトップスターの京マチ子や若尾文子が、けがれ役に果敢に挑戦していることが素晴らしい。 監督が溝口健二だから出演依頼受けたんでしょうね。 言いたい放題の京マチ子はきっぷが良くて小気味いい。「八頭身や!」には笑った。 かわいい系の若尾文子が実は一番したたかで、怖い女。この美貌にかかったら男はみんなイチコロやろ(泣) その他、息子に捨てられる女性が、悲しさで気が狂うシーンはみていて一番つらかった。 怪談映画のようなおどろおどろしいテーマ曲も印象的でした。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-25 23:02:22)(良:2票) |
15. 稲妻(1952)
《ネタバレ》 高峰秀子がどうしようもない家庭環境でけなげに生きる主人公を好演。 この映画の彼女はすごく清楚で綺麗です。作中いろいろ大変なことがあり、人間不信で不幸なんだけど、応援したくなる。 後半、借家の隣家の良い人そうなお兄さんと知り合い、この先上手くいきそうな予感が感じられホットする。 香川京子がチョイ役で出ているのもうれしい。当時の彼女は、ほんと天使のようにキュートです。 ラスト浦辺のお母さんとけんかするのだが、そこは血のつながった親子で、なんともなかった様に仲直りする様子が微笑ましい。 [インターネット(邦画)] 7点(2020-05-23 17:08:47) |
16. 流れる
《ネタバレ》 山田五十鈴、田中絹代、杉村春子、高峰秀子、日本が誇る大映画女優の奇跡の競演! ほとんど芸者置屋内での場面に限られ、いたって地味な内容であるが、全く飽きの来ない心地いい時間が過ぎてゆく。 田中絹代が何者か、何かあるのか?と思わせ何も起こらず、 山田五十鈴は何があっても怒らない温厚な人柄、でも実は少し芸者のピンハネをしていたり 杉村春子は達者な二枚舌、 高峰秀子は、器量は悪くないのに、堅物で愛想がない、 それぞれキャラがたっていて面白かった。 [インターネット(邦画)] 7点(2020-05-18 23:22:24)(良:1票) |
17. 浮雲(1955)
優柔不断、仕事出来ないどうしようも無いダメ男の癖に女にだけはやたらモテる。 こんな男確かにいてるが、いつも哀愁を帯びた森雅之はよく似合う。こんな経験が無い小生には羨ましいとしか言いようが無い。 又はこんな男に惚れた弱みで離れられずズルズル人生落ちていく女を高峰秀子が好演。清楚な顔なのにこんな汚れ役でも簡単に出来るのが凄い。 戦後10年この時代によくこんな退廃的な映画撮れたもんだ。それだけでも成瀬監督凄いわ! 作中ずっと同じ調子で流れている音楽も印象的である。 [インターネット(邦画)] 8点(2020-05-16 23:57:49) |
18. ひめゆりの塔(1953)
戦後7年ぐらいの時期にこの映画が公開された事を思うと、当時と今とでは観た人の印象がまるで違うと思う。 戦争の悲惨さ、酷さを描いているんですが、戦後世代の私には正直余りリアルには伝わってこないんですね。 ただし、歴史的にみてこの映画が作られた意義は大きいとは思います。 [インターネット(邦画)] 6点(2020-05-09 10:28:54) |
19. おかあさん(1952)
《ネタバレ》 50年代のかわいい香川京子さん目的で鑑賞。 最後のウインクに悩殺されました。夏祭りのシーンでは美声も聞かせてくれます。 内容的にも心あたたまるストーリーでした。 加東大介がいい人なのに京子さんに誤解される役でお気の毒でした。 [インターネット(邦画)] 9点(2020-04-30 17:23:43) |