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プロフィール
コメント数 22
性別 男性
年齢 50歳

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1.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
前作に続き中学生の息子と鑑賞。  相変わらずの疾走感でしたが何とか付いていくことはできました。ただ、シンジの苦悩はわかるものの、イジケて逃げてしまうことにはどうしても合点がいかなかったし、使徒との戦闘シーンで流される童謡には???となりました。 そして次々出てくるエヴァに混乱し、誰が何号機乗りなのかわからなくなったのには困ってしまいました。
[地上波(邦画)] 6点(2021-02-07 18:31:54)
2.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
テレビアニメのエヴァンゲリオンが流行っていた90年代、背伸びしたいお年頃だった私はテレビアニメに無関心だったので、今までこのシリーズを観ることなく過ごしてきましたが、子育て世代になり素直にアニメを観ることができるようになったので、今さらながら中学生の息子と一緒に観てみることにしました。  この「新劇場版」シリーズは、テレビアニメ版を再構築したストーリーとのことで、ずいぶん時間を切り詰めた関係か、駆け足気味のストーリー展開についていくのが精いっぱいな面もありましたが、なかなか楽しめました。  エヴァのコアなファンの方たちは色々思うところもあるかもしれませんが、まったく知識ゼロの状態から見ると、使徒とは何なのか、人類補完計画とは何なのか、なぜパイロットたちが中学生なのか、ワクワクしながらあっという間の90分でした。  中学生の息子もとても楽しんでいました。レイやミサトのちょっとセクシーなシーンもチョコチョコ入って来て、親子で観るには少し気恥しいところもありましたが、中高生くらいの男の子ゴコロをくすぐるには効果的な演出かなぁと思いました。純粋に映画を楽しみたい向きには不要ですけどね。
[地上波(邦画)] 7点(2021-02-07 18:20:46)
3.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》 
(2006年 テレビ録画視聴時のレビュー)  タイトルから、「ブルーハーツ」「バンド」「青春」といったキーワードを連想してしまいますが、実際そのまんまの作品でした。 90年代に青春時代を送った私にとっては、ブルーハーツの音楽は思い出とガッチリ結びついています。なかでもやっぱり「リンダリンダ」は特別で、あのシャウトを耳にすると、つい体がウズいてしまう。  1976年生まれ、私と同世代の山下敦弘監督がその感覚を共有しているのだろうことは容易に察しがつきます。  一方で、この作品の主人公たる現代の女子高生たちはどうなのか。「リンダリンダ」で血が騒ぐのか。 その点ちょっと疑問を感じてたのだけど、実際「リンダリンダ」は今の高校生たちのなかでも生きているらしいですね。  現代の「軽音楽部」の女子高生たちが「文化祭」のライブで「ブルーハーツ」を演奏する、という設定が、なんだか新鮮なような懐かしいような、不思議な感覚でした。  一生懸命彼女たちがリンダリンダを練習しているのは、ほほえましいもんでした。  でも、やっぱり少々違和感も。 いったい、このヌルさは何なんだ。この気持ち悪さは何なんだ・・・という思いがずっとアタマを離れませんでした。  それは、ボーカリストとして韓国人留学生を持ってくるところにあざとさを感じたせいかもしれません。 リーダー格の恵の、短気でありながら優しさを併せ持つというキャラ設定(あるいは演技)にウソ臭さがプンプン漂っていたせいかもしれません。  他にもいろいろと突っ込みどころが満載で、ノリきれない映画でしたが、そもそも30代の既婚の男が観て感情移入できるほうがおかしいのかもしれませんね。 ま、創っているのは同じ世代の男なんですけど・・・。 
[地上波(邦画)] 5点(2021-02-06 01:06:22)
4.  みんなのいえ
(2001年 劇場にて鑑賞時のレビュー)  三谷幸喜は好きなので、けっこう期待してたのですが、期待外れ。前作「ラヂオの時間」は、演劇の手法をそのまま採り入れた形で、面白い演出だったのですが、この作品にはその三谷作品の良さがありませんでした。  人間関係の面白さはあったものの、何とも散漫な映画だなぁと感じました。
[映画館(邦画)] 4点(2021-02-06 01:02:36)
5.  フラガール
(2006年 劇場にて鑑賞時のレビュー)  先日TBSの「情熱大陸」で蒼井優の女優魂を垣間見て、さっそく気になる女優No1となってしまった蒼井優を目当てに観に行きました。 かの岩井俊二が「蒼井優と仕事すると、自分が凡才だって思い知らされる」ような主旨のことを言ってるくらいなんですから。  さて、その蒼井優ですが、それはもう素晴らしい女優っぷりでした。巷間よく言われているように、松雪泰子を完全に食ってます。 今まで蒼井優と宮崎あおいを混同していたほどで、「要するにアイドルだろ」くらいにしか思っていなかった自分が恥ずかしい。  作品としてこの「フラガール」はどうか。 実はまったくノーチェックで観たので、そのシリアスな設定に驚かされました。  昭和40年頃の閉山間近の炭鉱の町という設定だとは夢にも思いませんでした。かの「スパリゾート・ハワイアンズ」が炭鉱の失業対策だったとは・・・。正直、スパリゾートを見る目が変わりました。宣伝効果抜群ですね。  閉山間近の炭鉱の町という設定からは、ちょっと前のイギリス映画をついつい連想してしまいます。「ブラス!」とか、ケン・ローチの「ケス」あたりを。  イギリス映画的な、シリアスながらもユーモアもありハートフルでもある作風でした。ケン・ローチあたりに影響を受けてるのかな。 散漫な文章になりましたが、ともかくいい映画です。 今年の日本映画No.1は決定かな(って、ぜんぜん今年は観てないから大きな声で主張はできませんが)。  去年「ALWAYS」で今年「フラガール」となると、なんだか昭和を描いたノスタルジックな作風が流行になりそうで、それはそれでちょっとイヤな感じはありますけどね。
[映画館(邦画)] 9点(2021-02-06 00:59:17)(良:1票)
6.  花とアリス〈劇場版〉
(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー)  正直、30歳の既婚オトコが観るもんではなかったです。 少女マンガばりの乙女チックな描写には背筋がゾゾゾとなりました。  しかも、作ったのが40オヤジの岩井俊二なのだから、なおのことゾゾゾと。40オヤジの描く乙女チックな世界って・・・。
[地上波(邦画)] 3点(2021-02-06 00:54:03)
7.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー)  説明するまでもないでしょうが、鬼才・深作欣二の遺作。「中学生がバトルロイヤル形式に殺し合う」という、とんでもない暴力的・残虐な作品なので、公開時にはかなり物議を醸していたものです。 国会でも取り上げられたくらいですから、物議を醸したという点で歴史に残る作品と言ってもいいでしょうね。  この作品を評価するのは難しい。製作者側は、必ずしも暴力万歳の作品を作ったつもりはないのだろうとは思います。藤原竜也・前田亜季のカップルと山本太郎が、結局は殺し合うことなく生きて出てきたし、彼ら三人以外でも、極限状態のなか助け合って生きていこうとする姿も所々描かれています。 しかし、例えば小学生や中学生は、製作者側の意図を汲み取ってこの作品を観られるでしょうか。個人差はあるにしても、ムシャクシャした日々を送っている小中学生たちに、暴力的な衝動を付与してしまう結果になりかねない。実際、この作品を観たことが影響したと思われる、残忍な事件も起っています。  やはり、「中学生が殺しあう」って点は大問題なのではないかと思います。ただでさえ微妙な年頃の中学生、こういう過激な作品が心理に与える影響は、無視できないはずです。 小中学生の残酷な事件が続いている昨今、暴力描写が青少年の心理的に与える影響を無視していいとは、私には思えません。  また、大人と子供の対立がこの作品の前提として存在していますが、それをことさら強調して描くのはいかがなものでしょうか、とオトナの一員として思います。 中学生同士の友情・愛情については、いくつも救いがあるものの、大人と子供の対立については、まるで救いの無い作品になっています。  ということで、私はこの作品については否定的な立場です。 それ以前に、この作品の背景となっている「BR法」がまったく意味がわかりません。 そもそも、なぜ彼ら中学生たちは殺しあわなくてはならないのか。毎年、全国からあるクラスを抽出して、そのうち一人だけ生き延びさせられるってのは、いったい何の意味があるのか。 第一、国家の意思としてこんなことがまかり通るわけがありません。 大人が子供を恐れた結果としての政策としては、まるで筋が通らないのではないでしょうか。  言ってみれば荒唐無稽なこの作品、少なくとも「なぜ殺しあわなくてはならないのか」という点について、観客が納得できる部分が無ければお話にならないのではないかと感じました。
[地上波(邦画)] 4点(2021-02-06 00:51:08)
8.  ハッシュ!
(2002年 渋谷シネクイントにて鑑賞時のレビュー)  「ゲイのカップル」と「自暴自棄な女性」とが主人公という設定があざといなあ、というのが観る前の正直な気持ちでした。前評判はいいものの、どうだかなあと斜に構えていたが、なかなかいい作品でした。  作中、一貫して感じるヌルさは、ゲイ特有のものでしょうか。ゲイが主人公であるだけじゃなく、監督も? とにかく、そのヌルさが心地よいものでした。  会話の普通っぽさ、何気なさが印象的。ドモったり、モニョモニョ聞き取りにくかったり。それがナマの生活感を演出していました。
[映画館(邦画)] 7点(2021-02-06 00:46:18)
9.  ハウルの動く城
(2004年 映画館にて鑑賞時のレビュー)  もはや「宮崎駿」「ジブリ」というだけでヒットは保証されてしまうわけですが、しかしながらこの作品を観た人のレビューをネットで漁ってみると、評価は低評価でした。 宮崎映画の観客は、それこそ老若男女、あらゆる層のあらゆる価値観の人が観るわけで、この作品に低評価を与えている人がそのすべての層の意見を代表してるわけではありません。オトナには物足りなくても、子供が楽しめればそれでいいじゃないか、とも思います。 また、宮崎作品には一種コアなファン層があり、必ずしも映画ファンと言えない人が宮崎ファンだったりもするので、そのコアな宮崎ファンたちのマニアックな批判ばかりが目に付いている気もしました。とにかく、面白くても面白くなくても、自分で観てみなくては。  さて、劇場で観た感想。 評価が低いのも納得、というところでした。 映像自体は相変わらず魅力的で、キャラも面白く楽しめましたが、あまりにも話が説明不足に過ぎます。少なくとも子供たちがきちんと理解できる話ではありません。 突っ込みどころはいくらでもありますが、なかでもちょっとガマンできないのは、心情描写が弱すぎること。 なぜハウルとソフィーは恋に落ちるのか。なぜハウルは悪魔に魂を売ったのか。なぜハウルは戦争の妨害をしているのか(そもそもここでの戦争とは何なのか)・・・。  もちろん観客の側でいくらでも解釈はできますが、ここまで描写を省かれてしまうと、さすがに怠慢だとしか思えません。登場人物の心情描写が甘いものだから、彼らの行動の必然性・切迫性を感じることができず、ご都合主義的なストーリー展開に思えてきます。  これがジブリの作品でなければ、「ストーリー展開は稚拙だが、映像には惹きつけられるものがある」といった肯定的な評価もできるでしょう。しかし、もはやジブリの作品は、映像は素晴しくて当たり前。素晴しい映像をベースに描かれるワクワクするストーリーが無いと、観客は満足できないのです。  常に高いレベルの仕事を求められるジブリは大変だなあとは思います。この程度の作品だと、「こりゃやっつけ仕事だわ」という評価になってしまうのですから。
[映画館(邦画)] 6点(2021-02-06 00:42:57)(良:2票)
10.  たそがれ清兵衛
(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー)  山田洋次が初めて挑んだ時代劇。初の時代劇ながら、山田洋次らしい作品になっていると思います。 この作品を観る前に、藤沢周平の同名原作を読んでいただけに、藤沢作品の清廉さにはやはり及ばないかな、と正直思ってしまいます。清廉な世界を表現していたとは思いますが、藤沢作品の世界の美しさは、映像で表現しきるのは不可能なのかもしれません。  庄内(山形)の小藩・海坂藩の平侍、井口清兵衛が主人公。彼は妻を亡くしたために、二人の娘と耄碌した母の世話に追われる毎日。勤務後のたそがれ時に、同僚の誘いも聞かずにまっすぐに帰宅する姿を揶揄され「たそがれ清兵衛」と呼ばれている。 幕末の混沌期、京や江戸とは遠く離れた小藩で、時代の変革期であることは感じていながら、平穏な生活を粛々と営んでいる清廉な武士の姿を描いている作品です。  違和感を感じずにはいられなかったのは、清兵衛の恋物語が妙に強調されている点です。原作では、清兵衛はもっと清廉な人物だったはず。いい年して恋に迷う姿を見せられると、清兵衛の魅力も半減です。 そこが山田洋次らしいところなのかもしれませんけどね。  実はこの作品、エンドロールでわかったのですが、「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」という3つの短編をごった煮にしたもののよう。それがわかれば合点がいきます。この作品での清兵衛は、むしろ「祝い人助八」の助八に近い人物像なんですね。  原作による先入観抜きにこの作品を観ていれば、すっきりとこの作品の世界に浸ることができ、また、清兵衛の人物像にも好意をもてたかもしれません。真田広之の演技の素晴しさにも素直に感動できたかもしれませんね。
[地上波(邦画)] 6点(2021-02-06 00:38:14)
11.  スウィングガールズ
(2004年 劇場での鑑賞時のレビュー)  「ウォーターボーイズ」でヒットを飛ばした矢口史靖の作品。「ウォーターボーイズ」でシンクロナイズドスイミングに挑戦する男子高校生を描いたのに対し、この作品ではスウィング・ジャズに挑戦する女子高校生。露骨な二番煎じですね。  二番煎じでも面白いから良しとします。女子高校生の演奏するジャズに庄内弁。あざといと言えばあざとい設定なんですが、それでもやっぱり面白いからいいです。 矢口史靖の作品はこの二作以外にも、「ひみつの花園」「アドレナリンドライブ」を観ていますが、どれも面白いと感じました。私は矢口監督とは相性が良いようです。  この作品の演奏は、みな実際に出演者たちが本当に演奏したものだとのこと。ジャズの演奏は一朝一夕にできるものではないので、相当な努力を重ねてきたんですね。 演技に関しては、正直どうしようもなくヘタクソでした。でも演奏が良かったから、許してしまえます。  メガネの少女・関口役の本仮屋ユイカはなかなかの存在感。これからの活躍を期待したいところです
[映画館(邦画)] 7点(2021-02-06 00:35:03)
12.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー)  妻夫木聡と池脇千鶴の、ちょっと変わった恋愛映画。坂道を転がり落ちてきた乳母車を覗き込むと、中からは・・・という予告編がとても印象的でした。  健常者の青年と障害のある女の子との恋、という設定から、ふと熊井啓の「愛する」を思い浮かべました。話の展開も多少似通ったところがあるように思えます。 「愛する」が90年代に作られた割には時代錯誤な古臭さを感じさせたのに比べれば、この作品は多少はマシだったとは思います。 しかし、遠藤周作、田辺聖子といった小説家が一昔前に書いた小説を無理やり現代にあてはめて描いた、という点は一緒。ウソくささがどうしても拭いきれませんでした。  この作品では、青年役の心の機微がとても大事なんじゃないかと思いますが、妻夫木の演技からは、青年の内面を感じさせるものがありませんでした。彼の爽やかな笑顔は、こういう役柄だとただウソ臭いだけにしか感じられません。  健常者と身障者の恋という、重いテーマを扱っているにも関わらず、描き方があまりに軽い。心の動きをサッとなぞっただけのような描き方で、どれだけ葛藤してどれだけ悩んでああいう結末になったのかがまるで見えてきません。 池脇千鶴のヌードも、ファンにはうれしいのかもしれないけど、話題づくりのための安易な演出だとしか思えませんでした。どうせやるなら障害者特有の性の問題を、つっこんで描かなくてはならないんじゃないかな。  もしかしたら、「健常者と身障者の恋」を経験、あるいはそれに近い経験をした人には、私が必要とするような演出は必要なく、この作品の自然体な描き方がグッとくるのかもしれませんけどね。
[地上波(邦画)] 5点(2021-02-06 00:30:50)
13.  座頭市(1989)
(2005年 テレビ録画視聴時のレビュー)  本家・勝新座頭市のシリーズ26作目です。勝新座頭市の最後の一作。ちなみに監督も勝新。 私は本家の座頭市を観る前に北野座頭市を観てしまいました。そして今度は本家の最後の作品。何だか順序が逆ですね。  北野座頭市も北野らしいセンスで描かれていてなかなかいい、と思っていましたが、本家・勝新のスゴさを目の当たりにしてしまうと、やはりモノが違うと言わざるを得ません。  俳優・勝新を初めて観た私が勝新を語ることは恐れ多くてできませんが、とにかくその存在感と独特な個性はスゴいもんです。あれだけ自由奔放な生き方をしながらも皆から愛されていたのもわかる気がします。勝新座頭市を観ると、勝新に敬意と親近感を抱かずにはいられません。
[地上波(邦画)] 6点(2021-02-06 00:27:44)
14.  群青の夜の羽毛布 《ネタバレ》 
(2002年、新宿東映パラスで鑑賞時のレビュー)  監督は、「がんばっていきまっしょい」の磯村一路。 母親に抑圧されて引きこもりになった女性が主人公という、重苦しい作品です。前作「がんばっていきまっしょい」で田中麗奈が、カヌー競技に没頭している汗臭くも爽やかな女子高生を演じたのとは対照的に、この作品では本上まなみが、か細く人形のような、青白い女性を演じています。  その本上まなみの美しさは予想外でした。目を閉じてたたずむ姿など、はっとするほど美しい。前作での田中麗奈もそうですが、この監督は女優の美しさを引き出すのが上手いですね。神代辰巳らの下でピンク映画作家としてスタートしたというその経歴が活きているのでしょうね、きっと。  その美しい本上まなみにひたすらうっとりとしていればいいのでしょうけど、映画ファンのハシクレとしてはそういアイドルオタクのようなままではいけないと思い 直し(観客の半数はその手の雰囲気の人であった)、物語に注目してみると、人物の描写に深みが足りないと思えました。  優等生で活発だった主人公のさとるが、どうしてああも病的な引きこもりになってしまったのか、よくわかりません。さとるの家庭の病みっぷり知ったテツオの苦悩ぶりも描き足りない。能天気おバカにしか見えない。これは演技力の問題というより、脚本の問題でしょうね。  と厳しいことを書きましたが、本上まなみの美しさを見るだけでも一見の価値はあります。「がんばっていきまっしょい」が田中麗奈を見るだけでも一見の価値があるのと同様に。
[映画館(邦画)] 5点(2021-02-04 17:09:36)
15.  KAMIKAZE TAXI 《ネタバレ》 
(2005年テレビ録画視聴時のレビュー)  「金融腐食列島」(99年)や「突入せよ!「あさま山荘」事件」(02年)を撮った原田眞人の作品。この2作は観たことがありませんが、97年の作品「バウンスKo-Gals」を観て原田監督の独特なセンスが気に入っていました。  観たことがないのに言うのも何ですが、上記2作のようなバリバリの社会派作品よりも、「バウンス~」やこの作品のような、社会的なテーマを織り交ぜながら軽妙なタッチで描いている作品のほうが、原田監督らしいセンスが表に出る気がします。  この作品は、単純に言えば「恋人や親友を殺した組長らに敵討ちをしようとするチンピラが、日系ペルー人のタクシードライバーと出会い、追手をかわしながら敵討ちを遂げる」というプロット。 単純明快なプロットですが、これに外国人労働者問題、自己啓発セミナーの問題なんてのが絡み合っています。 個人的に、社会的なテーマが絡んでいる話は好きですが、自己啓発セミナーのくだりは要らなかったんじゃないかと思います。そのおかげで物語中盤はダレていました。 終盤、役所広司がヒットマンと化し、俄然緊迫感が増してからはとっても面白かっただけに、残念。  この役所広司のキャラクターがとってもユニークでおもしろいです。地道に生真面目に生きる日系の出稼ぎ労働者なのですが、やたら肝が据わっている。母国ペルーでゲリラのセンデロ・ルミノソに家族を殺されて、その敵を討つために武力闘争をした過去を持つような男だからです。 だから、ヒットマンとしてヤクザや政治家のSPとサシで渡り合うという一見破天荒な展開でも、観客が納得できるようになっています。。  役所広司以外の役者も魅力的。高橋和也、ミッキー・カーティスがとってもいい味出してます。 そして、橋口亮輔の「ハッシュ!」で好演しブルーリボン賞の主演女優賞をとるなど、大女優として認識されるようになった片岡礼子がいい。 それほど美人ではないし、すごく抑えた演技なのに、とても存在感があって、魅力的な女優さんでした。
[地上波(邦画)] 7点(2021-02-04 17:01:34)
16.  戦場のメリークリスマス 《ネタバレ》 
太平洋戦争時のジャワ島の捕虜収容所を舞台にした作品。 登場人物みな軍人・軍属でありながら、戦闘シーンはまったく無い不思議な作品です。  太平洋戦争、捕虜収容所、と来ると、反戦映画かぁと連想してしまいますが、直接的な反戦のメッセージはありません。 ただ、戦闘による殺し合いは無くとも、戦争という極限状態での人間の葛藤が何重にも描かれており、やはりこれは反戦映画なんだろうなとも思います。  ビートたけし演じるハラ軍曹は、捕虜たちを折檻する残虐な軍人である一方で、欧米の文化に憧れを持つ素朴な顔を見せたり、処分覚悟で軍規を破り捕虜を助ける心優しい面を持つ人物として描かれています。 坂本龍一演じる収容所長ヨノイ大尉は、自らを厳しく律する青年将校で、聡明で寛容な人物として描かれているのにも関わらず、終盤では捕虜たちにエキセントリックな振る舞いを見せ、抵抗を見せた捕虜長を殺害しようとします。  ハラ軍曹は、恐らく元々はシャイで心優しい人柄の人物だったのでしょうが、戦争という極限状態のなか、軍人として生き抜いていくためには粗暴な人物にならざるを得なかったのではないかと感じさせます。またヨノイ大尉は、聡明で寛容な人物であるのに、大日本帝国陸軍という異常な組織の中で、また敗色濃厚となった情勢に鑑みて、自らの知性や理性をかなぐり捨てて、残虐な収容所長にならざるを得なかったのではないかと推察されます。 戦争という極限状態のなか、本来の自分を封殺して生きざるを得なかった2人の悲しい姿が印象的でした。  大島渚という一筋縄ではいかない怪人物が作ったこの作品、決してわかりやすい作品ではないので、私の考察も間違っているのかもしれません。いや、恐らく一面的な解釈ができる作品ではなく、解釈は観客に委ねられた作品なんでしょうね。 デヴィッド・ボウイ演じる捕虜セリアズのキスシーンや、ラストのハラ軍曹の「メリークリスマス」は、いくつもの解釈が可能なシーンであり、正解は恐らく無いんだろうなとも思います。  ビートたけし、坂本龍一、デヴィッド・ボウイ、内田裕也、ジョニー大倉といった、役者が本業ではなく演技上手ではない人たちがキャスティングされたことで、独特の雰囲気を持った作品でもあります。 なかでもビートたけしと坂本龍一の演技は、セオリーから言えばとてつもなく酷い演技なのだろうなぁと思いますが、ハラ軍曹やヨノイ大尉の人物像には不思議と合っていて、大島渚の天才ぶりを感じます。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-02-03 01:08:59)(良:2票)
17.  ALWAYS 三丁目の夕日
(2005年、劇場にて鑑賞時のレビュー)  昭和33年、「戦後」から「高度成長期」に移行する時代の東京を描いた作品。 その時代に少年時代を過ごした世代(ちょうど私の両親の世代)にとっては懐かしくて懐かしくて仕方の無い作品のようですね。 私は当然、当時を懐かしむような世代ではないのですが、そんな私にとっても「最高」と言える作品でした。 ここ数年のうちに観た日本映画のなかでは、間違いなくNo.1の作品です。  懐かしいはずがないのに、昭和33年の東京にのめりこんでしまいました。心を揺さぶられっぱなしだったのです。 何故こんなに心を揺さぶられたのか、改めて考えてみました。  敗戦の傷跡がまだ癒えきっていない、まだ貧しかった東京。 でも、当時は「夢」を見ていられる時代だったんですね。 たくさん働いて、たくさんお金を稼いで、三種の神器を手に入れる。 それは自分も家族も幸せになることであり、引いては日本の発展にもつながる、と信じていられることができた時代なのでしょう。  それに対して現代の日本は、夢を持つのが難しい時代です。 たくさん働くことも、たくさんお金を稼ぐことも、必ずしも幸せにつながるとは限らない。 それに、日本が発展することが本当にいいことなのかすら、わからない。 そんな閉塞感に満ちた時代に生きている私にとっては、この作品に出てくる人たちが夢を持って前向きに生きている姿が、とても眩しく見えたのです。  昭和33年という時代は、言ってみれば高度成長の黎明期です。 この時代の「物質的な豊かさをひたすら追い求める」スタイルが、その後の日本のライフスタイルとなり、現代ではそのボロが露呈してしまった。  だから、よくよく考えれば、この時代の人たちの「物質的な豊かさを求める姿」を手放しで賞賛することはできないはずなのですが、そんな理屈なんかどうでもいいように思えてしまいました。  とにかく、生き生きと生きる彼らは眩しいです。 閉塞した現代に生きる私に、元気を与えてくれる作品でした。
[映画館(邦画)] 8点(2021-02-02 23:26:20)(良:1票)
18.  ごめん 《ネタバレ》 
(2002年、テアトル新宿での鑑賞時のレビュー)  小6の少年の青い青い恋のお話。 冒頭、少年が授業中に突然精通してしまうという、ウブな女性なら思いっきり退いてしまうようなシーンから始まるんですが、男である私にとっても、ちょっと気恥ずかしい。オッサンの域に近づきつつある私が忘れかけている記憶が、ムクムクと頭をもたげてくるんです。  オトナになった今だから笑っていられますが、当時は必死だったもんです。  そんな映画だからか、観客は男性が過半数。男性の方が多いなんてことは、ミニシアター系の作品ではそうそうあるもんじゃないんですけどね。そう言えば、私の後ろには小学校低学年らしき姉弟を連れたお母さんがいましたが、こういう映画だと知って、あえて観に来たのだろうか気になりました。もし知らずに来たのだとすれば、ご愁傷様・・・。  精液のことを「おしる」、精通のことを「蛇口が開いた」なんていう表現をしています。舞台が大阪っていうこともあり、何とも言えない寛大さと言うか大らかさのようなものを感じて、心地よい。 ただ、主人公の少年の心理の描き込みが足りなかったように思えます。もっと「わけわからへん」情動への困惑が伝わってきてもよかったのに。むしろ、ヒロインの少女の心理のほうが上手く描かれていましたね。
[映画館(邦画)] 5点(2021-02-02 01:31:23)(良:1票)
19.  美しい夏キリシマ
(2005年、テレビ録画視聴時のレビュー)  1945年の夏、終戦間近の宮崎県・霧島地方。沖縄戦も失敗し、すわ九州に上陸かという切迫した時代を描いている作品です。  太平洋戦争を背景にしながらも、反戦や平和をテーマにしてはいません。あくまで、その時代に必死に生きる人たちを描くことに徹しています。 この作品は、黒木和雄監督の実体験に基づいて作られているとのこと。康夫という少年は架空人物ですが、黒木監督自身の少年時代の姿がかなり色濃く投影されていると思って間違いないでしょう。  実体験に基づいているだけあって、この作品はリアリティに溢れています。可能な限り1945年夏当時の霧島地方そのままの姿を再現するよう、かなり細かいところまでこだわって演出しているらしいです。  言葉や服装や建物、その他諸々のモノが徹底的に忠実に再現されたおかげで、私のような戦争を知らない世代にも、当時の生活の様子がリアルに感じられるのだと思います。  この作品にはメッセージ性はまったくない。だからこそ私は新鮮味を感じました。  少年・康夫を演じている柄本拓という少年は、俳優・柄本明の息子。父親譲りのボヤッとした存在感が、この作品の味かもしれませんね。原田芳雄や石田えり、香川照之といったアクの強い役者たちに囲まれたボヤッとした少年がリアリティを生み出しているのだ、と言ったら言い過ぎかな。
[地上波(邦画)] 6点(2021-02-02 01:21:51)
20.  いま、会いにゆきます
(2005年、テレビ録画視聴時のレビュー)  竹内結子と中村獅童の「できちゃった婚」の報道があった後なので、ちょっとシラケ気味の気分で観始めたのですが、シラケ気分は早々にぶっ飛びました。  徹底的に静謐な世界が描かれていて、とても好ましい作品でした。 自分の実生活を省みても、なかなかこういう静謐で穏やかな夫婦関係というのはありえないだろうと正直思いますが、だからこそこういう夫婦関係に涙してしまうのかもしれませんね。  現実のこの二人(竹内結子&中村獅童)が「できちゃった婚」をしていることが象徴的と言っていいかもしれませんが、現実の男女関係と、この映画で描かれる男女関係は、完全に乖離しています。 まるで戦前の映画を観ているかのような錯覚すら覚える純愛映画であり、リアリズムとはかけ離れています。 しかし、そもそも「死んだ妻が生き返る」というファンタジー映画でもあるので、この二人の純愛ぶりもファンタジーとして、素直に受け入れられるのです。  だから、手を触れるだけでドキドキしてみたり照れ笑いをしてみたりという「ありえない夫婦関係」を、「美しく尊いもの」として観ていられました。 竹内結子も中村獅童も、少なくともこの作品中ではとても美しかったです。  終盤でファンタジーの種明かしがされるのですが、これもなかなか秀逸。ただしエンドロールでかかるオレンジレンジの曲はカンベンです。 せっかく形成された静謐な世界がぶち壊しです。  世界の中心とやらで何か妙なこと叫んだりするよりも、こういった静謐な純愛モノのほうが日本映画らしくていいのではないかと思います。
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