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プロフィール
コメント数 250
性別 男性
自己紹介 サンボリズムとリアリズムのバランスのとれた作品が好きです。
評価はもちろん主観です。
評価基準 各2点ずつで計10点
1.物語の内容・映像にリアリティを感じるか?
2.視覚的に何かを象徴できているか?
3.プロットの構成は適切か?
4.画面に映る動き・台詞や音にリズム感があるか?
5.作品のテーマに普遍性はあるか?

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1.  ALWAYS 三丁目の夕日
ノスタルジーをくすぐるのが売りだけの安っぽいお涙頂戴ドラマ、そういう偏見もあって今までちゃんと見てなかったのですが、いざ見てみると意外とこれはちゃんとした構成と内容があって面白い作品ですね。ディテールこそ昭和懐古ですが本題は別のところにあります。この映画で描かれているのは人が嘘をつくことについてのお話です。人物が見栄を張ったり他人を思いやるために嘘をつく、ただしその嘘は必ずバレてしまうというのが基本作劇となっています。そして嘘によって劇中の登場人物は決して幸せにはなれないのです。それはサンタクロースのプレゼントや空の結婚指輪を付けてみせるといった優しい嘘についても同じなのです。その後彼らには気持ちのすれ違いや悲しい別れが待ち受けています。騙したり隠したりせずに正直に自分の気持ちを打ち明けた方が本当の信頼関係を築け、幸せにもなれるというのが作品のテーマですね。初めてテレビが映る場面や迷子になってからの再会場面でいかにも音楽の調子も含めて泣かせに入っているように見せつつも最後はちゃんと笑いで落とす、この辺のバランス感覚もちょうどいいですね。劇中の時間経過がちょうど四季の移り変わりに合わせてあるというのはそれほど珍しい発想でもないのですが、ベタながら長時間のドラマを見た満足感を与えてくれます。やっぱり評価されてる映画ってのは見どころがあるもんなんですね。まあそれでもやはり欠点はありまして、基本的に善人しか出てこないのはゆるゆるで心地よいところもあるにせよ刺激が少なくて物足りないのは否めません。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-10-27 22:49:37)
2.  素敵な人生のはじめ方
事前情報が何もない状態で見始めたのですが、事実上モーガン・フリーマンが本人役みたいな設定なんですね(笑)。この設定が絶妙で低予算ということもあってか、まるでモーガン・フリーマンが実際に近所を回って撮られたドキュメンタリーを見ているようなリアリティを感じられます。モーガン・フリーマンが出演している新作をあまり見なくなった現代の方が、この映画が製作された当時よりも劇中の姿に重なってより現実味を感じられるかもしれません。登場人物はほとんど移民で内容的にはただのアメリカンドリーム賛歌という気もしますがシンプルに人生を肯定するメッセージはやはり気持ち良いものです。登場人物一人ひとりを愛おしく思えるような温かい作りも殺伐とした現代だからこそしみじみ心にしみるものがあります。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-10-02 23:34:20)(良:1票)
3.  歩いても 歩いても
身に覚えのある、どこかで経験したような人生の一コマが切り取られています。人間同士の微妙な距離感とどこか噛み合わない台詞の醸し出すリアリティ。保守的な祖父母世代の価値観とそこから少しはみ出してしまう居心地の悪さと後ろめたさ。確かにこの頃のお年寄りや子供ってこんな感じだったなあという実感があります。普通ならつまらなくなる題材をここまで面白くした技量は確かなものでしょう、でも普通ならつまらない内容にしては面白いというだけとも思えます。ラストシーンはしんみりとした気分になりますが後に残るものは何もなく、結局これってただの小津安二郎もどきでしかないという疑念は拭えません。かと言って是枝裕和監督の作品としては最近のある程度ドラマ性が強くなる代わりに不自然さが目立ってきている作品の方が良いとも言い難いのですが…。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-09-29 23:52:36)
4.  ターミナル
スティーヴン・スピルバーグ監督の作品の中では地味な方なのでずっとスルーしていたのですがやっぱり今更見るほどでもない微妙な映画ですね。とにかく脚本がいまいちで人情も恋愛も社会派要素も全部関連性が弱く散漫で何について語りたい映画なのかよくわかりません。トム・ハンクスはトム・ハンクスにしか見えないのでこれで東欧の人間と言われても全然ピンと来ませんね。今なら普通に無名の東欧出身のキャストを抜擢してもおかしくなさそうです。キャリーバッグを潰しちゃうところとか言葉が通じない以前の問題で妙に言動が子供っぽいのも不自然というか偏見のようなものが見えてしまいます。ヤギの薬のくだりもこんなので納得するのでしょうか。無国籍になってしまった人間の境遇を伝えることが目的ではなく軽いコメディ映画を作るためだけにこのシチュエーションを利用してるだけのようで薄っぺらく感じます。深く考えなければ楽しめなくもないのですが、後に残るものが何もありませんでした。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-21 23:19:50)
5.  エターナル・サンシャイン
これって君の名は。の元ネタですよね。電車のホームのシーンが象徴的に扱われている辺りがそれっぽいです。内容は内気な男性が積極的な女性からアプローチされたいという願望があるが、段々自分の方がめんどくさくなったりその積極性が他の男にも向けられて浮気されないかという不安を描いているだけですよね。この頃は時間操作や脳科学が流行っていてそういうところが知的と評価されたんでしょうけれど、冷静に考えれば記憶を消す技術が確立すればそれだけ社会の慣習や法律にも変化が生じるはずで、そういう点を描かずに個人の感傷のみに焦点を絞っているのは視野が狭いと感じます。人権との兼ね合いとかどうなってんでしょうかこの世界、脚本や映像に凝っていても細部にリアリティを感じさせる作り込みがないとストーリーに入り込む気になれません。その点では石鹸を使った後に毛を取ってって台詞は現実味があって良かったですね(笑)。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-09-17 23:47:15)
6.  運命じゃない人
うーんかわいい小品ではあってもここまで評価が高いのは不思議というか、もう既に役割を終えてしまった映画というか。内田けんじが長年沈黙に近い状態なのは単純にもうこの路線だけで通用する時代ではないからかもしれません。近年脚本が優れていると評価された日本映画としてカメラを止めるな!のような作品と比べても華がなくてとにかく地味な印象を受けます。脚本が良いという評価にも複数の意味合いがあって、伏線回収が上手いとか台詞のセンスがいいとかそういうものだけでなく何より大事なのは人間を深く描けていることだと思います。たとえば初めはあくが強く共感できないと思っていた登場人物が物語の展開の中で段々人間味が感じられるようになっていく、そういう感動はこの映画にはないんです。小市民的世界から逸脱せずとにかく登場人物がみんな大人しく予想外の方向へ向いていくような驚きがないのがつまらないのです。ヤクザの組長すら妙に所帯染みていて…。まあその登場人物の大人しさゆえに反感を抱きにくいことこそがこの映画の人気の秘訣なのかもしれませんが。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-08-08 23:05:56)
7.  オーディション(2000)
今見直すとなんとなくドライブ・マイ・カーに似ていますね。村上春樹と村上龍原作ですし、こういう作品が海外受け良かったりするんでしょうか。三池崇史監督作品にしてはくだらないギャグがないので見やすい方ではあります。この作品の一番面白いところって序盤の男同士のコイバナ(?)のゲスい部分も含めた楽しさだと思いますね。そのゲスくていやらしい部分を中和してバランスを取るために痛いしっぺ返しを食らう展開が用意されているわけですが、男同士の会話の生っぽさに比して後半のホラーパートになると一気に台詞も演出も現実味に欠けた陳腐なものになってしまいます。男側の丁寧で共感もできる心理描写に対し女側はこんな女現実にはいないだろうという大袈裟な表現になってしまっているのがつまらないんですよね。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-07 23:16:00)
8.  ファイナル・デスティネーション
2000年と比較的新しい方の作品にはなるのでしょうが、この時代でも既に映像のルックというのは古びている感じがしますね。事故時の飛行機の内部のシーン等は普通にセットに見えてしまいます。死は日常のすぐそばにあることを気づかせるというアイデアは興味深いものです。序盤の飛行機事故から追悼式の場面まではその辺りを作品のテーマとして掘り下げることができるかと思わせてくれるのですが、結局それ以降は面白殺人ピタゴラスイッチ部分ばかり凝っているのが残念ですね。飛行機での旅行中に事故に遭うかもしれないという恐怖は多くの人間が経験し得ることですが、そこから死の運命に翻弄されるなんて現実とは何の関係もないので身に迫る恐怖に欠けているのがコメディのようにも見えてしまう要因です。編集のテンポはいいので気楽に見る分には悪くないです。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-21 23:17:39)
9.  BROTHER
久石譲の音楽は他の北野武監督の作品では情緒性の強さがミスマッチで好きではないのですが、この映画では感傷性が比較的抑えられたジャズ調の音楽がハードボイルドな雰囲気に合ってていいですね。あくまで劇中のヤクザは理想化されたおとぎ話でしかないにせよ文化や血縁を超えた絆が描かれるのでこれは良いおとぎ話だと思います。いつもの遊びのシーンもこの映画では異文化交流としての意味合いが付与されています。どんなに成り上がったところで根底にあるのは子供の頃の貧乏だった時期への郷愁なのも良いです。…と考えたところで気づいたんですがこれって結局スカーフェイスの二番煎じではあるんですよね、そこは減点要素です。それでも娯楽性と作家性の両立という点ではアウトレイジシリーズよりも上手くいっていると思います。
[DVD(邦画)] 6点(2023-07-16 20:22:00)(良:1票)
10.  千年女優
今敏監督って海外で高く評価されていると言っても影響を受けたという監督の筆頭がダーレン・アロノフスキーですからねえ。人間よりも技法への興味ばかり突出していると高い評価になるんでしょうか。この映画も昔の日本映画のワンシーンを再現してみたいというぐらいしか創作のモチベーションがなかったとしか思えません。浮世絵を連想させる絵柄のシーンがあるのも安易な日本の伝統文化の利用でしかありません。最大の問題は当時の日本映画という創作物の無秩序なコラージュではあってもその作品が作られた時代背景を十分に描けていないことです。ここにあるのは昔の華やかな日本映画への憧れだけでその時代に生きた人間の苦悩には目が向けられていません。虚構と現実の狭間を描こうとした結果、この映画は結局現実とは何の関係もない映画になってしまっています。
[DVD(邦画)] 4点(2023-07-09 23:44:42)
11.  海を飛ぶ夢
尊厳死という題材を扱っていながらこの映画に感じられるのはむしろ人の温かさです。神父には家族の愛情がないからと揶揄されますが、逆に多くの人間から愛情を与えられているからこそラモン(ハビエル・バルデム)は死を選ぶのです。それは追い詰められたというのともまた違う感情でしょう。なぜいつも笑顔なのか?と尋ねられたラモンは他人の助けに頼るしか生きる方法がないと涙を隠す方法を自然と覚えると答えます。彼は他者の愛情を噛みしめているからこそ無理にでも笑顔を返すのでしょう(とはいえ世間の無理解な人間に対するそれは冷笑に近いのでしょうけど)。夜になぜ他の人のように自分の人生に満足できないのかと泣き叫ぶシーンも印象的です。生きる義務とは言い直せば現状を幸福な状態として受け入れなければならないという周囲の要求のことです。現状に満足することさえできれば人は生き続けることができます。それを拒むからこそ人は死を願うのです。
[DVD(字幕)] 8点(2023-06-18 22:55:55)
12.  エレファント
ドラマ性を廃して長回しで撮り続ければいつか映画の神様が降りてくるかもしれないという信仰が有効だった時代の産物ですね。しかしそんな迷信は素人がスマホで撮った映像が氾濫する現代ではもうほとんど効力を失っているのではないでしょうか。つまるところ映画というのはどうあがいても映されたものに人間の意図が働かざるを得ない創作物なのですから神頼みの前に人智を尽くすべきだと思います。リアルな風俗描写だけが取り柄で明確なメッセージがない作品に時代を超える力は宿らないでしょう。しかも銃乱射犯人たちのパートになるともうあからさまにカッコいい絵を撮ろうとする演出の意図が見えてきて全体のコンセプトすら貫徹できていません。どうしても事件の直接的な描写は劇的にならざるを得ないのでしょうが、ここでこそ抑えた描写をしないのは何かが間違っています。エリーゼのためにやナチスのような深読みさせるための要素をしっかり入れるのには苦笑いです。それに同性愛者とナチスを結びつけるとはなんと軽率な描写でしょう。説明不足のためにその意図が深淵であるように見えるだけで実はこの監督は事件とそれに関わった人間についてろくに理解していなかったのではないでしょうか。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-06-12 23:38:00)(良:1票)
13.  ルルドの泉で
観光化された巡礼に対する皮肉なのでしょうが、この映画自体が半分ぐらいはただの観光映画な感じで笑えないです。ロングショットであまりカットは割らず大きな起伏もなく淡々とした展開、このスタイルは却って心地よさと安心感を与える方向に機能しています。宗教的テーマを扱うなら現代の社会問題とぶつけて格闘させるぐらいでないと真剣に鑑賞する価値がある物語にはならないと思います。20世紀の偉大な映画作家はそういうことをやっていたというのに、神のきまぐれさのような19世紀でも可能なテーマだけで一本の映画を成立させるのは怠惰の極みです。現代なら本当に観光目当てでしかない非キリスト信徒のアジア人を主役にするぐらいのことはやってもおかしくはないでしょう。必要なのはアヴェ・マリアではなくいっそ軽薄な商業音楽を流す覚悟です。この映画は観客に解釈を委ねる以前の問題として作家側の態度が優柔不断過ぎます。
[DVD(字幕)] 4点(2023-05-26 22:50:03)
14.  エルミタージュ幻想
普通の劇映画やドキュメンタリーならば美術館を通してそこに集まる人間や社会を描くのでしょうが、この映画は実際に美術館を巡っている時の感覚を再現することが一つの目標であるように見えます。この映画自体が一つの美術館のようです。歴史上の人物が登場するのもロシアの歴史を描くことが主目的というよりは、ロシアの歴史と共に歩んできた建物を巡っていると自然と歴史の風景が頭の中に浮かんでくるような感覚を映像化したのだと思います。歴史の負の側面にはあまり触れられず美的な側面ばかりが描かれるのも19世紀以前の文化の傾向を反映しているのではないでしょうか。単なる劇映画とは違う仕掛けの作品として成立させるために1カットで撮ったことにはある程度意味があるのでしょうが、それでも全シーンワンカットというのはあまり面白い技法やスタイルの選択ではないと思います。やはり複数カットによる多角的な視点があるからこそ映画は面白いのではないでしょうか。この映画も客観的な視点を提供してくれる案内役のフランス人がいなければずいぶん退屈なものになったはずです。最近は編集で疑似的にそう見せかけたものも含めて全編ワンカット映画の大安売り状態というありさまで、歴史的意義はあってもその価値は年々減少していると言わざるを得ないでしょう。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-05-18 23:27:04)
15.  シティ・オブ・ゴッド
撮影と編集は世界レベル、映像に全く安っぽさはなくポップでテンポよく面白いです。ブラジルという多人種国家の国柄もあるのでしょうが、2002年の時点で多様な人種を安易に対立構造にはめることなく、何ら特別なものとしても描かず自然に登場させているのも大したものです。しかし技術的に優れており現実をありのままに映すことはできても、この現実の前に監督がどう思っているのかがいまいち伝わってこないのです。フェルナンド・メイレレス監督は優秀な職人監督ではあっても、一貫したテーマや作家性を反映した作品を作っているようには見えません。先に述べたように人種的多様性や国際性への志向はあるようですが、それが画面の細部には反映されても物語の本筋にはあまり関わってこないのです。良いも悪いも原作や題材次第、それがこの監督がこの作品以降いまいちパッとしない映画ばかり撮っている原因だと思います。意外とアメコミ映画あたりを撮らせたらいい仕事をしたかもしれませんね、もうそんな機会もなさそうですが。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-05-14 23:20:12)
16.  メメント
この映画が高く評価されるのは単に構成が練られたミステリーというだけでなく、現実というものに対して人間が持つ認識の再現に成功している点にあると思います。私たちは劇中の主人公のような症状がなくとも日々の生活の中で自分の記憶を信じられずにメモを取ることは珍しいことではありません。一瞬一瞬の現実はそれぞれバラバラの断片でしかなく後からそれをストーリーとして再構築しているわけです。そうした感覚は時代の経過によって古びるどころかインターネット時代になってより高まってすらいるのではないでしょうか。クリストファー・ノーラン監督の作品に関してはむしろ近年の方がフィルムやCGを使わないというこだわりも含めて古臭くどこか時代からずれてきている印象を受けてしまいます。最近の作品がどこか違和感を感じさせるものになっているのはCGを使わないことによる映像の真実性への追求と、記憶や時間軸の不確かさへのこだわりといった作家性が矛盾していることが原因ではないでしょうか。せっかく過去を舞台にしたダンケルクでも記憶と記録の不確かさをテーマに据えずに安直に時間軸操作を加えただけの作りになっていたのにはがっかりでした。ダークナイトが成功して下手に大作志向になってしまったのはこの監督にとって不幸なことだったのかもしれませんね。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-05-13 23:33:26)
17.  ソウ
懐かしいですねー昔はこんなの流行ってましたねー、でも残念ながら時代を越えて評価される名作になれる作品ではないですね。シンプルに内容はセブンやキューブの二番煎じでしかないですからね。後の作品群を見てもジェームズ・ワン監督は手堅くまとめる秀才であってもオリジナルな作品を生み出す天才とは言い難いですし。リアルタイムで流行っただけでも十分なんでしょうけど、今だとこういうジャンルでも設定や伏線に凝ったり露悪的に人間のグロテスクな側面を見せるだけでなく社会性のあるテーマや丁寧にドラマを構築することを求められるはずです(今はそうであるというより昔から名作というのはそういうものだったという方がより正確かもしれませんね)。昔は私も多くの人間は生に感謝しないなんて台詞に人生の真理を見出したりもしましたが、それを実感するためにこんなサディストのゲームに付き合う必要なんてありませんよ、馬鹿馬鹿しいの極みです。
[インターネット(字幕)] 4点(2023-05-12 22:50:01)
18.  パール・ハーバー
この映画は言われてるほど悪い映画だとは思いません、前半は魅力的な場面がたくさんあります。冒頭の父親がドイツ軍と侮辱され傷つき、それに子供がそれに寄り添う場面は複雑な心理を描いており印象的です。黒人の水兵がボクシングで勝利し"respect"を得た、一度も銃を撃ったことがない、その方がいいと語られるエピソードも心を揺さぶるものです。夕日の真珠湾をこっそり軍に隠れて飛行するのも抒情性溢れる良いロマンスシーンです。嘲笑の的となる日本軍の屋外での会議シーンですが、確かに考証的にはメチャクチャなのでしょうが軍人の苦悩の表情と子供たちが遊んでいる姿を交互に見せる編集は日本側にも守るべきものがあることを示してはいないでしょうか。ハワイの日系人の歯医者もあくまで状況を理解しないまま利用されただけという描き方であり、日系人はスパイであるという偏見を助長しないよう注意を払っています。真珠湾攻撃のシーンでは日本軍の飛行機のコクピット内に家族の写真が貼られていたり、野球をしているアメリカの少年に日本兵が逃げろと呼びかける場面を入れたのも日本側を単純に悪魔化しない配慮だと思います。ただしドーリットル空襲のくだりは明らかに蛇足です。米国側が攻撃を受けるシーンでは日本側を描写する余裕があるのですが、いざ米国が攻撃側に回るとほとんど敵を描写しなくなるのも公平性を欠いています。三角関係も一方の死で有耶無耶にされちゃいます。この程度の展開しかできないなら真珠湾攻撃で物語を終わらせるべきでした。ドーリットル空襲以降は反撃シーンを入れなければ米国の観客は満足しないだろうと無理やり付け加えられたとしか思えず、そこは非難されても仕方ないです。まあ何よりこの映画の評価にとって最悪だったのは直後にアメリカ同時多発テロが起きてしまったことなのでしょう。
[DVD(字幕)] 5点(2023-05-04 23:40:38)
19.  GOEMON
これはまともな映画だと思います。リーマンショックの次の年にこの映画を公開できた紀里谷和明は悪くない勘の持ち主です、CASSHERNもイラク戦争開戦の次の年ですからね。CGを使った派手なアクションシーンばかり注目されますが、蛍が飛び交う水場、年少時代の五右衛門と茶々の寝室でのシーン、オルゴールの音が流れる五右衛門と秀吉の最期の会話シーン、こうした静のシーンもちゃんと作られていて静と動のリズム感があります。映画は蛍の光に始まり、中盤で蛍の水場での茶々との再会のシーンが挿入され、最後は空の蛍の光で終わる。物語の時間軸としては信長の兜を五右衛門が投げ渡されることで始まり、最後には信長の鎧兜を身に付けて終わる。反復構造による演出も考えられています。単にCGを多用するからダメだとは思いません、我々はCGアニメで描かれる物語にもリアリティを感じることができます。CGによってリアリティが損なわれるのは映像に統一感がなくなることが一番の原因です。この映画の映像には統一性があります、まあ確かにアクションシーンはやりすぎなんですが。惜しむらくは叩かれすぎたのか後の作品ではCGを多用した映像美を捨ててしまったことです。上手く手綱を握れる人間さえいれば実写映画で新海誠と庵野秀明を足して割らないような監督になっていた可能性すらあると思います。結局宇多田ヒカルと別れちゃったのが一番の失敗だったのかもしれません。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-04-27 23:50:18)
20.  バトル・ロワイアル
この映画の面白さは異常事態に陥っても人間は日常と同じように振る舞ってしまう姿が描かれているところではないでしょうか。殺し合いの中でもつい能天気だったり相手を気遣うような言葉を口走ってしまう。いざこざの原因もふだんの人間関係の延長線上にあります。さすがにBR法のようなものが現実に制定されることはないでしょう。しかしその冗談みたいな事業がまるで学校の行事のように執り行われています。面白おかしく報道するマスコミ、生徒に話しかける教師の口調、設定こそ異常ですが細部の描写は私たちの生活の中で既視感のあるものです。大人たちは確かに悪役であり文字通り反面教師ではありますが、その心の弱さに共感できる描き方であり若者だけの群像劇にしてはいません。集合写真で始まり集合写真で終わる、冒頭と違いエンドクレジットのそれは明らかに遺影です。どこか寂寞とした感情を抱かせます。ちょうどこの映画は深作欣二監督の遺作になりました。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-04-22 23:07:17)
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